ソニー、今期の営業利益5000億円に強気なワケ

ソニー、今期の営業利益5000億円に強気なワケ

2017.05.24

平井一夫社長体制として2回目の中期経営計画となる「第二次中期経営計画」では、最終年度となる2017年度の経営数値目標として、ROE10%以上、営業利益5000億円以上を掲げている。

平井社長は、「2017年度は結果にこだわる重要な年である」と宣言し、中期経営計画の経営数値目標の達成を最重点テーマに位置づける。

先頃発表した2016年度の連結業績では、営業利益が前年比1.9%減の2887億円。2017年度の営業利益5000億円に到達するには、前年比73.2%増という高い成長率を達成しなくてはならない。2000億円以上の上乗せが必要だ。

平井社長は、ソニーが営業利益5000億円を突破したのは、1997年度に5257億円を計上したときの一度だけであることを示しながら、「これは、20年ぶりの利益水準であり、経営陣や社員にとっては大きな挑戦である」とコメントする一方で、「この5年間の取り組みにより、この目標を十分に狙えるだけの力がついてきた」と自信をみせる。そして、「社員が目を輝かせ、未来に向けて、新たなことに挑戦する自信と元気に満ちたソニーが戻ってきた実感がある」と付け加えてみせた。

営業利益5000億円達成に向けては、全部門での黒字化を前提とするのはもちろん、それぞれの事業において、力強く成長戦略を達成する必要がある。

それは、主に5つの事業分野における成長戦略の実行に集約されよう。

PSのネットワークビジネス 有料会員サービスの強化の成長がカギ

ひとつめは、「利益成長を牽引する最大のドライバー」と平井社長が位置づける「ゲーム&ネットワークサービス分野」で、前年比25.4%増の1700億円を見込んでいる点だ。

平井社長は、「プレイステーションビジネスは、引き続き好調であり、PS4 Pro、PS VRの導入にも成功した。2017年度はPS4で1800万台の販売を予定し、2017年度末には7800万台の累計販売台数に達することになる」と語り、「1993年に生まれたこの事業が2兆円の売上げ規模となり、収益でもグループの柱に成長したことは、ソニーグループの大きなマイルストーンである」と自信をみせる。

PS4は、2014年2月の発売以来、3年を経過し、「プラットフォームが収穫期を迎えている」(平井社長)なかで、従来のプラットフォームと異なるのは、ソフトウェアタイトルによる収穫だけでなく、ネットワークサービスによる収穫が加わっている点だ。

平井社長が明らかにしたプレイステーションネットワークの月間アクティブユーザー数は7000万人。PS4だけでみると、プラットフォーム上での全アクティブユーザーの1週間の合計滞在時間は6億時間以上になるという。

平井社長は、「ネットワークビジネスの収益拡大が、事業全体の安定した収益創出に貢献することになる。その大きな鍵となるのが、有料会員サービスのPS Plusになる。この会員数を伸ばすために、サービス内容を強化する。ロイヤルカスタマーの拡大を中心としたエンゲージメントを強め、PS4のエコシステムを拡充することで、収益に貢献することを期待している」と語る。

また、PS VRは、2016年10月の発売直後は、全世界で品薄が続いていたが、2017年2月から増産を開始。対応ゲームは100を超えており、ノンゲームコンテンツの開発も積極的に推進しているという。

「The Chainsmokersの最新ヒット曲であるParisのミュージックビデオは、VRの技術を生かしたもので、PS VR専用のコンテンツとしてダウンロードできる。従来のプレイステーションのユーザーのみならず、アーティストのファンからも好評を博している」とし、ゲームユーザー以外を取り込んで動きにもつながっていることも示した。

収益領域の拡大は、ゲーム&ネットワークサービス分野の成長を支えているのは明らかだ。

安定成長目指す金融

2つめが、「長年に渡り、グループ最大の収益貢献をしてきた」と位置づける金融分野だ。2017年度には、ゲーム&ネットワークサービス分野と同じ1700億円の営業利益を目指す。対前年成長率は2.2%増と安定成長を目指す。

「金融分野は、顧客とのラストワンインチの接点を有するソニーブランドを生かしたリカーリング型サービス事業であり、安定的な高収益を堅持している。既存業界にソニーが参画することで変革をもたらす、イノベーションのDNAをもった事業でもある。ソニーが中長期戦略で重視しているポイントを複数備えている重要な事業だと捉えている」と語る。

ここも安定事業として、収益貢献に寄与するのは明らかだ。

半導体、市場環境の変化への対応・集中領域の見極め重要

手放しで評価できるこの2つの事業と比較し、課題が見え隠れするのが、このあとに触れる3つの事業だ。

最初が半導体事業である。ここでの大幅な収益改善は、5000億円達成に向けた重要な鍵になる。2017年度の営業利益見通しは、前年度の78億円の赤字から、1200億円の黒字へと大幅な改善を見込む。

平井社長は、「熊本テックが熊本地震により、デジタルカメラ、監視カメラ向けのイメージセンサーを中心に生産活動ができない苦しい時期があった。また、2015年度後半にはハイエンドを中心としたスマホの成長鈍化の影響から、販売が低迷し、業績が急速に悪化した」と、これまでの低迷について説明。

「だが、大きな損失を計上したカメラモジュール事業では、2016年度に抜本的な構造改革に取り組み、熊本テックの外販向け高機能カメラモジュール事業の開発、製造の中止、中国・広州の工場売却を実施した。中国系スマホメーカーとともに拡販活動に取り組み、2016年度後半から業績に効果として表れている。スマホを取り巻く環境をみると、複眼化の加速、フロントカメラの高画質化、動画性能の重視といったトレンドがある。これはソニーの強みが発揮できる高性能な製品領域が拡大していることを意味しており、今期は大幅な収益改善を見込み、グループ全体への収益貢献も見込んでいる」とする。

熊本地震の影響がなくなること、複眼化の加速がプラス要素になること、さらには、カメラモジュール事業の中国工場の売却益で270億円も加わるといった要素も増益に寄与する。

さらに、平井社長は、「性能、歩留まり、品質では世界一の評価を得ている。しかし、生産リードタイムや製造コストではまだ改善すべき点がある。車載向けを含めて将来に必要な投資を行っていく。さらなる高収益事業を目指す」と語る。

半導体部門への設備投資は、同部門全体で2017年度に1300億円を見込んでいるが、そのうちイメージセンサーで1100億円を計画。300ミリウェハー換算で、月産8万8000枚の体制を、2017年度中に、10万枚まで増加させる計画を打ち出している。

「デバイス領域では、環境変化への対応スピードと、強みのある事業へのフォーカスが必要である」と平井社長も指摘するように、この分野は市場環境の変化が激しい。この数年は、その変化に対応できず、業績を悪化。そこに熊本地震の影響が追い打ちをかけた。だが、2017年度には、これらの課題が解決できたと、平井社長は判断しているようだ。それが目論見通りにいくかどうかが注目点といえる。高い利益成長を見込む半導体事業が、営業利益5000億円達成の重要な鍵を握ることは間違いない。

映画事業、収益体質の確立に向け1からのスタート

4つめは、「喫緊の課題として認識している」と平井社長が語る映画分野だ。

2016年度に1121億円の営業権の減損を計上し、805億円の赤字を計上したが、2017年度はこれが無くなることもあり、390億円の黒字を目指す。

「映画分野はソニーにとって重要な事業だと位置づけており、映画制作事業の収益改善に向けた施策の遂行に優先度をあげて取り組んでいる。ネットワークが進化し、映像コンテンツの楽しみ方が多様化するなかで、魅力的なコンテンツに対する需要はかつてないほどに高まっている。コンテンツクリエイターと強固な関係を築き、質の高いコンテンツを作り出す」とする。

説明会に臨むソニー平井社長

だが、「2017年度の利益見通しは、中期経営計画の立案当初の水準を大きく下回るものであり、この問題を大きく受け止めている」と、平井社長は語る。

ソニー・ピクチャーズエンタテインメントの会長兼CEOにアンソニー・ヴィンシクエラ氏を招へい。「米国のエンタテインメント業界において素晴らしい実績をあげてきた人物であり、技術のトレンドやグローバルな市場環境の変化についても高い見識を持っている。また、チームビルディングを重んじており、彼ならソニー・ピクチャーズのマネジメントや社員のベクトルをひとつにして、この事業の再生を実現してくれる」と期待する。平井社長自らが人選したヴィンシクエラ氏による再生が、この6月からスタートすることになる。

「事業モデルの性質から、結果を出すには一定の時間を要するが、腰を据えて、変革に取り組み、高い収益を創出する事業へと転換させていく」と、平井社長は意気込む。

映画事業は収益体質の確立に1から取り組むという段階にあり、長期的視点での体質改善に挑むことになる。

そして、最後が、収益性が悪化しているモバイル・コミュニケーションである。

スマホは最新技術で差別化、収益を高める

エレクトロニクス事業は、2016年度第4四半期連結業績で、6セグメントの合計で黒字化。これは、1997年度以来、19年振りのことであり、回復基調にあることを裏付けている。

「長年苦戦をしてきたコンシューマエレクトロニクスが再生し、安定的な収益貢献が期待できる事業になってきた」と、平井社長は期待を寄せる。

だが、その一方で、「コンシューマエレクトロニクス事業全体を見渡した時に、スマートフォン事業の収益性にはまだ課題が残っている」と、平井社長は指摘する。

モバイル・コミュニケーション分野の2016年度の業績は102億円の営業黒字。2017年度は50億円の黒字を見込む。

「徹底した構造改革と、商品および販売地域の絞り込みにより、2016年度の黒字化を達成。商品力、オペレーション力を着実に向上していると実感している。最も顧客接点が多い『ラストワンインチ』の商品であり、カメラ技術を中心に、ソニーの最新技術を詰め込むことで、違いが出しうる事業だと考えている」とする。そして、「2017年度は、IoTなどの新規領域の開拓と合わせて、急速な環境変化にも迅速に対応できるような慎重な事業運営を行っていく」とした。

継続的成長のため必要 リカーリング型ビジネスの拡大

一方で、平井社長は、「2017年度は、通過点に過ぎず、今後も持続的に発展していく必要がある。持続的に高収益を創出し、新たな価値を提供し続ける企業を目指す」と述べ、営業利益5000億円は通過点であることを強調する。

これは、2017年度が第二次中期経営計画の最終年度であるとともに、2018年度以降の第三次中期経営計画を策定する年であることを意識した発言だともいえる。

「2017年度の連結営業利益5000億円は、20年ぶりの利益水準だが、この利益レベルを複数年に渡って継続できたことは、ソニーの71年の歴史のなかで一度もない。2017年度は大きな節目となる重要な年であり、各事業において、今年度やるべきことを着実に実行し、目標の達成を目指すが、この目標を達成したのちも、ソニーは、持続的に高収益を創出できる企業でなくてはならない。高収益を創出しつづけるためには、ソニーグループとしても、各事業の現状維持ではなく、新たな事業への取り組みを強化していくことが不可欠である。高収益を持続的に確保し、新たな価値を作るために、具体的な方針、計画に落とし込む必要がある」と語る。

平井社長が、持続的な成長を強く訴える背景には、リカーリング型ビジネスの拡大がある。

リカーリング型ビジネスとは、特定の顧客と継続的で安定したビジネスを行うもので、第二次中期経営計画の柱のひとつに据えている。リカーリング型ビジネスは、保険などの金融ビジネスのほか、ネットワークサービスやテレビチャンネル運営などによる「サブスクリプションモデル」、デジタル一眼カメラのレンズやゲームソフトなどの「追加購入モデル」、音楽制作やテレビ番組制作などの「コンテンツ事業」の3つに大別できるという。

平井社長によると、「2015年度には約35%だったリカーリング型ビジネスは、2017年度には約40%に拡大する見込みである。今後は、サブスクリプションモデルをはじめとする顧客と直接つながるサービス領域の将来性がとくに高いと考えている」とする。

安定した高収益拡大のために、顧客との持続した付き合いを前提としたリカーリング型ビジネスが拡大しているからこそ、持続的に成長できる基盤が完成するというのが平井社長の考え方だ。

ソニーの完全復活と言い切るには、まだ道半ばであるのは確かだろう。2017年度の営業利益5000億円の達成にも、外部環境の変化を受けやすい事業については、まだ不安要素もある。

しかし、その一方で、次の成長に向けた地盤づくりは着実に進んでいるのも確かだといえる。その代表がリカーリング型ビジネスの拡大だ。

2014年度までの第一次中期経営計画は、ソニーの変革を中心とした施策が相次いだ。それに対して、2015年度からスタートした第二次中期経営計画では、「利益創出と成長への投資フェーズ」と位置づけている。その道筋は着実に歩んでいるともいえる。

2017年度の営業利益5000億円が目論見どおりに達成されれば、ソニーの復活は本物だといっていいだろう。そして、その時には、継続的な成長基盤が整うという要素も付加されることになるだろう。

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

藤田朋宏の必殺仕分け人 第1回

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

2018.11.15

ちとせグループCEOの藤田朋宏氏による新連載

巷を賑わす”ヘンな出来事”の問題点を、独自の解釈で洗い出す!

第1回は、「日本の科学技術投資」について

バイオベンチャー企業群「ちとせグループ」のCEOを務める藤田朋宏氏による新連載。“手段と目的の違い”によって生じた「ヘンな出来事」の問題点を、独自の視点で語ります。第1回は、「日本の科学技術投資」について。日本の科学技術への投資の問題点とはいったい何なのでしょう?

才能と“伸びしろ”に投資する、日本サッカー協会

先日、クアラルンプールに出張したときのこと。宿泊先のホテルが偶然にもサッカーの日本代表と同じだった。「日本代表」と言っても、同じホテルに泊まっていたのは本田や長友ではなく、U-16アジア選手権に参加している若い選手たち。

そこで彼らを見ていて、ふと考えた。日本サッカー協会の「選手への投資」は、実は凄く効率がいいのではないか。どうしてそう思ったのか、順を追って説明したい。

ホテルに置いてあったU-16アジア選手権のバナー

チェックインを済ませ、「部屋の準備があるから、ちょっとだけそこで待っていて」と指示するホテルマンに従い、ひとりロビーに放置されている間、何となしに選手の情報を調べてみた。それから一時間半。23名の選手一人ひとりの顔だけでなく、利き足まで覚えるくらいの時間が経っても、僕はまだロビーで放っておかれたままだった。まぁ、東南アジアではよくあることなので、腹は立たなかった。

ところで、「過去のU-16日本代表がその後、何度も日本代表に選ばれる割合はどれほどだろうか」と疑問に感じ、調べてみたところ、各年20数名の代表選手のうち、現役で活躍している選手は約1人であることが分かった。確かに16歳の段階では身体の発達に差があるし、試合で活躍できるかは運の要素も絡む。コーチとの相性やケガの問題もあるだろう。

そうは言っても、16歳の時点で日本代表に選ばれるだけのポテンシャルを持つ選手のうち、その数%しか将来も活躍できる選手がいない、という事実には驚いた。実際、長谷部、本田、岡崎、長友……など、この10年で活躍している選手たちの多くは、16歳時点ではそこまで期待されていなかった選手ばかりだ。

ではなぜ、そういった選手が後に日の目を浴びられたかというと、それは彼らにも「チャンス」を与えられていたからだろう。日本サッカー協会は、16歳時点で選抜したトップ選手だけに集中投資するだけではなく、同年代の他の有望選手にもしっかりとチャンスを与え続けられるような仕組みをつくれたのだと思う。

際立って目立つ選手だけではなく、将来の伸びしろがありえる選手にも、最低限のチャンスは回ってくることで、未来のトップ選手の育成が図れる。そうやって日本サッカー協会はこれまで、世界に通用するような選手を輩出してきた。

「科学技術に投資せよ」ではなく、予算配分の再考を

前置きが長くなってしまったが、ここから本題に入りたい。

先日、京都大学特別教授の本庶佑先生がノーベル賞を受賞したというニュースが流れた。「自分がバイオテクノロジー業界で働く人間だから」というのは関係なく、本庶先生と周りのチームの方々の長年にわたる科学に対する貢献が認められたこと、その事実に接した関係者の気持ちを想像すると、とても嬉しい気持ちになった。

ノーベル賞メダル(レプリカ)

 

近年、日本人のノーベル賞受賞が続いている。彼らのような日本の科学業界の仕組みをよくわかった方々は、これまで数多くのご苦労をされてきたことだろう。しかし、1つ残念なこともある。能力はもちろん、人格的にも優れたそういった先生方が、ノーベル賞受賞のタイミングでマスコミに発表する一世一代のコメントが「日本国の科学技術投資、科学技術教育のあり方についての憂い」であることだ。

僭越ながら、先生たちのコメントを解釈すると、よくニュースで取り上げられるような「科学技術にもっとお金を使え」ということではなく、その先にある「国家予算の配分」についての指摘をしていると認識している。

誰がなんと言おうと、日本の科学技術投資の選択と集中は年々進んでしまっているのが現状だ。しかし、先生方のいうような「選択と集中が進みすぎている」という指摘に対して、「日本にはもうお金がないのだから科学技術にばかり投資できない」と答えがずれてしまっている。

これこそが、日本の科学技術投資における問題ではないだろうか。

日本にはびこる「選択と集中こそが正解だよ病」

随分前からずっと不思議なのだが、そもそも「選択と集中こそが正解である」なんて、誰がいい出したのだろう。「選択と集中」の戦略で物事をうまく切り抜けられるようなことは、本当に生きるか死ぬか、背水の陣を敷いている時くらいだと思うのだ。

今の日本の「選択と集中こそが正解だよ病」はなかなか根深く、そもそもの目的を実現することよりも「選択と集中」を行うことそのものが目的になっているんじゃないかと感じることが多い。

今の日本で行われている多くの意思決定の場面で、サッカーの例で例えると、U-16日本代表を選んだ人のメンツを潰さないということが、強い日本代表をつくることよりも優先されてしまっているように思う。

そのため、16歳の時点で選んだ選手だけに集中投資し、16歳の段階で選ばれなかった他の選手のポテンシャルに賭けることもしないというような「選択と集中が正解である」という間違えた進め方で意思決定が行われているようなことが多いように感じる。

サッカー選手の育成でも、科学技術の投資でも初期の段階で選抜してそこだけに集中投資するという戦略を繰り返せば繰り返すほど、全体としての力は落ちる一方になるのではないか。歴代のノーベル賞受賞者の先生方も、そういうことを言いたかったのではないかと思う。

手段であるはずの「選択と集中」が、目的となっている?

私は、「16歳の段階で、将来素晴らしいサッカー選手になる人物を見分けられる」なんて言葉は、伸びしろのある選手に対しておこがましいと感じる。これは科学技術の研究にも同じことが言える。「その研究が将来素晴らしい成果を残すかどうか見分けられる」なんて言葉は、科学者に対しておこがましい。

もっと言ってしまえば、どの研究が将来化けるかの判断は、16歳のサッカー選手の成長を言い当てることより遥かに難しいだろう。なぜならば、サッカーという競技のルール自体は変わらないが、科学と言う競技はルール自体を決めているので、科学研究の将来性をあらかじめ予測するのは16歳のサッカー選手の将来性を予測するより難しいためだ。

そんな中、日本サッカー協会が幅広い底上げに力を入れ、紆余曲折も有りながらも右肩上がりの成長を維持できているにも関わらず、日本の科学技術投資は過剰な「選択と集中」を強めるが故に、科学技術力の相対的な低下を招いているように感じる。

その差はいったい何か? これは1つの仮説でしかないが、日本サッカー協会の強さの秘訣は、会長の独断で物事を決められる側面が強い組織であるために「目的」がハッキリしている点にあるのではないだろうか。

その一方で、日本の科学技術投資のような“数多くの人の善意の組み合わせの上になり立っている意思決定機構”では「選択と集中を進めることが正解である」という、本来手段の一つである価値観が「目的」となってしまっているように感じる。

本来考えるべきは、「日本の科学技術をどうするべきか」ということであるにも関わらず、その手段と目的が逆転しまっているのではないだろうか、と思うのだ。

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

2018.11.14

音楽に特化した「YouTube Music」が日本でスタート

有料会員になれば、広告なし再生やオフライン再生が可能

YouTube Premiumでは、オリジナルコンテンツの配信も開始

仕事や作業をする際、周りのノイズをカットして集中するために、音楽を聴くという人は多いだろう。わかる。よくわかる。フロアが騒がしいと作業に全く集中できない。周りで仕事している人がいるということがわからないのだろうか、と疑問に思うが、まぁそれは置いておいて、パソコンで作業する場合、手軽に好きな音楽を聴けることから、YouTubeで音楽を聴くという人も多いのではないだろうか。

そんなYouTubeユーザーに朗報である。11月14日、Googleは音楽に特化したストリーミング再生サービス「YouTube Music」を日本でローンチすると発表したのだ。

好みやシーンに応じて楽曲をレコメンド

YouTube Musicは、音楽再生に特化したアプリ。YouTubeにある公式の曲やプレイリスト、歌ってみた、弾いてみたなど、さまざまな音楽動画を視聴することができる。

また、機械学習が活用されているのも特徴の1つだ。視聴履歴などからユーザーの好みを把握するだけでなく、「いつどこで何をしているのか」を類推して、シーンに合わせた楽曲をレコメンド。家でリラックスしているときにお勧めの曲や、仕事中にお勧めの曲などを、自動でピックアップしてくれるという。

さらに、あいまいなカタカナ発音で洋楽を検索したり、CMタイアップ曲などから検索したりすることも可能で、聴きたい曲をスムーズに探すことができそうだ。

サービスの発表会において、YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏は「オーディエンスに着目した結果、今出ているアプリでは満足できていない層があることがわかり、そのユーザーに音楽サービスを届けようとこのサービスをスタートしました。YouTube Musicは、ユーザーの利用シーンや好みに合わせた曲を、YouTubeにある膨大なミュージックカタログからレコメンドするユニークさを持っています」と、サービスの魅力を強調した。

YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏

無料でも利用できるが、有料のYouTube Music Premiumに登録すると、「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」などが可能になる。料金はWeb/Androidが月額980円で、iOSが月額1280円(ともに税込み)だ。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏は「日本ユーザーの方は通勤通学などで音楽を聴くことが多いと思います。オフライン再生機能では、前日の夜に自宅のWi-Fiで翌日聴くべき曲を自動で更新し、通信なしで聴けるようになります。データの通信量などを気にする必要もないので、非常に便利な機能だと思います」と、オフライン再生のメリットを訴求した。

なお、同サービスには著作権管理システムが働いており、YouTubeと同様に適切な権利コントロールが可能だという。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏

「YouTube Originals」が日本でも始動

また今回、「YouTube Premium」という新しい有料プランもスタートする。料金はWeb/Androidだと月額1180円で、iOSだと月額1550円(ともに税込み)だ。YouTube Music Premiumの機能に加えて、YouTubeでも「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」機能が使えるようになる。

さらに、YouTube Premiumの会員は、12月から日本でも配信される予定のYouTubeオリジナルコンテンツ「YouTube Originals」を視聴することも可能だ。すでに世界30カ国でコンテンツを展開しているが、このたび、日本でも制作がスタート。SEKAI NO OWARIとMARVLEがコラボしたミュージックビデオ制作の裏側に迫るドキュメンタリー「Re:IMAGINE」、YouTuberのはじめしゃちょーが主演する連続ドラマ「The Fake Show」、YouTubeで人気のクリエイターが手がけた「隙間男:Stalking Vampire」の3つだ。

「YouTube Music Premium」と「YouTube Premium」で利用可能な機能
日本で制作される「YouTube Originals」のコンテンツ

発表会には「The Fake Show」に主演する、YouTuberのはじめしゃちょーが駆けつけた。

はじめしゃちょー

「今回僕が出演するのは、今までなかったYouTuberをテーマにしたドラマ。アカウント乗っ取りや炎上など、問題に直面しながらも夢に向かって進んでいく姿が描かれているので、僕の動画を見たことない人にも見てほしいですね」と動画の紹介をするとともに、YouTube Musicについて「普段、広く浅く、さまざまな音楽を聴くので、非常に楽しみなサービスです。ぜひ使ってみたいと思います」と期待を述べた。

なお、YouTube Musicは「Google Home」「Google Home Mini」にも対応予定。そのほか、現在「Google Play Music」を利用しているユーザーは、追加料金なしで移行することができるという。