「青もみじ」は京都の秘策? 旅行ツアーに込めれた課題解決への期待

「青もみじ」は京都の秘策? 旅行ツアーに込めれた課題解決への期待

2017.05.26

青もみじのトンネル

目前に飛び込んでくる緑色の世界。

木の葉の成長度合いによって、またその種類によって緑の濃淡が違う紅葉。ライトに照らされてよりその色彩のコントラストが強調される。

叡山電車 二ノ瀬―市原間にある「もみじのトンネル」電車はこの場所で徐行運転して、ライトアップされた青もみじを鑑賞できる

貴船神社や鞍馬寺などといった自然の名所から出町柳駅まで、京都市内を走る叡山電車。5月3日から5月28日の土日休日の日没ごろから午後9時ごろまでの間、鞍馬線で沿線の青もみじのライトアップが行われる。

貴船口駅 展望列車「きらら」が駅に到着!

ライトアップの場所に合わせて、電車内の電気が消え、数分間訪れる静寂。外から入ってくる瑞い新緑の香りと緑の色彩の鮮やかさに集中できる時間だ。

沿線にある貴船神社では叡山電車と同期間、日没ごろから午後8時まで、境内をライトアップし、新緑に包まれた神社の荘厳な空間を演出。さらに、青もみじの絵馬や、御朱印帳もこの時期限定のものを販売。「青もみじ」を推している。

日が暮れると灯篭の灯りで青もみじがライトアップされます
期間限定の絵馬と御朱印帳。緑が印象的!

今後、貴船神社では七夕笹飾りライトアップ(7月1日から8月15日まで。平日は日没から午後8時半まで。土日祝は日没から午後9時まで)、叡山電車は青もみじのライトアップ(7月1日から8月15日の土日祝。7月7日、28日、8月14日、15日、いずれも日没~午後9時ごろ)を予定しているという。

この「青もみじ」という言葉を知っているだろうか?

インスタグラムで「#青もみじ」で検索すると、約1万3000件がヒットする(2017年5月26日現在)。秋の赤いもみじではなく、初夏の緑のもみじのことだ。

初夏の新緑は、春の桜、秋の赤く色づいた紅葉とも違った魅力があるが、この時期を青もみじの見ごろとうたわれ始めたのは、ここ数年のことだという。

「青もみじに関しては、10年くらい前に京都市から『キレイでいいんだよ』と提案があり、『そうだ 京都、行こう。』キャンペーンポスターで取り上げてきました。」そう語るのはJR東海営業本部観光開発グループの堀江隆行係長。新緑の良さをまだまだ伝え切れていないのでは、と「青もみじ」と「御朱印」をテーマにした旅行商品を提案した。

初夏の旅行需要を喚起

JR東海「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンは今年、京阪ホールディングスとのコラボレーション企画として、5社寺(貴船神社、下鴨神社、河合神社、建仁寺、東福寺)の協力を得て「京都 青もみじ・御朱印めぐり」を企画した。

緑の色彩の美しさに改めて気づきます。緑もいろいろ、グラデーションキレイですね

具体的には、往復新幹線と宿泊する方には宿泊代、そして「バス&えいでん 鞍馬・貴船日帰りきっぷ」や、「そうだ 京都、行こう。」オリジナル御朱印帳袋などの特典がついた旅行商品を、JR東海ツアーズなど大手旅行会社6社で販売するという(7月25日帰着まで)。日帰りきっぷを使って、沿線にある青もみじの名所をまわってもらおうというものだ。

オリジナルの御朱印帳袋

貴船神社、下鴨神社、河合神社、東福寺の4社寺では、この旅行商品限定の特別な御朱印を先着1000人で拝受できる(期間は4社寺ごとに違い、初穂料・御朱印料が別途必要)。建仁寺では、6月16日~25日(18日、23日除く)に時間外の特別拝観も可能だという。

この企画だけの特別な御朱印だそうです

新緑、御朱印と一見、目新しさに欠けるツアーだが、このツアーには、今の京都観光に必要な需要を喚起する狙いがある。なぜJR東海は新緑の時期の御朱印ツアーを作ったのだろうか。

春の桜・秋の紅葉シーズンの課題

特別な御朱印がもらえる社寺の1つ東福寺は、京都を代表する秋の紅葉の名所だ。通天橋を中心とするエリアには、野生の紅葉が生い茂り、時期になれば真っ赤な紅葉と建物が美しい情景を作る絶好の鑑賞ポイントになる。秋の紅葉シーズンになると、境内の外まで長い行列ができ、人で埋め尽くされるほどの人気だ。

通天橋を臨むもみじがキレイなスポット。初夏だと一面緑に

だが近年では、外国人観光客など人があまりに増え、写真撮影の規制をおこなうほどになっているという。観光地としては、うれしい反面、増えすぎる観光客をどう制御するかは安全面でも課題になりつつある。

紅葉のシーズンには、通路が人で埋め尽くされるそうです

ただ、SNSが普及した今、フォトジェニックな場所だからこそ訪れる。写真で映える場所というのが、行き先を決める際に大きな判断基準のひとつだ。マナーを呼びかけても、なかなか浸透しにくい現状もあるだろう。

「おととしあたりから春・秋の観光シーズンの混雑については、地元でも問題視されるようになりました。京都には春や秋だけでなく、どの季節においても尽きない魅力がある。それを伝えたい。」(堀江さん)

桜のシーズン後で、まだ人が多くない青もみじのシーズンの魅力を伝えて、需要を喚起して客数の平準化を図るという狙いがあるのだ。

また旅行会社のツアーというと、日程が固定されていたり、専用のバスで回るというイメージ、シニア層に支えられている現状があるという。若者への需要喚起のために、自由度の高さとフォトジェニックさを意識。日帰りきっぷで自由にまわり、青もみじや特別な御朱印でSNSへの投稿をしてもらおうと。メインターゲットは20代後半から30代の女性「時間が出来たときに気軽に京都にきてもらうしかけにした」のだという。

「これからは旅行者のニーズに沿うように、より丁寧な提案をしたい」(堀江さん)というのが印象的だった今回のJR東海への取材。取材中の記者に対して、どんな旅行の提案が需要喚起につながるか意見を求める場面も。具体的な話になり、“丁寧な提案”という言葉の本気さがうかがえた。青もみじに関しては「まず知ってもらうこと」。そのために説明していくのだという。青もみじは定着するだろうか。普及のための施策に注目していきたい。

Googleマップが突然の劣化、ゼンリン地図から自社地図に変更か?

Googleマップが突然の劣化、ゼンリン地図から自社地図に変更か?

2019.03.22

Googleマップが壊れた? 3月21日以降、表示がおかしい

地図のダウンロード機能でゼンリンと決裂したか?

新しい地図は機械学習で地図データ生成という指摘も

Googleマップの表示がおかしい。3月21日頃から、Googleマップの不具合を訴える声が各所で相次いでいる。道路の表示や建物の位置が正確でなかったり、地形すら間違っている場所もある。Googleマップにいったい何が起こったのか。

地図データの提供元がゼンリンではない?

Googleマップの日本地図データはこれまで、地図データで国内大手のゼンリンから提供を受けていた。両社の契約状況は公開されていないが、少なくとも不具合が発生している現在のGoogleマップ上からは、以前までは記載されていたゼンリン社の権利表記が消え、「地図データ (C)2019 Google」へと変更されている。

Googleマップからゼンリン社の権利表記が消えた

Google社は今月のはじめ、今後「数週間以内」に、日本のGoogleマップをアップデートすると予告していた。このアップデートでは、特にダウンロード可能なオフラインマップを追加することに注目が集まっていた。オフライン環境でもダウンロード済みの地図を利用できる便利な機能だが、地図データの契約上の課題があり、日本のGoogleマップでは制限されていた機能だからだ。結局、両社は契約の課題を解決できず、ゼンリンが地図データ提供から降りてしまったことが、今回の不具合の原因と見られる。

新しい地図は使い物になるのか?

現在のGoogleマップは、Googleが新規開発した自社製の地図データを利用しているようだが、いまだに不具合が報告され続けている状態状態であり、混乱が収束する目途は見えていない。

なお、この新しい地図は、航空写真で山脈の陰部分が湖になっていたり、並木の多い道路が公園になっていたりする間違いや、ほかにも交差点に面したコンビニエンスストアの駐車場が道路と語認識されていたりすることから、航空写真をもとにした機械学習や、スマホ位置情報の移動軌跡から地図データを生成しているのではないかと指摘されている。

航空写真では山の陰になっている部分が、川と湖になってしまっている
地図では鎌倉街道から大栗橋公園を抜ける道があるが、実態はただの公園広場だ。スマホ位置情報の移動実績をもとに道と認識したか?

新しい地図の仕組みや改善の見込みについては、Google側のアナウンスを待つほかないわけだが、GoogleマップはAndroidの標準地図として利用されており、影響を受けるユーザーがあまりにも多い。他の地図サービスを駆逐して大きな影響力を持っているのだから、責任も伴うはずだ。

関連記事
ペットボトルコーヒーに対抗? キリンが目指す「午後の紅茶」

ペットボトルコーヒーに対抗? キリンが目指す「午後の紅茶」"仕事のお供"戦略

2019.03.22

「午後の紅茶」に微糖のミルクティーが登場

新CMでは無糖・微糖を中心に新しい飲用シーンを訴求

ペットボトルコーヒーに対抗? 今後の戦略は

昨年まで、ビジネスマンの仕事のお供として「ペットボトルコーヒー」に注目が集まっていたが、今年は「紅茶」が主戦場になるかもしれない。

3月26日より発売されるキリンの「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」は、これまでの“ペットボトルのミルクティーは甘い”というイメージに反して、缶コーヒーでいちカテゴリを築いている「微糖」が特徴。また、同社が長らくカテゴリ内最大シェアを誇る「午後の紅茶 おいしい無糖」についても、あらたな消費イメージを打ち出す方針だ。

今春から「午後の紅茶」新CMに出演する新木優子さん、深田恭子さん、リリー・フランキーさん

ペットボトル紅茶飲料のトップブランドと言える「午後の紅茶」。この春から公開する新CMには、既存の紅茶飲料のイメージを覆す狙いが透けて見えた。

2つの軸で「紅茶」のイメージを変える

紅茶飲料のイメージと言えば、「午後の紅茶」の名前の由来となっている「アフタヌーンティー」(英国発祥の喫茶習慣)に象徴されるように、「女性の飲み物」であり、「時間的・金銭的余裕がある人の趣味」というところだろうか。それも紅茶という商品のひとつの側面だが、近年の消費者層のメインストリームではなくなっている。

今回、キリンが「午後の紅茶」新CMで打ち出したのは、大きく分けてふたつの飲用イメージだ。深田恭子さんが仕事で車を走らせ、駐車して一服するのに選んだのは微糖のミルクティー。一方、アーティスト然としたリリー・フランキーさんが飲んでいるのは無糖の紅茶。2本ともに「仕事のお供」としての訴求が挙げられる。

車を止め、「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」をひとくち飲む
絵を描く合間にのどを潤すのは「午後の紅茶 おいしい無糖」

もうひとつは、おなじくリリー・フランキーさんがカレーと紅茶飲料を一緒に味わうというCM。過去には同社の無糖紅茶が「おにぎりに合う」と訴求したこともあるが、あらためて食事中の飲料として「フードペアリング」を提案する。

カレーのような香りの強い食べ物とも合わせられる点を訴求
最年少の新木優子さんは、無糖紅茶を飲むようになった自分を「大人になった」と評するCMに出演。若者への無糖紅茶訴求を担う

紅茶を、コーヒーや緑茶と並ぶカテゴリに

カフェなどでは食後の飲み物をコーヒーか紅茶から選ぶのが定番だが、ペットボトル飲料市場では状況が異なる。コーヒーに次ぐ大規模市場は緑茶飲料で、紅茶はそこから比べるとかなり小規模だ。日本全体の清涼飲料市場で見れば、そのシェアは5%以下。仕事中の飲料としてメジャーなコーヒーが14.5%、緑茶飲料が13.3%という数字を見ると、半分以下という状況となっている。

清涼飲料市場において、紅茶はコーヒー、緑茶と比べて市場が小さい

こうした市場背景を確認した上で、今後「紅茶を、コーヒーや緑茶などの無糖茶と並ぶカテゴリに成長させたい」と意欲を示したのは、午後の紅茶を担当するキリンビバレッジ マーケティング部 商品担当 部長代理の加藤麻里子氏。世界での紅茶飲料と茶葉生産量の伸び、国内紅茶市場の回復傾向を論拠に、RTD紅茶のトップブランドとして、新しい紅茶文化を創っていきたいと語った。

「午後の紅茶」ブランド全体としては、既存の定番3種は甘さを求める若年層に対して継続投資を実施。甘さから離れる20代~30代の働く女性に向け、紅茶飲料としては珍しい「微糖」の新製品「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」を投入する。

午後の紅茶ブランドにおける年代別の主要商品マッピング

また、30代後半意以降の年代を健康意識や嗜好の変化から「糖離れ・無糖飲用層」と位置づけ、すでに市場で受け入れられている「午後の紅茶 おいしい無糖」の訴求強化を行っていく。

狙うはペットボトルコーヒーへの「対抗」ではなく…?

「2年前までコーヒーのCMをやっていたのにどのツラ下げて…というのはありますが」と茶化しながらも、自分のような「おじさん」にこそ紅茶は飲みやすいとコメントしたリリー・フランキーさん

製品ごとに異なる年齢層を狙って投入される新CM。「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」のCMでは、商品をことさらには誇張しない画面作りやキャスティング、出演者の自然体な演技とは裏腹に、「コーヒーから寝返っちゃおうかな」(リリー・フランキー出演「寝返り」編)、「ラテよりこっちかな」(深田恭子出演・「裏切られた」編)など、“コーヒー飲料からの転向”を示唆するようなセリフが目立つ。

働く大人がコーヒーから紅茶に「乗り換え」することを示唆するCMは、ここ2年でワーカー向けのペットボトル飲料の拡大を牽引し、ちょうど先日同ブランドから紅茶飲料を発売したサントリーの「クラフトボス」をはじめ、昨今増えているワーカー向けのコーヒーペット飲料に対する宣戦布告にも読める。だが、加藤氏にペットボトルコーヒー飲料のヒットに紅茶で対抗する構えかどうか尋ねると、決してそうではないという。

「今やひとつのカテゴリとなっているペットボトルコーヒー飲料も、複数社から新商品を展開し、協力して棚の広さを獲得した経緯があります。現状、紅茶飲料の棚は一段程度ですが、これを各社協力して2段へと増やしていきたいです」 

オフィス需要に対して、企業とコラボレーションし飲用機会を設ける試みも

また、「仕事のお供」需要を喚起する施策として、三菱地所に対して仕事中の飲料として「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」を提供。働き方改革推進企業とコラボレーションし、オフィスでの休息機会に手に取る飲料として配布する。今後、他の企業からオファーがあればそちらにも対応するとのこと。想定シーンに対して直接サンプリングすることで、需要の広がりを見込んでいる。

「午後の紅茶」は、日本国内の紅茶飲料としてはNo.1ブランドの地位を獲得しているだけに、紅茶飲用の文化を牽引して、先述の通りコーヒー・緑茶に並ぶ市場規模への拡大を狙っている。

昨今はスターバックスの「TEAVANA」、タリーズコーヒーの紅茶業態などが定着しており、タピオカミルクティーブームも依然続くなど、カフェ業界でも紅茶に追い風が吹いている。今後、午後の紅茶が「コーヒー党」や「緑茶党」をどれだけ引き込めるか、注目したい。

関連記事