実は男性にうけている「男梅サワー」の秘密

実は男性にうけている「男梅サワー」の秘密

2017.05.31

ここ数年、飲食店で頻繁に見かけるのが「男梅サワー」。「梅酒サワー」ではなく「男梅サワー」だ。そもそも梅酒といえば、独特な甘味と爽やかな味わいが特徴で、どちらかというと女性に人気のお酒というイメージがある。だが男梅サワーは消費者の7割を男性が占めているという。しかもアイデアのもととなったのは、製菓メーカー、ノーベル製菓の“キャンデー”だ。ますます男性からは程遠く思える商品の開発経緯などを、サッポロビール株式会社スピリッツ事業部の伊藤寿俊さんに話を聞いた。

“しょっぱい旨さ”が人気! 男梅サワー誕生の舞台裏

男梅サワーは、2013年4月にサッポロビールから限定発売されたアルコール飲料。ノーベル製菓の人気商品「男梅キャンデー」独特の風味が忠実に活かされている。

「きっかけは、社員のひとりが男梅キャンデーを舐めていて『こんなお酒があってもいいのでは』と思いついたことでした。それまで梅酒風味の缶チューハイはあったものの、梅干風味のお酒はありませんでした。そして梅のお酒というと、“甘い”という印象が強く男性としてはあまり手を出しにくい商品。そこで我々は男性でも飲みやすい“甘くない”梅干しサワーを作ろうと考えたんです」

こうして男梅キャンデーのノーベル製菓に提案を持ちかけ、男梅サワーの開発がスタート。開発中は常に男梅キャンデーを舐めながら(!)試作が行われた。

「他社の商品は、青梅を使ったフレーバーのお酒が多い。僕らはキャンデーの甘さも出しつつ、昔ながらの“塩で漬け込んだ梅干し”の感じを目指しました。ただ塩を使うと缶の裏側が腐食してしまう。塩を使わずにどう“しょっぱい旨さ”を実現するか、開発に苦心しました」(伊藤さん)

こうして試作を重ねて完成した男梅サワー。当初は数量限定商品だったが、反響が大きかったためその年のうちに通年商品として復活。2016年の売上げは過去最高を記録し、今や男梅サワーは同社低アルコール缶飲料部門で出荷量の半分を占める看板商品となったそう。

「その後、飲食店さんでも楽しんでもらえるよう2014年春にグループ会社のポッカサッポロ社から割り材の『男梅シロップ』を、同年夏『サッポロ 男梅の酒』というRTS(リキュール)を作りました。男梅の酒は、自宅でもアルコール度数をアレンジできます。また『男梅サワー』のアルコール度数5%だと物足りないという御意見も反映して9%の『超男梅サワー』という商品をラインナップに加えました。」(伊藤さん)

しかし、なぜここまで男梅サワーが男性にウケているのだろうか。伊藤さんはこう分析する。

「自分の父親もそうですが、焼酎に梅干しを一粒入れて、箸で潰して飲んでいる男性って多いんですよね。焼酎のお湯割だと味気ないと感じていたり香りや果肉感を楽しみたい人たちにとって、他のサワーには出せない男梅サワー独特の“しょっぱい旨さ”がウケているのではないかと感じています」(伊藤さん)

「類似商品がないのが最大の強み」と話す伊藤さん。飲食店で飲み放題のメニューにも入っているため、珍しがって注文する人もいるのだとか。「お客様のアンケートを見ると『しょっぱいからおつまみが要らない』『ダラダラ飲みするのにちょうどいい』という声がありました。中には『野球の試合の打順で例えると、4番ではなく5番のようなお酒』なんていう声もありましたね(笑)」(伊藤さん)

果実仕立ての梅のお酒 女性に人気の“ウメカク”

男梅サワーが男性に人気の商品だとすれば、女性、しかも若年層を確実にねらったのが“ウメカク”だ。甘い梅酒をベースに、さまざまな果汁を加えた梅酒ベースのアルコール飲料で、2015年9月発売の「ウメカク 果実仕立ての梅酒カクテル ピンクグレープフルーツ」(びん)を皮切りに「白桃」「レモン」と続き、昨年9月からは同ブランドから缶チューハイ(ピンクグレープフルーツ、白桃)も発売し、先日5月16日には限定品の「宮崎産 日向夏」が発売されたばかり。

「20代~30代の女性から高い支持を受けている梅酒。ウメカクは、梅酒と果汁の両方の良さが伝わるように、ベストバランスな味わいに仕上げました。中でもピンクグレープフルーツは、もともと女性に大人気のフレーバー。パッケージのレトロ感も人気の要因です。」

そう語るのは、同社スピリッツ事業部の野村祥子さん。商品最大の特徴は「濃厚な味わい」だと語る。

「ウメカクはロックで飲む方がいる一方、ソーダやヨーグルトで割っている方もたくさん。こうした様々なアレンジが楽しめるのも、ウメカクの特徴のひとつです」(野村さん)

そして興味深いのは、最初は缶ではなく、びんで売り出したという点だ。スーパーマーケットやコンビニの常温酒のコーナーは、普段はなかなか立ち寄らない場所だが……。

「お酒を楽しむ人の裾野を少しでも広げるため、若い女性をターゲットにしたかわいらしいパッケージにしました。SNSでも商品の写真を載せるお客様が多いんですよ。ここ数年の家飲みブームも手伝って、売れ行きも好調です」(野村さん)

この家飲みブームに乗って、前出の男梅サワーも飲み方提案などを積極的に行っている。4月には、東京と大阪で「男梅屋台」なるイベントを開催した。

「イベントでご提案したのは『梅落とし』(梅干しを一粒落とす飲み方)や『梅涼し』(串切りのレモンを落とす飲み方)など、春夏秋冬の季節ごとに適した4種類の飲み方。イベントは大盛況で、2会場合計4100人の来場者があり、約6,000杯を売り上げました」(伊藤さん)

(左から)男梅担当の伊藤寿俊さん、ウメカク担当の野村祥子さん

従来のアルコール飲料にはなかった“しょっぱい旨さ”で新感覚の味覚を打ち出し、自分流に味覚をアレンジできるのが家飲みブームともマッチした男梅サワーとウメカク。

最後に「男梅サワーに関していえば、ノーベル製菓さんのブランド力もお借りしながら、今後も新しいお酒の楽しみ方が提案できるようなアイデアを考えていきたいですね」と締めくくった伊藤さん。このブレイク事例をモデルケースに、異業種とのコラボ飲料が増えるかもしれない!?

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
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○カレー沢薫の時流漂流
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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu