"大きく変わるぞ ミスタードーナツ"、復活を図るダスキンの本気度

2017.04.07

ダスキンが運営するミスタードーナツ。売上は長年低迷しているが、新商品開発、店舗戦略を進めており、今年のミスドは大きく変わりそうだ。

注目商品のコンセプト

ダスキンは6日、2017年度の注目の新商品を披露した。コンセプトは「misdo meets」。これは他社と共同開発をして、新たな商品を生み出そうという試みのことだ。

他社との共同開発で2017年度は新商品の目玉とする

その第一弾が「misdo meets 祇園辻利」である。宇治抹茶専門店の祇園辻利の抹茶を使用したドーナツ6種とドリンク2種を4月7日から5月中旬までの期間限定で販売する。抹茶の褪色を防ぐためにビタミンが利用されることが多いというが、本物の抹茶の味を味わってもらうためにそれらは利用していない。ミスド、祇園辻利が工夫を重ねて作り上げた商品だ。

試食する機会を得たが、口にした瞬間はドーナツの甘みを感じるものの、最後の最後で「祇園辻利です」と存在を主張してくる。口中に甘みを残さずに、抹茶の苦味が最後に引き締めてくれる不思議な味わいだった。

あずき抹茶ホイップ(左下)、ポン・デ・プレミアム抹茶(左上)、プレミアム抹茶ファッション(右上)、抹茶豆乳ホイップ(右下)
抹茶オレ(左)と豆乳ホイップ(右)

このほか、試食はできなかったが、女性に人気のラーメン店「ソラノイロ」と共同開発したベジ涼風麺2種を4月26日から期間限定で発売、さらに6月下旬からはハウス食品との共同開発商品「世界のカレードーナツ(仮称)」を販売する予定だ。パートナー企業はまだ明かせないとしつつも、今回の3社にとどまらずに「misdo meets」は続いていく。

ベジ涼風麺
世界のカレードーナツ(仮称)

ミスドの本気度

これまで商品の監修はあったものの、共同開発はミスド初との取り組みとのことで、何かを変えたいという気持ちが強くあるようだ。それは新商品発表会の冒頭で、宮島賢一専務が語った言葉からも伺える。

同氏は、かつて使われていたブランドスローガン「いいことあるぞ ミスタードーナツ」を持ち出し、今年はミスドを大きく変えていくと宣言。共同開発商品は、何度もリピートしてもらえるように、新しい価値を提供しようと考えた結果だと話す。

宮島専務の言葉に「歯ざわりのいい言葉が並ぶなあ」というのが最初の印象だった。そもそも、新しい価値のために、共同開発をしなくとも、自社開発という道もあったはずだ。それに、コラボ商品は世の中に数多くあり、何もミスドばかりが特別なことをしているわけではない。

しかし、掘り下げて宮島専務に話を聞くと、印象は大きく変わる。低迷の原因に関して、多方面から分析、その最適解として今の取り組みがあり、本気で「大きく変わるぞ Mister Donut」になろうとしていることがわかるからだ。

自社開発ではない理由

なぜ、共同開発に出たのか。その答えとして宮島専務は、日本で一人世帯が増え、ファミリー層が減っているなかで、ドーナツに求められる商品の幅が求めらているからと話す。多様な商品求められつつも、スイーツの流行は非常に短く、話題性、高品質をセットで商品に詰め込むには、コラボレーションが一番最適という結果に至ったようだ。

しかしである。ドーナツを巡る競争は激しい。近年ではコンビニ各社がドーナツを販売。ミスドの業績低迷は、コンビニドーナツが大きく影響しているというのが、一般的な見方だ。今回のような共同開発をした新商品を出しても、ミスドは大きく変化できるのか、という疑問が出てきてしまう。

これに対して宮島専務はコンビニドーナツの影響はそれほどないと主張する。「コンビニのスイーツはついで買いの商品。ミスタードーナツのお客さんはドーナツを買いに来られるので、買い方がまったく違う」と話す。これはコンビニに対する配慮なのか、と思える発言だが、実は昨年の発表会でもほぼ同一のことを話しており、どうやら本音のようだ。 となると、浮かんでくるのが新たな疑問。それは、ミスドが低迷した真の理由だ。

ミスド低迷、新の理由は?

低迷する根本的な原因について宮島専務は次のように話す。「同じタイプの店舗を大量に作っていた時代があった。どこもキッチンがあり、大量生産でコストを下げてやってきた。けれど、これだけ少子化が進み、ファミリー層が減ってくると、大量の商品を作って、テイクアウト式の商売を続けていくのは限界に来ている。それが10年間の数値として現れていると思う」。

新商品開発のところでも、日本人の家族構成に変化が生じ、商品のあり方が変わったと述べたが、それは売り方も同じということだ。にもかかわらず、ミスドは何年も前の売り方を踏襲してきた。だから、低迷してしまったというわけだ。

「ドーナツが嫌いな人はほとんどいない。でも、ミスタードーナツになんで行かないの? となると、お客さんの行くきっかけ、要望に応えられていないというのが事実だと思う。10年、20年と店舗を出してからほとんど改装をせずに来ている。以前はファミリー層が多かった街が今やシニアの街に変わっていることもある。3年かけて小ロット生産、店舗の改装、これらを利用目的に合わせて動いている。改装、出店、クローズの繰り返しをやらないとドーナツの隆盛はない」(宮島専務)。

一気に進める改革

言葉通り、ミスドは今、変わろうとしている。店舗改装を進めるのと同時に、テイクアウト専門店「Mister Donut to go(ミスタードーナツ トゥゴー)」を昨年11月から展開を開始。消費者とのタッチポイントを増やすために、駅ナカなど人通りの多い場所に200店舗をメドに出店する計画だ。そして、新しい価値を提供する新商品を! ということで、今回の共同開発商品の発表というわけである。

駅構内や駅ビル、商業施設など人通りの多い場所に「Mister Donut to go」を出店。従来出店が困難だったところに進出していく(画像:プレスリリースより)

お客さんがドーナツに求めるのは何か。見たことのない新しいドーナツだ、カフェスタイルの落ち着く店舗だ、手軽に買える場所だ――。低迷の理由の分析し、それを一気に変えようとしているのがミスドである。

このうちのひとつだけが成功しても、おそらく短期的な効果でしかないだろう。複数の取り組みが成功して初めて「なんだか変わったね、最近のミスド」と感じる人が増え、ミスドが大きく変わっていくのではないだろうか。「大きく変わるぞ ミスタードーナツ」。ミスドの取り組みとメッセージは、果たして消費者に響くだろうか。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu