ドコモの法人向けヘルスケアサービスの勝算は?

ドコモの法人向けヘルスケアサービスの勝算は?

2017.04.13

ドコモ・ヘルスケアは4月12日より、法人向けヘルスケアサービスを順次提供する。企業や健康保険組合を対象として、従業員や会員の健康管理・健康増進サービスとして提供されるものだが、どういった点が強みになるのだろうか。

手軽に導入できる3つのサービス

今回導入されるサービスは「健康サポートLink」「Reborn MAGIC」「フォトエット」という3つのサービスからなっている。いずれもスマートフォン向けのアプリやウェブサービスとして提供され、基本的にはドコモ・ヘルスケアの法人営業を通じて販売される。いずれも「簡単に導入できる」「楽しんで続けられる」「効果が短期間で体感できる」といったことを目標に作られている。

発表会では「Reborn MAGIC」などを監修する小島美和子氏による講話があり、健康経営においては「楽しく取り組めて短期間で体感できること」、「データを整理して全体の課題を考えること(ポピュレーションアプローチ)」が重要であるとした

4月12日からサービスを開始するのは「Reborn MAGIC」。これはアプリとウェブ双方で提供されるサービスで、従業員自身が生活リズムをコントロールできるように改善メニューを提供してくれるもの。管理栄養士で、有限会社クオリティライフサービスの代表取締役でもある小島(おじま)美和子氏が考案したメソッドを取り入れ、食事や睡眠のサイクルを従業員それぞれに適したものに合わせて行くというもの。シフト勤務や不規則勤務といった勤務形態にも対応している。

現在の状況がグラフィカルに把握できることに加え、提案されるタスクも実行しやすいものが揃っており、チャレンジしやすい環境になっている

中身は「生活リズムと体調の記録」と「改善チャレンジ」の2つに分かれており、「生活リズムと体調の記録」で起床時間、食事事案、空腹度、排便などを記録するとスコア化され、各人の課題が明らかになる。これを元に「改善チャレンジ」で、簡単にできて効果が高いメニューが提案され、実行していくことで生活サイクルの改善が望める。

スコアやメニューが表示される際にはゲーム的要素が加えられ、楽しんで継続できる仕組みになっている(ゲーミフィケーション)

トライアルでは1カ月の導入で、BMI(ボディマス指数:肥満の目安値)が25以上(肥満気味)の人のうち、約60%で体重減少を確認(逆に痩せすぎの人は体重増加)、約70%の人が内臓脂肪の減少につながったという。

導入時には、メソッドを考案した小島氏によるセミナーなどを組み合わせて従業員/会員の健康に対する意識を高めやすくした内容を提案していくとのことで、組み合わせにもよるが、100人規模の場合100万円程度のコストになるとのこと。

4月18日よりサービスを開始する「健康サポートLink」は、もともと個人向けアプリ「わたしムーヴ」の法人版「わたしムーヴ for Business」として提供されていたサービスをリニューアルしたもので、3つのサービスの中ではもっとも導入しやすい、法人向けサービスの基盤を支えるサービスという位置付けだ。

歩数の入力は歩数計やスマートフォンのほか、手入力でも可能。低コストによる導入障壁の低さもポイントのひとつだ

基本的には同社が販売する「ムーヴバンド」やスマートフォンの歩数計などを利用して従業員の歩数を計測し、睡眠時間や体重などの健康データを見える化することに特化したサービスで、社内やグループ内のランキングを作ったり、ウォーキングイベントなどのきっかけとしても利用できる。

データはグラフ表示したり、他のアプリで処理するためにCSV形式で書き出し可能

導入が簡単で続けやすいのが特徴で、各人の現状の把握や、歩数の増減による効果の可視化、指標の定量化ができる点が特徴だ。導入コストも最も安く、1IDごとに月額350円、年間契約で50IDからの導入となる(最低年間21万円~)。

最後に、6月にサービス開始を目指している「フォトエット」は、従業員が毎日の食事を撮影してアップロードすると、栄養士が量や栄養バランスなどについて評価と生活習慣改善のためのアドバイスをくれるというサービス。「フォトエット」を利用するグループ内では匿名の状態でほかのメンバーが食べたものの写真を見てコメントを付け合うソーシャルメディア的な要素が取り入れられており、これをモチベーション維持に利用している。

ユーザーは毎回の食事を写真に撮ってアップロードするだけでいい。栄養士からの評価は5段階でコメントもつく

こちらは数人につきひとりずつ栄養士が担当することになるため、生活習慣が特に乱れていたり、体重を落とす必要があるなど、特に効果が必要な人向けのサービスになるとのこと。個別の指導が受けられるということで、効果も大きいようで、トライアルでは目標達成率82%、平均減量率-3%、継続率95%を記録したという。価格も詳細は決まっていないが、3サービスの中では最も高い設定になるという。

写真で記録していくことで意識も高まり、食事の量が減ったり、肉中心が野菜の割合が増えるなど、質的向上が見られやすいという

ドコモ・ヘルスケアの和泉正幸社長は、政府が2020年前後をめどに健康経営の推進に力を入れていることを挙げ、他社製品/サービスも多く市場規模も掴みきれていないとしながらも、健康経営に対する取り組みをサポートすることの社会的意義の大きさを強調。「健康経営は職場の活性化、働きがい、生産性向上につながっている。経済産業省の健康経営ガイドブックなどと併用することで、課題の解決を目指す」とし、健康経営に取り組みたいが、何をしていいのかわからないという企業に対して、NTTドコモの営業と一緒に、顧客の近くで提案していきたいとした。

「今回の発表が最終形ではなく、マーケット側のニーズの高まりを見て対応していきたい」と語る和泉社長

健康経営については行政も力を入れており、また労働環境の質的改善のひとつとして注目を集めているが、具体的に何をしたらいいのかがわかりにくく、看板だけが先走っているような状況だ。そんな中、とにかく一つでも初めてみよう、という導入のしやすさ、結果がグラフィカルにわかりやすいサービスには好感が持てる。

コスト面では無料サービスを含めてもっと安い競合もあるが、ドコモの営業力と組み合わせることで優位に立てるだろう。フリーランスや支店・部署単位でも入れるような小規模な人数でのプランもあれば、さらに実験的な導入がしやすくなると思われるが、まずは最初の3サービスがどのように受け入れられるかを注目したい。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu