もうすぐ始まる4K、8K実用放送 - 今必要なことは?

もうすぐ始まる4K、8K実用放送 - 今必要なことは?

2017.04.14

2018年12月に、4Kおよび8Kの実用放送が開始されることになる。

つまり、約20カ月後には、4Kおよび8K放送を、家庭で普通に楽しむことができる時代が訪れるのだ。

総務省が2015年7月に発表した「4K・8K推進のためのロードマップ~第二次中間報告」では、2020年の目指す姿として、「2020年の東京オリンピック/パラリンピックにおいて数多くの中継で4K/8Kが放送されている」、「全国各地におけるパブリックビューイングにより、東京オリンピック/パラリンピックの感動が会場のみならず、全国で共有されている」、「4K/8K放送が普及し、多くの視聴者が市販のテレビで4K/8K番組を楽しんでいる」といった環境の実現を目指しており、それに向けて、放送設備の整備や、テレビなどの受信機器の開発、販売が進められることになる。

2020年に向けていろいろ進んでいるのですね

つまり、2020年の東京オリンピック/パラリンピックでは、4Kおよび8K放送が一般化したものになるという姿を政府は描いているわけだ。

こうしたロードマップの進展にあわせて、4Kおよび8Kを取り巻く環境も賑やかになってきた。

今ある4Kテレビでは対応しきれない

一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)は、2017年4月1日から、110度CSを利用した日本初の「左旋円偏波4K試験放送」を開始した。さらに、4Kテレビの累計出荷台数も2017年中には約400万台に達すると見られるほか、シャープが8Kモニターのラインアップを拡大し、6月から新たに70型の製品を追加発売するととともに、8K試験放送対応受信を発売するといった動きも出ている。そして、今年度中には、BS左旋放送用の衛星の打ち上げも予定されている。

だが、その一方で、衛星から伝送される4K放送は、既存の4Kテレビのままでは視聴できず、新たにチューナーを利用する必要があるものの、それを理解していないユーザーも多いのも事実。4Kおよび8K放送の実用化を前に、認知度を高め、様々な誤解を払拭するための周知活動を今後加速させる必要にも迫られている。

既存の4Kテレビのままでは新しい4K、8Kは見れないのです

2018年12月にはBSが4Kに

現在、4K放送は、ケーブルテレビおよびIPTV、124/128度CSで実用放送が開始されている。

ケーブルテレビでは、4K専門チャンネル「ケーブル4K」が2015年12月からスタート。全国のCATV事業者79局で、4Kの実用放送が行われているほか、IPTVでは、NTTぷららが2014年10月から日本初のビデオ・オン・デマンド方式での4K実用放送を開始。2015年11月から、4KによるIP放送を開始している。現在、ネットフリックスやアクトビラ、dTV、YouTube、Amazonビデオでも4Kコンテンツの配信を行っており、4Kテレビでこれらの4Kコンテンツを楽しむことができる。

また、衛星を使った4K放送では、124/128度CSで、スカパーJSATが、スカパー!4Kの実用放送を2015年3月から開始しており、同放送は光回線を通じた視聴も可能となっている。

さらに、2016年8月からは、NHKにより、BS右旋による試験放送が開始されており、このほど、2017年4月から110度CS左旋による試験放送が開始。2018年にはこれらの衛星放送波でも実用放送が開始されることになっている。

BS右旋では、2018年12月1日から、BS朝日、BSジャパン、BS日テレ、NHK SHV 4K、BS-TBS 4K、BSフジが4K実用放送を開始。BS/110度CS左旋では、ショップチャンネル、映画エンタテインメントチャンネル、WOWOWのほか、スカチャン4Kの8番組が同じく2018年12月1日から4K実用放送を開始。さらに、QVCが2018年12月31日から4K実用放送を開始し、NHK SHV 8Kが2018年12月1日から8K実用放送を開始することになる。

これにより、衛星放送波では、4K放送で18チャンネル、8K放送で1チャンネルの合計19チャンネルが新たにスタートすることになる。

ちなみに、地上波による4Kおよび8Kの実用放送の具体的な計画はない。

右旋・左旋とはなにか

ところで、右旋および左旋という言葉が急に聞かれるようになってきたが、これは果たしてなんなのだろうか。

これは、その名の通り、衛星から見て、時計回りに回転するものを右旋、反時計回りに回転するものを左旋と呼ぶ。いわば周波数の効率的利用を行うもので、BS・110度CSにおいて、同じような周波数帯を、右旋と左旋によって切り分けて利用することで、大幅なチャネル増を実現することができる。左旋での放送は日本では初めての取り組みになり、世界的に見ても珍しい。

A-PABでは、「すでに右旋には新規チャネル割り当ての余裕がなく、新たに左旋を開拓する必要があった。基幹放送普及計画では、超高精度テレビジョン放送においては、左旋円偏波の電波の周波数を使用して放送を行うことを基本としており、左旋は4Kおよび8K放送の基本的な伝送路になる」と説明する。

右旋はすでにNHKと民放のBSで割り当てが埋まっているんですね

左旋による放送波を受信するには、BS・110度CS右旋左旋用アンテナ(右左旋共用アンテナ)を使用する必要があるが、1本の同軸ケーブルで右旋と左旋を同時配信できるように、右旋IF(中間周波数)の上側に左旋IFを配置。アンテナ受信時に、伝送上、右旋と混信しないように、コンバータで変換。右旋では、1032.23MHz~2070.25MHzを使用し、左旋では2224.41MHz~3223.25MHzを使用することになる。

このほどA-PABが実施する左旋による4K試験放送は、中間周波数帯で一番高い、3224MHzの周波数を利用し、受信チューナーの開発、試験、検証を行うことで、2018年12月の実用放送の開始までに、新たな4Kおよび8K放送の受信環境を整備する狙いがある。

毎日午前11時~午後5時までの6時間、スカパーJSATから提供される4Kコンテンツを放送するが、この受信機が、現時点では日本に3台しかないため、一般視聴者が試験放送を受信することはできない。

茶の間のテレビ……大画面の主流はすでに4K

では、現時点での4Kテレビの普及はどうなっているのだろうか。

量販店のPOSデータなどを集計しているBCNによると、2017年3月の集計で、4Kテレビの構成比は25.9%と、4台に1台の割合になっている。しかも、40型以上の大画面テレビで見た場合には、64.3%にまで上昇し、3台に2台が4Kテレビとなっている。1台目のテレビとしてリビングに設置される大画面テレビの主流は、すでに4Kテレビになっているといっていい。

一般社団法人電子情報技術産業協会の予測によると、2018年には4Kテレビが年間450万台、2Kテレビが年間410万台と出荷台数が逆転。2020年には4K化率が約70%に達すると予測し、年間740万台の4Kテレビが出荷されると見ている。

シャープの4K HDR対応液晶テレビ『AQUOS U45』

ところで、現在販売されている4Kテレビでは、2018年12月から開始されるBS・110度CSの右旋、左旋による4K放送は受信できないことを知っているだろうか。

既存のテレビには、BS・110度CSの右旋、左旋による4K放送向けのチューナー搭載されておらず

現在、発売されている4Kテレビは、スカパーの4K放送に対応したチューナーを搭載し、インターネット接続によって、ネットフリックスなどの4K配信サービスなどに対応している。それによって、4Kコンテンツの視聴が可能となっている。だが、BS・110度CSの右旋、左旋による4K放送向けのチューナーは搭載されていないため、今後、実用放送が開始されたときには、新たにチューナーを追加するか、チューナー機能を搭載したレコーダーなどを接続する必要がある。

もちろん、実用放送が始まるタイミングでは、BS・110度CS対応チューナーが内蔵された4Kテレビが発売されるのは明らかであり、さらに、CATV事業者のサービスを通じて、BS・110度CSの右旋、左旋による4K放送のコンテンツが再配信される可能性は高い。だが、いま販売されている4Kテレビは、すべて衛星での4K放送を受信するためのチューナーが搭載されていないことは知っておくべきだ。

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)では、同協会のサイトや協会加盟メーカーなどを連携して、「現在メーカー各社から販売されている4K対応テレビや4Kテレビには、BS・110度CSによる4K・8K放送を受信する機能は搭載されておりません。実用放送に向けて商品化が期待されるBS・110度CSによる4K・8K放送の受信機能を搭載した外部機器と接続することで、新たな4K放送を視聴できるよう準備が進められています」といった内容で告知を行っている。だが、この仕組みに対する認知度が低いのは事実だ。

A-PABが2016年9月に行った調査では、現在販売されている4Kテレビでは、衛星による4K実用放送が見られないことを知っていた人は6.5%。つまり、93.5%の人がそれを知らないということもできる。

アンテナの追加購入が必要

BS・110度CSでは、新たに左旋が加わったことで、これまでの右旋専用アンテナでは、左旋による放送が受信できない。現在のフルHDによるBS放送では右旋を使用しており、BS右旋での4K放送は視聴できるが、左旋による4K放送を視聴するには、右左旋共用アンテナを使用する必要があるのだ。

右旋右左旋共用アンテナは、すでにアンテナメーカー各社から発売されているため、買い換えなどの予定がある場合は、右左旋共用アンテナにしておいた方がいいだろう。

JEITAでは、BS・110度CSによる右左旋用受信機のうち、一定以上の性能を満たしたアンテナやブースター、分配器、壁面端子、混合器、直列ユニット、分波器に「SH(スーパーハイビジョン受信)マーク」を付与。すでに認定製品が300以上に達しており、同マークが付与された機器を利用することを推奨している。

また、A-PABでは、周知広報ワーキンググループのなかに、左旋準備タスクフォースを設置。受信システムの普及活動を行う考えを示している。また、テレビ受信向上委員会では、全国の電気店や電気工事店を対象にした新技術セミナーに講師を派遣。さらには、分譲マンションの管理会社を対象にした全国支部でのセミナーを開催し、集合住宅における改修のポイントを解説。日本CATV技術協会との連携により、受信システム施工会社などに左旋試験放送を利用した伝送試験なども行っていくという。

A-PABでは、「設備によっては、ケーブルの張り替えなどの改修が必要になる場合もある。また、アンテナ交換だけではなく、ブースターや混合器、テレビ端子も左旋に交換する必要がある」とする。

こうした業界内に向けた告知を進める一方で、今後は、エンドユーザーに対して、4Kおよび8Kに関する正しい知識の周知、普及活動が進められることになる。

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

2019.03.20

モバイル業界を変える「携帯値下げ議論」が過熱

ファーウェイは日本を取り巻く環境を「歴史的チャンス」と発言

コスパ高いミッドレンジ端末でシェア拡大を目指す

20日、NTTドコモが特定の端末の購入を条件に通信料金を割り引く「docomo with」、購入する端末に応じて通信料金を割り引く「月々サポート」を終了する方針を固めたという報道が話題となっている。

国内のモバイル業界では携帯電話料金見直しが進んでおり、3月5日には総務省が中心に進めてきた端末代金と通信料金の分離が閣議決定された。NTTドコモは分離プランを軸とした新料金プランを4月に発表する見込みだ。

日本のモバイル市場を大きく変えるこの動きを「歴史的チャンス」と見ているのがファーウェイだ。2018年末から米中対立が加速する中、ファーウェイが打ち出すメッセージも語気を強めている。果たして日本市場でシェアを拡大できるのだろうか。

逆風吹けども、依然として業績は好調

今年に入り、ファーウェイの周辺が騒がしい。3月7日には、ファーウェイは米国政府を相手取って訴訟を起こした

さらにその内容をFacebookでライブ配信するなど、米国以外の世界市場に向けたメッセージにもしており、そのメッセージをまとめたウェブサイト「Huawei Facts」は、わざわざ日本語版も用意している。

2018年末から続く米中対立を巡る報道は、ファーウェイの業績にどのような影響を与えたのか。MWC19でインタビューに応じたファーウェイ・ジャパンの呉波氏は、「一部の消費者は影響を受けたが、2019年に入ってから売上は大幅に伸びている」と語った。

ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏

話題の「折りたたみスマホ」でもファーウェイは先行する。

ファーウェイに先立って折り畳みスマホを発表したサムスンだが、こちらはMWCではガラスケース内での「展示」のみにとどまったのに対し、ファーウェイは「Mate X」の実機を用いて報道関係者に折り曲げを試させるなど、製品化で一歩先を行っていることをアピールした。

ファーウェイの折りたたみスマホ「Mate X」。報道陣には手に取って折り曲げてみる機会も用意された

Mate Xは次世代移動通信の「5G」にも対応しており、日本では5Gサービスの開始を待って投入時期を見極める方針だという。

ちなみに3月26日に発表予定のフラグシップ機「HUAWEI P30」シリーズは、例年通りのタイミングで日本市場に投入するようだ。SIMフリーでの発売だけでなく、ドコモが採用した「HUAWEI P20 Pro」のように大手キャリアによる採用があるかどうかも注目したい。

分離プランを「歴史的チャンス」と捉えるワケ

一方、2019年の国内モバイル市場で話題となっているのが携帯料金における「分離プラン」の導入だ。KDDIとソフトバンクはすでに導入済みだが、NTTドコモは4月に発表する新料金プランから本格導入するとみられている。

分離プランの特徴は、NTTドコモの「月々サポート」のように回線契約と紐付けた端末の割引が禁止される点だ。端末の割引自体が禁止されるわけではないというものの、大幅な割引は難しくなる。その結果、10万円を超えるようなハイエンド機ではなく、3〜4万円で一括購入しやすいミッドレンジ機の需要が高まるとの見方が有力だ。

この動きをファーウェイはどう見ているのか。

呉氏は「非常に重要視している。スマホが登場したときや、SIMフリー市場が始まったときのインパクトに引けを取らない、歴史的な瞬間になる」と興奮気味に語る。

日本のSIMフリー市場でベストセラーとなった「HUAWEI P20 lite」を始め、ファーウェイのミッドレンジ機のラインアップは厚い。モデルによってはフラグシップと同じCPUでミッドハイの価格を実現するなど、コスパの高さも特徴だ。大手キャリア向けにさまざまな提案ができる体制といえる。

フラグシップと同じ「Kirin 980」搭載でミッドハイ価格の「HONOR View 20」

また、5G対応も順調だ。

モバイルWi-Fiルーターに強みを持つファーウェイは、MWC19でも5G対応ルーターを多く出展していた。日本ではまだ周波数の割り当てが終わっていないものの、国内大手キャリアは2019年内にもプレサービスを始める動きがある。5Gスマホが普及するまでの間、5Gルーターの需要は高まる可能性がある。

5G対応のモバイルWi-Fiルーターも出展していた

ミッドレンジ市場の拡大を狙って、今年はシャープやサムスン以外にも、ソニーモバイルの参入も予想されている。

この価格帯が激戦区になることは間違いないが、ファーウェイはその中で高コスパの製品ラインアップや、国内での地道な販促活動やブランドメッセージの打ち出しによって対抗していく構えだ。

ヨドバシカメラ梅田店での販促イベントの様子
関連記事
Googleがゲーム本格参入の衝撃、2019年中にゲーム基盤「STADIA」を投入

Googleがゲーム本格参入の衝撃、2019年中にゲーム基盤「STADIA」を投入

2019.03.20

Googleが新しいゲームプラットフォームを発表

配信方式でゲーム機不要、「ゲーム機」の時代の終焉?

2019年内にローンチ、性能はプレステやXbox以上か

3月19日、米国で開催中のゲーム開発者会議「GDC 2019」の会場で、Googleがクラウドベースのゲーミングプラットフォーム「STADIA」を発表した。特定のゲーム機に縛られず、ネットに接続したスマホやパソコン、テレビを通してストリーミング(配信)形式でゲームをプレイできる。

この事業を担当するバイスプレジデントとして、STADIAを発表するフィル・ハリソン(Phil Harrison)氏。そもそも彼からして、元はソニーのプレイステーション立ち上げの主要メンバーで、その後Microsoftに移りXboxを担当したという経歴の持ち主

かねてより、MicrosoftのXbox事業のトップマネージャーを引き抜いた、ソニーでPlayStationのハード開発にかかわったエンジニアが転職したといった噂が頻繁に流れており、「Googleがゲーム市場に本格参入する」という憶測は強まっていた。実際に2018年には、Googleは「Project Stream」と呼ばれるストリーミング形式のゲーム基盤の計画を発表し、米国内でベータテスターを募って技術テストを行っていた。

STADIAは、Project Streamの延長線上にあるサービスと見られる。ユーザーは特定のゲーム機を持っている必要がなく、従来のゲーム機の役割をするのはGoogleの設置するデータセンターだ。簡単に言えばクラウドサービスのように、実際にゲームタイトルが動作しているのはデータセンター側で、ユーザーはインターネットを介してゲームを遠隔でプレイする。

STADIAのデータセンターから配信されたゲームをパソコンでプレイしている様子
パソコンで遊んでいたのと同じゲームを、タブレットやテレビでも同じように遊ぶことができる

このプラットフォームの特徴によって、例えばYouTubeで新作ゲームのトレーラー動画を見ていて気に入ったときには、そのページ内の「プレイする」ボタンを押すだけで、インストールすら不要で、動画を再生するかのようにそのゲームをプレイできるようになる。

そして、STADIAのデータセンターが持つゲーム機としてスペックは、サービス開始時のものとして、GPUの演算性能は10.7テラFlopsに達するといい、これはPlayStation 4 Proの4.2テラFlopsや、Xbox One Xの6.0テラFlopsを大きく上回る。映像品質も4K/60fpsのストリーミングに対応し、将来は8K/120fps対応も予定しているという。

STADIA用の「STADIAコントローラー」も販売する。SNSアップ用のボタンや、Googleアシスタントボタンが備わっている

Googleは2019年中にSTADIAをローンチする予定で、まずは米国、カナダ、欧州でサービスを開始すると説明している。発表を受けた翌20日の東京株式市場では、任天堂とソニーの株価が揃って大きく下落した。投資家たちが、GoogleのSTADIAによって、Nintendo SwitchやPlayStationのビジネスが脅かされると考えたからだ。

関連記事