完全復活も近い? 意識改革が進む新生ファーストキッチン

完全復活も近い? 意識改革が進む新生ファーストキッチン

2017.04.18

前回の記事でお伝えした通り、ウェンディーズというブランドを手に入れたファーストキッチン(FK)は、今まさに反転攻勢の途上にある。コラボ店舗「ファーストキッチン・ウェンディーズ」の業績は、話題性も手伝い好調に推移。ファーストキッチンの紫関社長は、ウェンディーズとの合併で社内が変わりつつあるのを感じている。

まずはトップ集団を作る

紫関氏に話を聞いた中で、印象的だったのは「店舗や人材を強くしていきたい」(以下、かっこ内は紫関氏の発言)というフレーズだった。キーワードは主体性だ。

FKとウェンディーズ・ジャパンの社長を兼任する紫関修氏は、事業を成長させていく上で人材の強化に最も力を入れる

一人一人の社員をきちんと見て、評価していきたいと考える経営者は多くいるが、実際どのように実践されているのだろうか。現実問題として、各社員に社長の言葉や想いは伝わっているのだろうか。店長会議などの機会を活用したり、成績の良かった店舗を表彰するなどして、評価を伝達しているという風に、伝えたつもりになっている場合も多いような気がする。

紫関氏が実践したのはシンプルなことだ。月1回の頻度で発行する社内レターにおいて、優秀店舗を評価することと、成功した事例を共有することである。

チェーン店の事業を建て直す上で選択しがちなのは、業績の悪い店舗をハイライトし、不振の理由を洗い出したうえで、それをつぶしていくという、いわばボトム部分を引き上げる手法だ。しかし、FKの舵取りを任された紫関氏は違う考え方をする。

「まずは、トップ集団を作ろうよ」。FKを運営する上で紫関氏が目指すのは、自ら成功事例を積み重ねて走り続ける店舗、つまりトップ集団を創り上げることだ。そうすれば、成功事例をもとに追いかける店舗、つまりはフォロアーが自然と生まれてくる。

店舗で成功体験を積み重ねた人材には自信がつく。FKで成功体験を積んだスタッフは、ファーストキッチン・ウェンディーズを出店する際にリーダーを任せられるような人材に育つ。日本に乗り込んでくる外資系ファーストフードチェーンや新興勢力など、しっかりと市場に根を張っていない企業には、なかなかまねのできない仕組みだ。

本社にも店舗にも「主体性」を発揮することを求める紫関氏。店舗では自主的にミーティングを開き、どのように新商品をアピールしていくか、知恵を絞るスタッフも現れ始めている。では、本社の意識改革はどのように進んでいるのだろうか。

価格帯の拡大に挑戦

FKの主体性が見てとれるのは商品戦略、とりわけ高価格帯に挑戦しようとする姿勢だ。

高価格帯商品の販売は、実はハンバーガーチェーン各社が何度もトライしている施策だ。他社の例だが、以前は1,000円のハンバーガー3種を毎週日曜日に限定販売するという試みが登場したこともある。高価格バーガーは話題を呼んだが、その会社のブランドに高価格帯バーガーはマッチしなかった。

300円台のハンバーガーを主体とするFKも、過去には高価格帯の商品を販売したことがあった。しかし、現在のメニューに単品で500円を超えるバーガーの用意がないことからも分かる通り、FKの高価格バーガーは定着していない。

「売るか売らないか」が重要と語る紫関氏

実際のところ、300円台のバーガーで勝負し続けたのでは日本マクドナルドと正面からぶつかることになってしまうので、価格帯を広げることは、FKの規模のバーガーチェーンではトライする価値のある施策だ。しかし、これは一般論だが、商品開発のセクションが高価格バーガーを提案したとしても、営業から「うちでは売れない」という声が挙がり、企画が立ち消えになるというケースは珍しくない。

「売れるか売れないかではなく、売るか売らないかだ」。FKの価格帯を広げたいと語る紫関氏は、既存商品に比べ価格の高い商品を投入する際の心構えをこのように語る。売れない、つまり客が買ってくれないという考え方が受動的であるのに対し、売るか売らないかは、あくまで売る側の考え方ひとつに掛かってくる。「売る」という姿勢の基盤となるのは主体性だ。

「FKにはブランドがあり、居心地のいい店舗もあるので、(高価格のバーガーが)売れないわけはない」と考える紫関氏は、それまでバーガーメニューが300円台のみだったFKに400円台の商品を追加した。結果としては、こういった商品も売れているという。今後は同社初となる500円台のバーガーにも挑戦する意向だ。

改装効果は顕著、既存店も健闘

本社と現場の意識改革も功を奏したのか、現在はFKもファーストキッチン・ウェンディーズも業績は好調だという。

コラボ店に改装した店舗については、話題性もあるので業績が伸びているのも頷ける。実際のところ、池袋と渋谷センター街の店舗では、コラボ店への改装後に対前年で50%の伸びを示したこともあるという。改装からしばらく経った上野浅草口店では、オープン景気の終息後も着実に業績を伸ばし続けているそうだ。

ファーストキッチン・ウェンディーズ池袋北口店(画像左)と渋谷センター街店

紫関氏は社長就任時、コラボ店は黙っていてもある程度は伸びていくと見て、まずはFKの意識改革を急ごうと考えた。その効果か、2017年1月の業績では、FKでも対前年比プラスの店舗が目立ってきたという。FKはピーク時に比べて売上が10%程度落ちているそうだが、「地力があれば」下がった分は取り戻せると断言する紫関氏。FKの復活ぶりを説明する際には「V字回復」という言葉も飛び出した。

コラボ店の業績は好調で、FKも徐々に上向いてきたというのが現状だが、今後はどうか。次回はコラボ店の出店計画など、コラボビジネスの将来について見ていきたい。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu