ランエボの知見も? 三菱の新型SUVエクリプス クロスはどんなクルマか

ランエボの知見も? 三菱の新型SUVエクリプス クロスはどんなクルマか

2017.04.20

三菱自動車工業は先週末、新型コンパクトSUV「エクリプス クロス」を東京でお披露目した。同社にとって久々の新型車はどんなキャラクターなのか。ライバルが多いコンパクトSUV市場の中で自慢できる点はあるのだろうか。商品企画担当者に聞いた内容をもとに解説していくことにしよう。

日本初披露となった「エクリプス クロス」。今のところ公開されているのは海外仕様車だけだが、そのうち日本でも発売となる

アウトランダーとRVRの“中間”ではない

三菱自動車が2017年3月の「第87回ジュネーブ国際モーターショー」で世界初披露した新型コンパクトSUVエクリプス クロス。日本では4月15日~16日に東京・お台場で行われた「モータースポーツジャパン 2017 フェスティバル イン お台場」が初披露の場となった。

会場に着くと、三菱ブースの中央に鮮やかなメタリックレッドに塗られた実車があった。ボディサイズは全長4405mm、全幅1805mm、全高1685mmで、ホイールベースは2670mm。最近デビューしたSUVで言えばスバルの新型「XV」に近い。

でもスタイリングは、XVを含めた他のSUVのどれとも似ていない。直線基調で、ボディサイドのラインは明確なウエッジシェイプを描く。しかも無駄なラインがなくシンプルでもある。

明確なウエッジシェイプを描くキャラクターライン

展示車が赤い理由

エクリプス クロスの商品企画を担当したCPS室チーフ・プロダクト・スペシャリストの林祐一郎氏に、まずこのスタイリングの意味を聞いた。

「既存のSUV、つまりアウトランダーやRVRとは別のラインとして考えました。力強さとスタイリッシュさを両立したクーペ風のスタイリングはその象徴です。そのためにボディサイドのキャラクターラインは、生産現場の人たちにも協力してもらって、彫りの深いラインを目指しました」

その一方で、三菱SUVの伝統である走破性については最初からこだわったという。そのためにアプローチアングルやデパーチャーアングルなどをしっかり確保している。

展示車のボディカラーを赤としたのは、三菱のコーポレートカラーということもあるが、2013年の東京モーターショーにプロトタイプに当たるコンセプト「XR-PHEV」を出展した時、「あの赤いクルマ」と呼ぶ人が多かったので、そのイメージを大切にしたという。

ちなみにこの赤、従来の色より彩度の高さにこだわっており、色合いを出すのに何度も試行錯誤を重ねたという。具体的には、通常の上塗り塗装の上に、さらに半透明のレッドとクリア層を塗り重ねることで、深みがあり、彩度が高い高品質なカラーにしたとのことだ。

クオリティを高める工夫

インテリアは窓越しにのぞいただけだが、それでも質感の高さが伝わってきた。この点について林氏は次のように語った。

「クオリティを高めたいという意識は当初からありました。2年前のアウトランダーのマイナーチェンジでは、欧州市場からの要望に応えて内装の質感を引き上げましたが、今回はオールニューのモデルなので、最初からこの面をこだわって作り込んでいきました」

高いクオリティを意識して作ったニューモデル

それとともに留意したのは開放感だ。物理的な広さを追求するだけでなく、インパネを低くすることで感覚的な広々感を演出。リアクォーターピラーは力強さを演出しつつ、視認性も確保した。リアは垂直面にもウインドーを入れた上下2段とすることで後方視界に配慮している。

装備面ではコネクティビティが特筆できる。インパネ中央から立ち上がった薄型ディスプレイは、アップルのカープレイ(CarPlay)、グーグルのアンドロイド・オート(Android Auto)に対応。センターコンソールのタッチパッドコントローラーで操作するほか、音声操作にも対応している。カラーヘッドアップディスプレーを用意したこともポイントだろう。

ガソリンエンジンは三菱初のダウンサイジングターボ

エンジンはガソリンとディーゼルを用意する予定。ディーゼルはすでに「デリカD:5」に積まれている2.2Lターボがベースだが、“第2世代”と呼べるほどあらゆる部分に手を入れたそうで、燃費、音、滑らかさなど、すべての部分でバージョンアップを達成しているとのことだ。トランスミッションには三菱初の8速ATを導入しており、これも上質な走りに貢献しているという。

2.2Lターボのディーゼルエンジンは“第2世代”と呼べるほどの進化を遂げているという

一方のガソリンエンジンは1.5Lターボで、三菱としては初のダウンサイジングターボとなる。エクリプス クロスは欧州での販売を重視しているので、ダウンサイジングターボの採用は必然だったそうだ。エンジン本体は経験豊富な直噴方式をベースに、状況に応じて間接噴射を使い分けるデュアルインジェクション方式とすることで燃焼効率を高めた。CVTは8速マニュアルモード付きとしている。

車両制御にいきるランエボの知見

メカニズムにおいて、同クラスのSUVに対するアピールポイントになるのがドライブトレインになるはずだ。4WDには「ランサーエボリューション(ランエボ)」などで経験を積んだ電子制御の車両運動統合制御システム「スーパー・オール・ホイール・コントロール(S-AWC)」を採用しているからである。

「4WDにS-AWCを標準装備するかどうかは、議論になりました。しかし、三菱のブランドイメージを反映させるため、装着することにしました。メカニズムの内容はランサーエボリューションの時とは違い、電子制御4WDにブレーキ制御を用いたアクティブ・ヨー・コントロール(AYC)を組み合わせた内容となっていますが、エボリューションなどの経験もいかされています」

さらにエクリプス クロスは、走りの基本となるボディも鍛え上げている。フロントサスペンション部分は3点式のストラットタワーバーで補強し、ボディ組み立てには溶接に加え、リアまわりを中心に接着剤を併用することで、高剛性ボディを実現し、信頼できるハンドリングをものにしているという。

日本での発売も待たれる仕上がり

実車を見て、話を聞いて感じたのは、エクリプス クロスには三菱らしさがあふれているということだ。同クラスのSUVは、この半年間でトヨタ自動車、マツダ、スバルの3ブランドが新型車を送り込むなど激戦区になっている。でも、エクリプス クロスは競合車に負けない個性を持ち合わせていると感じられた。

トヨタ「C-HR」、マツダ「CX-5」、スバル「XV」など、新顔が続々と登場するSUV市場。エクリプス クロスは輝けるか

販売はまず欧州からスタートするそうで、日本では2017年秋の東京モーターショーで具体的なアナウンスがあるようだが、個人的には今すぐ発売してもイケそうな魅力が詰まったSUVだと思った。

「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

2019.01.21

CESで存在感を放つアマゾンとグーグル、各社の最新動向は?

レノボはGoogleアシスタント、Alexaに対応した新製品を発表

アップルは各社にプライバシー問題を警告、独自路線を貫くか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」で、別格の存在感を放っていたのがアマゾンやグーグルだ。2018年はグーグルがCESに初めて本格出展したことで話題となったが、2019年も大がかりなブースを設置して来場者の注目を浴びた。

ラスベガスのCES会場前に設置されたグーグルのブース

アマゾンやグーグルは音声アシスタントで競争しており、家電製品への組み込みを進めている。2019年のCESではどうだったのか、両社の最新動向をレポートする。

グーグル対アマゾンの音声争いが加速

グーグルは今年もCES会場に「Googleアシスタント」を目玉にした大型ブースを設置。巨大な壁面広告やモノレールのラッピング広告で存在を示し、家電メーカーのブースには白い帽子のスタッフを派遣するなど、CESを乗っ取る勢いだった。

「Googleアシスタント」に対応した家電製品が並ぶグーグルブース

一方、Alexaで先行するアマゾンも展示エリアを拡大。業界やメーカーの枠を越えた「Alexa対応製品」を一挙展示することで、エコシステムの強大さを示した。家庭向けのスマートホーム用途だけでなく、オフィスで使う事例も示すなど、応用範囲を広げている。

アマゾンは「Amazon Alexa」対応製品をブースに集めた

具体的な対応製品として、音声で操作できるスマートスピーカーやスマート電球はもちろんだが、これまでにないジャンルの製品も増えている。たとえばレノボは「目覚まし時計」と「タブレット」の2機種を発表した。

レノボの目覚まし時計「Smart Clock」(左)とタブレット「Smart Tab」(右)

Googleアシスタントに対応した「Smart Clock」は、目覚まし時計の置き換えを狙った製品だ。音声だけでなく画面のタッチ操作にも対応しており、カレンダーの予定や寝覚めのいい音楽、室内の照明と連動した目覚まし機能を提供する。

一方、Amazon Alexaに対応した「Smart Tab」は、一般的なAndroidタブレットとして使えるほか、ドックに置くと音声とタッチで操作するスマートディスプレイに早変わりする。自宅でも外出先でも1台2役で使えるお得さが特徴だ。

アップルが投げかける「プライバシー」問題

CESに両社が注力する背景には、音声アシスタント市場におけるシェア争いがある。「Amazon Echo」や「Google Home」といったスマートスピーカーの売上ではグーグルがアマゾンを猛追しており、2018年第1四半期には逆転劇を果たした(英Canalys調べ)。しかし第3四半期にはアマゾンが再び首位に立つなど、接戦が続いている。

その勢力はスマートスピーカーを越えて、家電全体に広がりつつある。家電の操作といえばスイッチやリモコン、タッチ操作が一般的だが、音声に対応する製品は増えている。これまで独自の音声アシスタント「Bixby」を展開してきたサムスンも2019年にはグーグルとアマゾンとの連携を発表した。

サムスンはスマートTVでグーグル、アマゾンと連携

このまま音声が普及していけば、世界中の人々がインターネットのサービスやコンテンツにアクセスする手段になる可能性がある。音声アシスタントのシェア争いは、スマホOSのシェア争いと同じくらい重要というわけだ。

ただ、音声操作はプライバシーに関する懸念もある。音声操作を受け付けるには、マイクが常時オンになっている必要があるからだ。マイクをオフにする機能はあるとはいえ、家庭内のプライベートな会話を常にマイクに拾われるのは心地よいものではない。

この問題に一石を投じたのがアップルだ。CES会場からよく見えるホテルの壁に意見広告を掲載。ラスベガスの有名なコピーをもじって「iPhoneで起きることはiPhoneの中にとどまる」と訴え、サードパーティと広く連携するアマゾンやグーグルを牽制した。

アップルはCESでプライバシー重視をアピール。元々の言葉は、「What happens in Vegas stays in Vegas.(ラスベガスで起きたことはラスベガスに残る)」というもの

アップルも独自の「Siri」をiPhoneに搭載し、スマートスピーカー「HomePod」も販売している。だがサードパーティとは積極的に連携していないため、音声のシェア争いでは不利な立場に追い込まれている。アップルがこのまま「プライバシー重視」路線を貫くかどうかも、音声アシスタント市場の行方を左右しそうだ。

一度は姿を消したワイヤレス充電が再びメジャーになった理由

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第30回

一度は姿を消したワイヤレス充電が再びメジャーになった理由

2019.01.21

いまや当たり前の「ワイヤレス充電」スマホ

開発も販売も、実は日本が世界初だった

過去にナゼ廃れたのか、今はナゼ流行っているのか

最近、ケーブルに接続する必要なく充電ができる、ワイヤレス充電に対応したスマートフォンが増えてきている。一時は姿を消していたワイヤレス充電が、ここにきて再び脚光を浴びるようになったのはなぜだろうか。

世界初のワイヤレス充電対応スマホは日本製

スマートフォンを充電する際、多くの人は充電用の電源ケーブルに接続して充電していることだろう。だがここ最近、スマートフォンをケーブルに接続することなく、専用の充電台に置くだけで充電ができる「ワイヤレス充電」に対応したスマートフォンが増えているのだ。

例えばアップルのiPhoneシリーズであれば、2017年発売の「iPhone 8」シリーズ以降からワイヤレス充電に対応している。他にもグーグルの「Pixel 3」やサムスン電子の「Galaxy Note 9」、そしてファーウェイの「HUAWEI Mate20 Pro」など、海外製のハイエンドスマートフォンを中心として、ワイヤレス充電に対応したスマートフォンは着実に増えている。対応スマートフォンの広まりとともに、ワイヤレス充電をするための充電器も数が増え、家電量販店などで目にする機会も増えている。

ワイヤレス充電対応機種は急増しており、「iPhone XS」など最新のiPhoneもワイヤレス充電に対応している

充電をするためにケーブルに接続するというのは手間がかかるし、何よりケーブルは絡まりやすく取り回しが面倒なもの。それだけに、スマートフォンを置くだけで充電できるワイヤレス充電は消費者にとって非常に便利だ。したがってスマートフォンに搭載するという動きも比較的古くから進められていたのだが、現在のように広く普及するまでにはかなりの時間を要している。

実は、スマートフォン単体でワイヤレス充電ができる機種が最初に投入されたのは日本で、開発したのも日本企業である。2011年にNTTドコモから発売された、シャープ製の「AQUOS PHONE f SH-13C」がそれに当たり、Wireless Power Consortium(WCP)が策定したワイヤレス給電規格の1つ「Qi」に対応。Qi対応の充電器に置くだけで、スマートフォンを充電できる仕組みを備えていたのである。

世界初のワイヤレス充電対応スマートフォン「AQUOS PHONE f SH-13C」は、2011年にNTTドコモが提供。専用の充電器も提供していた

しかも当時、NTTドコモはQi対応のワイヤレス充電ができるスマートフォンの開発に力を入れており、「おくだけ充電」という名称まで付けて積極的なアピールを進めていた。さらにシャープだけでなく、NTTドコモと関係の深い他の国内スマートフォンメーカーともQi対応のスマートフォン開発を進め、市場に多くのワイヤレス充電対応スマートフォンが存在した時期があったのだ。

規格や充電性能の問題が解決し採用機種が増加

だが2013年を境に、NTTドコモのラインアップからワイヤレス充電対応のスマートフォンが一時期姿を消し、ワイヤレス充電は急速に存在感を失うこととなる。当時ワイヤレス充電に力を入れていたパナソニックモバイルコミュニケーションズやNECカシオモバイルコミュニケーションズなどが、iPhoneなどに押されてスマートフォン市場から撤退した影響も大きいが、より本質的な要因は2つあると考えられる。

1つは、急速充電に対する消費者のニーズが高まっていたためだ。当時はバッテリーの性能が現在より低かったため、スマートフォンを使っているとあっという間にバッテリーを消費してしまい、不満の声が多かったため、何よりも素早く充電できることが強く求められていたのだ。しかしながら当時のQiは電力の出力が弱く、充電速度が遅かったことから、消費者のニーズとマッチせず姿を消してしまったのである。

そしてもう1つの理由は、ワイヤレス給電規格が複数存在し、業界全体で、どの方式を採用するか方向性が定まっていなかったため、後続するスマートフォンがなかなか出てこなかったことだ。実際、2015年に日本でも発売されたサムスン電子の「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」はQi規格だけでなく、Power Matters Alliance(PMA、現在はAirFuel Alliance)が策定したワイヤレス給電規格も採用することで、ワイヤレス充電に対応させている。

2015年発売の「Galaxy S6 edge」は、当時まだ事実上の標準規格が定まっていなかったこともあり、複数のワイヤレス給電規格に対応していた

そして最近になってワイヤレス充電が再び日の目を見ることができたのは、それらの課題が解決したことが大きく影響している。急速充電に関しては、当初Qiのモバイル機器に向けた「Volume I」という規格では、送信できる電力が5W以下とされていたため充電速度が遅かったのだが、その後10W、15Wといったより大容量の送信ができる規格の策定が進んだことで、より速く充電できるようになったのである。

また規格の統一に関しては、アップルなど影響力の大きな主要スマートフォンメーカーがQiの採用に傾いたことで、Qiがスマートフォン向けの事実上標準規格となった。そのため多くのスマートフォンメーカーがQiを採用しやすくなり、急速に数が増えたといえる。

さらにもう1つ、高いデザイン性や防水性能など、スマートフォンに求められる要素が年々増えていることも、ワイヤレス充電が復活した大きな要因として挙げられるだろう。一方で、かつて必要だったPCへの接続など、スマートフォンに何らかのケーブルを接続する必要性は年々薄くなっている。将来的にはスマートフォンのワイヤレス充電対応が当たり前となり、充電用のUSB端子やLightning端子がなくなることも十分あり得るだろう。