女性のキレイになりたいをビジネスに オンワードがオーガニックコスメを買収

女性のキレイになりたいをビジネスに オンワードがオーガニックコスメを買収

2017.03.02

女性のキレイになりたいをビジネスに オンワードがオーガニックコスメを買収

最大手アパレルのオンワードが
オーガニックコスメを買収

オーガニックヘアケア製品で人気の「product」が、アパレル最大手のオンワードホールディングス<8016>の傘下となった。

プレスリリースによると、2月2日、オンワードホールディングスは「product」をはじめとするオーガニックヘアケアおよびスキンケア製品を主体に展開する株式会社 KOKOBUY(ココバイ)および Innovate Organics(米国)の株式を取得したと発表。

主力製品である「product」のヘアワックスは、美容に関心の高い女性に人気があり、芸能人のインスタグラムやブログでもたびたび紹介されるなど話題の商品(写真)だ。

productのヘアワックス

43gで定価1980円(税抜)とオーガニックコスメでは買いやすい価格帯なのが魅力

人気商品ゆえ、入荷してもすぐに売り切れてしまうのが難点だったが、昨年末ごろから大型美容院やバラエティストアでも目にするようになり品薄状態は解消された様子。国内での販売網を拡大しているようだ。

(参考)競合製品のジョンマスターオーガニック シャインオン

ジョンマスターオーガニックのシャインオン

113gと大きめサイズで価格は4,536円(税込)。こちらも愛用者が多い

オンワードホールディングスの直近売上高は2635億円(2016/02期)。売上の大半がアパレル関連事業だが(国内アパレル事業76.6%、欧州アパレル事業15.1%、その他)、主力のレディースアパレルの業績が芳しくない。

オンワードホールディングスの主なブランド
・23区 、組曲 、iCB、五大陸、BEIGE, 、グレースコンチネンタル、チャコット など

オンワードが取り扱う主な海外ブランド(ライセンス契約を含む)
・J.PRESS ・JOSEPH 、JIL SANDER、ポールスミス 、ミッソーニ 、ソニアリキエル 、DAKS 、TOCCA、チャールズ&キースなど

オンワードが運営する主なセレクトショップ
・ヴィア・バス・ストップ、OPENING CEREMONYなど

オンワードホールディングスIR資料を基に筆者作成

オーガニックブームは救世主となるか

オンワードは、これまでにも積極的なM&Aによって事業拡大を推し進めてきたが、昨年も国内と海外のアパレル2社を買収するなど同業の買収が大半であった。

今回のオーガニックコスメブランドの買収は、オンワードが持つ顧客層に向けた新たなサービス展開という位置づけであり、「オーガニック」や「ナチュラル」をキーワードにした新たなライフスタイルの提案を試みるものだ。

オンワードホールディングスの主なM&A

年月 買収先 事業内容 エリア 取得価格
1986年10月 J.PRESS(J.プレス) アパレル 米国
1990年10月 チャコット ダンス用品 国内
1998年3月 ダナ・キャラン・ジャパン アパレル 国内
2005年5月 JOSEPH(ジョセフ) アパレル イギリス 166億円
2005年7月 IRIS(イリス) 高級靴メーカー イタリア
2008年10月 クリエイティブヨーコ ペット用品 国内 64億円
2008年10月 JIL SANDER(ジルサンダー) アパレル イギリス 264億円
2009年12月 GRACE CONTINENTAL アパレル 国内
2012年3月 Language、YLANG YLANG、AGOSTO SHOP アパレル 国内 15億円
2013年10月 サクラ自転車 自転車ショップ 国内
2016年4月 Tiaclasse(ティアクラッセ) アパレル 国内
2016年4月 La Maison MOREAU(モロー・パリ) レザーグッズ フランス

女性のキレイになりたいをビジネスに

オーガニックコスメのブランド競争も年々激化しており、M&Aによる異業種からの参入も増えている。

ナチュラルコスメ「MAMA BUTTER(ママバター)」ブランドを展開するビーバイイーは、2011年11月に携帯電話コンテンツ事業会社のザッパラス<3770>が買収。国内のオーガニックコスメ市場を牽引するジョンマスターオーガニック(米)は、2013年3月にスタイラインターナショナル(非上場)が買収し、2016年5月には英投資ファンドのペルミラ傘下に。日本市場で培った直営店方式によるマーケティングノウハウを活用し、世界戦略に力を入れる。また、同じ2016年5月には、総合アパレル大手のTSIホールディングス<3608>がイスラエルのオーガニックコスメ「ラリン」の日本代理店を買収している。

最近の主なオーガニックコスメブランドのM&A

2010年1月 資生堂がベアエッセンシャル(米)を1800億円で買収
2011年7月 ポーラ・オルビスがH2O PLUS(米)を買収
2011年11月 ザッパラスがビバイイーを買収
2011年12月 ポーラ・オルビスがジュリーク(オーストラリア)を買収
2013年3月 スタイラインターナショナルがジョンマスターオーガニックを買収
2014年3月 コーセーがタルト(米)を135億円で買収
2016年5月 TSIホールディングスがラリン(イスラエル)を買収

しかし、世間がオーガニックブームに期待を寄せるほど、市場規模は大きくない。矢野経済研究所によると、2015年度の国内化粧品市場は2兆4010億円、うち自然派・オーガニック化粧品市場はわずか5%程度(1175億円)である。

矢野経済研究所 自然派・オーガニック化粧品市場に関する調査(2016年)より筆者作成

元々コスメ好きな消費者が従来の化粧品からオーガニックに「くら替え」しているともいえ、今まで全く化粧品に興味を持たなかった層の需要喚起とまでには至っていないようだ。果たして、わずかな市場成長率に望みをかけたオンワードの買収戦略は吉と出るのだろうか。

文:M&A Online編集部

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
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○モノのデザイン
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○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
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○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu