ゴールデンウィークに注目が集まる“ポスト世界遺産”と“日本遺産”

ゴールデンウィークに注目が集まる“ポスト世界遺産”と“日本遺産”

2016.04.22

今年は最大10連休になるゴールデンウィークはすぐそこ。テロへの警戒や熊本地震の影響など懸念はあるが、高い観光需要が見込めるだろう。国内のインバウンド需要も引き続き旺盛だ。そんな中観光業界が期待を寄せているのが、“ポスト世界遺産”。そして日本が観光戦略の目玉の一つとして進める“日本遺産”だ。

いつか世界遺産になる前に

毎年ゴールデンウィークの頃になると、世界遺産の登録に向けたニュースが盛り上がる。昨年の「明治日本の産業革命遺産」についてはゴールデンウィークど真ん中の5月4日、おととしの「富岡製糸場と絹産業遺産群」は4月26日に、ユネスコの諮問機関イコモスから登録にふさわしいと勧告が出た。ちなみに今年は、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」が申請を取り下げたので、日本政府の推薦案件はない。

イコモスの記載勧告が拒否された例はほとんどない。記載勧告が出れば地元は一斉に盛り上がり、次の休日には、新しもの好きの観光客が押し寄せる人気観光スポットのできあがりだ。「ゴールデンウィークだし、せっかくだから」と行ってみたら、人があふれ、行列に疲れてしまったなんてよくある話だ。

そんな世界遺産が好きな人にいい情報なのは、大手旅行業のエイチ・アイ・エスがおこなった旅のトレンド調査だ。「いつか世界遺産になる前に!行ってみたい世界の絶景」と銘うったこのキャンペーンは、世界遺産ではないものの、今後世界遺産になりそうな“ポスト世界遺産”の絶景のランキングを決めるもの。H.I.S.が、世界遺産級のスポット18ヶ所を事前に選定し、SNSのフォロワーを対象に行ってみたいと思う絶景を選んでランキングにしている。載っているところに行けば世界遺産“級”の絶景を観光客が増える前に、お目にかかれるというのが売りなのだ。

グレートオーシャンロードの「十二使徒」

1位は世界で一番美しい海岸道路といわれているオーストラリアのグレートオーシャンロードだ。メルボルンの南西およそ100キロメートルにあるトーキーという町からアランスフォードまでの海岸沿いの道で、およそ260キロ。道中には複雑に入り組んだ断崖絶壁、何万年もの前からの侵食によって、奇妙な形に削られた岩が点在していて、中でも「十二使徒」といわれる岩は有名だ。過去には自動車メーカーのCMなどに使用されるほどの絶景。今回のランキング1位を記念して、ドライブとヘリで空からの遊覧もできるプランを発売している。

マイナスイオンに癒されそうなセリャラントスフォス

2位はアイスランドのセリャラントスフォスという滝。滝の裏側もみることができ、時期によって様々な顔を持った神秘的な光景が見られる。タイミングがよければ、オーロラとのコラボも見られるという。

世界遺産“級”に有名なハイデルベルク城

3位はドイツのハイデルベルグ城。ドイツで最も美しい古都のひとつであるハイデルベルクにあり、城からは美しい町並みを眺めることができる。

世界遺産でないけれども、世界遺産“級”の場所は、日本国内だとどんなところがあるだろうか。

もうすぐ世界遺産のあの場所は?

東京では浅草や、スカイツリーなどがある下町エリアは、ゴールデンウィーク中いつものように、国内外からの観光客であふれかえるだろう。そんな中、博物館が集まる上野公園にある国立西洋美術館では「日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展」を見に人が集まるだろう。しかし今年は、普段は主役にならないものも注目を集めるかもしれない。それはフランス政府が代表して世界遺産に推薦している国立西洋美術館本館の建物そのものだ。実はこの建物は、世界的に有名な建築家ル・コルビュジエが日本で唯一設計したものだという。彼の作品は数カ国にちらばっており、それをまとめてフランス政府が代表して推薦している。国立西洋美術館と台東区によると「ゴールデンウィーク中に西洋美術館で特に世界遺産にちなんだイベントの予定はない。」とのことだが、意外な観光客を呼びそうだ。

ル・コルビュジエが日本で唯一設計した「国立西洋美術館本館」© 国立西洋美術館 転載不可 URL:http://www.nmwa.go.jp/

“いつか世界遺産”といえば

いつか世界遺産になるといえば、来年の登録をめざしている福岡県の宗像大社や、長崎県の教会群も挙げられる。熊本などが大きな被害を受けている大地震の影響で、九州への観光を控える客が増えることが予想されるが、長崎県などは、国内推薦が決まったころから観光客は徐々に増えている。福岡も震災前にじゃらんがおこなった調査によると、国内の人気旅行先ランキングで、8位。前年比増加率ランキングで7位と注目度をあげている。

世界遺産ならぬ日本遺産

日本遺産。そんな名前を聞いたことがあるだろうか。国宝や重要文化財とはどうちがうのか。世界遺産のマネではないだろうか。そんな声が出てくるかもしれない。

しかし、政府が何年も構想を練って始まった観光戦略の目玉の一つなのだ。どんなものかというと、イメージとしては世界遺産に近い。文化庁ホームページによると「地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリー」と説明されている。要するに、遺跡や古墳といった1つ、1つの「点」になっていたものを、関係する建物や伝統芸能、絵画などをひとつのストーリーとしてパッケージ化し、認定するというものだ。

後藤織物 群馬県桐生市 写真提供:群馬県(左)。永井いと肖像画(右)

たとえば、群馬県では、桐生市など4市町村にまたがる絹産業の歴史とそれに従事した女性の活躍を物語る場所や資料を「かかあ天下-ぐんまの絹物語-」として日本遺産に応募し、認定されている。初年度である昨年は83件の応募に対し、18件の認定。世界遺産と比べるとハードルは格段に下がるため、地元の観光活性化に歴史的な資源を活用したいという自治体などにとっては非常に魅力的だ。日本遺産に認定されると、政府から普及啓発などにかかる費用が補助される。予算については、昨年度はこの事業全体で8億700万円、今年は12億7500万円。昨年度認定されたものの中には、世界遺産登録をめざしている奈良県明日香村の遺産なども入っていて、世界遺産の前に日本遺産の認定を、という機運が自治体の中には生まれている。

日本遺産の可能性

世界遺産が観光業などにもたらす経済効果は莫大で、人口減少が深刻な地方にとって、非常に魅力的である一方以前にも述べた通り(長崎“教会群”からみる世界遺産登録のハードルの高さ【前編】長崎“教会群”からみる世界遺産登録のハードルの高さ【後編】)、世界遺産登録のハードルはどんどん高くなっている。だからこそ、世界遺産に代わる魅力的な観光商品として日本遺産は、新しい可能性がある。一番の課題は、まだまだ認知度が低いというところだが、世界遺産も認知されるようになるのに何年もかかったのだから、自治体、関係企業の努力、国の後押しに期待するしかない。東京五輪に向け世界から日本が注目されており、さらに訪日外国人が右肩上がりの今がその好機であることは間違いない。

今年の日本遺産の発表はゴールデンウィーク前

政府としても、東京五輪が開催される2020年までに100件の認定を目標にしている日本遺産。この機運にうまくははまることでの地方の観光業の持続的な成長を目指している。そんな日本遺産だが、文化庁が申請件数を発表していないものの、今年の申請件数は報道では70から80件と昨年並みの数字が出ている。発表は、ゴールデンウィークでの観光客の増加を狙って今月中になる。

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

2019.01.22

低温加熱式のJTがライバルと直接競合する高温加熱式に参入

専用リフィルも異なる3種類の製品で広範に網を張るプルーム・テック

海外市場でも兆し見えた加熱式たばこ、日本での成功がより重要に

日本たばこ産業(JT)が加熱式たばこの新製品、「プルーム・テック・プラス (Ploom TECH+)」「プルーム・エス (Ploom S)」の2製品を発表した。シェアトップのiQOSを追撃したいJTだが、ライバルに先行を許している今、どのような戦略を描いているのか。

JTが発表した加熱式たばこの新製品、プルーム・テック・プラス(左)とプルーム・エス

新たに高温加熱式に参入、ライバルと直接競合へ

新製品は、従来のプルーム・テックを改良したプルーム・テック・プラスと、シェアを争う「iQOS」(フィリップ・モリス)や「glo」(BAT)と同様の加熱方式を採用したプルーム・エスの2つ。iQOSとgloが高温加熱式であるのに対し、もともとプルーム・テックは低温加熱式と呼ばれる方式をとっていた。30度という低温で発生させた蒸気をたばこカプセルを通して吸うため、においが少ない一方、吸いごたえに乏しいともいわれていた。

低温加熱式で吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスと、高温加熱式のシェア奪取を狙ったプルーム・エスを投入

そこで、たばこ葉を増やすなどして吸いごたえを高めたのがプルーム・テック・プラスだ。その結果、本体が太く大きくなり、加熱温度も40度と少しだけ高くなったが、においの少なさはそのままに、吸いごたえをアップさせたことをアピールする。

プルーム・エスは高温加熱式を採用し、iQOSやgloと同様の吸いごたえを目指した。こうした高温加熱式は、たばこ葉を高温で蒸すことで蒸気を発生させるため、従来のたばことも異なる独特のにおいを発生させる。

JT副社長・たばこ事業本部長の岩井睦雄氏は、この独特の「におい」のせいでたばこの味わいに違和感を覚える喫煙者が多かったと話す。そのため、「満足度を高めるのは味わい」として、このにおいの低減に取り組んだという。

プルーム・エスでは、たばこ葉を熱する温度を200度に抑えた。これはiQOSの300度、gloの240度に比べて低く、これによって特有のにおいを抑えたという。

吸いごたえや加熱方式が異なる3製品をそろえる意味

JTは新製品投入後も既存製品の取り扱いを継続する。つまり、プルーム・テックのラインアップは3種類となる。iQOSも複数の製品があるが、こちらは機能の違いによって3種類に分けられており、プルーム・テックはそれに対して、吸いごたえや加熱方式によって異なる製品を用意したかっこうだ。

3つの製品を投入することで、選択肢を提供する

岩井副社長は「温度で選ぶ時代」と表現し、低温のプルーム・テック/プルーム・テック・プラスと、高温のプルーム・エスという選択肢によって「好みや生活環境、ライフステージの変化に合わせて、いつでも最適な選択ができる」ことを狙ったとしている。

たばこ事業本部長の岩井睦雄副社長

たばこ部分に互換性がないという問題はありそうだが、現在でも、においの少なさを重視して自宅ではプルーム・テックを吸いつつ、味わいを求めて喫煙所では高温加熱式の加熱式たばこ、と双方を使い分けている人が少なくない。そうしたユーザーに対して、「それぞれで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化に繋がる」(岩井副社長)と判断し、製品開発に取り組んだ。

加熱式たばこ最大市場の日本から、海外市場を見据える

岩井副社長は新製品でiQOSからシェアを奪取し、「中長期的にはRRPカテゴリでもシェアナンバーワンを目指す」と意気込みを語る。

「RRP」とは「リスク低減製品」のこと。「喫煙にともなう健康へのリスクを低減させる可能性がある」と位置づけられる製品だ。

日本では法律上、液体にニコチンを含ませて販売することはできない。電子たばこは、このニコチンを含む液体を蒸気化させるため日本で販売できず、結果、加熱式たばこが普及したという背景もある。加熱式たばこの市場規模では日本が世界最大だが、iQOSが韓国や欧州の一部で販売を強化しており、グローバルでの市場拡大を狙っている。

JTは海外ではlogicブランドで電子たばこを販売している。海外での電子たばこ事業はありつつも、まずは製品の国内ラインナップを拡大して加熱式たばこのシェア拡大を図るとともに、紙巻きたばこを含むすべての製品の価値を向上させることで、市場の拡大に繋げたい考えだ。「日本での成功がグローバルでの成功につながる」と岩井副社長は強調する。

紙巻きたばことRRP製品の双方を拡充する
日本では加熱式、海外では電子たばこを提供中

紙巻きからの移行、数年以内に大きな山場

2018年は加熱式たばこが踊り場を迎えたと言われた。日本ではここ数年で急激に加熱式たばこの普及が進んだが、市場シェアが20%を越えたところでユーザー需要は一巡したとみられる。

ただ、プルーム・テックの全国販売の開始や、他社では直近のiQOSの新モデル投入などを経て、その動向から、需要の伸びは「足踏みしていたが、止まったわけではない」(岩井副社長)との認識にあるという。加えて、紙巻きたばこによる健康懸念の高まりや、オリンピックによる喫煙場所の規制といった外的要因もあり、「必ずシガレット(紙巻きたばこ)からRRPに移ってくる」(同)という見通しだ。

課題は、紙巻きたばことは異なり、デバイスを購入しなければならないというハードルの高さだ。一度購入した後、他社のデバイスへ移行しづらいという難題につながる。

他社の後追いとなった高温加熱式では、「差別化のポイントをしっかりと伝えていく」ことで買い替えを促進する。JTが主導する低温加熱式では、「若干下方修正したが、手応えも感じている」と岩井副社長は説明する。今後は製品の良さをアピールするために、喫煙者に直接説明をする営業スタイルを重視していく方針をとるそうだ。

JTは日本市場で紙巻き、加熱式のいずれでもシェアトップを目指す

JTは1社で複数の選択肢の製品を用意することで、消費者のニーズの受け皿を最大化しようと目論んでいる。この先にグローバルで展開する上で、ユーザーからどのような示唆が得られるのかを検証していき、海外での加熱式たばこの市場拡大にも乗り出していきたいと考えているようだ。

加熱式たばこは間もなく、国内市場シェアだけでなく、海外市場の争奪戦の行方も左右する正念場を迎える。

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

2019.01.22

セブン、ローソンに続きファミマも成人誌を販売中止

インバウンドの増加、オリンピックの開催も影響か

コンビニ最大手のセブン-イレブンと業界3位のローソンが成人向け雑誌の販売中止を発表したのに続き、業界2位のファミリーマートも同様の方針を打ち出した。大手3社の足並みがそろい、日本国内のほとんどのコンビニ店頭から成人誌が消える。

国内のセブン-イレブン店舗数は2万店を超え、ローソンとファミマが1万5,000店前後でこれに続く。それぞれ今年の8月末までに取り扱いを原則中止するという。これまで一部店舗で成人誌の販売を中止していた例はあったが、今回は各社全店舗で取り扱いを中止する。業界では昨年1月から、ミニストップが他社に先駆けて全店で取り扱いを中止していた。

もともと諸外国にくらべ、女性や子どもの目につきやすいコンビニ店頭などに成人誌が置かれている日本のゾーニングの現状は特殊であるとの批判があった。また、インバウンドで訪日外国人が増え、この論調に拍車がかかっていたほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、イメージ低下を防ぐ要請が強まっていたという背景がある。

コンビニでの成人誌の購買層は近年、高齢男性に偏るとともに売り上げの減少も顕著であったといい、ゾーニングの問題が取り扱い中止の大義名分になったという見方もある。ある出版関係者は、「一部では電子版などネット展開を強化している流れはあるが、今でもコンビニは重要な販路なので、相当な混乱があるだろう」と話す。どちらにせよ、日本の成人誌は岐路に立たされることになる。