抹茶の輸出を目論むネスレ日本、成功のカギを握る“インフラ”とは?

抹茶の輸出を目論むネスレ日本、成功のカギを握る“インフラ”とは?

2017.03.07

「抹茶」をコーヒー、チョコレートに次ぐ第3の柱に位置づけ、市場開拓を進めるネスレ日本。まずは日本市場に抹茶を売り込むが、将来的にはグローバル展開を視野に入れる。舶来品だった“お茶”が独特の世界観にまで昇華した日本の抹茶文化だが、ネスレ日本による抹茶の輸出は成功するのだろうか。

抹茶が世界標準に?

抹茶版“アンバサダー”が登場

2004年にキットカットの宇治抹茶味を発売したネスレ日本にとって、抹茶は目新しい商品ではない。しかし、2017年の事業戦略発表会に登壇した同社の高岡浩三社長兼CEOは抹茶を「第3の柱」と言い切った。2012年から右肩上がりで拡大する抹茶製品市場を開拓し、インバウンド需要も取り込みたい意向だ。

ネスレ日本によると、「抹茶ブーム」で国内の市場規模は右肩上がりに拡大しているという

新しく始めたサービスとして目を引くのは、抹茶版“アンバサダー”ともいうべき「ネスレ ウェルネス アンバサダー」だ。飲み物を作るマシンを職場や家庭に置いてもらい、その後はコーヒーの粉や飲み物のカプセルなどを継続的に売っていくというビジネスモデルを抹茶でも展開する。ネスレ日本によると抹茶にはポリフェノールの含有量が多く、その健康効果をアピールすることで抹茶の日常的な飲用を訴えていくという。

海外に抹茶を流通させるインフラが存在

それでは、将来的に海外展開が成功する可能性はあるのだろうか。まず、ネスレ日本がグローバル企業ネスレの一員であるというのは重要な要素となる。

ネスレは世界で436の工場を持ち、189カ国で製品を販売している。抹茶のビジネスが日本で成功し、その健康効果なども確かめることができれば、ネスレ日本の成功例としてグループ内で注目を集める可能性がある。抹茶を海外展開するには地域に合わせた味のローカライズが必要になりそうだが、ネスレのネットワークを使えば地域ごとの特性も把握しやすそうだ。

もう1つ見逃せないのは、ネスレ日本が抹茶を世界展開するための“インフラ”をすでに所有しているということ。つまり、カプセルをセットして抹茶を作るマシン「ネスカフェ ドルチェ グスト」が、これまでに世界80カ国以上で累計3,000万台の販売実績を築き上げているという事実だ。ちなみに、日本では同マシンを2007年に発売し、これまでに累計200万台を出荷しているという。

このインフラ、つまり抹茶の世界的な流通網をすでに持っているネスレ日本は、まずはカプセルを売り出すだけで海外展開に乗り出せる。単純に茶葉を水で溶いただけではうまく作れない抹茶だが、マシンがあれば泡まで本格的な抹茶を海外に届けられる。

古くて新しい飲み物である抹茶を次のビジネスの柱に育て上げるというネスレ日本。まずは日本で受け入れられるかどうかだが、うまくいけば海外市場開拓に使える武器に育つ。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

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2019.06.17

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu