MWCで人気に、ノキアブランドのフィーチャーフォンが示す可能性

MWCで人気に、ノキアブランドのフィーチャーフォンが示す可能性

2017.03.08

スペイン・バルセロナで開催されたモバイル業界最大の展示会「Mobile World Congress 2017」には、今年も最先端のスマートフォンが多数並んだ。だが、その中で意外にも注目の的だったのが、ノキアのフィーチャーフォン「Nokia 3310」だ。

現代の技術で蘇った「Nokia 3310」

このNokia 3310は、2000年に発売された同名のモデルを復刻したものになる。なぜモバイルの展示会で、15年以上前のデザインのケータイが人気を集めたのだろうか。

過去の名機が現代に蘇る

復刻版のNokia 3310は、往年の名機を現代の技術で蘇らせたフィーチャーフォンだ。かつてモノクロだった液晶は当然カラー液晶になり、2cm以上の分厚さだった本体は半分ほどスリムになった。

現代の技術で本体は大幅にスリム化した

あくまでフィーチャーフォンではあるが、簡易的なインターネット接続機能を搭載。Webブラウザーも搭載している。残念ながら通信方式はGSMなどの「2G」にしか対応しておらず、2Gのサービスが終了した日本で発売される見込みはないだろう。

ノキアブースでは思わず足をとめる来場者が続出。「昔使っていた」「今でも机の引き出しに眠っている」など、思い出話に花を咲かせていた。

ノキアブースでは黒山の人だかりに

紆余曲折を経た「Nokia」端末

そもそもノキアは端末事業から撤退したと認識している人も少なくないだろう。かつて携帯電話市場で一時代を築いたノキアだが、スマホ移行の波に乗れ遅れた。端末事業をマイクロソフトに売却するも、フィーチャーフォン事業を持て余したマイクロソフトはフィンランド企業のHMD Globalに売却する。

いまではこのHMD GlobalがNokiaブランドの端末事業を展開する。元ノキアの従業員も残っており、ノキアのDNAを強く受け継いだ企業と考えてよいだろう。MWC 2017でも、ノキアブース内にHMD Globalの端末が並んだ。

MWC 2017のノキアブース

いまやスマートフォンはコモディティ化が進み、差別化は困難を極めている。だが、その中でもHMDはノキアのデザイン力と、中国企業の製造力を組み合わせることで市場に再挑戦しようとしている。

NokiaブランドのAndroidスマートフォンも発表した

ノキアのブランドは欧州やアフリカでまだまだ根強い人気があり、携帯といえばノキアという地位を確立している。そうした市場でAndroidスマホを求める若い層にアピールする一方、Nokia 3310のようなノキア時代の資産を活用することで、往年のノキアユーザーにもアピールするというのが狙いといえる。

レトロなものが脚光を浴びる時代に

Nokia 3310の背面には200万画素のカメラも搭載している。デジタル一眼レフにも迫る最新のスマホに比べれば取るに足らないスペックだが、どこかノスタルジックな感覚で撮れるのが面白い。

リアカメラは200万画素。画質はあまりよくない

このカメラを見て筆者が連想したのが、日本で再燃している「写ルンです」ブームだ。誰もがスマホで手軽に高画質の写真を撮れるようになったいま、性能が低く不便なインスタントカメラの新鮮さが受けている。

日本の携帯電話業界でも、KDDIが歴代の機種を振り返る「おもいでタイムライン」がイベントなどで人気コーナーになっている。かつてのガラケーの名機が最新の技術で蘇える日も近いかもしれない。

携帯キャリアの概念を覆す― 「遅れた挑戦者」楽天が見出す勝機

携帯キャリアの概念を覆す― 「遅れた挑戦者」楽天が見出す勝機

2019.02.22

第4のキャリア・楽天の携帯インフラの全貌が見えてきた

三木谷社長は「これまでの携帯キャリアを根底から覆す」と強気

レガシーにとらわれない技術が後発の強みか

楽天は今年10月の携帯キャリア事業サービス開始に向け、着々と歩を進めている。2018年11月にはKDDIとローミングで提携し、2019年1月には関東などで4G無線局の包括免許を取得。2月に入ってからは「完全仮想化」したというネットワークの全貌が明らかになってきた。

2019年10月に楽天は携帯キャリア事業に参入する

大手キャリアから帯域を借りるだけのMVNOとは異なり、携帯キャリア事業では日本全国のネットワークを楽天が自ら構築する必要がある。無謀な挑戦との声もある中で、楽天が勝機を見出した根拠を探っていく。

後発の強みを活かし、クラウドや仮想化技術を全面活用

楽天が構築を進める携帯インフラの全貌が明らかになってきた。2月3日には二子玉川で実証実験を成功させ、2月20日には都内に試験施設「楽天クラウドネットワークラボ」を設立。2月25日に始まるモバイル業界最大の展示会「MWC 19 Barcelona」にも出展するなど、動きが加速している。

その中でも、楽天が特に強調しているのが「世界初」をうたう完全仮想化ネットワークだ。楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長は、「これまでの携帯キャリアの概念を根底から覆す」と豪語する。

楽天が設立したラボについて語る三木谷浩史社長

どこが革新的なのか。それは、従来の携帯キャリアが高価な専用ハードウェアを使ってきたのに対して、楽天が専用ハードウェアの機能をソフトウェアで実現し、安価な汎用ハードウェアで動作させる方式を全面採用した点にある。

高価な専用ハードの機能をソフトウェアで実現

また、この手法にはコスト面以外にも、ソフトウェアの更新による機能追加が容易になり、性能向上のためにスケールさせやすいなどのメリットがある。IT企業では当たり前のように使われてきた技術だが、携帯キャリアでは構造的、技術的な問題で難しかったと三木谷氏は説明する。

今、大手キャリアは5G対応を視野に入れ、クラウドや仮想化技術を積極的に採り入れている。だが、3Gや4Gのために構築してきたレガシーインフラも大量に存在しており、改修のためには多大な設備投資が必要だ。

これに対して携帯キャリアをゼロから立ち上げる楽天は、5G時代を前提にインフラを構築し、そこに現行の4Gを載せる形を採っている。過去のしがらみにとらわれず最新技術だけを惜しみなく投入できることが「後発の強み」というわけだ。

迅速な機能改善で「長時間の通信障害」とは無縁?

楽天が構築したネットワークの特徴は、新たに設立した「クラウドイノベーションラボ」にも現れている。まず、雑居ビルの1フロア程度の広さのラボに入って驚いたのは、「使われているハードウェアがシンプル」という点だ。

携帯キャリアを実現するための機能はソフトウェア化されており、目には見えない。一方のハードウェアは普通のデータセンターで使われる汎用品で構成されており、その大半を占めるインテル製のCPUを搭載したサーバーは、技術的には家庭用PCの延長にあるものだ。

PCサーバーやイーサネットスイッチなど汎用ハードウェアを活用

ラボ内には携帯キャリアのすべての機能を再現しており、基地局設備も用意されていた。これらも仮想化技術によってシンプルな構造で小型化されており、他キャリアのアンテナよりもビルの屋上などに設置しやすいという。

基地局設備は他キャリアよりもシンプルで設置しやすいとする

もう一つの特徴が「テストの自動化」だ。シスコなどの機器ベンダーの海外拠点と直結し、できあがった新機能を自動的にテストして運用環境に提供できる体制を整えた。これはIT企業が採り入れる最新の開発手法を、携帯キャリアのインフラに持ち込んだものといえる。

IT企業のソフトウェア開発手法を採り入れたテスト自動化も

消費者にとってのメリットはどこにあるのか。楽天の説明では、他キャリアで発生したような長時間の通信障害は起きないという。問題が起きた場合にはすぐに対策済みのソフトウェアをテストし、アップデートにより問題を解決できるというのがその根拠だ。

また、すべてがソフトウェアで動いていることから、ユーザーが求める新機能をタイムリーに提供できることもメリットだという。5Gが主流になる数年後までには他キャリアも追いついてくることは間違いないが、しばらくは楽天に優位性がありそうだ。

世界初の試みが多いだけに、実際にうまくいくのか不安を感じる部分はあるものの、挑戦者である楽天が他のキャリアの真似をしても勝ち目は薄い。過去のしがらみにとらわれない最新技術で固めた携帯キャリアとして、10月のサービス開始が楽しみになってきた。

関連記事
中小企業の「後継者問題」は深刻、M&A仲介のストライクがビズリーチと新サービス

中小企業の「後継者問題」は深刻、M&A仲介のストライクがビズリーチと新サービス

2019.02.22

M&A仲介のストライクと人材サービスのビズリーチが連携

買収企業の経営幹部採用支援を目指す

「団塊世代」の退職に伴い、M&Aは年々拡大している

労働需給がひっ迫が、企業買収の世界でも課題になることが増えている。企業を買収しようとしても、その企業を運営していく人材を確保できずに買収を断念するというケースが目立つのだ。

そこで新たな取り組みとして、M&A(合併・買収)仲介サービスのストライクと人材サービスのビズリーチが連携し、買い手企業に対して、買収した会社の経営者や経営幹部の採用を支援するサービスを開始した。両社はM&Aと人材サービスの相乗効果により、より円滑な企業買収を促す。

ストライクは後継者不在に悩み引き取り手を探す企業経営者と、規模の拡大を目指し事業を獲得したい企業をマッチングするM&A仲介サービスを展開している。ビズリーチは経営幹部などハイクラス層に特化した人材サービスを手掛ける。両社の連携により、買い手企業は、その獲得事業の運営に必要な経営幹部を効率的に採用できる。

中小企業で深刻化する後継者不足問題に一石

両社の取り組みの背景には、中小企業の後継者不足問題がある。

経営者が親族に事業を引き継いでもらいたくても、子供は都会で会社勤めをしており、実家に戻って家業を継ぐ気がないといったケースは多い。今後本格化する、第一次ベビーブームの時期に生まれた「団塊世代」の大量退職も問題に拍車をかける。複数の要因が重なってしまう結果、中小企業では事業をどう次世代に伝えていくかが喫緊の課題となってしまっている。

経済産業省・中小企業庁らによれば、中小企業の経営者の年齢分布で最も多い層は2015年時のデータで66歳だ。これは20年前の47歳から大幅に上昇した。今後10年の間に、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万人が後継者未定とされている。

日本の企業数は約400万社といわれるので、127万人というのは実に全体の3分の1相当の企業が後継者問題を抱えることになるという計算だ。ある調査によれば、仮に現状を放置すると、2025年頃までの10年間の累計で約650万人の雇用、約22兆円の国内総生産(GDP)が失われる可能性があるともいわれる。

なお、ストライクが中小企業経営者の妻100人に「将来残されて困る資産」を調査したところ、最も多かった解答は「経営する会社の自社株」で、その解答割合は38%にものぼったという。近年はM&Aが中小企業の後継者不在問題の解決に向けた選択肢の1つになりつつあり、同市場は毎年2~3割拡大している。

関連記事