【プラザクリエイト】プリントからモバイルへ 写真市場の変化にM&Aで対応

【プラザクリエイト】プリントからモバイルへ 写真市場の変化にM&Aで対応

2017.03.10

【プラザクリエイト】プリントからモバイルへ 写真市場の変化にM&Aで対応

 プラザクリエイト<7502>というとご存知ない方も多いかもしれないが、フォトサービスショップの「パレットプラザ」や「55ステーション」と聞くとお分かりになるかもしれない。同社は2016年9月現在、全国に500店舗近くを出店する企業である。フォトサービスショップを運営する一方で、移動体通信業者のキャリアショップ等も80店舗近く運営しており、リテールビジネスを展開している。しかしながら、同社のM&Aは小売店舗を対象としたものは少なく、むしろメーカーの買収が多い。このM&A戦略から見えてくる同社のビジョンについて考えたい。

【企業概要】米国の写真サービス店を日本に輸入

 プラザクリエイトは、大島康広氏が大学在学中の1984年に、写真撮影事業を始めたことに端を発している。カメラマンを志していた大島氏であったが、当時のアメリカで流行していたフォトサービスショップと同じような業態を日本に輸入して、「パレットプラザ」を出店することになる。これが大ヒットをして、FC店による展開も利用して事業を急速に拡大し、一時期は1,000店舗以上を展開した。現在はFC店を含めて500店舗以上を展開していて、同社の主力事業(プリント事業)となっている。また同社は、このプリント事業と並び、移動体通信業者のキャリアショップ等の運営をするモバイル事業を展開しており、プリント事業を上回る売上規模となっている。

【経営陣】大島氏を筆頭に少人数で意思決定

 創業者である大島康広氏が1988年の同社を設立して以来、代表取締役社長を務める。53歳。上場企業としては珍しく、取締役は大島氏を含めて計3名しかおらず、少人数の経営陣で迅速な意思決定ができる体制となっている。


【株主構成】大島氏が実質40%程度を保有

プラザクリエイトの大株主
氏名又は名称 所有株式数(千株) 持ち株比率(%)
中部写真 5,506 39.79
シンプレス・インベストメント・ビー・ブイ 2,400 17.34
富士フイルム 2,259 16.32
みずほ銀行 571 4.12
資産管理サービス信託銀行 332 2.40
大島 康広 216 1.56
プラザクリエイト従業員持株会 150 1.09
キヤノンマーケティングジャパン 150 1.08
浅沼商会 81 0.58
松田産業 80 0.58
11,747 84.90
2016年3月時点、有価証券報告書を元に作成

 中部写真は、大島康広氏がプラザクリエイトの前進として設立した会社である。実質的には個人保有分と併せて40%程度を、大島康広氏が保有していることになる。その他には、会社黎明期から提携をしていた富士フイルムが外部の法人としては筆頭株主となっている。

 なお、シンプレス・インベストメント・ビー・ブイとは2016年12月に資本業務提携を解消し全株式を自己株式として取得したため、同社は株主ではなくなっている。

【M&A戦略】デジタル化、モバイル化に対応

プラザクリエイトの沿革と主なM&A
年   月  内容
1984年9月 大島康広氏が学生時代に写真撮影業をスタート
1986年4月 「パレットプラザ」1号店出店
1987年7月 「パレットプラザ」のFC展開を開始
1988年3月 プラザクリエイトを設立
1990年5月 「パレットプラザ」100号店達成
1995年6月 「パレットプラザ」500号店達成
1996年12月 中部写真を通じて米国の感熱紙メーカーであるサイカラーの全株式を24億円で取得
1996年7月 ジャスダックに上場
1996年9月 米国のカメラメーカーであるビビター(売上高159億円)と、グループ企業で仏、香港、日本で販売をおこなう3社の全株式を40億円で取得し、完全子会社化
1996年12月 米国ピクチャービジョン・インクと合弁で、フィルム映像のデジタル化サービスを提供するフォトネットジャパン(現・ジグノシステムジャパン)を設立
1997年11月 会社更生手続き中で、フィルム、印画紙等の製造、写真映像関連商社、低価格DPEを展開するオリエンタル写真グループ3社の事業を、新設会社3社(合計出資額7億5,000万円)を通じて譲り受け
1999年1月 「パレットプラザ」1,000号店達成
2000年11月 ビビターと、海外の全額出資子会社5社の全株式を英領バージン諸島の投資会社に35億円で売却
2002年3月 ジグノシステムジャパンがジャスダックに上場
2003年3月 オリエンタル写真グループのうち、写真用品の卸売りをおこなうオリエンタル写真商事の全株式を1,000万円で売却
2003年8月 サイバーグラフィックス(旧オリエンタル写真工業)をMBOで売却
2005年8月 デジタルプリントサービスを提供するデジプリ(売上高4億円、営業利益▲8,000万円、純資産9,200万円)の株式69.1%を1億4,000万円で取得し、子会社化
2005年9月 パソコン関連製品のECサイトを運営するITエージェント(売上高15億円、営業利益9,400万円、純資産1億円)の全株式を5,000万円で取得し、完全子会社化
2006年4月 会社更生手続き中で、DPEショップを運営する55ステーションの第三者割当増資5,000万円を引き受け、完全子会社化
2007年4月 携帯電話販売事業をおこなうエス・エヌ・シーから、新設会社を通じて同事業(純資産7,200万円)を2億7,200万円で譲り受け
2008年4月 エフエム東京の公開買い付けに応じて、ジグノシステムジャパンの全株式20.94%を16億円で売却
2013年11月 Vistaprintグループに対して自己株式17.35%を割り当て、資本業務提携を実施
2014年2月 Vistaprint Distribution B.V. (VDBV) との合弁会社であるビスタプリントジャパンに、デジプリ事業(売上高3億6,200万円、営業利益3,800万円、純資産8,800万円)を譲渡
2015年7月 携帯電話販売事業をおこなうスリーエヌ(売上高9億9,100万円、営業利益700万円、純資産2,100万円)の全株式を取得し、完全子会社化
2016年12月 シンプレスジャパン(旧ビスタプリントジャパン、純資産22億円)の株式49%を、Cimpress Investments B.V.(旧Vistaprint Distribution B.V.)に対して、10億円で売却
2016年12月 Vistaprintグループから自己株式17.62%を8億8,900万円で取得し、資本業務提携を解消

 このように過去のM&Aを見てみると、プラザクリエイトのM&A戦略には、総合写真企業を目指して製造部門の内製化を進めるとともに、写真のデジタル化への対応を模索した2000年代前半までの時期と、小売店展開に軸足を移し始めた2000年代後半以降の時期があることが分かる。

 同社のM&Aは、1996年の上場前後に、感熱紙メーカーのサイカラーと、低価格のコンパクトカメラメーカーのビビターを買収したことからスタートしている。当時ビビターは、米国ウォルマート等の小売店を中心にコンパクトカメラを販売している一方で、日本では展開をしていなかった。既に日本で小売店網を構築していたプラザクリエイトは、ビビター商品の日本展開と、自社店舗の付加価値向上を、このM&Aで目指したことになる。またこれらの2社のM&Aは、写真のデジタル化への対応のために、デジタル技術に強みを持つ会社を傘下に収めるという側面も持っていた。しかしながら、結局、ビビター買収は失敗に終わり、2000年11月に売却することとなる。

 また、同年1996年には、米国ピクチャービジョン・インクと合弁で、フィルム映像のデジタル化サービスを提供するフォトネットジャパン(現・ジグノシステムジャパン)を設立している。同社は2002年に上場を果たすこととなり、現在はプラザクリエイトグループとは資本関係はないが、写真のデジタル化に対応した好例といえよう。

 このように、写真のデジタル化への対応をM&Aを通じて模索してきたプラザクリエイトであったが、2006年の55ステーションの買収を皮切りに、小売店展開にシフトをしていくこととなる。55ステーションはデジタル化への対応に遅れたことで業績が悪化していた企業で、パレットプラザを運営するプラザクリエイトがノウハウを提供することで立て直しを図ることとなった。

 55ステーションのようなフォトサービスショップの買収を進める一方で、2007年以降は携帯電話販売事業のM&Aを通じて、同事業に注力していくことになる。2000年代以降、J-PHONE(現ソフトバンク)の発売を契機にカメラ付き携帯電話が爆発的に普及したことに伴って、その時流に乗る形での参入である。

 2007年のエス・エヌ・シーから事業を買収し同事業に参入した後は、自社展開とM&Aを組み合わせて事業展開を図り、現在ではプリント事業の売上高を上回っている。

 プラザクリエイトのM&A戦略を2つの時期に分けて見たが、いずれも共通しているのは「写真」をコアとして、写真業界を取り巻く環境の変化に対応するためにM&Aを活用してきたということである。前半期は写真のデジタル化、後半期は写真のモバイル化への対応ということである。

【財務分析】自己資本比率が急低下

 ここで、プラザクリエイトの財務の変遷を辿ると、下記のようになっている。

 のれん比率を見る限り、M&Aを定期的におこなっているものの、財務への影響は軽微であることが分かる。

 一方で、自己資本比率は20%程度にとどまっており、直近2年間だけで10%以上自己資本比率が低下している。これは、プリント事業における既存店のリストラクチャリングとリニューアル、モバイル事業における新店舗の出店が影響している。写真プリント店のリニューアルに伴う休業損失や出店費用が響き、2016年3月期の営業損益は1億3900万円の赤字となった。ただ、一時的な費用計上により自己資本は低下しているが、売上高は大幅に増加しており、今後の巻き返しが期待される。


 次に、セグメント別の売上推移を見てみる。

 モバイル事業のセグメント情報を公開し始めたのが2011年3月期からであるため、2010年3月期以前は、同事業の売上高はプリント事業との合算表記となっている。

 セグメント別売上高の推移を見ると、会社全体での売上高はここ数年間横ばいである一方で、プリント事業が縮小傾向にあることが分かる。これはFC店を中心に、店舗が減少していることに起因している。同事業には商品売上高も含まれるため一概には言えないが、店舗当たりの売上高も減少傾向にあることが推察される。

 他方で、モバイル事業は2011年3月期に22店舗だったところが、2016年3月期には80店舗にまで拡大している。期中にも出店をしているので単純比較は難しいが、1店舗当たりの売上高も2011年3月期で1億4500万円程度、2016年3月期で1億3700万円程度と、昨今の厳しい事業環境からすると、堅調に推移していることが分かる。

 今後は、プリント事業を現在の規模を維持したままモバイル事業を拡大するとともに、両事業の融合、あるいは新たな事業の獲得・創出を目指していくことになるだろう。

【株価】ソフトバンクと提携を好感し急騰

 株価は2014年以降、アップダウンを繰り返しながらも、低調な動きを示している。やはり写真プリント市場の縮小が重荷となっているようだ。

 こうした中、2017年2月1日にソフトバンクを割当先とする自己株式の処分で、約4億円を調達すると発表した。今後、ソフトバンクとも連携して写真プリントとの複合型モバイルショップを拡大していく方針で、提携への期待感から株価も一時的に急騰している。自己株処分によってソフトバンクは発行済株式の10%を持つ第3位株主に浮上する。

【まとめ】モバイルも競争激化、次のM&Aに注目

 本業であるプリント事業のリストラを進める一方でモバイル事業は拡大傾向にあるプラザクリエイトであるが、モバイル事業も格安端末の登場等により競争環境が激化している。本業への投資で財務的な余力は徐々に失われているが、それ以上に今後の雲行きは決して良くない。これまでも時代の変化に合わせてM&Aを活用してきた同社にとって、M&Aは重要な経営戦略の1つとして考えられ、その動向に注目したい。


この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

文:M&A Online編集部

NewsInsight 更新終了のお知らせ

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2019.06.17

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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu