株主優待の拡充相次ぐ 日清、株主専用カップ麺/すかいらーく、食事券3倍

株主優待の拡充相次ぐ 日清、株主専用カップ麺/すかいらーく、食事券3倍

2017.03.12

株主優待の拡充相次ぐ 日清、株主専用カップ麺/すかいらーく、食事券3倍

 3月期末の決算を控え、株主優待を新設・拡充する企業が相次いでいる。企業向けビジネスが主体の企業が新たに優待制度を設けたり、長期で保有する株主に対して優待内容を手厚くしたりしている。株主優待は企業が日頃の感謝の意味を込めて年1~2回、株主に送るプレゼント。優待の強化を通じて長期で保有してくれる個人株主を増やし、株価の下支えにつなげたい狙いがあるようだ。

M&A巧者の日本電産、初の株主優待

株主優待を新設した主な企業
社名     内容(一部抜粋を含む) 権利  確定 
日本電産 全ての株主に対して、日本電産サンキョーオルゴール記念館すわのね無料入館リーフレットを贈呈 3月末
日本水産 保有株式数 500 株以上 1,000 株未満の株主に対して 3,000 円相当の当社商品 2 品(イマークS 10 本、又はびん詰・缶詰セット)から選択 3月末
大王製紙 300株以上1,000株未満の株主に1,000円相当の当社商品 3月末
富士ソフト 100株以上を持つ株主に対してはがき・住所録作成ソフト『筆ぐるめ』(DVD版)Windows版を贈呈 12月末
コメダホールディングス 100 株以上の株主に対してコメダで利用できる 1,200 円分の電子マネーまたは自社商品詰め合わぜギフト 8月末、2月末
各社のホームページ、プレスリリースを元に作成

 M&A巧者として知られる日本電産<6594>。事業内容がモーターなど企業向けビジネスが主体のため、株主優待とは無縁の会社だったが、創業44年目にしてついに株主優待の導入に踏み切った。

 注目の優待内容はすべての株主に対して日本電産サンキョーオルゴール記念館すわのね無料入館リーフレットを贈呈するというもの。すわのねは長野県にあるオルゴールの博物館。日本におけるオルゴールの歴史やオルゴールづくりについて展示するほか、オルゴールの組立体験ができる工房も併設する。入館料は大人で1000円のところが無料になる。

 日本電産は株主優待の目的について「株主の皆様の日頃のご支援に感謝するとともに、当社株式を中長期にわたり継続して保有していただく」と説明している。

日水、魚成分の健康飲料

 日本水産<1332>が新設する株主優待は、同社が開発した青魚のサラサラ成分 EPA を主成分とした飲料「イマークS」またはびん詰・缶詰セットを選んで贈呈する。500 株以上 1,000 株未満の株主は3,000 円相当、1,000 株以上の株主は 5,000 円相当を受け取れる。

 日本水産は株主優待の新設と合わせて増配も発表した。2017年3月期末の配当を従来予想の2.5円から3.5円に増やす。10日の終値は561円だから、優待を受け取れる500株を投資するのに28万円。優待と配当を合わせた利回りは1.7%程度となる計算だ。

 このほか、大王製紙<3880>は300株以上を持つ株主に対してトイレットペーパーやティッシュペーパーなどの自社商品を贈呈。富士ソフト<9749>、コメダホールディングス<3543>もそれぞれ表にある通り、優待を新設している。

味の素、100株以上で商品セット贈呈

 すでに株主優待を設けている企業が内容をさらに拡充する動きも出ている。

株主優待を拡充した主な企業
社名     内容(一部抜粋を含む) 権利確定   
味の素 100株以上1,000株未満の株主に対して味の素グループ商品の詰め合わせセット(市価1,000円相当)を新設。 3月末
日清食品ホールディングス 300 株以上又は 1,000 株以上を 3 年以上継続して保有している株主の株主優待品は1000円ずつグレードアップ。株主のためだけに開発したインスタントラーメン (非売品) 3月末、9月末
TOKAIホールディングス これまでの1,000~4,999株の区分の下限を300株へと引き下げ。グループ飲料水宅配サービス関連商品(3800円相当)など4種類から1点とグループ結婚式場共通婚礼10%割引券及び「ヴォーシエル」お食事20%割引券を贈呈 3月末、9月末
すかいらーく すかいらーく店舗で使える株主優待券(食事券)を従来の3倍に引き上げ 6月末、12月末
ダイトウボウ 1年以上継続して保有する株主に3000円または5000円相当のクオカードを贈呈 3月末
各社のホームページ、プレスリリースを元に作成

 味の素<2802>は2017年3月末の株主名簿に記録された株主から、100株以上1000株未満の株主に対しても自社商品の詰め合わせセット(市価1000円相当)を贈呈することにした。従来は1000株以上の株主のみ優待の対象だった。

 株主優待情報誌のランキングで2年連続で1位に輝いた実績を持つ日清食品ホールディングス<2897>はさらなる魅力向上に動いた。3年以上を継続保有する株主に対して長期保有優遇制度を設けた。300~999株を3年以上持つ株主の優待品(即席麺などの詰め合わせ)を3500円相当(20品)から4500円相当(26品)にグレードアップ。1000株から2999株を3年以上持つ株主は4500円相当(26品)から5500円(31品)に変更する。

 さらに株主のためだけに開発したインスタントラーメン (非売品) を、2017年夏季の株主優待から提供する。これは、昨年11月に同社が開催した株主懇親会で、日清食品所属のプロテニスプレーヤー錦織圭選手より提案があったことに対応したもの。第1弾は「カップヌードル」のバリエーション製品で、錦織選手と相談の上で開発を進めるという。

すかいらーく、6%近い還元利回り

 外食大手のすかいらーく<3197>は2017年6月末からの株主を対象に、すかいらーく店舗で使える株主優待券の金額を従来の3倍に引き上げる。例えば100株から299株を持つ株主の場合、従来は1000円だった食事券が3000円に増える。6月末と12月末の年2回の権利確定日があり、合計で年間6000円分の食事券を受け取れる。

 すかいらーくの株価は10日時点で1742円。優待を受け取れる最低投資金額は17万4200円で、優待利回りは3.4%とかなりお得だ。ちなみに年間配当金(2017年12月期予想)は40円で、予想配当利回りは2.3%。配当と優待と合わせて5.7%の株主還元を受けられる。

 3月31日が決算期末の会社の場合、株主優待を受けるためには3月28日までに株式を取得しておく必要がある。期末の直前になると優待を狙った売買が膨らみ、株価が上昇することも珍しくないため、早め早めに準備しておくことが望ましい。

文:M&A Online編集部

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メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

2019.03.22

ネットの学校「N高」の卒業式に潜入

開校時に入学したN高1期生が卒業した

世間の注目を浴び続けた生徒は、何を想う?

3月、角川ドワンゴ学園「N高等学校」の卒業式が東京・お台場にて開催された。

「ネットの高校」として、3年前に設立したN高。この日、2016年の開校時に入学した第1期生と、途中転入・編入した生徒をあわせ、計1593名が卒業した。3年前、『VR入学式』で世間を賑わせたこの学校を巣立つ卒業生たちは、N高での日々をどう捉え、今後はどのようなキャリアを描いていくのだろうか。

卒業式は2019年3月20日、お台場にて行われた

卒業式を彩る最新テクノロジー

N高は、ドワンゴとKADOKAWAの経営統合で誕生したカドカワが設立母体となり、2016年4月に開校された通信制高校だ。同校は開校後、2年次編入なども受け入れてきたため、これまでも卒業生を排出してきてはいたが、「1年生~3年生をN高で過ごした生徒」が卒業するのは、初めてのことだ。

卒業式には多くの報道陣も参加した。生徒にとって、「卒業式に記者がいる」「自分たちが卒業する様子がテレビやWebで取り上げられる」というのは不思議な感覚だろう。とはいえ、もう「VR入学式」に「ニコニコ超会議」へのブース出展(N高ではそれを「文化祭」と表現)などの経験を経て、メディアへの露出には慣れてしまっているのかもしれない。

そして、今回の卒業式も例によって独特だった。

卒業式は任意参加で、会場には袴や制服に身を包んだ生徒が集まる一方、その様子をライブ配信することで、会場に来られない生徒生徒も参加できる仕組みになっていた。会場のスクリーン上にはニコニコ生放送さながら、リアルタイムでコメントが表示されており、こうした演出は「N高らしい」といった印象を受けた。

卒業式の様子。オンライン参加者のコメントがスクリーンを流れる

中でも印象深かったのは、当日来られなかった生徒を代表して、米シリコンバレーに留学中の佐々木雅斗さんが「ロボット」に自分の顔を映して卒業証書を受け取ったシーンだ。

使用したのは、ANAが“未来の移動手段”として開発する、視覚・聴覚・触覚などを備えた、ユーザーの分身となるロボット「ANA AVATAR」。同校ではこのロボットを試験的に授業にも導入しているそうで、こういった最新のテクノロジーを使うあたりもN高らしい。

遠隔操作ロボット「ANA AVATAR(Beam Pro)」を用いて卒業証書を受け取った佐々木さん

と、テクノロジーにばかり目が行きがちではあるが、そもそも「高校生がシリコンバレーに留学している」という事実も驚くべき点だ。高校に通いながらも、シリコンバレーでビジネスを学ぶ――、というキャリアを選べるのは、学校という場所の制約を受けない、ネットの高校のメリットと言えるだろう。

卒業式にはほかにも「異色のキャリア」を持つ生徒たちが集まり、特に活躍した卒業生に対する特別表彰も行われた。

表彰を受けたのは、東京から鹿児島県に移住し、農業や水産業を手伝い地域活性化に貢献する白鳥優季さん、第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン「ウイニングイレブン 2018」eスポーツ 金メダリストの相原翼さん、N高のプログラムを最大限に活用し、スタンフォード大学やオックスフォード大学のサマープログラムに参加した冨樫真凜さんなど。その活躍の幅は広い。

さまざまな分野で活躍したN高生に対しては、特別表彰が行われ、記念品としてクリスタルトロフィーが贈呈された

メディア露出が多いがゆえに高まる期待値

N高を卒業した個性豊かな面々は、今後は大学進学、就職とさまざまなキャリアを歩む。

日本初で唯一N高にのみ実在するという「起業部」に所属し、かつ起業第一号として「Easy Go」という会社を創業している、鈴木颯人さんと山田陽大さんから「N高で過ごした時間」についてコメントをもらった。

「元々は地元の進学校に通っていたのですが、『自分が好きなことをしたい』『起業したい』という想いがあり、N高に入学しました。年齢や場所に縛られず、多くの人とコミュニケーションを取れ、充実した3年を過ごせました」(鈴木さん)

「以前通っていた学校が自分と合わず、ネットで見つけたN高で『ここだったら新しいことができるかも』と入学を決意しました。今振り返ってみて、やはり『この学校に来てよかった』と思います」(山田さん)

Easy Go代表取締役の鈴木颯人さん(左)と取締役の山田陽大さん(右)

2人に限らず、卒業生のコメントを聞いていくと「この場所で挑戦してみたい」という想いの元、N高を選んでいる生徒が多い印象だ。

普通の高校とは違い、メディアに露出する機会の多いN高での生活は、良くも悪くも、世間からの注目を浴びる。まだ高校生の彼らにとっては、その視線が時に辛く感じることもあっただろう。ただ、その一方で鈴木さんは「初めて会う方とお話しする際、『N高出身です』と言うだけで、会話が広がることがよくあります」とその知名度を好意的に捉えている。

若くして、覚悟を持ってN高という環境に飛び込んだ生徒たちは、周囲の視線を浴びつつ、たくましく成長してきたことだろう。「N高出身」というキャリアは、彼らにとって1つの大きな武器になりそうだ。

カドカワは新たに2019年4月から、「N中等部」も開校する予定だ。「ネットの学校」という、世間の注目が集まる新しいコンセプトの学校だからこそ、在校生・卒業生の動向は、今後もしばらくは注目され続けそうだ。

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スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

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2019.03.22

中国スマホメーカーのOPPOが独自のカメラ技術を説明

開発競争が続くスマホカメラ、トレンドは「望遠」へ

高倍率ズームスマホの登場で、デジカメの優位性に危機?

中国のスマホメーカーとしてシェアを急拡大するOPPOが独自に新開発したカメラ技術、「10倍ハイブリッドズーム」が面白い。実際に2019年の新機種からスマホへの搭載を進め、日本市場へも製品を投入するという。

OPPOが「10倍ハイブリッドズーム」技術を紹介

メーカー間の開発競争が続くスマホカメラだが、「望遠」が次のトレンドになりつつある。デジタルカメラに匹敵する10倍もの高倍率ズームを、OPPOはどのように実現したのだろうか。

1年で7機種を投入、気付いた「日本市場の難しさ」

OPPOは世界のスマホ市場で熾烈な4位争いを繰り広げている。サムスン、アップル、ファーウェイのトップ3社に続く集団の中で、2018年は中国Xiaomiに僅差で迫る5位になった(IDC調べ)。

OPPOは2018年、日本市場で7機種のスマホを発売した。OPPO日本法人の鄧宇辰社長は、これまでに国内販売チャネルを12に拡大し、あわせて認定修理店を全国に展開したことを挙げ、「日本のSIMフリー市場でいち早く成長するブランドになった」と振り返る。

オッポジャパン 代表取締役社長の鄧宇辰氏
2018年の1年間にスマホを7機種投入

2019年は国内展開をさらに加速する。日本の消費者に向けたコミットメントとして、件の「10倍ハイブリッドズーム」機能を備えたスマホや、FeliCa・防水対応のスマホ、新たに立ち上げたブランド「Reno」シリーズの市場投入を約束する。

また、話題の「5Gスマホ」の市場投入も急ぐ。日本では5Gの周波数がまだキャリアに割り当てられていないものの、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを含む世界の事業者と標準化に向けて連携しており、準備を整えていることを強調する。

MWC19のQualcommブースではOPPOが5Gスマホを実演

一方で鄧社長は、日本市場の難しさについて、「1年の経験を通して、日本市場は他の国と違うことに気付いた。消費の習慣や求めるレベルも高い。グローバルのやり方を日本に持ってきても通用しない」とも述べている。日本市場における品質やサービスの要求水準の高さは、多くのメーカーが直面してきた課題だが、OPPOも同じ壁にぶつかったといえそうだ。

スマホカメラ、次のトレンドは「望遠」に

そのOPPOが市場攻略にあたり、特に注力をしはじめたのが「カメラ」だ。その中でも、業界では次の進化ポイントとして「望遠」技術に注目が集まっている。

そもそもスマホはデジカメと違い本体が薄いため、搭載できるレンズに物理的な制約がある。このレンズの制約から、スマホのカメラはどうしても焦点距離の狭さが弱点になってしまっていた。そこで最近はスマホに複数のカメラを内蔵し、それぞれで広角や望遠を使い分けることで、この弱点を克服しようと進化している。

OPPOの「10倍ハイブリッドズーム」技術は、この弱点に対し異なるアプローチで挑む。プリズムを使って光を屈曲させるペリスコープ(屈曲光学)構造をカメラモジュールに採用することで、レンズを従来の垂直方向ではなく水平に配置できるようにした。これにより、薄型のスマホであっても、光学レンズでは従来不可能だった高倍率ズームが搭載できる。

光を曲げるペリスコープ構造を採用

ただ、35mm換算での焦点距離は16~160mmの10倍となっており、一般的なコンデジの感覚では5倍ズーム程度の性能だ。8.1倍以上はデジタル処理を組み合わせた「ハイブリッドズーム」としているなど、いくつか注意点はある。とは言え、これまでにない望遠レンズをスマホで扱えるのは面白い。

10倍ハイブリッドズームによる画角の違い

OPPOは既に報道陣に向けて、この10倍ハイブリッドズーム技術を搭載するスマホの開発デモ機を公開している。2019年の第2四半期には製品化する計画で、日本市場へも2019年中に投入する見込みだ。

10倍ハイブリッドズームのデモ機。5Gにも対応できるという

特にカジュアルなカメラ需要の受け皿としてスマホに押されがちなデジタルカメラだが、高倍率ズームはスマホには無い、デジカメに残された得意分野のひとつだった。だが望遠もスマホで十分撮れるとなれば、いよいよその優位性も危うくなる。今回のズーム技術は、デジカメ市場をもう一段縮小させてしまう可能性を秘めているのだ。

最大のライバルであるファーウェイも「HUAWEI P30」シリーズで望遠カメラを搭載するとみられており、今後は各メーカーが高倍率ズームで競い合うことは間違いなさそうだ。

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