iPhone初の販売減、アップルはどう挽回するのか

iPhone初の販売減、アップルはどう挽回するのか

2016.04.28

アップルは米国時間26日に、2016年第2四半期決算(2016年1月~3月)を発表した。売上は506億ドル、純利益は105億ドル、希薄化後の1株あたりの利益は1.90ドル、売上総利益率は39.4%という結果となった。好決算だった前年同期の2015年第2四半期と比較すると、売上は580億ドルから13%減、純利益は136億ドルから22%減となった。iPhoneの販売減が大きく響いた形だが、アップルはどう挽回するのだろうか。

これまでiPhoneの販売好調を強調してきたアップルだが初の販売減に。どう挽回していくのか

落ち込みが目立つ中国・アジア太平洋地域

アップルは、米国市場外の売上比率が67%であったことを報告している。決算書類のサマリーでは、地域ごとの売上を示しているが、日本以外はいずれも前年同期比でマイナスに落ち込んでいる。米国市場は10%減、欧州は5%減であったが、中国市場は26%減、中国と日本を除くアジア太平洋地域で25%減となった。

昨年末から、中国を中心とした金融市場不安を払拭し切れていないこと、米国の景気回復の遅れ、テロ等のリスクの増大なども背景にあり、世界的に景気の踊り場を迎えていることが、アップルに限らず影響を受ける一般的な背景となっている。

加えて、特にアップルの場合は、大画面化したiPhone 6のこれまでにない大ヒットにより、2015年第2四半期のiPhoneの販売台数は、ホリデーシーズンに当たる第1四半期と同等の6117万台を記録していた。そこからの反動で、今期の決算の落ち込みが、より強調される結果となったと考えられる。

ちなみに日本については、24%の収益拡大となった。アップルが引き続き日本市場で好調であるとともに、為替相場の要因が考えられる。前年同期は1ドル120円前後であったドル円のレートは、今期は1ドル112円前後で推移する局面となっていた。円高ドル安は、米国企業にとっては、ドルベースでの収益を拡大させる。

iPhone初のマイナス成長と下落が続くiPad

アップルはiPhoneが収益の柱となっている企業だ。シリコンバレーのネット企業とは異なり、ハードウェアを販売することで莫大な利益を生み出している。下落したとはいえ、四半期におよそ1兆1,760億円の純利益を上げる企業であり続けているのだ。

ただ、そのiPhoneの販売が、2016年第1四半期にほとんど伸びず(前年同期比30万台増の7477万台)、今期はおよそ1000万台減の5119万台へと下落することとなった。販売台数で16%のマイナスだ。iPhoneの販売台数が、これまでの方法では伸び続けられないことを強く印象づける。

2016年第2四半期のiPhone販売台数は5119万台。前年同期比16%減となった

iPadはより深刻だ。2016年第2四半期には1025万台のiPadを販売したが、前年同期比で19%減。iPadは2013年以降、前年割れを続けており、減少の一途を辿っている。アップルによると、「そろそろ底打ち」との声も聞かれているが、トレンドを転換するだけの施策が必要なことは明らかだ。

好調だったMacについても403万台に留まり、前年同期比12%減となった。2桁減は免れたが、景気後退の大きなトレンドの中で、成長を続けるほどの製品力がないことを表している。

打開策はまだ反映されていない

アップルは、2016年第1四半期の決算発表の場で、今期のiPhoneの販売台数の下落を予測していた。もちろん、3カ月前に予測しただけでなく、より長い視点で、2016年の業績後退を見据えていたのだろう。

今回発表された決算にはその成果は含まれていないが、3月21日に開催した新製品発表会の場で、主力製品のiPhoneとiPadに対するテコ入れ策を既に披露済みだ。iPhone SE、iPad Pro 9.7インチモデルがそれに当たる。

3月に発表されたiPhone SEとiPad Pro 9.7インチモデル

iPhone SEは、4インチのボディにiPhone 6sの最新機能を盛り込んだモデルで、SIMフリーモデルで399ドルから。これまでのiPhoneの最新製品だけでなく、値下げした旧モデルの併売製品よりも安い価格で発売された。

決算発表のなかで、iPhone SEについて、予想を上回る売れ行きを見せているとした。実際、米国や日本でも、品切れ、品薄の状態が続いており、生産が追いついていない状況がうかがえる。

ブランド力を背景にした値下げの衝撃

IHSによると、16GBモデルのiPhone SEは、399ドルの販売価格に対して組み立て原価は160ドルと推定されている。64GBモデルになると、499ドルの販売価格に対して、組み立て原価は170ドルだという。それぞれ、239ドル、329ドルの差額が出る。

既存の製品については、いずれも16GBモデルで、iPhone 6sは販売価格649ドルに対して組み立て原価は211.50ドル、iPhone 6s Plusは販売価格749ドルに対して組み立て原価は236ドル。差額はiPhone 6sで437.50ドル、iPhone 6s Plusに至っては、513ドルだ。より大きな容量を選べば、その差額はより大きくなる。これらのことから、iPhone SEは、1台あたりの差額を100~200ドル落として販売する製品であることがわかる。

それでも、1台あたり200~300ドルの差額が残っているスマートフォンは、現在市場を見渡してもなかなか存在していないし、アップルがブランド力によってスマートフォンの価格を高止まりさせてきたことによる「値下げ余力」が一気に発揮されたわけだ。

そして、このiPhone SEを、中国やインドなどの新興国、先進国のより低価格のAndroidスマートフォンを使っている人々など、既存のiPhoneユーザー以外に売り込んでいこうとしている。この戦略が数字に表れるのは、2016年第3四半期決算が発表される7月下旬になるだろう。

光る「サービス」と「その他の製品」

製品以外の部分にも注目したい。アップルの決算書類は、製品カテゴリごとにサマライズされる。iPhone、iPad、Macの主力製品に加えて、Apple Music、iTunes Store、iCloud、Apple Payなどが含まれる「サービス」、そしてApple TV、Apple Watch、iPod、Beatsなどの販売が含まれる「その他の製品」だ。

主力製品が軒並み前年同期から大きく下落しているのに対し、サービスは20%増、その他の製品は30%の増加を記録した。ホリデーシーズンで消費が拡大する季節に当たる前期との比較では、サービスはたった1%減であり、季節変動なく成長している様子がうかがえる。

Apple Musicにいたっては、1300万人に契約者が増加したと明らかされた。2016年2月の段階で1100万人という数字を披露していたことから、2カ月で200万人増加したことが分かる。

サービスは、非常に単純に言えば、iPhoneのアクティブユーザーが増えれば増えるほど、成長を続けていくカテゴリだ。アップルによると、現在10億台のアクティブデバイスが存在しており、ユーザーの増加は、サービスカテゴリの成長を強固なものにするのだ。

またその他のデバイスでは、Apple TVやApple Watchなど、iPhoneを使っているユーザーがより便利に利用できる製品を揃えており、こちらもiPhoneの販売によるユーザー増加が、成長を後押しすることになるだろう。

分離されるiPadの狙い

最後にiPadについても触れておきたい。現在、こうしたアップルの好循環から切り離されている製品がiPadだ。iPhoneの大型化から、人々の生活において、あるいはモバイルデバイスとして競合が生じている。

つまりiPhoneが売れてもiPadが売れるようにはならない、ということだ。その結果が、長い下降トレンドを作り出し、これを乗り越えられずにきた。

そこで3月21日のイベントで、アップルは「6億台の5年以上古いPCからの乗り換え」という新たな市場を狙う戦略を披露した。これに合わせて、オリジナルの9.7インチサイズでカバー一体型のSmart Keyboardが利用できるiPad Proを投入し、いままでのiPadよりも明確に、「PCの代替」という役割での再出発をきった。

iPadはPCを代替する製品になれるだろうか

現実的に考えて、PCの代替は、ハードウェア以上にソフトウェアの問題が大きい。アップルが企業買収などによって、環境整備に着手する可能性もあるだろう。

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CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

2019.01.18

中国メーカーが自在に折り曲げられるスマホを実現

「大画面×コンパクト」を両立する夢のデバイス、実用性は?

端末の魅力を引き出すアプリ登場が普及のカギか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」では、2019年のトレンドを先取りする新ガジェットが一堂に会した。その中でも一際大きな注目を浴びたのが「折り曲げられるスマホ」だ。商品化にこぎ着けたのは世界初という。

折り曲げられるスマホ「FlexPai」

スマホの画面サイズが大型化を続ける中、iPhone SEのような小型スマホを求める声は依然として多い。そこで登場した折り曲げられるスマホは、「大画面」と「コンパクト」を両立する夢のデバイスに見える。果たして普及の可能性はあるだろうか。

自在に折り曲げられるスマホ、中国メーカーが実現

折りたためる2画面のスマホというアイデア自体は、実はそれほど目新しいものではない。NTTドコモとZTEが共同開発した「M Z-01K」などは、現行モデルとして国内で販売中だ。

だが、従来の2画面スマホはヒンジを用いて2つの画面をつなげたものに過ぎなかった。その後、液晶とは異なる特性を持つ有機ELが登場したことで、ディスプレイを紙のように自在に折り曲げられることも夢ではなくなった。

有機ELの「曲げに強い」という特性は、多くのスマホに活用されている。サムスン電子のGalaxyシリーズが画面端を曲面にしたスマホを発売後、ソニーモバイルシャープもこの形状を採用している。

これを推し進め、開くとタブレットのような大画面、2つに折り曲げるとスマホサイズという端末の可能性が見えてきた。そして2018年10月、中国のRoyoleが、世界で初めての折り曲げられるスマホ「FlexPai」を商品化したのだ。

中国Royoleのブース。フレキシブルディスプレイを使った様々な製品が並んだ

CES 2019では韓国のLG電子が巻き取り式のテレビを発表するなど、「曲がるディスプレイ」が会場全体で話題になっていた。そうした下地もあって、Royoleの出展ブースには来場者の行列が絶えず、展示機がバッテリー切れを起こすほどの盛況となっていた。

実用性はさておき、スマホの進化の可能性を示した

FlexPaiの特徴は、開いた状態ではタブレットに近い形状になり、そこから自由に折り曲げできる点にある。従来の2画面スマホとは異なり、広げた状態でも画面の境目がないため、タブレットと同じ感覚で利用できる。

広げた状態ではタブレットのように使える

メーカーが挙げるメリットは、複数のニーズごとの端末を1台に集約できることだ。大画面が欲しい人の中には、スマホとタブレットを両方持ち歩いている人もいるだろう。だがFlexPaiなら持ち歩くのは1台で済むというわけだ。

折り曲げた状態では一般的なスマホと同じように使える

折り曲げというギミックから、耐久性に不安を覚えるものの、20万回程度の折り曲げに耐えられるという。ただ、折り曲げると厚みが出るため、スマホのようにコンパクトに持ち歩くことはまだ難しい。

アプリの対応も課題だ。FlexPaiを折り曲げた状態では「表面」と「裏面」に加え、折れ曲がった「エッジ」の3画面を利用できる。FlexPaiの魅力を引き出すには、これら3画面を活用するようなアプリの登場が待ち望まれる。

そこでRoyoleは、FlexPaiをアプリ開発者向けに1,318ドルの価格で先行販売している。まずは開発者にデバイスを手に取ってもらい、どのような活用方法が考えられるか、アイデアを募っていく段階といえる。

会場で実機を試した印象だが、現段階での折り曲げスマホは実用的とまではいえないと思えた。しかしRoyoleという会社の名前を世界に知らしめ、フレキシブルディスプレイの技術を示したという意味では、この発表は大成功を収めたといえるのだろう。

また、サムスン電子など大手スマホメーカーも折りたたみや折り曲げ端末の開発を進めており、グーグルはAndroid OSとして公式サポートを表明している。スマホの次なる進化の可能性を真っ先に示したFlexPaiを、この場の実用性で語るのはお門違いなのかもしれない。

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

森口将之のカーデザイン解体新書 第12回

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

2019.01.18

国内主要メーカーの内装デザイナーが集まり展示会を開催

テーマは“1kgの価値”をどこまで高められるか

実車に応用できる? 独創的な作品の数々

国内主要自動車メーカー8社のインテリア・カラーデザイナーが参加する団体「JAID」が初の作品展を開催中だ。“1kg”という重さにこだわり、最新の3Dプリンターを駆使して各社のデザイナーが生み出した作品は独創的で、会場の「GOOD DESIGN Marunouchi」(東京・丸の内)は小さな現代美術館のような雰囲気になっている。

ダイハツ工業のデザイナーが出品した「受け継がれる樹脂」という作品

雑誌の対談が契機となり生まれた「JAID」

「JAID」という名前を初めて目にした人も多いだろう。「ジャパン・オートモーティブ・インテリア・デザイナーズ」の略で、「ジャイド」と読むそうだ。

創立のきっかけとなったのが、自動車雑誌「NAVI CARS」(ナビカーズ)での対談だったと聞いて、「あの号だ!」と即座に思い浮かんだ。クルマのインテリアを特集したナビカーズの2015年7月号で、筆者も別の対談に参加させていただいていたのだ。その号に国内メーカーのインテリアデザイナーが語り合うページがあったことは記憶の片隅に残っていた。

雑誌の売れ行きが落ちているといわれて久しい。それだけに、1つの雑誌の企画からJAIDのようなコミュニティが生まれたことは、モータージャーナリズムに身を置く者として嬉しい気持ちになる。

日産自動車のデザイナーが出品した「∞ Fluff」

価値ある1kgの創造に挑んだデザイナーたち

そのJAIDが企画したのが「1kg展」だ。なぜ“1kg”にこだわるかといえば、クルマの開発に携わる人たちにとって切実な「kg単価」という指標に理由がある。

「kg単価」とは、クルマの開発で使われる値段の単位だ。インテリアデザイナーとしてはkg単価が高い、いわゆる良い素材を使いたいという気持ちは大きいだろう。快適性や安全性の追求、さらには電動化への対応、重量の削減といった視点も持ちながら素材を選んでいるはずだ。

しかし、贅を尽くしてばかりでは車両価格の上昇を招くので、妥協が必要になる。おそらくインテリアデザイナーは、このような状況で悩みながら、新しい素材や仕立て、色などを取り入れるべく、奮闘の毎日を過ごしているのだろうと想像している。

では、そういった制約がなくなったとき、デザイナーたちはこのkg単価をどこまで価値あるものに仕上げられるのだろうか。これが、今回の展示会のテーマだ。最新の3Dプリンターを駆使し、時間や空間、物質としての限界などを飛び越えた作品を独自の着眼点で製作すると同時に、広くカーインテリアデザインの魅力を伝えたい。そんなメッセージのこもった展示会なのである。

ホンダのデザイナーが出品した「風速1kg」

素材と色のコーディネートが味わえる「ハンバーガー」

会場のGOOD DESIGN Marunouchiは、2013年度から通算5回、今年度も含めてグッドデザイン賞の審査員を担当している筆者にとってはなじみ深い場所だ。ところが、「1kg展」の内覧会を訪問した時には、状況がまるで違っていた。いつもは展示物をゆったりと眺めることができる空間なのに、この日はラッシュ時の駅のようにごった返していたのだ。それだけ、インテリアデザイナーの斬新な発想に期待する人が多かったということだろう。

日産のデザイナーが出品した「4D flower」。「1kg展」に作品を持ち寄ったのは、国内大手自動車メーカー7社(ダイハツ工業、ホンダ、三菱自動車、日産自動車、スバル、スズキ、トヨタ自動車)だ

作品の中には、クルマのインテリアデザインとは関係なく、最新の3Dプリンターならではの表現能力の高さをアピールするような作品も見られた。それらを業界の枠を飛び越えた独創的な作品と捉える人もいたようだが、クルマが好きで今の仕事に携わっている(はず)の方々だからこそ、もっとインテリアにこだわって欲しかった。

ただ、クルマのインテリアとの関連性が高い作品が大半を占めていることは確かで、中には独創的な発想や興味深いアイデアも見られた。本稿では独断と偏見で、そのうちの3つを紹介していこう。

まずは、会場の入り口近くに置かれていた「CMFバーガー」だ。「CMF」とはカラー、マテリアル、フィニッシュの頭文字で、ナビカーズでの対談が行われた頃から、自動車に限らずデザイン分野でひんぱんに使われるようになってきた言葉だ。造形だけでなく色や素材、仕立てにも気を配ることで、より完成度の高いデザインが生まれるというような意味が含まれている。

「CMFバーガー」はトヨタのデザイナーが出品

この作品は、CMFのコーディネートを1kgのハンバーガーに見立てて表現したもの。レザーのバンズ、クリアレンズのトマト、加飾素材のチーズやパティ、シート素材のレタスがさまざまな色で用意してあり、好みのバーガーを作り出せる。

3つの作例では、CMFの違いでかなり雰囲気の異なるバーガーを作れることが分かった。バンズを肉抜きタイプにすると総重量が1kgを切るなど、計量化を実感できる仕掛けも盛り込んである。ディーラーが車種別にCMFハンバーガーを用意すれば、顧客は楽しみながらカラーコーディネートを試すことができるかもしれない。

ディーラーに「CMFバーガー」が置いてあったら面白いかも

インテリアをボールにした斬新な作品も

続いて紹介するのは「トランスフォームステアリング」。自動運転が実用化された未来を想定した変形機構を持つステアリングで、手動モードでは伸びて操舵できる状態となり、自動モードでは縮めて格納しておける。全てがマットブラック仕上げだが、グリップ部分、変形部分、外枠部分を別のメーカーのプリンターで製作することで、素材の違いを表現している。

トヨタのデザイナーが出品した「トランスフォームステアリング」

製作したデザイナーはステアリング機能だけを想定していたようだが、左右のグリップをねじることでアクセルやブレーキの操作ができれば、この部分だけで基本的な運転操作ができる合理性の高いインターフェイスになると思った。ペダルがなくなれば、室内レイアウトの自由度も高まりそうだ。

伸ばせば手動運転に使えるし、自動運転中は縮んだ状態で格納しておける

最後は「インテリアボール」だ。写真を見てお分かりのとおり、クルマのインテリアを構成するパーツをボール状のアートとして表現したもので、多くのパーツをまとめ上げ、世の中というフィールドにデザインを“投げ”かけているインテリアデザイナーの仕事をボールの形に込めたのだという。

「インテリアボール」はホンダのデザイナーが手掛けた

展示してあるのは1個だけだが、スポーツの世界では競技によってサイズの違うボールを使うことにも製作者は着目している。使用する材料や加工方法を変えることで、同じ1kgでもサイズや見え方の違った表現ができるそうだ。

しかしながら筆者には、これがボールではなく卵に見えた。卵から生まれる前のクルマ、そのインテリアデザインは、こうなっているのではないかと想像したのだ。同じクルマのエクステリアデザインを卵の殻で表現することで、多くの車種を球形にできれば、一風変わったミニチュアになるのではないだろうか。

JAIDが企画した1kg展の作品群は、それ自体が柔軟かつ斬新な発想から生まれているだけでなく、見ているこちらも創造力が掻き立てられるものだった。この展示会を訪れて、日本の自動車メーカーにインテリアデザインの実力者が多いことに感心するとともに、メーカーには、この実力を引き出して製品に結び付ける能力が求められていることを教えられた。

1kg展の会期は1月25日まで。入場は無料だ。時間に余裕のある方は、一度訪れてみてはいかがだろうか。