今頃なぜ? ノートパソコンのChromebookが注目されている理由

今頃なぜ? ノートパソコンのChromebookが注目されている理由

2017.03.25

グーグルのChrome OSを搭載したノートPC「Chromebook」が、盛り上がりの兆しを見せている。PC市場ではWindowsとMacがシェアの大半を占めており、付け入る隙はないようにも思えるが、Chromebookのどこに優位性があるのだろうか。

米国の学生にヒット、実は企業ユーザーも

Chromebookが大規模に普及しているのは、教育機関だ。グーグルによれば世界で2000万人の生徒がChromebookを利用しているという。特に爆発的に売れているのは米国だが、その成功が波及効果を生んでおり、米国以外の文教市場にもChromebookの進出が始まっている。

デルが日本の文教市場向けに発売した「Chromebook 3180 Education」

大学生のレポート作成など、特に高等教育の現場ではキーボードの需要が高いという。その点、Chromebookはキーボードを搭載したノートPCでありながら、WindowsやMacよりもシンプルで価格も安い。多少手荒にあつかっても壊れない頑丈さを売りにする製品も多い。

米軍「MIL規格」の耐久性を備え、手荒な扱いにも耐える

また、WindowsやMacのCPUはほとんどインテル製だが、Chromebookでは省電力で安価なARMアーキテクチャのCPUにも対応する。プロセッサーの選択肢が広いこともChromebookの隠れた特徴だ。

学生向けだけでなく、企業ユーザーからの引き合いも高まっている。ChromebookからリモートのWindows環境にアクセスし、あたかもWindows PCのように業務アプリなどを利用する「シンクライアント」として導入されているという。

なぜ、Windows PCを使わずにわざわざリモートから接続するのか。接続先のWindows環境はクラウド上で集中的に管理されており、業務で扱うデータがクラウドの外に出ることはない。Chromebook本体には一切データが残らないため、紛失時のリスクが大幅に下がるというわけだ。

Chromebookの「Androidアプリ対応」が始まった

2017年には、Chromebook自体も大きく進化しようとしている。新たに「Androidアプリの動作」に対応したからだ。

これまでのChromebookは、Chromeブラウザーと専用のアプリが動作するシンプルなプラットフォームだったが、いまひとつ広がりに乏しかった感がある。だが2016年にグーグルはAndroidアプリ対応を発表。AcerやASUS、サムスンなどPCメーカー各社がAndroidアプリの動作をサポートしたChromebookを次々と発表している。

Chromebookに「Google Playストア」からAndroidアプリをインストールできる

Androidはスマートフォン市場で大きく成功しており、世界では8割以上のシェアとの調査もある。だがタブレット市場ではまだまだiPadが強い。Windowsタブレットも勢いを増す中で、Androidはいまひとつ方向性を打ち出せていない。背景には、キーボードと組み合わせて使う「2-in-1」のトレンドに乗り遅れたことがある。

そこで注目したいのが、Chromebookだ。Androidアプリを快適に使おうとすれば、画面のタッチ対応は必須になってくる。サムスンが2017年1月にCESで発表した新製品のように、タッチ対応で2-in-1型のChromebookが徐々に増えているのはそのためだ。

サムスンの最新Chromebookは「2-in-1」型になった

2-in-1ではWindows PCに一日の長があるとはいえ、実際に使えるのはデスクトップアプリばかりで、タブレット用のWindowsアプリは一向に増える気配がない。タブレット用が比較的充実しているAndroidアプリが加われば、Chromebookの魅力は一気に増すことになりそうだ。

トータルではPCより生産性が高い可能性も

いま、仕事に使うPCといえばWindowsやMacが大半を占めている。たしかにPCの生産性は高いが、OSの複雑さから来るセキュリティ対策やメンテナンスのコストは無視できない。いざ使おうとしたらアップデートが始まってしまった、という経験がある人も少なくないだろう。

その点、Chromebookはシンプルでメンテナンスの手間が小さく、トータルで見れば生産性向上に寄与する可能性がある。企業の現場では「若者のPC離れ」がしばしば問題になるが、Chromeブラウザーを中心としたAndroidに近い操作性はスマホ世代の若者とも相性が良い。

常にデスクトップのExcelやPowerPointが欠かせないといった職場環境では難しいが、たまにWindowsアプリを起動したいという程度なら、集中管理されたWindows環境をリモートから利用するのが合理的だろう。これからは社内PCをChromebookに統一することで生産性向上を図る、という手も検討する価値がありそうだ。

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2019.06.17

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カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu