SXSWにマツダ? 映画と音楽の祭典で自動車会社が訴えたかったこと

SXSWにマツダ? 映画と音楽の祭典で自動車会社が訴えたかったこと

2017.03.25

毎年3月、米国のテキサス州オースティンで開催されるSXSW。このイベントのスーパースポンサーを務める唯一の日本ブランドがマツダだ。音楽祭や映画祭をルーツとするSXSWに、なぜ自動車メーカーが参加しているのか。現地に足を運ぶことで、音楽や映画との共通点が浮かび上がってきた。

なぜマツダがSXSWに?

さまざまなテーマを包含する祭典、共通項はクリエイティブ

SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)というイベントは毎年3月、テキサス州の州都オースティンで開催されるイベント。名前はアルフレッド・ヒッチコック監督の名画の1つ「北北西に進路を取れ(原題:ノース・バイ・ノースウエスト)」から取っているという。

SXSWは1987年に音楽祭として始まった。1994年からは映画祭を同時開催しているが、転機となったのは4年後、インタラクティブフェスティバルという名称でIT関連の展示会や講演会が加わったことだ。

今年からはコメディも加わり、SXSWミュージック、SXSWフィルム、SXSWインタラクティブ、SXSWコメディの4ジャンルからなる、世界的に見ても珍しいクロスオーバーなイベントになっている。音楽や映画とIT。対照的に思えるテーマだが、クリエイティブという方向性は共通している。よって、同じイベントとして開催しているようだ。

SXSWは会場設定も独創的だ。オースティンのダウンタウン(中心部)にあるコンベンションセンターのほか、周辺のライブハウスやイベントスペースでもライブやカンファレンスが行われるからである。おかげで、会期中のオースティンは朝から晩まで多くの人で賑わっている。

米国のダウンタウンと言うと、都市によっては昼間であっても外出を避けたくなるような危険な雰囲気を漂わせるところもある。しかし、オースティンは逆に、筆者の経験では米国の中でもっとも安心して過ごせる都市の1つである。SXSWがこの雰囲気に貢献していることは間違いない。

SXSWの開催地、オースティンの土地柄

なぜSXSWはオースティンで始まったのか。この都市にテキサス大学オースティン校という名門大学があることが大きい。

テキサス大学はオースティンのダウンタウンに隣接している。よって、ダウンタウンでは昔から、学生を中心とした音楽や映像のクリエイティブなムーブメントがあった。これがSXSWに発展したようだ。

一方で、テキサス大学は先端技術の研究開発でも有名だ。自治体側もそれは熟知しており、産学連携での研究所の誘致を積極的に進めている。いまではシリコンバレーに続くIT研究施設の集積地となっているほどだ。

こうした背景もあり、オースティンでは学生たちが興したスタートアップも数多く生まれている。これがSXSWにインタラクティブフェスティバルを組み込むきっかけになったようだ。

会場では試乗会も実施! マツダの狙いは

このSXSWで個人的に注目したのは、スーパースポンサーとして、マクドナルドやモンスターエナジーなどとともに、マツダの名があることだった。正確にはマツダの米国法人がバックアップしているそうだが、日本の自動車ブランドが関わっていることは嬉しい驚きだった。

そこで筆者はオースティンに赴き、メイン会場であるコンベンションセンターに向かった。入口の前には新型「CX-5」と「アテンザ(現地名:マツダ6)」が置かれていた。そして、建物に入るとマツダのブースもあった。マツダのクルマづくりをパネルなどで展示するとともに、アンケートも行っていた。ブースのスタッフに聞くと、同乗試乗会の受付だという。

マツダのブース

そこで再び表に出ると、多くの人が並んでいた。そこにアクセラや北米専売車種「CX-9」などが停車し、助手席や後席に人を乗せるとダウンタウンへ向け走り出していった。このあたりは自動車会社ならではの演出だ。

SXSWで試乗会を実施

さらにマツダは、ダウンタウンのライブハウスも会場としていた。そこでは連日ライブが開かれる一方、カンファレンスも行われた。

カンファレンス会場では、「魂動」や「人馬一体」などのマツダを体現するキーワードが見られた

スクリーンには「魂動」の2文字が写し出され、手前には新型車のスタイリングを検討するクレイモデルが置かれていた。会場の脇には今年のSXSWでトレンドになっていたVR体験コーナーがあり、こちらでは「人馬一体」の走りを味わえるようになっていた。

映画、音楽、自動車を結びつける共通点

カンファレンスではマツダデザインアメリカでエクステリアのデザインマネージャーを務めるイーサン・ソン(Ethan Song)氏がプレゼンを実施。英語で表せばソウル・オブ・モーションとなるマツダのデザイン・コンセプト「魂動」について、ソン氏はクラフトマンシップが基本にあり、人間を中心に据えたものづくりの結晶であると説明していた。

ソン氏に続いてはマツダデザインアメリカのモデラーが登場し、クレイを削り始めた。フェンダー部分にエッジが現れ、そこへ至る面がキレイな曲面を描いていく。 その後は来場者を対象とするクレイの体験会に。自分の手で削るという行為を通じて、来場者はマツダデザインの精神を感じたかもしれない。

クレイモデリングを体験する来場者

カンファレンスの後、ソン氏にSXSW参加の背景を聞いた。同氏の話によると、マツダのデザインは人間が作り出した、情熱を感じさせるものであり、他の多くの量産車との違いをアピールすべく、3年前からSXSWに参加しているという。自動車というとテクノロジーの結晶と思われがちだが、マツダのデザインは音楽や映画と同じように、人の手で作り出されているというわけだ。

現在は3Dプリンターで形を作っていくことも可能だ。しかし、マツダでは人の手から生まれるクレイを大事にしており、じっくりスタイリングを決めていく。2Dのスケッチから3Dのクレイに移行させていくプロセスが、パッション(情熱)を生み出す原動力だとソン氏は語った。

あえてデザインに焦点を当てたマツダ

マツダ以外の自動車ブランドでは独スマートが出展していた。小さなイベントスペースをブースとし、新型「フォーツー」の電気自動車を展示するとともに 、スマートが世界で展開しているカーシェアリングサービス「CAR2GO(カーツーゴー)」などについてカンファレンスが行われていた。

スマートの展示

つまりスマートは、環境対応型テクノロジーやインフラに焦点を当てた参加だった。現在の自動車会社としては王道と言える。しかしマツダは、デザインにスポットを当て、クリエイティブな部分をアピールすべく、クレイモデルまで持ち込んだ。SXSWはさまざまなクリエイターがインタラクティブに交流する場。マツダのスタンスは、その空気感に合っていた。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu