話題の割に奮わず、リストバンド型ウェアラブル普及の新たな道とは?

話題の割に奮わず、リストバンド型ウェアラブル普及の新たな道とは?

2016.03.01

近年、スマートウォッチとともに注目を浴びてきたリストバンド型デバイス。スマホのコンパニオンデバイスとして、国内外のメーカーが多数の製品を発表し、携帯キャリアも販売に力を入れてきた。しかし、話題の割には奮っていないのが現状だ。それはなぜか。打開策はあるのか。

リストバンド型デバイスとは?

手首につけて使用するリストバンド型デバイス。各種センサーを搭載し、歩数や距離、消費カロリー、睡眠モニタリング、心拍数の測定ができるのがおおよその共通機能だ。海外からはナイキの「FuelBand」、ジョウボーンの「UP」、サムスンの「Gear Fit」、国内ではソニーの「SmartBand」、東芝の「Actiband」などといった製品が販売されている。

リストバンド型ウェアラブルは普及するか。写真左:東芝の「Actiband」、写真右:ジョウボーンの「UP3」(第2回ウェアラブルEXPOにて撮影)

いずれもスマホと連動して測定データをアプリで閲覧・管理できるのが特徴で、最近では、時刻表示を可能にしたものもあり、スマートウォッチも同様の機能を備えることから、両者の区別はあいまいなものになりつつある。

こうしたリストバンド型デバイスは、スマホ連動の機器として、市場の拡大が見込まれたが、実際は厳しい。MM総研が昨年3月に発表した「日米におけるウェアラブル端末の市場展望」で時計型・リストバンド型の販売台数(予測)によると、2013年度は21万台、2014年度は37万台の販売台数。2015年度はApple Watchの販売開始により73万台に急増と予測、2016年度は94万台と拡大傾向にある。

上記の数値は、いわゆる"スマートウォッチ"も含むが、スマホが国内人口の6割に行き渡り、2013年度から2015年度まで時計型・リストバンド型の販売台数を120万台とみても、60人に1人が購入したに過ぎない。いずれにせよ、足元は100万台程度の市場を少なくとも数十のメーカーが複数の商品をもって売り込む激戦状態にあるといえるだろう。

普及の阻害要因とは

心拍データが何を意味するのかをユーザーが考えるのは難しい。画像はApple Watchで測定したもの

話題の割に、なぜ伸びが緩やかなのか。その理由を一言でいえば、特定の利用者にしか、大きなメリットがないからだ。搭載されている機能は、スマホともダブる。心拍数の測定(一部の機種には同機能も搭載されている)はさておき、歩数、歩行距離はスマホで計測できてしまう。

あるメーカー担当者は、消費者へのメリット訴求の限界を指摘する。健康面でのメリットを訴求しようにも「歩数、距離、心拍数が測定できても、それが何を意味するのかを伝えにくい。歩数などの測定項目からの効果の有無については、法律上表現が規制されている。効果については謳えない。医師と連携するなどメリットを強く出せないと厳しい」(某メーカー担当者)と話す。

リストバンド型ウェアラブルの位置づけは、あくまでもフィットネス機器。医療機器としてのポジションを確立したいというメーカーの思惑も見えてくるが、実際には厳しい。「デバイスの能力は問題ないが法規制の壁が高い」(医療機器に詳しい大学教授)のが現状で、医療機器としての販売にこぎつけるには「コスト・時間が多大にかかってしまう」(デバイス認証機関)という。

そこで現状、各社が訴求を図るのが、機能との親和性が高いスポーツ分野だ。スポーツにおいては、心拍数の測定でトレーニングの負荷・強度が測ることができ、利用者にとってのメリットを見出しやすい。しかし、市場拡大、普及という観点から、スポーツ用途のみを想定していたのでは、伸び代は限られてしまうだろう。

法人向けに活路

普及に向けては大胆な意見もある。先とは別のメーカー担当者(輸入代理店)は、「日本の医療費負担が上がれば、"予防"に意識が向き、一般層への普及もありえる」と話す。リストバンド型ウェアラブルは欧米で普及が進んでいるが、それは医療費負担と切り離せない問題があるからだ。

同氏の意見は正論だが、販売側がどうこうできる問題でもないのが痛いところ。しかし、同氏は続けて、法人向けに活路があると話す。「2014年は7法人に販売したが、2015年になってから販売先は40法人に膨れ上がった。一法人あたり100~200個程度出荷している」(輸入代理店担当者)。当の担当者によると、リストバンド型デバイスの機能を利用して、睡眠時間などを把握し、従業員が規則正しい生活送れているか否かのチェックに役立てたいというニーズが高まっているという。

最近では、従業員の健康を重要な経営資源ととらえる「ウェルネス経営」という手法が注目されており、リストバンド型デバイスは、それを実現するデバイスとも位置づけられそうだ。個々人のログの取得が別の問題をはらむ恐れはあるが、普及・拡大に向けたひとつの道にはなるだろう。

万人ウケする動機付けが必要

さらなる普及拡大に考えを巡らせるなら、もっと意外なものが答えになるかもしれない。それは生命保険だ。たとえば、リストバンド型デバイスから得られるバイタルデータを生命保険の保険料負担と連動させる仕組みについてだ。業界関係者は「どういったバイタルデータをどう保険に反映するのかという課題はあるが、そうした保険商品の実現の可能性としてはありえる」と話す。

現状、リストバンド型デバイス普及の課題は、万人ウケする購買動機が弱いことだ。生命保険のようにお金に絡むメリットは、多くの人にとって明確な利用メリットになりえるため、普及に向けた弾みとなる可能性はありそうだ。

日本よりも米国でリストバンド型デバイスが普及しているのは、医療費負担が高いという事情は先に説明したとおり。リストバンド型デバイスの普及には、いままでにない利用者にとっての新しい価値と仕組みが求められそうだ。

Googleマップが突然の劣化、ゼンリン地図から自社地図に変更か?

Googleマップが突然の劣化、ゼンリン地図から自社地図に変更か?

2019.03.22

Googleマップが壊れた? 3月21日以降、表示がおかしい

地図のダウンロード機能でゼンリンと決裂したか?

新しい地図は機械学習で地図データ生成という指摘も

Googleマップの表示がおかしい。3月21日頃から、Googleマップの不具合を訴える声が各所で相次いでいる。道路の表示や建物の位置が正確でなかったり、地形すら間違っている場所もある。Googleマップにいったい何が起こったのか。

地図データの提供元がゼンリンではない?

Googleマップの日本地図データはこれまで、地図データで国内大手のゼンリンから提供を受けていた。両社の契約状況は公開されていないが、少なくとも不具合が発生している現在のGoogleマップ上からは、以前までは記載されていたゼンリン社の権利表記が消え、「地図データ (C)2019 Google」へと変更されている。

Googleマップからゼンリン社の権利表記が消えた

Google社は今月のはじめ、今後「数週間以内」に、日本のGoogleマップをアップデートすると予告していた。このアップデートでは、特にダウンロード可能なオフラインマップを追加することに注目が集まっていた。オフライン環境でもダウンロード済みの地図を利用できる便利な機能だが、地図データの契約上の課題があり、日本のGoogleマップでは制限されていた機能だからだ。結局、両社は契約の課題を解決できず、ゼンリンが地図データ提供から降りてしまったことが、今回の不具合の原因と見られる。

新しい地図は使い物になるのか?

現在のGoogleマップは、Googleが新規開発した自社製の地図データを利用しているようだが、いまだに不具合が報告され続けている状態状態であり、混乱が収束する目途は見えていない。

なお、この新しい地図は、航空写真で山脈の陰部分が湖になっていたり、並木の多い道路が公園になっていたりする間違いや、ほかにも交差点に面したコンビニエンスストアの駐車場が道路と語認識されていたりすることから、航空写真をもとにした機械学習や、スマホ位置情報の移動軌跡から地図データを生成しているのではないかと指摘されている。

航空写真では山の陰になっている部分が、川と湖になってしまっている
地図では鎌倉街道から大栗橋公園を抜ける道があるが、実態はただの公園広場だ。スマホ位置情報の移動実績をもとに道と認識したか?

新しい地図の仕組みや改善の見込みについては、Google側のアナウンスを待つほかないわけだが、GoogleマップはAndroidの標準地図として利用されており、影響を受けるユーザーがあまりにも多い。他の地図サービスを駆逐して大きな影響力を持っているのだから、責任も伴うはずだ。

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ペットボトルコーヒーに対抗? キリンが目指す「午後の紅茶」

ペットボトルコーヒーに対抗? キリンが目指す「午後の紅茶」"仕事のお供"戦略

2019.03.22

「午後の紅茶」に微糖のミルクティーが登場

新CMでは無糖・微糖を中心に新しい飲用シーンを訴求

ペットボトルコーヒーに対抗? 今後の戦略は

昨年まで、ビジネスマンの仕事のお供として「ペットボトルコーヒー」に注目が集まっていたが、今年は「紅茶」が主戦場になるかもしれない。

3月26日より発売されるキリンの「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」は、これまでの“ペットボトルのミルクティーは甘い”というイメージに反して、缶コーヒーでいちカテゴリを築いている「微糖」が特徴。また、同社が長らくカテゴリ内最大シェアを誇る「午後の紅茶 おいしい無糖」についても、あらたな消費イメージを打ち出す方針だ。

今春から「午後の紅茶」新CMに出演する新木優子さん、深田恭子さん、リリー・フランキーさん

ペットボトル紅茶飲料のトップブランドと言える「午後の紅茶」。この春から公開する新CMには、既存の紅茶飲料のイメージを覆す狙いが透けて見えた。

2つの軸で「紅茶」のイメージを変える

紅茶飲料のイメージと言えば、「午後の紅茶」の名前の由来となっている「アフタヌーンティー」(英国発祥の喫茶習慣)に象徴されるように、「女性の飲み物」であり、「時間的・金銭的余裕がある人の趣味」というところだろうか。それも紅茶という商品のひとつの側面だが、近年の消費者層のメインストリームではなくなっている。

今回、キリンが「午後の紅茶」新CMで打ち出したのは、大きく分けてふたつの飲用イメージだ。深田恭子さんが仕事で車を走らせ、駐車して一服するのに選んだのは微糖のミルクティー。一方、アーティスト然としたリリー・フランキーさんが飲んでいるのは無糖の紅茶。2本ともに「仕事のお供」としての訴求が挙げられる。

車を止め、「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」をひとくち飲む
絵を描く合間にのどを潤すのは「午後の紅茶 おいしい無糖」

もうひとつは、おなじくリリー・フランキーさんがカレーと紅茶飲料を一緒に味わうというCM。過去には同社の無糖紅茶が「おにぎりに合う」と訴求したこともあるが、あらためて食事中の飲料として「フードペアリング」を提案する。

カレーのような香りの強い食べ物とも合わせられる点を訴求
最年少の新木優子さんは、無糖紅茶を飲むようになった自分を「大人になった」と評するCMに出演。若者への無糖紅茶訴求を担う

紅茶を、コーヒーや緑茶と並ぶカテゴリに

カフェなどでは食後の飲み物をコーヒーか紅茶から選ぶのが定番だが、ペットボトル飲料市場では状況が異なる。コーヒーに次ぐ大規模市場は緑茶飲料で、紅茶はそこから比べるとかなり小規模だ。日本全体の清涼飲料市場で見れば、そのシェアは5%以下。仕事中の飲料としてメジャーなコーヒーが14.5%、緑茶飲料が13.3%という数字を見ると、半分以下という状況となっている。

清涼飲料市場において、紅茶はコーヒー、緑茶と比べて市場が小さい

こうした市場背景を確認した上で、今後「紅茶を、コーヒーや緑茶などの無糖茶と並ぶカテゴリに成長させたい」と意欲を示したのは、午後の紅茶を担当するキリンビバレッジ マーケティング部 商品担当 部長代理の加藤麻里子氏。世界での紅茶飲料と茶葉生産量の伸び、国内紅茶市場の回復傾向を論拠に、RTD紅茶のトップブランドとして、新しい紅茶文化を創っていきたいと語った。

「午後の紅茶」ブランド全体としては、既存の定番3種は甘さを求める若年層に対して継続投資を実施。甘さから離れる20代~30代の働く女性に向け、紅茶飲料としては珍しい「微糖」の新製品「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」を投入する。

午後の紅茶ブランドにおける年代別の主要商品マッピング

また、30代後半意以降の年代を健康意識や嗜好の変化から「糖離れ・無糖飲用層」と位置づけ、すでに市場で受け入れられている「午後の紅茶 おいしい無糖」の訴求強化を行っていく。

狙うはペットボトルコーヒーへの「対抗」ではなく…?

「2年前までコーヒーのCMをやっていたのにどのツラ下げて…というのはありますが」と茶化しながらも、自分のような「おじさん」にこそ紅茶は飲みやすいとコメントしたリリー・フランキーさん

製品ごとに異なる年齢層を狙って投入される新CM。「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」のCMでは、商品をことさらには誇張しない画面作りやキャスティング、出演者の自然体な演技とは裏腹に、「コーヒーから寝返っちゃおうかな」(リリー・フランキー出演「寝返り」編)、「ラテよりこっちかな」(深田恭子出演・「裏切られた」編)など、“コーヒー飲料からの転向”を示唆するようなセリフが目立つ。

働く大人がコーヒーから紅茶に「乗り換え」することを示唆するCMは、ここ2年でワーカー向けのペットボトル飲料の拡大を牽引し、ちょうど先日同ブランドから紅茶飲料を発売したサントリーの「クラフトボス」をはじめ、昨今増えているワーカー向けのコーヒーペット飲料に対する宣戦布告にも読める。だが、加藤氏にペットボトルコーヒー飲料のヒットに紅茶で対抗する構えかどうか尋ねると、決してそうではないという。

「今やひとつのカテゴリとなっているペットボトルコーヒー飲料も、複数社から新商品を展開し、協力して棚の広さを獲得した経緯があります。現状、紅茶飲料の棚は一段程度ですが、これを各社協力して2段へと増やしていきたいです」 

オフィス需要に対して、企業とコラボレーションし飲用機会を設ける試みも

また、「仕事のお供」需要を喚起する施策として、三菱地所に対して仕事中の飲料として「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」を提供。働き方改革推進企業とコラボレーションし、オフィスでの休息機会に手に取る飲料として配布する。今後、他の企業からオファーがあればそちらにも対応するとのこと。想定シーンに対して直接サンプリングすることで、需要の広がりを見込んでいる。

「午後の紅茶」は、日本国内の紅茶飲料としてはNo.1ブランドの地位を獲得しているだけに、紅茶飲用の文化を牽引して、先述の通りコーヒー・緑茶に並ぶ市場規模への拡大を狙っている。

昨今はスターバックスの「TEAVANA」、タリーズコーヒーの紅茶業態などが定着しており、タピオカミルクティーブームも依然続くなど、カフェ業界でも紅茶に追い風が吹いている。今後、午後の紅茶が「コーヒー党」や「緑茶党」をどれだけ引き込めるか、注目したい。

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