iPhone好調で記録塗り替えたアップル、次なる課題は?

iPhone好調で記録塗り替えたアップル、次なる課題は?

2017.02.02

アップルは米国時間1月31日に、2017年第1四半期決算を発表した。決算発表のタイトルには1年ぶりに「Record」という文字が戻ってきた。

2017年第1四半期決算はiPhone 7の真価が問われた決算だった

売上高は予測を上振れ

2017年第1四半期決算では、売上高784億ドル、純利益179億ドル、希薄化後の1株あたりの利益は3.36ドルという結果だった。

前年同期は売上高759億ドル、純利益184億ドル1株あたりの利益3.28ドルという結果だった。利益率は前年同期の40.1%から38.5%へと推移している。

2016年第4四半期決算時の業績予測では売上高760億ドルから780億ドル、利益率は38%~38.5%となっていたことから、売上高は予測よりも高かった。

地域別に見ると、中国市場以外は前年同期比を上回っており、日本・中華圏以外のアジア太平洋地域で8%増、米国市場で9%増、そして日本市場は飛び抜けて成長し20%増となった。

しかし大中華圏は12%減とまだ回復とはほど遠いが、2016年中に前年比30%減という数字と比べれば、持ち直す兆しが見えてきた。カンファレンスコールでは、中国本土における売上は前年同期と変わらずだったとの指摘もある。

日本市場は2016年から、他の市場から飛び抜けた成長を見せてきたが、その傾向は引き続き継続している。

iPhone 7、iPhone 7 Plusが日本でもApple Payをサポートし、QUICPay、iD、Suicaといった日本でインフラが普及している電子マネーをサポートしたことも大きいが、後述する要素の影響も受けていると考えられる。

iPhone 7 Plusとともに効果的なiPhone SEとiPhone 6s

アップルの屋台骨を担っているのは引き続きiPhoneの販売だ。2017年第1四半期決算では、iPhoneは前年同期比で5%増の7829万台を販売し、やはり前年同期比5%増の543.8億ドルの売上高を記録した。総売上に占めるiPhoneの売上高は69%に達している。

iPhoneの販売推移(アップル決算資料をもとに編集部作成)
2017年第1四半期決算における製品別で見た場合の売上割合(アップル決算資料をもとに編集部作成)

カンファレンスコールでは、iPhone 7が最も人気のiPhoneながら、iPhone 7 Plusは2017年1月に需給を正常化するとのコメントもあった。

iPhone 7 Plusに限らず、より大容量のiPhone 7が販売されることは、アップルにとって、販売台数あたりの売上を大きくし、また原価率も低くすることができる。

特に先進国市場では今後、ハイエンドスマートフォンの飽和と買い換えサイクルの長期化が起きることから、1台あたりの価格の上昇は重要な指標となる。

主に決算資料では、販売台数の伸びよりも売上高の伸びが大きくなると、販売価格の上昇が起きていると予測することができる。

ところが、2017年第1四半期決算では、販売台数、売上高ともに5%の成長だった。つまり、前年同期と比べて、販売台数と平均販売価格の比率が大きく変わっていないことを示唆する。

そこで、2016年3月に投入したiPhone SEと、併売中のiPhone 6s・6s Plusの存在がある。iPhone 6sシリーズは、iPhone 7シリーズ発売以降、100ドル安く購入できるようになり、iPhone SEはiPhone 7シリーズよりも250ドル安い価格からで購入することができる。これらの販売台数増と、iPhone 7需要の販売価格上昇が釣り合っているとみている。

販売台数増とサービス部門の成長

iPhone自体の販売価格上昇は先進国市場では重要だが、iPhoneからの売上以上に将来的に重要なのがサービスからの売上だ。これにはApp Store、Apple Pay、Apple Musicなど、iPhoneユーザーからのデバイス以外の売上が含まれる。

サービス部門は717億ドルと過去最高の売上を記録し、前年同期比と比較して18%、前期比でも13%と継続した成長が続いている。

iPad、Mac、サービス部門の売上推移。緩やかながらもサービスが伸びていることがわかる(アップル決算資料をもとに編集部作成)

iPhoneそのものの販売価格が低下してでも、iPhoneの新規ユーザーを増やしていくことが重要な理由がここにある。販売台数が伸びることは、サービス部門の売上のパイを拡げることになるからだ。

App Storeは2008年開設以来600億ドルを開発者に分配してきたが、そのうちの200億ドルは2016年に分配した分だった。App Storeが今日成長の幅を大きくしていることが分かる。

またApple Musicも、2016年中に有料会員数2000万人を突破しているほか、Apple Payはユーザー数3倍、トランザクション数5倍に到達した。日本での導入は今後、これらの数字に有意な影響を与えていくことになると予測している。

余談になるが、日本ではiPhone SEの人気も高いため、日本での店頭や改札でのApple Pay利用に対応できるFeliCa搭載のiPhone SEを投入しても良いのではないか、と思う。

2017年のテーマは、iPadと中国

過去最高の売上やiPhone出荷台数などを記録した2017年第1四半期決算。アップルは非常に戦略的に、決算発表に「Record」の文字を取り戻してきた。

iPhoneは販売台数を十分に伸ばしており、Macは、MacBook Proの刷新によって、前年同期比で販売台数1%増、売上高は7%増を達成している。

また、AirPodsやApple Watch、Beats製品を含むその他の製品カテゴリは、前四半期に比べれば70%増となったが、前年同期と比較すると8%減に留まった。Apple Watch、AirPodsの品薄状態や出荷の遅れが響いたとみている。

それ以外にマイナスのカテゴリを探すと、iPadがある。前年同期比で販売台数19%減、売上高は22%減で、販売平均単価も下落してしまった。PCのリプレイス需要を目指すというiPad Proが思うように広まっておらず、製品の見直しが必要な段階に来ているとみている。

2017年第2四半期中なのか、それ以降になるのかはまだ分からないが、春先に新製品を投入して行くことが必要になるのではないか、と見ている。

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

2019.01.22

低温加熱式のJTがライバルと直接競合する高温加熱式に参入

専用リフィルも異なる3種類の製品で広範に網を張るプルーム・テック

海外市場でも兆し見えた加熱式たばこ、日本での成功がより重要に

日本たばこ産業(JT)が加熱式たばこの新製品、「プルーム・テック・プラス (Ploom TECH+)」「プルーム・エス (Ploom S)」の2製品を発表した。シェアトップのiQOSを追撃したいJTだが、ライバルに先行を許している今、どのような戦略を描いているのか。

JTが発表した加熱式たばこの新製品、プルーム・テック・プラス(左)とプルーム・エス

新たに高温加熱式に参入、ライバルと直接競合へ

新製品は、従来のプルーム・テックを改良したプルーム・テック・プラスと、シェアを争う「iQOS」(フィリップ・モリス)や「glo」(BAT)と同様の加熱方式を採用したプルーム・エスの2つ。iQOSとgloが高温加熱式であるのに対し、もともとプルーム・テックは低温加熱式と呼ばれる方式をとっていた。30度という低温で発生させた蒸気をたばこカプセルを通して吸うため、においが少ない一方、吸いごたえに乏しいともいわれていた。

低温加熱式で吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスと、高温加熱式のシェア奪取を狙ったプルーム・エスを投入

そこで、たばこ葉を増やすなどして吸いごたえを高めたのがプルーム・テック・プラスだ。その結果、本体が太く大きくなり、加熱温度も40度と少しだけ高くなったが、においの少なさはそのままに、吸いごたえをアップさせたことをアピールする。

プルーム・エスは高温加熱式を採用し、iQOSやgloと同様の吸いごたえを目指した。こうした高温加熱式は、たばこ葉を高温で蒸すことで蒸気を発生させるため、従来のたばことも異なる独特のにおいを発生させる。

JT副社長・たばこ事業本部長の岩井睦雄氏は、この独特の「におい」のせいでたばこの味わいに違和感を覚える喫煙者が多かったと話す。そのため、「満足度を高めるのは味わい」として、このにおいの低減に取り組んだという。

プルーム・エスでは、たばこ葉を熱する温度を200度に抑えた。これはiQOSの300度、gloの240度に比べて低く、これによって特有のにおいを抑えたという。

吸いごたえや加熱方式が異なる3製品をそろえる意味

JTは新製品投入後も既存製品の取り扱いを継続する。つまり、プルーム・テックのラインアップは3種類となる。iQOSも複数の製品があるが、こちらは機能の違いによって3種類に分けられており、プルーム・テックはそれに対して、吸いごたえや加熱方式によって異なる製品を用意したかっこうだ。

3つの製品を投入することで、選択肢を提供する

岩井副社長は「温度で選ぶ時代」と表現し、低温のプルーム・テック/プルーム・テック・プラスと、高温のプルーム・エスという選択肢によって「好みや生活環境、ライフステージの変化に合わせて、いつでも最適な選択ができる」ことを狙ったとしている。

たばこ事業本部長の岩井睦雄副社長

たばこ部分に互換性がないという問題はありそうだが、現在でも、においの少なさを重視して自宅ではプルーム・テックを吸いつつ、味わいを求めて喫煙所では高温加熱式の加熱式たばこ、と双方を使い分けている人が少なくない。そうしたユーザーに対して、「それぞれで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化に繋がる」(岩井副社長)と判断し、製品開発に取り組んだ。

加熱式たばこ最大市場の日本から、海外市場を見据える

岩井副社長は新製品でiQOSからシェアを奪取し、「中長期的にはRRPカテゴリでもシェアナンバーワンを目指す」と意気込みを語る。

「RRP」とは「リスク低減製品」のこと。「喫煙にともなう健康へのリスクを低減させる可能性がある」と位置づけられる製品だ。

日本では法律上、液体にニコチンを含ませて販売することはできない。電子たばこは、このニコチンを含む液体を蒸気化させるため日本で販売できず、結果、加熱式たばこが普及したという背景もある。加熱式たばこの市場規模では日本が世界最大だが、iQOSが韓国や欧州の一部で販売を強化しており、グローバルでの市場拡大を狙っている。

JTは海外ではlogicブランドで電子たばこを販売している。海外での電子たばこ事業はありつつも、まずは製品の国内ラインナップを拡大して加熱式たばこのシェア拡大を図るとともに、紙巻きたばこを含むすべての製品の価値を向上させることで、市場の拡大に繋げたい考えだ。「日本での成功がグローバルでの成功につながる」と岩井副社長は強調する。

紙巻きたばことRRP製品の双方を拡充する
日本では加熱式、海外では電子たばこを提供中

紙巻きからの移行、数年以内に大きな山場

2018年は加熱式たばこが踊り場を迎えたと言われた。日本ではここ数年で急激に加熱式たばこの普及が進んだが、市場シェアが20%を越えたところでユーザー需要は一巡したとみられる。

ただ、プルーム・テックの全国販売の開始や、他社では直近のiQOSの新モデル投入などを経て、その動向から、需要の伸びは「足踏みしていたが、止まったわけではない」(岩井副社長)との認識にあるという。加えて、紙巻きたばこによる健康懸念の高まりや、オリンピックによる喫煙場所の規制といった外的要因もあり、「必ずシガレット(紙巻きたばこ)からRRPに移ってくる」(同)という見通しだ。

課題は、紙巻きたばことは異なり、デバイスを購入しなければならないというハードルの高さだ。一度購入した後、他社のデバイスへ移行しづらいという難題につながる。

他社の後追いとなった高温加熱式では、「差別化のポイントをしっかりと伝えていく」ことで買い替えを促進する。JTが主導する低温加熱式では、「若干下方修正したが、手応えも感じている」と岩井副社長は説明する。今後は製品の良さをアピールするために、喫煙者に直接説明をする営業スタイルを重視していく方針をとるそうだ。

JTは日本市場で紙巻き、加熱式のいずれでもシェアトップを目指す

JTは1社で複数の選択肢の製品を用意することで、消費者のニーズの受け皿を最大化しようと目論んでいる。この先にグローバルで展開する上で、ユーザーからどのような示唆が得られるのかを検証していき、海外での加熱式たばこの市場拡大にも乗り出していきたいと考えているようだ。

加熱式たばこは間もなく、国内市場シェアだけでなく、海外市場の争奪戦の行方も左右する正念場を迎える。

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

2019.01.22

セブン、ローソンに続きファミマも成人誌を販売中止

インバウンドの増加、オリンピックの開催も影響か

コンビニ最大手のセブン-イレブンと業界3位のローソンが成人向け雑誌の販売中止を発表したのに続き、業界2位のファミリーマートも同様の方針を打ち出した。大手3社の足並みがそろい、日本国内のほとんどのコンビニ店頭から成人誌が消える。

国内のセブン-イレブン店舗数は2万店を超え、ローソンとファミマが1万5,000店前後でこれに続く。それぞれ今年の8月末までに取り扱いを原則中止するという。これまで一部店舗で成人誌の販売を中止していた例はあったが、今回は各社全店舗で取り扱いを中止する。業界では昨年1月から、ミニストップが他社に先駆けて全店で取り扱いを中止していた。

もともと諸外国にくらべ、女性や子どもの目につきやすいコンビニ店頭などに成人誌が置かれている日本のゾーニングの現状は特殊であるとの批判があった。また、インバウンドで訪日外国人が増え、この論調に拍車がかかっていたほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、イメージ低下を防ぐ要請が強まっていたという背景がある。

コンビニでの成人誌の購買層は近年、高齢男性に偏るとともに売り上げの減少も顕著であったといい、ゾーニングの問題が取り扱い中止の大義名分になったという見方もある。ある出版関係者は、「一部では電子版などネット展開を強化している流れはあるが、今でもコンビニは重要な販路なので、相当な混乱があるだろう」と話す。どちらにせよ、日本の成人誌は岐路に立たされることになる。