ヒットの裏に2つのニーズ、チキンタツタ復活から見るマックの商品戦略

ヒットの裏に2つのニーズ、チキンタツタ復活から見るマックの商品戦略

2017.02.03

「おいしさ向上宣言」を打ち出して2017年をスタートさせた日本マクドナルド。定番バーガーの“総選挙”は記憶に新しいが、今度はヒット作「チキンタツタ」を期間限定で復活させるという。定番商品の価値を改めて世に問う施策が続いている印象だが、その理由とは。

フリーアナウンサーの龍田(タツタ)梨恵さんが司会進行を務めた新商品発表会

復活を熱望する声に応えてチキンタツタが登場!

2017年1月、プレミアムローストコーヒーのリニューアル発表会に登壇した日本マクドナルド社長兼CEOのサラ・L・カサノバ氏は、同社が掲げる今年の商品戦略として「おいしさ向上宣言」を打ち出した。この戦略が示されて以降、初めて登場するバーガー系の新メニューが「チキンタツタ」と「チキンタルタ」だ。

チキンタツタは1991年に登場した歴史ある人気商品で、2004年まではマックのレギュラーメニューだった。その後も期間限定での復活を繰り返しており、先頃の総選挙では、「なぜチキンタツタが立候補していないのか」と顧客から問い合わせがあったほどだという。

生姜醤油が効いたチキンタツタ(奥)とタルタルソースのチキンタルタ(手前)。タルタルソースが入っている分、タルタの方が原価は掛かっていそうだが、価格はどちらも単品380円だ。どちらを注文するか悩む時間も楽しんでもらい、結果的には両方を食べ比べてもらいたいというマックの意図が感じられる

“チョコポテト”が体現するマックの思想

復活を熱望するファンからの声に応えて、チキンタツタを再販するマック。これは「(顧客の)顕在化したニーズに応える」取り組みだと日本マクドナルド・マーケティング本部の唐澤俊輔氏は語る。2016年の後半、マックは「みんなの愛で大復活」と銘打って人気商品復刻キャンペーンを実施。これ以外でも、根強いファンがいる商品については定期的に復活させるのがマックだ。ある商品を待ち望む顧客が多ければ、つまり顕在化したニーズが見えている商品については、望みに応えて復活させるのが同社の商品戦略だといえる。

顧客の声に応えることを「最重要視している」と語る唐澤氏。では、マックの新商品はこの先、人気バーガーの復活が基本になるのかというと、そうではない。顕在化したニーズに応えるのも大事だが、潜在的なニーズを先取りするのもマックの役割だし、その姿勢が結果的には顧客の声に応えることにもなると同氏は指摘する。

顧客が「食べたい!」とは言っていないが、心の中では求めているもの。これを探るのは難しいが、「先進的(な企業)で、バーガー企業のリーダーでもあるので、先を行っていたい」(唐澤氏)というマックは、顧客の意表をつくようでいて、結果的には顧客に受け入れてもらえるような商品に常に思いをめぐらせているのだという。この思想は、同社が昨年発売した「チョコポテト」に端的に現れている。マックが商品戦略で狙う、顕在化した需要と潜在的需要の2つのニーズ。この考え方を知ってしまうと、マックが次にどんな商品を出すのかがますます気になってくる。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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○カレー沢薫の時流漂流
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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu