Watson(ワトソン)で事業拡大となるか IBM過去3年間の買収まとめ

Watson(ワトソン)で事業拡大となるか IBM過去3年間の買収まとめ

2017.02.05

Watson(ワトソン)で事業拡大となるか IBM過去3年間の買収まとめ

ハードからソフトへ、そしてモノからヒトへ

1911年6月、IBMの前身として米国ニューヨーク州ブルーム郡エンディコットに「ザ・コンピューティング・タビュレーティング・レコーディング・カンパニー (C-T-R : The Computing-Tabulating-Recording Company)」が設立された。C-T-Rは3つの企業が合併して誕生した。これを束ねたのがトーマス・ワトソン Sr.氏である。1924年のニューヨーク証券取引所に上場する際、International Business Machinesから頭文字をとってIBMと名づけた。

それから1世紀が経ち、IBMは世界のビッグカンパニーとなった。全世界の従業員数は約43万人。世界170カ国以上に拠点を持ち、売上高は約1,000億米ドル(11.2兆円)。大株主第一位は、ウォーレン・バフェット氏である(81,042千株、保有割合8.4%)。

かつてはサーバーなどの巨大な中央集権型コンピューターを中心としたハードウェア機器の販売が強みだったが、PC部門(2005年)とサーバ事業(2014年)をレノボへ売却。ハードウェアからソフトウェアへ、モノからサービスへとビジネスを変換してきた。クラウドビジネスを支える仮想化技術は、IBMにとって過去に蓄積されたノウハウが活きる分野であることがわかる。

気になるWatson(ワトソン)の存在

IBMの過去3年間の買収案件を見ると、「クラウド」「データアナリティクス」「デジタルマーケティング」の分野を中心に積極的に買収を行っているようだ。取得価額については非公表の案件が多いが、2016年2月にはクラウド関連(ヘルスケアデータ分析)事業のTruvenを約2600億円で買収している。その背景にはIBMの開発した「Watson(ワトソン)」の存在が考えられる。

Watsonはコンピューターでありながら、人と同じように情報から学び、経験から学習する「コグニティブ・テクノロジー(認識技術)」という特長を持つ。人工知能(AI)の分野はいくつかあるが、Watsonは人間のように自律的に判断する能力を持つ非常に高度な人工知能だ。さまざまなデータを分析するデータアナリティクスと相性が良い。

次にデジタルマーケティングとの関連性だが、こちらはWatsonの活用だけでなく、2016年1月に買収したUstream(ユーストリーム)等の動画配信サービスとのシナジーも考えられる。ビッグデータの活用はもちろんのこと、動画配信用のプラットフォームをIBMクラウド上に構築し、Watson等のツールとデジタルマーケティングの技術を組み合わせたマーケティングの強化が期待できるだろう。

いずれにせよレノボへの売却によりビジネス領域をBtoCからBtoBへ完全に移行した流れは変わらず、デジタルマーケティングの技術提供もIBMのビジネス・パートナー向けに展開すると思われる。

ところでスタンリー・キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」に登場するHALは、IBMのアルファベットを1文字ずつずらしたもの、というのはご存知だろうか(わりと有名な話)。

2014年 IBMの主な買収先

公表日 買収先 事業内容 エリア
2014年3月 Cloudant DBaaS(Database-as-a-Service)プロバイダ 米国
2014年4月 Silverpop データ分析(クラウド) 米国
2014年5月 Cognea Group バーチャルアシスト オーストラリア
2014年7月 CrossIdeas セキュリティー・ベンダー イタリア
2014年8月 Lighthouse Security Group アイデンティティ&アクセス管理(IAM)ベンダー 米国
2014年11月 AC Portal オンラインポータルオペレーター オランダ

2015年 IBMの主な買収先

公表日 買収先 事業内容 エリア 取得価格
2015年3月 AlchemyAPI 高性能アプリケーション開発 米国
2015年4月 Explorys ヘルスケア総合システム 米国
2015年5月 Phytel ヘルスケアシステム 米国
2015年6月 Blue Box Group プライベートクラウド構築 米国
2015年7月 Compose クラウドDBaaS(Database-as-a-Service) 米国
2015年8月 Merge Healthcare 医療用画像解析(AI) 米国 10億ドル
2015年9月 StrongLoop IoT APIの開発 米国
2015年9月 Meteorix 会計ソフト開発 米国
2015年10月 Cleversafe データストレージ 米国
2015年10月 Weather Company 気象予測などWeather Companyの資産(ケーブルTVの「Weather Channel」事業は含まず) 米国 20億ドル
2015年11月 Gravitant クラウドサービスの比較 米国
2015年12月 Clearleap クラウド・ビデオ・サービス 米国

2016年 IBMの主な買収先

公表日 会社名・事業名 事業内容 エリア 取得価格
2016年1月 IRIS Analytics 電子決済の不正行為検知サービス ドイツ
2016年1月 Ustream 動画ストリーミング配信サービス 米国 1億3000万ドル(推定)
2016年2月 Resource/Ammirati デジタル広告代理店 米国
2016年2月 Aperto デジタル広告代理店 ドイツ
2016年2月 ecx.io デジタル広告代理店 ドイツ
2016年2月 Truven ヘルスケアデータ分析 米国 26億ドル
2016年2月 Resilient Systems サイバーセキュリティ 米国 1億ドル
2016年2月 Tgestiona ビジネスプロセスアウトソーシング事業 スペイン
2016年3月 Optevia Microsoft Dynamics CRMインテグレーション 英国
2016年5月 Blue Wolf Salesforceコンサルティング 米国 2億ドル
2016年6月 EZSource ソフトウェア品質管理 イスラエル
2016年7月 G4SのATM部門 ATMメンテナンス 英国 5,000万ポンド
2016年10月 プロモントリー・フィナンシャル・グループ(Promontory Financial Group) 規制コンプライアンス専門コンサルティング(Watson) 米国
2016年11月 Sanovi Technologies クラウド関連技術 インド
2016年11月 Expert Personal Shopper(XPS) 対話型ショッピングプラットフォーム 米国

まとめ:M&A Online編集部

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

2019.03.20

モバイル業界を変える「携帯値下げ議論」が過熱

ファーウェイは日本を取り巻く環境を「歴史的チャンス」と発言

コスパ高いミッドレンジ端末でシェア拡大を目指す

20日、NTTドコモが特定の端末の購入を条件に通信料金を割り引く「docomo with」、購入する端末に応じて通信料金を割り引く「月々サポート」を終了する方針を固めたという報道が話題となっている。

国内のモバイル業界では携帯電話料金見直しが進んでおり、3月5日には総務省が中心に進めてきた端末代金と通信料金の分離が閣議決定された。NTTドコモは分離プランを軸とした新料金プランを4月に発表する見込みだ。

日本のモバイル市場を大きく変えるこの動きを「歴史的チャンス」と見ているのがファーウェイだ。2018年末から米中対立が加速する中、ファーウェイが打ち出すメッセージも語気を強めている。果たして日本市場でシェアを拡大できるのだろうか。

逆風吹けども、依然として業績は好調

今年に入り、ファーウェイの周辺が騒がしい。3月7日には、ファーウェイは米国政府を相手取って訴訟を起こした

さらにその内容をFacebookでライブ配信するなど、米国以外の世界市場に向けたメッセージにもしており、そのメッセージをまとめたウェブサイト「Huawei Facts」は、わざわざ日本語版も用意している。

2018年末から続く米中対立を巡る報道は、ファーウェイの業績にどのような影響を与えたのか。MWC19でインタビューに応じたファーウェイ・ジャパンの呉波氏は、「一部の消費者は影響を受けたが、2019年に入ってから売上は大幅に伸びている」と語った。

ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏

話題の「折りたたみスマホ」でもファーウェイは先行する。

ファーウェイに先立って折り畳みスマホを発表したサムスンだが、こちらはMWCではガラスケース内での「展示」のみにとどまったのに対し、ファーウェイは「Mate X」の実機を用いて報道関係者に折り曲げを試させるなど、製品化で一歩先を行っていることをアピールした。

ファーウェイの折りたたみスマホ「Mate X」。報道陣には手に取って折り曲げてみる機会も用意された

Mate Xは次世代移動通信の「5G」にも対応しており、日本では5Gサービスの開始を待って投入時期を見極める方針だという。

ちなみに3月26日に発表予定のフラグシップ機「HUAWEI P30」シリーズは、例年通りのタイミングで日本市場に投入するようだ。SIMフリーでの発売だけでなく、ドコモが採用した「HUAWEI P20 Pro」のように大手キャリアによる採用があるかどうかも注目したい。

分離プランを「歴史的チャンス」と捉えるワケ

一方、2019年の国内モバイル市場で話題となっているのが携帯料金における「分離プラン」の導入だ。KDDIとソフトバンクはすでに導入済みだが、NTTドコモは4月に発表する新料金プランから本格導入するとみられている。

分離プランの特徴は、NTTドコモの「月々サポート」のように回線契約と紐付けた端末の割引が禁止される点だ。端末の割引自体が禁止されるわけではないというものの、大幅な割引は難しくなる。その結果、10万円を超えるようなハイエンド機ではなく、3〜4万円で一括購入しやすいミッドレンジ機の需要が高まるとの見方が有力だ。

この動きをファーウェイはどう見ているのか。

呉氏は「非常に重要視している。スマホが登場したときや、SIMフリー市場が始まったときのインパクトに引けを取らない、歴史的な瞬間になる」と興奮気味に語る。

日本のSIMフリー市場でベストセラーとなった「HUAWEI P20 lite」を始め、ファーウェイのミッドレンジ機のラインアップは厚い。モデルによってはフラグシップと同じCPUでミッドハイの価格を実現するなど、コスパの高さも特徴だ。大手キャリア向けにさまざまな提案ができる体制といえる。

フラグシップと同じ「Kirin 980」搭載でミッドハイ価格の「HONOR View 20」

また、5G対応も順調だ。

モバイルWi-Fiルーターに強みを持つファーウェイは、MWC19でも5G対応ルーターを多く出展していた。日本ではまだ周波数の割り当てが終わっていないものの、国内大手キャリアは2019年内にもプレサービスを始める動きがある。5Gスマホが普及するまでの間、5Gルーターの需要は高まる可能性がある。

5G対応のモバイルWi-Fiルーターも出展していた

ミッドレンジ市場の拡大を狙って、今年はシャープやサムスン以外にも、ソニーモバイルの参入も予想されている。

この価格帯が激戦区になることは間違いないが、ファーウェイはその中で高コスパの製品ラインアップや、国内での地道な販促活動やブランドメッセージの打ち出しによって対抗していく構えだ。

ヨドバシカメラ梅田店での販促イベントの様子
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Googleがゲーム本格参入の衝撃、2019年中にゲーム基盤「STADIA」を投入

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2019.03.20

Googleが新しいゲームプラットフォームを発表

配信方式でゲーム機不要、「ゲーム機」の時代の終焉?

2019年内にローンチ、性能はプレステやXbox以上か

3月19日、米国で開催中のゲーム開発者会議「GDC 2019」の会場で、Googleがクラウドベースのゲーミングプラットフォーム「STADIA」を発表した。特定のゲーム機に縛られず、ネットに接続したスマホやパソコン、テレビを通してストリーミング(配信)形式でゲームをプレイできる。

この事業を担当するバイスプレジデントとして、STADIAを発表するフィル・ハリソン(Phil Harrison)氏。そもそも彼からして、元はソニーのプレイステーション立ち上げの主要メンバーで、その後Microsoftに移りXboxを担当したという経歴の持ち主

かねてより、MicrosoftのXbox事業のトップマネージャーを引き抜いた、ソニーでPlayStationのハード開発にかかわったエンジニアが転職したといった噂が頻繁に流れており、「Googleがゲーム市場に本格参入する」という憶測は強まっていた。実際に2018年には、Googleは「Project Stream」と呼ばれるストリーミング形式のゲーム基盤の計画を発表し、米国内でベータテスターを募って技術テストを行っていた。

STADIAは、Project Streamの延長線上にあるサービスと見られる。ユーザーは特定のゲーム機を持っている必要がなく、従来のゲーム機の役割をするのはGoogleの設置するデータセンターだ。簡単に言えばクラウドサービスのように、実際にゲームタイトルが動作しているのはデータセンター側で、ユーザーはインターネットを介してゲームを遠隔でプレイする。

STADIAのデータセンターから配信されたゲームをパソコンでプレイしている様子
パソコンで遊んでいたのと同じゲームを、タブレットやテレビでも同じように遊ぶことができる

このプラットフォームの特徴によって、例えばYouTubeで新作ゲームのトレーラー動画を見ていて気に入ったときには、そのページ内の「プレイする」ボタンを押すだけで、インストールすら不要で、動画を再生するかのようにそのゲームをプレイできるようになる。

そして、STADIAのデータセンターが持つゲーム機としてスペックは、サービス開始時のものとして、GPUの演算性能は10.7テラFlopsに達するといい、これはPlayStation 4 Proの4.2テラFlopsや、Xbox One Xの6.0テラFlopsを大きく上回る。映像品質も4K/60fpsのストリーミングに対応し、将来は8K/120fps対応も予定しているという。

STADIA用の「STADIAコントローラー」も販売する。SNSアップ用のボタンや、Googleアシスタントボタンが備わっている

Googleは2019年中にSTADIAをローンチする予定で、まずは米国、カナダ、欧州でサービスを開始すると説明している。発表を受けた翌20日の東京株式市場では、任天堂とソニーの株価が揃って大きく下落した。投資家たちが、GoogleのSTADIAによって、Nintendo SwitchやPlayStationのビジネスが脅かされると考えたからだ。

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