自動車業界が注目する米国市場の行方、トヨタの見方は?

自動車業界が注目する米国市場の行方、トヨタの見方は?

2017.02.07

日本の自動車メーカーにとって“ドル箱”の米国市場。トランプ政権発足の影響もさることながら、ここへきて顕著になりつつある需要シフトも気になるところだ。トヨタ自動車の見方は。

総販売台数に占めるウェイトが最も大きい北米事業

トヨタ自動車は2016年度第3四半期の決算を2017年2月6日に発表した。決算会見では北米市場の見方について多くの質問が出ていたが、まずは同社の決算内容をざっと見ておこう。

2016年度の9カ月累計(2016年4月~12月)の売上高は、前年同期比6%減の20兆1547億円。営業利益は同32.5%減の1兆5554億円となった。減益の大きな要因は円高で、為替変動の影響は7,700億円に達する。

ちなみに2016年度の通期見通しについては、営業利益を前回発表から上方修正している。具体的には中間決算時に1兆7000億円と見込んでいた営業利益を、今回の予測では1兆8500億円へと引き上げた。上方修正の要因として大きいのは、通期の想定為替レートを1ドル103円から107円に変更したことだ。

グループのダイハツ工業と日野自動車を抜いたトヨタの連結販売台数を見てみると、2016年度の通期見通しは890万台となっている。このうち最も大きな割合を占めるのは北米の284万台だ。このように重要な北米市場だが、米国の先行きは不透明な情勢となっている。

トラック系は販売好調、新型「カムリ」でセダン市場を開拓できるか

トヨタの大竹常務

「大きな市場であることに変わりはない」。決算会見に登壇したトヨタ常務役員の大竹哲也氏は、米国市場の先行きについてこのように表現した。暦年で見た場合、2016年は1,755万台のクルマが売れた米国。トヨタの予測では、2017年の販売台数は1,720万台程度になるという。

ではトヨタの米国事業は今後、どのような見通しなのか。「(2017年は)マーケットは前年割れでも、(新車投入の効果などでトヨタは)前年並みを見込む」(大竹常務)というのがトヨタの考えだ。米国の自動車需要はセダンからSUVを含むトラック系にシフトしているが、トヨタでは「RAV4」、「ハイランダー」、「タコマ」、「タンドラ」といったトラック系の車種が販売好調。今後は「C-HR」や新型「カムリ」といった新車の投入も控えることから、米国での販売は堅調な状況が続くと見ている。

セダンの市場環境は厳しく、各社が販売奨励金(インセンティブ)を積み増して値下げ競争を繰り広げているらしいが、カムリは米国で長きにわたりベストセラーの地位を維持した実績のあるクルマだ。新型カムリが米国のセダン需要を刺激できるかどうかにも注目したい。

新型「カムリ」の登場で米国セダン市場の風向きは変わるか

トランプ政権発足の影響については「現時点で見通すことは難しい」(大竹常務)とするが、気になるのは、実際に米国が関税引き上げなどの施策をとった場合の対応についてだ。大竹常務によると、トヨタは5年間で1兆円の投資を米国で行うと発表しているが、現地の生産台数については、今後も大きく伸ばす計画はないのだという。トヨタは米国でフル生産に近い操業を行っているため、もし米国向け輸出が難しくなった場合でも、米国の既存工場で生産台数を引き上げて対応する余地は乏しい。

ちなみに2015年度のデータを見ると、トヨタが米国で生産した自動車が約197万台だったのに対し、販売したのは約284万台と100万台近い開きがある。単純に引き算をしてみても、米国向け輸出が滞った場合の影響の大きさは想像できるわけで、トランプ政権の動向からは目が離せない状況だ。

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

2019.03.20

モバイル業界を変える「携帯値下げ議論」が過熱

ファーウェイは日本を取り巻く環境を「歴史的チャンス」と発言

コスパ高いミッドレンジ端末でシェア拡大を目指す

20日、NTTドコモが特定の端末の購入を条件に通信料金を割り引く「docomo with」、購入する端末に応じて通信料金を割り引く「月々サポート」を終了する方針を固めたという報道が話題となっている。

国内のモバイル業界では携帯電話料金見直しが進んでおり、3月5日には総務省が中心に進めてきた端末代金と通信料金の分離が閣議決定された。NTTドコモは分離プランを軸とした新料金プランを4月に発表する見込みだ。

日本のモバイル市場を大きく変えるこの動きを「歴史的チャンス」と見ているのがファーウェイだ。2018年末から米中対立が加速する中、ファーウェイが打ち出すメッセージも語気を強めている。果たして日本市場でシェアを拡大できるのだろうか。

逆風吹けども、依然として業績は好調

今年に入り、ファーウェイの周辺が騒がしい。3月7日には、ファーウェイは米国政府を相手取って訴訟を起こした

さらにその内容をFacebookでライブ配信するなど、米国以外の世界市場に向けたメッセージにもしており、そのメッセージをまとめたウェブサイト「Huawei Facts」は、わざわざ日本語版も用意している。

2018年末から続く米中対立を巡る報道は、ファーウェイの業績にどのような影響を与えたのか。MWC19でインタビューに応じたファーウェイ・ジャパンの呉波氏は、「一部の消費者は影響を受けたが、2019年に入ってから売上は大幅に伸びている」と語った。

ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏

話題の「折りたたみスマホ」でもファーウェイは先行する。

ファーウェイに先立って折り畳みスマホを発表したサムスンだが、こちらはMWCではガラスケース内での「展示」のみにとどまったのに対し、ファーウェイは「Mate X」の実機を用いて報道関係者に折り曲げを試させるなど、製品化で一歩先を行っていることをアピールした。

ファーウェイの折りたたみスマホ「Mate X」。報道陣には手に取って折り曲げてみる機会も用意された

Mate Xは次世代移動通信の「5G」にも対応しており、日本では5Gサービスの開始を待って投入時期を見極める方針だという。

ちなみに3月26日に発表予定のフラグシップ機「HUAWEI P30」シリーズは、例年通りのタイミングで日本市場に投入するようだ。SIMフリーでの発売だけでなく、ドコモが採用した「HUAWEI P20 Pro」のように大手キャリアによる採用があるかどうかも注目したい。

分離プランを「歴史的チャンス」と捉えるワケ

一方、2019年の国内モバイル市場で話題となっているのが携帯料金における「分離プラン」の導入だ。KDDIとソフトバンクはすでに導入済みだが、NTTドコモは4月に発表する新料金プランから本格導入するとみられている。

分離プランの特徴は、NTTドコモの「月々サポート」のように回線契約と紐付けた端末の割引が禁止される点だ。端末の割引自体が禁止されるわけではないというものの、大幅な割引は難しくなる。その結果、10万円を超えるようなハイエンド機ではなく、3〜4万円で一括購入しやすいミッドレンジ機の需要が高まるとの見方が有力だ。

この動きをファーウェイはどう見ているのか。

呉氏は「非常に重要視している。スマホが登場したときや、SIMフリー市場が始まったときのインパクトに引けを取らない、歴史的な瞬間になる」と興奮気味に語る。

日本のSIMフリー市場でベストセラーとなった「HUAWEI P20 lite」を始め、ファーウェイのミッドレンジ機のラインアップは厚い。モデルによってはフラグシップと同じCPUでミッドハイの価格を実現するなど、コスパの高さも特徴だ。大手キャリア向けにさまざまな提案ができる体制といえる。

フラグシップと同じ「Kirin 980」搭載でミッドハイ価格の「HONOR View 20」

また、5G対応も順調だ。

モバイルWi-Fiルーターに強みを持つファーウェイは、MWC19でも5G対応ルーターを多く出展していた。日本ではまだ周波数の割り当てが終わっていないものの、国内大手キャリアは2019年内にもプレサービスを始める動きがある。5Gスマホが普及するまでの間、5Gルーターの需要は高まる可能性がある。

5G対応のモバイルWi-Fiルーターも出展していた

ミッドレンジ市場の拡大を狙って、今年はシャープやサムスン以外にも、ソニーモバイルの参入も予想されている。

この価格帯が激戦区になることは間違いないが、ファーウェイはその中で高コスパの製品ラインアップや、国内での地道な販促活動やブランドメッセージの打ち出しによって対抗していく構えだ。

ヨドバシカメラ梅田店での販促イベントの様子
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2019.03.20

Googleが新しいゲームプラットフォームを発表

配信方式でゲーム機不要、「ゲーム機」の時代の終焉?

2019年内にローンチ、性能はプレステやXbox以上か

3月19日、米国で開催中のゲーム開発者会議「GDC 2019」の会場で、Googleがクラウドベースのゲーミングプラットフォーム「STADIA」を発表した。特定のゲーム機に縛られず、ネットに接続したスマホやパソコン、テレビを通してストリーミング(配信)形式でゲームをプレイできる。

この事業を担当するバイスプレジデントとして、STADIAを発表するフィル・ハリソン(Phil Harrison)氏。そもそも彼からして、元はソニーのプレイステーション立ち上げの主要メンバーで、その後Microsoftに移りXboxを担当したという経歴の持ち主

かねてより、MicrosoftのXbox事業のトップマネージャーを引き抜いた、ソニーでPlayStationのハード開発にかかわったエンジニアが転職したといった噂が頻繁に流れており、「Googleがゲーム市場に本格参入する」という憶測は強まっていた。実際に2018年には、Googleは「Project Stream」と呼ばれるストリーミング形式のゲーム基盤の計画を発表し、米国内でベータテスターを募って技術テストを行っていた。

STADIAは、Project Streamの延長線上にあるサービスと見られる。ユーザーは特定のゲーム機を持っている必要がなく、従来のゲーム機の役割をするのはGoogleの設置するデータセンターだ。簡単に言えばクラウドサービスのように、実際にゲームタイトルが動作しているのはデータセンター側で、ユーザーはインターネットを介してゲームを遠隔でプレイする。

STADIAのデータセンターから配信されたゲームをパソコンでプレイしている様子
パソコンで遊んでいたのと同じゲームを、タブレットやテレビでも同じように遊ぶことができる

このプラットフォームの特徴によって、例えばYouTubeで新作ゲームのトレーラー動画を見ていて気に入ったときには、そのページ内の「プレイする」ボタンを押すだけで、インストールすら不要で、動画を再生するかのようにそのゲームをプレイできるようになる。

そして、STADIAのデータセンターが持つゲーム機としてスペックは、サービス開始時のものとして、GPUの演算性能は10.7テラFlopsに達するといい、これはPlayStation 4 Proの4.2テラFlopsや、Xbox One Xの6.0テラFlopsを大きく上回る。映像品質も4K/60fpsのストリーミングに対応し、将来は8K/120fps対応も予定しているという。

STADIA用の「STADIAコントローラー」も販売する。SNSアップ用のボタンや、Googleアシスタントボタンが備わっている

Googleは2019年中にSTADIAをローンチする予定で、まずは米国、カナダ、欧州でサービスを開始すると説明している。発表を受けた翌20日の東京株式市場では、任天堂とソニーの株価が揃って大きく下落した。投資家たちが、GoogleのSTADIAによって、Nintendo SwitchやPlayStationのビジネスが脅かされると考えたからだ。

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