脱・居酒屋で新たな挑戦! “食”に専念のワタミが次に目指す10兆円市場

脱・居酒屋で新たな挑戦! “食”に専念のワタミが次に目指す10兆円市場

2017.02.16

介護事業を手放して外食事業に専念するワタミ。プレイヤーが乱立する居酒屋業界にありながら、業態転換が功を奏し、好業績を収める店舗も出始めている。客数と既存店売上高という指標を見ると、おおむね前期比プラスで推移するなど今期業績には復活の兆しも見える。そんなワタミが立ち上げた新業態「にくスタ」。見据えるのは、さらに大きな市場の取り込みだ。

実際に行ってみた

京浜急行電鉄の京急蒲田駅から徒歩10分。第一京浜沿いに立地する塊肉ステーキ&サラダバー「にくスタ」は緑のロゴが目立つ看板が目印だ。ワタミが新業態を立ち上げた背景や狙いを分析する前に、まずは取材をかねて実際に店舗を訪れた時の様子から説き起こしてみたい。

にくスタの外観。一見するとワタミグループには見えないが、ロゴの緑はワタミのグループロゴと共通する色だ

肉が自慢の当店。まず目の前に登場したのはランプステーキだ。アツアツの鉄板に乗せられた肉は、豪州からチルド輸送された赤身肉を店内で切り分けたもの。鉄板がアツアツなだけではなく、再加熱用に丸い鉄の塊が添えられている。

内装はオシャレだ

肉の焼ける匂いがいやでも期待感をくすぐる。ステーキらしいほのかに焦げた香りが、食欲を押し上げてくる。店内で丁寧に筋切りされた肉はとても柔らかい食感。加えて肉の柔らかさが口の中で踊っている。この食感はチルド輸送だからこそ、再現できる味わいなのだろう。

価格帯は例えば「にくスタの一押しステーキ(300グラム)」がサラダ&デリカバー(ライス、スープ、デザートなど)が付いて2,440円(税別)、「炭火焼 情熱ハンバーグ(180グラム)」はサラダ&デリカバーが付いて1,590円(税別)といった感じだ

冷凍肉を解凍した場合、上手に解凍したとしてもドリップ(肉汁)が出てしまい、ぱさぱさの食感(舌触り)となってしまう。このぱさぱさ感を補い、焼き上がりのジューシーさを醸し出すため、多くのステーキ店では肉に牛脂などを注入して味を調えている(インジェクションと呼ばれる)というが、このにくスタではインジェクションを一切行っていないという。

チルド輸送と店内カットが鮮度の秘密

次にテーブルに運ばれたのが、ミスジステーキ。外側はカリッと焼きあげられているものの、中はとても柔らかい食感だった。

中はとても柔らかなミスジステーキ

圧巻だったのが、店の代名詞でもある塊肉のステーキだ。ナイフを入れると、赤身肉が顔を覗かせる。この店では、チルド輸送と店内カットによる鮮度保持がなされており、ローストビーフと見間違うほどのレア・ステーキを提供することが可能なのである。

こんなに大きいと、食べ進むうちに食感が鈍ってくるのではないかと懸念したが、それを察知したのか1つの小皿がテーブルに届いた。中は醤油とわさびだ。好みにより付けることで、新しい食味を感じさせてくれるという。試しに付けてみたところ、口の中と舌がリフレッシュされた印象を受けた。「このわさびに何か秘密があるのか」と問うてみたところ、「市販のものを使用している」と打ち明けてくれた。さもありなん。肉のうまみを改めて感じさせるためのわさびと醤油。肉が主役だから、なるべく控えめであることが肝要ということなのだろう。

圧巻の塊肉ステーキ

有機野菜も強みに

肉だけでなく、にくスタは看板に記載がある通り、サラダバーが売りのひとつだ。オーガニック野菜を含む15種類以上を自社農場、契約農家などから集めているという。なるほど、単なる野菜ではなく、中には有機野菜のコーナーもある。サラダバーにはトングやアイスクリームディシャーなど、取りやすい道具が添えられており、サラダを盛り付けしやすい工夫が見え隠れする。

有機野菜が食べられるサラダバーも売り物の1つだ

有機野菜と表示するためには、いろいろと規格がある。巷には無農薬野菜とか減農薬栽培とうたう野菜が並んでいるが、有機野菜と名乗るためには農林水産省の定める基準を満たすことが必要。この基準を満たすには、土からこだわる必要がある。

さて、ここからは新業態にくスタに込められたワタミの思いを分析していきたい。お話を伺ったのは、レストラン事業部・業態企画の馬越誠志郎氏だ。

ファミリ-レストランの市場規模は居酒屋の約10倍

ワタミは居酒屋「和民」を展開する会社である。主力事業の1つであった介護事業を売却し、事業のテコ入れを図っている。業績回復を目指して、既存店舗の見直しと不採算店舗の業態転換を積極的に推進。和民と「坐・和民」の店舗をリニューアルした「ミライザカ」や、「わたみん家」店舗を転換した「三代目鳥メロ」は順調に集客を伸ばしている。中間決算資料によると、ミライザカ効果は転換全店累計売上で前年比133.3%(オープンから9月末までの累計実績比)。転換全店の1カ月あたり平均営業利益増加額は約124万円(7月~9月の平均値)だ。

しかしながら、ミライザカや三代目鳥メロは基本的に居酒屋ベースの業態であり、新しい客層を取り込める可能性は多くない。それに、居酒屋は言わずと知れた薄利多売の構造で、商品アイテム数と価格で競い合っている業態でもある。そこで目を付けたのが、ワタミにとってのブルーオーシャンであるファミリーレストランという業態だ。

日本フードサービス協会の「平成27年外食産業市場規模推計について」によると、2015年の外食産業市場規模は前年比2.2%増加の25兆1816億円。この調査では2015年の動向について、年初に異物混入問題の影響があったものの、その後は比較的堅調に推移し、1人当たり外食支出額、訪日外国人、法人交際費などが増加傾向にあったと分析している。

この推計によると、居酒屋業態・ビアホールなどの市場規模は1兆672億円。それに対し、食堂・レストランの市場規模は9兆6905億円となっている。居酒屋という「枠」の中で他社と競合しても、パイはそれほど大きくはない。ならば、市場規模の大きなレストラン業態に収益増の機会をうかがうことはワタミとしては自然の流れだろう。

狙うはファミリー層への訴求、宿題は「ハンバーグとステーキ」

ファミリー層をいかに取り込むか。その切り口として考え出された戦略が「ハンバーグとステーキ」だった。2016年4月に宿題を出された馬越氏は、同年10月に「にくスタ」として新しい業態の店舗をオープン。ワタミが持つ、ワタミファームなどの資源をどのように活用するか、試行錯誤を繰り返した。

お話を伺ったワタミの馬越氏

商品アイテムの多い居酒屋とは違う店舗オペレーションや調理システムに苦労しながらも、にくスタは徐々に地域に浸透し、売り上げを伸ばしている。ワタミ全体の売上は居酒屋系が大半であるが、にくスタはオペレーションが落ち着き、地域の客層をつかみ始めた。居酒屋業態に比べて宴会がほとんどないにも関わらず、ある程度の売上規模が見えてきているという。

もう1つ、にくスタを分析するのに見ておくべきは「肉ブーム」の動向だろう。

ステーキ店を含む焼き肉業態が元気

ここ数年、ステーキ店を含む焼き肉業態が元気だ。前出の日本フードサービス協会の市場動向調査によると、ファミリーレストランの中でも特に焼き肉の前年比増加率が高く、全体を引っ張っている。

焼き肉業態では客単価こそ前年比100%を下回る月が多くみられるものの、売上高や客数は前年比100%を優に上回っている。最近よく耳にする「高齢者こそ肉食のススメ」ではないが、焼き肉業態は家族連れの来店も多いのではないだろうか。

景気がなかなか上向かないなかで、近年は総菜など調理済商品を購入して自宅で食べる「中食」が流行っていると言われている。総務省の家計調査でも消費支出は増加していない。

あくまで推論だが、焼き肉は自宅における再現性が低いので、外食の数値が高くなるのではないだろうか。肉を購入して家で焼くことを想定すれば、確かに家でも再現は可能である。しかしながら、炭火を使って高温で焼き上げること、ある程度の煙が出ることを覚悟すること、有機野菜を含む15種類のサラダを用意することなどを考えると、にくスタを自宅で再現することはかなり困難だといえよう。なおかつ家で焼き肉をした後の食器や調理具の洗浄も大変な作業である。以上のことから、手間と価格と味わいを計算すれば「焼き肉」は外食に限る、と考える人が多くなるのではないだろうか。

高齢者だけでなく、成長期にある子供たちにも良質なタンパク質の摂取が求められる。栄養面だけでなく、楽しいことも子供たちの興味の1つ。にくスタには子供たちが大好きなドリンクバーが設置されている。大人にはアルコール類をそろえたドリンクバーもある。

おとなのドリンクバーにはワインも用意

ファミリーレストランには、居酒屋では見られない「子供たち」という目線が必要になる。居酒屋選びでは「安さ」が基準の1つになるが、子供たちは「安さ」は気にしない。なぜなら、お金を支払うのは自分たちではないからだ。

既存業態とは違う客層

にくスタは、今までの店舗形態と大きく客層が異なっている。ランチの時間帯は近隣の会社員と主婦層が半分ずつ、夕方からは近隣に住む母親層が多く来店するという。居酒屋業態では年末年始の宴会需要が大きいが、ファミリーレストランはそうでもない。

ステーキやハンバーグでは1人1オーダーが定番だが、にくスタでは少人数で多くのメニューを味わってもらうスタイルの提案にも注力する。例えば、単品メニューを組み合わせて数名で楽しんでもらうとか、一皿の塊肉を複数名でシェアして楽しんでもらうなど、今までとは異なるスタイルで新しい価値を感じてほしいという。

複数人でシェアできるメニューもそろっている

新業態で失った収益を取り戻せるか

居酒屋という自分たちが得意とする業態から、ファミリーレストランという新たな業態に船出したワタミ。介護事業が生み出していた収益は、2015年度の営業利益で約7億円という規模だったが、新業態をビジネスの新たな柱に育てあげ、失った利益を取り戻すことができるかどうかに注目だ。ファミリーレストランの“ちょい飲み”や「吉野家」の“吉呑み”など、業態を超えた顧客の争奪戦が繰り広げられている中で、ワタミは同社の資源や優位性を効果的に発揮できる領域を確実に攻めていく必要がある。選択肢が増えるという目線で見れば、消費者としては好ましいことでもある。

また、肉スタはまだ1店舗であるが、ここでファミリーレストランとしてのオペレーションなどじっくりと学び、今後の展開にいかして行きたいと馬越氏は熱く語る。

特色ある居酒屋として、順調にファンを増やしている「炉ばたや銀政」など、ワタミの挑戦はまだまだ過渡期だが成果も出てきている。「安い」だけではない、客を引き付ける価値を持つ店舗が出てくるかどうか、次なる挑戦も楽しみである。

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

藤田朋宏の必殺仕分け人 第1回

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

2018.11.15

ちとせグループCEOの藤田朋宏氏による新連載

巷を賑わす”ヘンな出来事”の問題点を、独自の解釈で洗い出す!

第1回は、「日本の科学技術投資」について

バイオベンチャー企業群「ちとせグループ」のCEOを務める藤田朋宏氏による新連載。“手段と目的の違い”によって生じた「ヘンな出来事」の問題点を、独自の視点で語ります。第1回は、「日本の科学技術投資」について。日本の科学技術への投資の問題点とはいったい何なのでしょう?

才能と“伸びしろ”に投資する、日本サッカー協会

先日、クアラルンプールに出張したときのこと。宿泊先のホテルが偶然にもサッカーの日本代表と同じだった。「日本代表」と言っても、同じホテルに泊まっていたのは本田や長友ではなく、U-16アジア選手権に参加している若い選手たち。

そこで彼らを見ていて、ふと考えた。日本サッカー協会の「選手への投資」は、実は凄く効率がいいのではないか。どうしてそう思ったのか、順を追って説明したい。

ホテルに置いてあったU-16アジア選手権のバナー

チェックインを済ませ、「部屋の準備があるから、ちょっとだけそこで待っていて」と指示するホテルマンに従い、ひとりロビーに放置されている間、何となしに選手の情報を調べてみた。それから一時間半。23名の選手一人ひとりの顔だけでなく、利き足まで覚えるくらいの時間が経っても、僕はまだロビーで放っておかれたままだった。まぁ、東南アジアではよくあることなので、腹は立たなかった。

ところで、「過去のU-16日本代表がその後、何度も日本代表に選ばれる割合はどれほどだろうか」と疑問に感じ、調べてみたところ、各年20数名の代表選手のうち、現役で活躍している選手は約1人であることが分かった。確かに16歳の段階では身体の発達に差があるし、試合で活躍できるかは運の要素も絡む。コーチとの相性やケガの問題もあるだろう。

そうは言っても、16歳の時点で日本代表に選ばれるだけのポテンシャルを持つ選手のうち、その数%しか将来も活躍できる選手がいない、という事実には驚いた。実際、長谷部、本田、岡崎、長友……など、この10年で活躍している選手たちの多くは、16歳時点ではそこまで期待されていなかった選手ばかりだ。

ではなぜ、そういった選手が後に日の目を浴びられたかというと、それは彼らにも「チャンス」を与えられていたからだろう。日本サッカー協会は、16歳時点で選抜したトップ選手だけに集中投資するだけではなく、同年代の他の有望選手にもしっかりとチャンスを与え続けられるような仕組みをつくれたのだと思う。

際立って目立つ選手だけではなく、将来の伸びしろがありえる選手にも、最低限のチャンスは回ってくることで、未来のトップ選手の育成が図れる。そうやって日本サッカー協会はこれまで、世界に通用するような選手を輩出してきた。

「科学技術に投資せよ」ではなく、予算配分の再考を

前置きが長くなってしまったが、ここから本題に入りたい。

先日、京都大学特別教授の本庶佑先生がノーベル賞を受賞したというニュースが流れた。「自分がバイオテクノロジー業界で働く人間だから」というのは関係なく、本庶先生と周りのチームの方々の長年にわたる科学に対する貢献が認められたこと、その事実に接した関係者の気持ちを想像すると、とても嬉しい気持ちになった。

ノーベル賞メダル(レプリカ)

 

近年、日本人のノーベル賞受賞が続いている。彼らのような日本の科学業界の仕組みをよくわかった方々は、これまで数多くのご苦労をされてきたことだろう。しかし、1つ残念なこともある。能力はもちろん、人格的にも優れたそういった先生方が、ノーベル賞受賞のタイミングでマスコミに発表する一世一代のコメントが「日本国の科学技術投資、科学技術教育のあり方についての憂い」であることだ。

僭越ながら、先生たちのコメントを解釈すると、よくニュースで取り上げられるような「科学技術にもっとお金を使え」ということではなく、その先にある「国家予算の配分」についての指摘をしていると認識している。

誰がなんと言おうと、日本の科学技術投資の選択と集中は年々進んでしまっているのが現状だ。しかし、先生方のいうような「選択と集中が進みすぎている」という指摘に対して、「日本にはもうお金がないのだから科学技術にばかり投資できない」と答えがずれてしまっている。

これこそが、日本の科学技術投資における問題ではないだろうか。

日本にはびこる「選択と集中こそが正解だよ病」

随分前からずっと不思議なのだが、そもそも「選択と集中こそが正解である」なんて、誰がいい出したのだろう。「選択と集中」の戦略で物事をうまく切り抜けられるようなことは、本当に生きるか死ぬか、背水の陣を敷いている時くらいだと思うのだ。

今の日本の「選択と集中こそが正解だよ病」はなかなか根深く、そもそもの目的を実現することよりも「選択と集中」を行うことそのものが目的になっているんじゃないかと感じることが多い。

今の日本で行われている多くの意思決定の場面で、サッカーの例で例えると、U-16日本代表を選んだ人のメンツを潰さないということが、強い日本代表をつくることよりも優先されてしまっているように思う。

そのため、16歳の時点で選んだ選手だけに集中投資し、16歳の段階で選ばれなかった他の選手のポテンシャルに賭けることもしないというような「選択と集中が正解である」という間違えた進め方で意思決定が行われているようなことが多いように感じる。

サッカー選手の育成でも、科学技術の投資でも初期の段階で選抜してそこだけに集中投資するという戦略を繰り返せば繰り返すほど、全体としての力は落ちる一方になるのではないか。歴代のノーベル賞受賞者の先生方も、そういうことを言いたかったのではないかと思う。

手段であるはずの「選択と集中」が、目的となっている?

私は、「16歳の段階で、将来素晴らしいサッカー選手になる人物を見分けられる」なんて言葉は、伸びしろのある選手に対しておこがましいと感じる。これは科学技術の研究にも同じことが言える。「その研究が将来素晴らしい成果を残すかどうか見分けられる」なんて言葉は、科学者に対しておこがましい。

もっと言ってしまえば、どの研究が将来化けるかの判断は、16歳のサッカー選手の成長を言い当てることより遥かに難しいだろう。なぜならば、サッカーという競技のルール自体は変わらないが、科学と言う競技はルール自体を決めているので、科学研究の将来性をあらかじめ予測するのは16歳のサッカー選手の将来性を予測するより難しいためだ。

そんな中、日本サッカー協会が幅広い底上げに力を入れ、紆余曲折も有りながらも右肩上がりの成長を維持できているにも関わらず、日本の科学技術投資は過剰な「選択と集中」を強めるが故に、科学技術力の相対的な低下を招いているように感じる。

その差はいったい何か? これは1つの仮説でしかないが、日本サッカー協会の強さの秘訣は、会長の独断で物事を決められる側面が強い組織であるために「目的」がハッキリしている点にあるのではないだろうか。

その一方で、日本の科学技術投資のような“数多くの人の善意の組み合わせの上になり立っている意思決定機構”では「選択と集中を進めることが正解である」という、本来手段の一つである価値観が「目的」となってしまっているように感じる。

本来考えるべきは、「日本の科学技術をどうするべきか」ということであるにも関わらず、その手段と目的が逆転しまっているのではないだろうか、と思うのだ。

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

2018.11.14

音楽に特化した「YouTube Music」が日本でスタート

有料会員になれば、広告なし再生やオフライン再生が可能

YouTube Premiumでは、オリジナルコンテンツの配信も開始

仕事や作業をする際、周りのノイズをカットして集中するために、音楽を聴くという人は多いだろう。わかる。よくわかる。フロアが騒がしいと作業に全く集中できない。周りで仕事している人がいるということがわからないのだろうか、と疑問に思うが、まぁそれは置いておいて、パソコンで作業する場合、手軽に好きな音楽を聴けることから、YouTubeで音楽を聴くという人も多いのではないだろうか。

そんなYouTubeユーザーに朗報である。11月14日、Googleは音楽に特化したストリーミング再生サービス「YouTube Music」を日本でローンチすると発表したのだ。

好みやシーンに応じて楽曲をレコメンド

YouTube Musicは、音楽再生に特化したアプリ。YouTubeにある公式の曲やプレイリスト、歌ってみた、弾いてみたなど、さまざまな音楽動画を視聴することができる。

また、機械学習が活用されているのも特徴の1つだ。視聴履歴などからユーザーの好みを把握するだけでなく、「いつどこで何をしているのか」を類推して、シーンに合わせた楽曲をレコメンド。家でリラックスしているときにお勧めの曲や、仕事中にお勧めの曲などを、自動でピックアップしてくれるという。

さらに、あいまいなカタカナ発音で洋楽を検索したり、CMタイアップ曲などから検索したりすることも可能で、聴きたい曲をスムーズに探すことができそうだ。

サービスの発表会において、YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏は「オーディエンスに着目した結果、今出ているアプリでは満足できていない層があることがわかり、そのユーザーに音楽サービスを届けようとこのサービスをスタートしました。YouTube Musicは、ユーザーの利用シーンや好みに合わせた曲を、YouTubeにある膨大なミュージックカタログからレコメンドするユニークさを持っています」と、サービスの魅力を強調した。

YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏

無料でも利用できるが、有料のYouTube Music Premiumに登録すると、「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」などが可能になる。料金はWeb/Androidが月額980円で、iOSが月額1280円(ともに税込み)だ。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏は「日本ユーザーの方は通勤通学などで音楽を聴くことが多いと思います。オフライン再生機能では、前日の夜に自宅のWi-Fiで翌日聴くべき曲を自動で更新し、通信なしで聴けるようになります。データの通信量などを気にする必要もないので、非常に便利な機能だと思います」と、オフライン再生のメリットを訴求した。

なお、同サービスには著作権管理システムが働いており、YouTubeと同様に適切な権利コントロールが可能だという。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏

「YouTube Originals」が日本でも始動

また今回、「YouTube Premium」という新しい有料プランもスタートする。料金はWeb/Androidだと月額1180円で、iOSだと月額1550円(ともに税込み)だ。YouTube Music Premiumの機能に加えて、YouTubeでも「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」機能が使えるようになる。

さらに、YouTube Premiumの会員は、12月から日本でも配信される予定のYouTubeオリジナルコンテンツ「YouTube Originals」を視聴することも可能だ。すでに世界30カ国でコンテンツを展開しているが、このたび、日本でも制作がスタート。SEKAI NO OWARIとMARVLEがコラボしたミュージックビデオ制作の裏側に迫るドキュメンタリー「Re:IMAGINE」、YouTuberのはじめしゃちょーが主演する連続ドラマ「The Fake Show」、YouTubeで人気のクリエイターが手がけた「隙間男:Stalking Vampire」の3つだ。

「YouTube Music Premium」と「YouTube Premium」で利用可能な機能
日本で制作される「YouTube Originals」のコンテンツ

発表会には「The Fake Show」に主演する、YouTuberのはじめしゃちょーが駆けつけた。

はじめしゃちょー

「今回僕が出演するのは、今までなかったYouTuberをテーマにしたドラマ。アカウント乗っ取りや炎上など、問題に直面しながらも夢に向かって進んでいく姿が描かれているので、僕の動画を見たことない人にも見てほしいですね」と動画の紹介をするとともに、YouTube Musicについて「普段、広く浅く、さまざまな音楽を聴くので、非常に楽しみなサービスです。ぜひ使ってみたいと思います」と期待を述べた。

なお、YouTube Musicは「Google Home」「Google Home Mini」にも対応予定。そのほか、現在「Google Play Music」を利用しているユーザーは、追加料金なしで移行することができるという。