ANAの社長交代会見が招いた少し笑えない意外な事態

ANAの社長交代会見が招いた少し笑えない意外な事態

2017.02.16

2月16日午前、耳を疑うようなニュースが流れた。ANAホールディングス傘下の全日空が「重要な経営課題」について、同日午後3時に記者会見を開くという。重要な経営課題という表現は、どうしても“不祥事”に直結してしまう。

時期も悪かった。ここ最近は大企業の不祥事が頻発している。それもあって、“ネガティブなこと”に思考が傾きやすい。

さて、この手の記者会見の場合、ごくまれに、新聞やテレビ報道陣のみに限定されることがある。そのため、ウェブ媒体であるマイナビニュースが入場できるのか、ANA広報部に確認の電話をかけた。

広報部の答えは「どうぞ、どうぞ。ぜひいらしてください」というものだった。これから不祥事を発表するとは思えない、ストレスフリーの明るい口調だった。「ん?」とは思ったが、広報という立場上、メディアに対する口調に悲壮感は出せないのかもしれない。

だが、すぐに理由がわかった。昼には一部のメディアが「今回の発表は社長交代か」という趣旨のニュースを報道した。だが、何しろあの表現だ。そのニュースを読んでも、社長交代だけでなく、重要な何かが発表されるのだろうと考えた。

マーケットも敏感だった。“重要な経営課題”という表現は“悪材料”を想像させたらしく、ANAホールディングス株は大きく下落。社長交代という報道が出たあとも大きく乱高下した。

会見を行う篠辺氏(左)と平子氏(右)

そして午後3時、会見は始まった。その内容は、全日空の代表取締役社長 篠辺修氏が3月31日をもって退任し、4月1日に取締役執行役員 平子裕志氏が代表取締役社長に昇格するというものだった。篠辺氏はANAホールディングスの取締役副会長に就任する。

会見は10分ほどで終わった。その後は質疑応答となったが、そのなかで篠辺氏は「重要な経営課題という表現が株価に影響してしまいました。今後の人事発表では、ほかの表現にします」と反省。「ただ、社長人事も重要な経営課題なのですが……」と苦笑いした。

さて、「今回の発表は社長交代」という報道が、記者発表の午後3時を待たずに流れたが、ひょっとしてひょっとすると、株価下落に驚いたANA側がリークしたのかもしれない、などと考えてしまった。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu