シンプルなシャープペンが3000円? - 技術で付加価値を追求するぺんてるの挑戦

シンプルなシャープペンが3000円? - 技術で付加価値を追求するぺんてるの挑戦

2017.02.20

国内のシャープペンシルの販売規模は年々増加しており、製図用を中心とする1000円以上の高価格帯な製品も人気が高まっているという。そんな中、ぺんてるは価格3000円のシャープペンシル「オレンズ ネロ」を市場に投入した。

ぺんてるといえば、1960年に世界初のノック式シャープペンシルを生み出し、その後も芯径0.3mmの製図用シャープペンシルを開発するなど、革新的な製品を世に送り出している企業だ。

技術を結集したフラグシップモデル「オレンズ ネロ」

今回発表した「オレンズ ネロ」は、同社が培った技術を結集した、フラグシップモデルとなる。芯の減り具合に合わせて、ペン先のパイプがスライドする「オレンズシステム」を搭載。パイプで芯を守りながら書くので、極細芯でも折れにくい。また、ペン先を離すたびに芯が出てくる「自動芯出し機構」を、芯径が細い0.2mm・0.3mm用としては世界で初めて搭載した。 搭載。

ぺんてる オレンズ ネロ

自動芯出し機構は、筆記によって芯が磨耗すると、先端のパイプも後退する。その状態で、紙面からペン先を離すと、先端パイプは「先端スプリング」によって、元の長さに戻る。この時、芯も一緒に引き出される仕組みだ。そのため、1ノックで芯が無くなるまで書き続けられる。

ペン先を離すたびに芯が出る「自動芯出し機構」と、芯を保護して折れにくくする「オレンズシステム」により、「ノック1回で芯が無くなるまで、折れずに書き続けられる」を具現化した。

「自動芯出し機構」と「オレンズシステム」により、ノック1回で書き続けられる仕組みを実現
約1万字の「走れメロス」全文をノック1回で書いた原稿用紙

シャープペンシルが3000円になる理由

多くの高機能シャープペンシルが1000円程度で販売されている中、オレンズ ネロの価格は3000円と遙かに高価格だ。その理由はどこにあるのだろうか。

ところで、シャープペンシルのメインユーザーといえば、中高生である。今回の3000円という価格を見る限り、それよりも上の世代が購買層になると推測できる。同社に訪ねたところ、フラグシップモデルとして、ぺんてるが持つ高い技術を形にすることを目指したため、特定の販売ターゲットは定めていないそうだ。あえて言うならば、「時計やカメラなど"道具"に強いこだわりを持つユーザー」と表現していた。

そのため、デザインもラグジュアリーさを追求するのではなく、質実剛健で実用性の高いデザインを採用。ボディーには、樹脂と金属粉を混ぜ合わせた特殊素材を使用し、持った時にずっしりとした重みを感じる低重心にした。コスト増にはなるが、書き心地も追求した結果だ。

デザインは、「グラフ1000」や、「スマッシュ」「ぺんてるメカニカ」など、ぺんてるを代表する高性能シャープペンシルのDNAを受け継いでいる

また、同社の製品のほとんどは、機械生産に頼らずに手作りで作られている。通常のシャープペンシルは10部品なのに比べ、オレンズ ネロは22部品と数が多いため、手間が掛かっている。大量生産は難しく、初回販売店舗は600店ほどに絞っており、各店舗の初回出荷数も数本ずつとなる。

一般的なシャープペンシルの部品数は10点ほど
オレンズ ネロは22部品と、多くの部品で構成されている

無駄を省いてコスト削減に走らず書き心地を追求し、特殊素材、複雑な機構、手間の掛かる製造など、コストを掛けた結果が、3000円のシャープペンシルとなったのだ。

価格の秘密は「所有感」?

オレンズ ネロは、ユーザーの所有感を持たしてくれる「メカニック感」や、芯が折れずにずっと書き続けられるという「安心感」など、機能による付加価値を追求することで、シャープペンシルを高級筆記具へ押し上げようと狙っている。オレンズ ネロの出荷は始まったばかり、そろそろ店頭にも並ぶ頃だろう。国内で高価格帯のシャープペンシル市場が盛り上がる中、機能性を追求した堅実なオレンズ ネロがどの程度認められるのか注目したい。

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

2019.03.20

モバイル業界を変える「携帯値下げ議論」が過熱

ファーウェイは日本を取り巻く環境を「歴史的チャンス」と発言

コスパ高いミッドレンジ端末でシェア拡大を目指す

20日、NTTドコモが特定の端末の購入を条件に通信料金を割り引く「docomo with」、購入する端末に応じて通信料金を割り引く「月々サポート」を終了する方針を固めたという報道が話題となっている。

国内のモバイル業界では携帯電話料金見直しが進んでおり、3月5日には総務省が中心に進めてきた端末代金と通信料金の分離が閣議決定された。NTTドコモは分離プランを軸とした新料金プランを4月に発表する見込みだ。

日本のモバイル市場を大きく変えるこの動きを「歴史的チャンス」と見ているのがファーウェイだ。2018年末から米中対立が加速する中、ファーウェイが打ち出すメッセージも語気を強めている。果たして日本市場でシェアを拡大できるのだろうか。

逆風吹けども、依然として業績は好調

今年に入り、ファーウェイの周辺が騒がしい。3月7日には、ファーウェイは米国政府を相手取って訴訟を起こした

さらにその内容をFacebookでライブ配信するなど、米国以外の世界市場に向けたメッセージにもしており、そのメッセージをまとめたウェブサイト「Huawei Facts」は、わざわざ日本語版も用意している。

2018年末から続く米中対立を巡る報道は、ファーウェイの業績にどのような影響を与えたのか。MWC19でインタビューに応じたファーウェイ・ジャパンの呉波氏は、「一部の消費者は影響を受けたが、2019年に入ってから売上は大幅に伸びている」と語った。

ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏

話題の「折りたたみスマホ」でもファーウェイは先行する。

ファーウェイに先立って折り畳みスマホを発表したサムスンだが、こちらはMWCではガラスケース内での「展示」のみにとどまったのに対し、ファーウェイは「Mate X」の実機を用いて報道関係者に折り曲げを試させるなど、製品化で一歩先を行っていることをアピールした。

ファーウェイの折りたたみスマホ「Mate X」。報道陣には手に取って折り曲げてみる機会も用意された

Mate Xは次世代移動通信の「5G」にも対応しており、日本では5Gサービスの開始を待って投入時期を見極める方針だという。

ちなみに3月26日に発表予定のフラグシップ機「HUAWEI P30」シリーズは、例年通りのタイミングで日本市場に投入するようだ。SIMフリーでの発売だけでなく、ドコモが採用した「HUAWEI P20 Pro」のように大手キャリアによる採用があるかどうかも注目したい。

分離プランを「歴史的チャンス」と捉えるワケ

一方、2019年の国内モバイル市場で話題となっているのが携帯料金における「分離プラン」の導入だ。KDDIとソフトバンクはすでに導入済みだが、NTTドコモは4月に発表する新料金プランから本格導入するとみられている。

分離プランの特徴は、NTTドコモの「月々サポート」のように回線契約と紐付けた端末の割引が禁止される点だ。端末の割引自体が禁止されるわけではないというものの、大幅な割引は難しくなる。その結果、10万円を超えるようなハイエンド機ではなく、3〜4万円で一括購入しやすいミッドレンジ機の需要が高まるとの見方が有力だ。

この動きをファーウェイはどう見ているのか。

呉氏は「非常に重要視している。スマホが登場したときや、SIMフリー市場が始まったときのインパクトに引けを取らない、歴史的な瞬間になる」と興奮気味に語る。

日本のSIMフリー市場でベストセラーとなった「HUAWEI P20 lite」を始め、ファーウェイのミッドレンジ機のラインアップは厚い。モデルによってはフラグシップと同じCPUでミッドハイの価格を実現するなど、コスパの高さも特徴だ。大手キャリア向けにさまざまな提案ができる体制といえる。

フラグシップと同じ「Kirin 980」搭載でミッドハイ価格の「HONOR View 20」

また、5G対応も順調だ。

モバイルWi-Fiルーターに強みを持つファーウェイは、MWC19でも5G対応ルーターを多く出展していた。日本ではまだ周波数の割り当てが終わっていないものの、国内大手キャリアは2019年内にもプレサービスを始める動きがある。5Gスマホが普及するまでの間、5Gルーターの需要は高まる可能性がある。

5G対応のモバイルWi-Fiルーターも出展していた

ミッドレンジ市場の拡大を狙って、今年はシャープやサムスン以外にも、ソニーモバイルの参入も予想されている。

この価格帯が激戦区になることは間違いないが、ファーウェイはその中で高コスパの製品ラインアップや、国内での地道な販促活動やブランドメッセージの打ち出しによって対抗していく構えだ。

ヨドバシカメラ梅田店での販促イベントの様子
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2019.03.20

Googleが新しいゲームプラットフォームを発表

配信方式でゲーム機不要、「ゲーム機」の時代の終焉?

2019年内にローンチ、性能はプレステやXbox以上か

3月19日、米国で開催中のゲーム開発者会議「GDC 2019」の会場で、Googleがクラウドベースのゲーミングプラットフォーム「STADIA」を発表した。特定のゲーム機に縛られず、ネットに接続したスマホやパソコン、テレビを通してストリーミング(配信)形式でゲームをプレイできる。

この事業を担当するバイスプレジデントとして、STADIAを発表するフィル・ハリソン(Phil Harrison)氏。そもそも彼からして、元はソニーのプレイステーション立ち上げの主要メンバーで、その後Microsoftに移りXboxを担当したという経歴の持ち主

かねてより、MicrosoftのXbox事業のトップマネージャーを引き抜いた、ソニーでPlayStationのハード開発にかかわったエンジニアが転職したといった噂が頻繁に流れており、「Googleがゲーム市場に本格参入する」という憶測は強まっていた。実際に2018年には、Googleは「Project Stream」と呼ばれるストリーミング形式のゲーム基盤の計画を発表し、米国内でベータテスターを募って技術テストを行っていた。

STADIAは、Project Streamの延長線上にあるサービスと見られる。ユーザーは特定のゲーム機を持っている必要がなく、従来のゲーム機の役割をするのはGoogleの設置するデータセンターだ。簡単に言えばクラウドサービスのように、実際にゲームタイトルが動作しているのはデータセンター側で、ユーザーはインターネットを介してゲームを遠隔でプレイする。

STADIAのデータセンターから配信されたゲームをパソコンでプレイしている様子
パソコンで遊んでいたのと同じゲームを、タブレットやテレビでも同じように遊ぶことができる

このプラットフォームの特徴によって、例えばYouTubeで新作ゲームのトレーラー動画を見ていて気に入ったときには、そのページ内の「プレイする」ボタンを押すだけで、インストールすら不要で、動画を再生するかのようにそのゲームをプレイできるようになる。

そして、STADIAのデータセンターが持つゲーム機としてスペックは、サービス開始時のものとして、GPUの演算性能は10.7テラFlopsに達するといい、これはPlayStation 4 Proの4.2テラFlopsや、Xbox One Xの6.0テラFlopsを大きく上回る。映像品質も4K/60fpsのストリーミングに対応し、将来は8K/120fps対応も予定しているという。

STADIA用の「STADIAコントローラー」も販売する。SNSアップ用のボタンや、Googleアシスタントボタンが備わっている

Googleは2019年中にSTADIAをローンチする予定で、まずは米国、カナダ、欧州でサービスを開始すると説明している。発表を受けた翌20日の東京株式市場では、任天堂とソニーの株価が揃って大きく下落した。投資家たちが、GoogleのSTADIAによって、Nintendo SwitchやPlayStationのビジネスが脅かされると考えたからだ。

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