東芝は毒まんじゅうを買った? 見抜けなかった原発リスクの正体

東芝は毒まんじゅうを買った? 見抜けなかった原発リスクの正体

2017.02.21

2017年2月14日に東芝が発表した原子力事業におけるのれん減損は、7125億円と大きなものとなった。これにより、2016年度通期(2016年4月~2017年3月)の営業損益は4100億円の赤字、最終損益も3900億円の赤字になるとの見通しを発表した。株主資本はマイナス1500億円となり、債務超過の事態に陥る。

記者の厳しい質問に答える綱川智社長。2月14日

東芝の綱川智社長は、「米国の4基の原発を受注したことが、今回の減損のきっかけである」と語る一方、ウェスチングハウスの買収についても、「いまの数字を見ると、その判断は正しいとは言いにくい」と悔やしさを滲ませる。そして、2015年末に完了したS&Wの買収は、東芝の経営の屋台骨を揺るがす結果になった。

将来の成長を担うはずだった原子力事業は、東芝を「解体」に向かわせる引き金になってしまうのだろうか。

どうしても手に入れたかったウェスチングハウス

東芝がウェスチングハウスを買収したのは2006年のことだ。当時の社長は、西田厚聰氏。追加出資を含めたウェスチングハウス買収に伴う投資は6600億円にも達している。これは、その当時、市場からは、その半分でも高いと言われる投資規模だった。それにも関わらず、東芝が買収に踏み切ったのは、原子力を軸とした社会インフラ事業を成長戦略に掲げ、売上高で2桁成長という意欲的な成長を計画していたことが見逃せない。西田氏の後任に、原子力事業出身の佐々木則夫氏を据えたことも、それを強く感じさせた。

(左) 西田厚聰氏。(右) 佐々木則夫氏

佐々木氏が社長に就任後、2009年8月に初めて発表した東芝の中期経営計画では、「原子力事業のさらなる強化」を社会インフラ事業グループの基本戦略のトップ項目に掲げ、2015年までに、全世界で39基の受注を見込む方針を示し、同事業だけで1兆円の売上高を目標に掲げていた。

2009年8月発表の中期経営計画では、2015年までに39基の受注を見込み、売上高1兆円を目指すことを示した

当時の資料では、米国では32基以上の新設計画があり、中国では50基以上の新設計画があること、そして、日本でも12基の原発計画があるとしており、旺盛な原子力発電所の建設計画が、東芝の業績を引き上げるものとみられていた。日本の政府も、2006年に原子力立国計画を発表するなど、原子力事業を後押しする姿勢があっただけに、東芝にとっては、ウェスチングハウスは、今後の成長に向けて、なんとしてでも手に入れたい会社のひとつだったといえる。

福島第一原発事故のあとに行われた2011年5月の会見でも、目標は先送りするものの数値目標には変更はなかった
当時のウェスチングハウスのダニー・ロデリック会長

だが、2011年3月11日の福島第一原発の事故以降、原子力事業の勢いにはブレーキがかかる。それでも東芝は、2015年11月の会見では、「全世界では約400基以上の建設計画があり、2029年度までに64基の受注を目指す」(当時のウェスチングハウスのダニー・ロデリック会長)と、強気の姿勢は崩さないままだった。

実はこのときに、ウェスチングハウスののれん減損が、2012~13年度において、1156億円にのぼることが明らかになり、これを減損することを発表した。東芝では、「減損テストの結果、事業の公正価値が帳簿価額を上回っていたため、のれんの減損は認識されなかった」と説明したが、この時点で東芝の認識の甘さが露呈したともいえる。

いや、それどころか、これが東芝の隠ぺい体質を象徴するものであると指摘する声もあったほどだ。

2015年11月の会見で初めてウェスチングハウスの業績を公開した

実質的な評価価格を上回る買収をもとにしたウェスチングハウスののれん減損は、東芝の財務諸表を痛めることになるのは明らか。米国会計基準を採用している東芝は、これを先送りにすることで、財務諸表を良化させていたともみられるからだ。

ちなみに、2006年度以降のウェスチングハウスの買収後の業績を公開したのはこの時が初めてであり、それまではアナリストなどの要請があっても非公開の姿勢を続けていた。

見えてきた「落とし穴」の正体

しかし、ウェスチングハウス買収を発端とした「落とし穴」はもっと深かった。米国の建設プロジェクトにおける課題が噴出。それに伴って買収したS&Wが持つ財務的な問題により、東芝はさらに深い穴に落ちていった。

今回の会見では、綱川社長が、「原子力事業における損失発生の概要と対応策」として、買収に至る経緯や、問題となった米国におけるAP1000建設プロジェクトの概要、そして、今後の対応策などについて説明した。

綱川社長が言及したように、東芝が、原子力事業でのれん減損を計上した背景には、米国で受注した2サイト4基のAP1000建設プロジェクトが大きく影響している。

この2サイトの契約は、いずれも2008年春に結ばれたものであり、米国内では約30年ぶりとなる原発の新規建設として注目を集めたプロジェクトであった。

このプロジェクトは、ウェスチングハウスが原子炉、タービン系の設備を担当。設計、機器、試運転などを担い、これを東芝が親会社として保証提供するという内容であった。また、建設や土木、ヤード設備などはS&Wが担当。これを、のちにCB&Iが買収するShawが親会社保証を提供。ウェスチングハウスとS&Wがコンソーシアムを組んで、プラント建設を一括で受注するという仕組みとなっていた。

だが、航空機追突対策による設計変更や、追加安全対策の実施、許認可審査のやり直しなどにより、工事が遅延。さらに、これを発端として、コスト負担の分担や納期変更に向けた協議がまとまらず、顧客であるGeorgia Power Company(米Southern電力の100%子会社)との訴訟。South Carolina Electric & Gas Company(米SCANA電力の子会社)との訴訟懸念が発生。「これを解決するために、早期にプロジェクト完成に注力できる体制構築を目指した。

加えて、コスト増や納期延長による損害賠償請求の回避も目指した」(東芝・綱川社長)ことを理由に、S&W(現WECTEC)を買収した。当時は、顧客だけでなく、パートナーであるCB&Iからもコスト負担に関する訴訟懸念があったのだ。綱川社長は、「C&Wの買収によって、30%のコスト改善が図ると見込んだ」というが、これも達成できなかったことを悔やむ。

東芝では、この買収とともに、関係当事者との和解案を提示。クロージング時点まで当事者間の相互のクレームをリリースし、両電力会社からの契約金額の増額と完工期日の延期や、連接期間中の裁判によらない紛争解決策の導入を進め、同時に、原子力発電所の建設工事に関する知見と経験を持つ米Fluorと工事サービス契約を結び、工事を委託することで建設工事の完遂を目指した。

しかし、S&W買収後に、買収時には認識されていなかったコスト見積もりの必要性が判明した。東芝は、これらを示す詳細見積もりを、S&Wの買収後に入手。工事作業効率性の想定にもギャップがあることも買収後にわかったのだ。

会見では、記者から「S&Wの親会社であったCB&Iに騙されたということなのか」という質問が飛んだが、「それについてはこの場では答えられない」と言葉を濁した。同社では、「CB&Iは上場企業であり、しっかり監査も受けた諸表であり、それを信じて判断をした」と説明する。買収後に重大な懸念要素を知ったことは東芝の脇の甘さを示すものだが、騙されたという意識が関係者の間にあったことは容易に想定できる。

2015年10月にS&Wの買収を取締役会で承認。2015年末に、S&Wの買収が完了し、2016年1月からは新体制での工事が開始された。それ以降、プロジェクトコストの見積もりを改めて行うなど、プロジェクトは新たな局面を迎えたが、その一方で、東芝は、買収価格の調整として、運転資本調整額をS&Wの親会社であったCB&Iに請求。しかし、両社の見解に差があり、協議を行ったものの整わず、訴訟に至ることになった。現在、CB&Iの提訴は棄却されているが上訴中であり、第三者会計士による運転資本額の評価手続きが進行中だ。これも2016年度内には解決を想定していたが、2017年度に持ち越すことになっている。

だが、新たなプロジェクト体制での建設コストの見積もりにおいては、コストが大幅に増大。当初想定した作業効率改善が進まず、作業効率が低下するとの判断のほか、物量の増加、直接人員および間接人員の増加などの労務費で37億ドル、設備の購入価格上昇や下請け業者への支払い増加で調達コストが18億ドル、工事総額に対して一定率で積み増す予備費として6億ドルの合計61億ドルが増加。さらに、これらのコスト見積もりに必要な物量算定に時間を要することもマイナス要素となっている。

この結果、S&W買収に伴うのれん計上額は6253億円に達し、ウェスチングハウスによる既存ののれん残高の872億円を加えて、7125億円ののれん減損を計上することになった。

東芝の対応策

東芝は原子力事業における対応策として、原子力事業に対するリスク管理、モニタリング強化を目的に、綱川社長を委員長とする原子力事業監視強化委員会を新設するとともに、原子力事業を社長直轄組織とし、直接リスク管理を行う体制へと移行。

最大の課題となっている米国AP1000プロジェクトにおいて、東芝の原子力事業統括部の東芝プロジェクト監視チームや、ウェスチングハウスの米国AP1000プロジェクト監督委員会などを通じて、プロジェクトの進捗や、コストを管理。是正対策を実施するという。

そして、原子力事業における損失発生に対する経営責任として、綱川社長が、月額基本報酬の返上率を60%から90%に引き上げたほか、取締役代表執行役会長の志賀重範氏が取締役および代表執行役を辞任。エネルギーシステムソリューションカンパニー社長のダニー・ロデリック氏が、同社長および東芝執行役上席 常務待遇を解嘱。原子力事業部長で執行役常務の畠澤守氏が、月額基本報酬の返上率を30%から60%に引き上げた。その他執行役も返上率を一律10%引き上げる。

新設プラントのリスクを軽減する方向

東芝は、今後の原子力事業は、国内においては、再稼働、メンテナンス、廃炉を中心に展開。一方で、海外は、高収益かつ安定したビジネスである燃料・サービスの提供は維持し、新設プラントについては、土木建築部分のリスクは負担せず、機器供給やエンジニアリングなどに特化することになる。

2016年度の原子力事業の見通しでは、燃料・サービス事業の売上高は5065億円で、同事業全体の58%を占める。また、営業利益は387億円。とくに、サービス事業は、10%を超える営業利益率を計上している。「約100基の据え付け実績をベースに、しっかりとサービスで事業を確保していく」と綱川社長は語る。

一方で、新規プラントは、5年連続で赤字を計上する見込みであり、S&Wの買収によって、2016年度見通しでは売上高が2994億円にまで膨れ上がる土木建築は、「今後は受注しない方向にもっていく」(綱川社長)ことになる。

中国で受注している三門、海陽の4基の原子力プロジェクトは土木建築が含まれていないため、そのまま継続するほか、インドでの6基の受注を目指すプロジェクトでは、土木建築のリスクを負担せず、機器供給やエンジニアリングなどに特化。英国で3基の受注を目指す「NuGen(Moorsideプロジェクト)でも、土木建設リスクは負わない前提で活動を検討する。

結果として、S&Wの買収は、それだけで6253億円を占める大規模な減損を発生させ、しかも、今後は、S&Wが得意とする土木建築事業を行わないという決断をした。まさに、東芝にとっては、「毒饅頭」以外のなにものでもなかったといえる。

原発事業は縮小へ

東芝の綱川社長は、1月27日の会見で、すでに原子力事業を「注力事業」から外す姿勢を明らかにしている。

とくに、ウェスチングハウスを中心とした海外原子力事業については、「パートナーを見つけて持分を下げるという方法で検討している」とし、「現在87%の出資比率を50%以下にすることもありうる」とする。また、東芝は英国での原子力プロジェクトのNuGenのプロジェクトオーナーであるNuGenerationに60%を出資しているが、これについても持分売却を進める姿勢を示している。

だが、2月17日には、ウェスチングハウスに3%を出資しているIHIが、出資時に結んでいた東芝に対する株式買い取りを請求できるプットオプション契約の権利を行使。東芝は、この株式を189億円で買い取ることになり、さらに東芝の経営を圧迫することになる。

これにより、東芝の出資比率は90%になり、ウェスチングハウスの出資比率の引き下げを検討している東芝にとっては逆風ともいえる事態。株主資本および純資産において、一定程度の減少が生じる見込みだという。

ウェスチングハウスには、カザフスタン共和国の国営企業であるカザトムプロムが10%を出資しており、2017年10月1日から、プットオプションの行使が可能となる。IHIの契約も、同じく10月1日からの行使となっていたが、一定の条件を満たした場合には、早期に行使可能となっており、それを行使したものだという。今後、カザトムプロムがどんな動きをするのかも注目される。

東芝は、福島第一原発の処理もあり、「社会的責任を継続して果たしていく」(綱川社長)というが、もはや東芝が原子力事業を担うだけの体力が残されていないとの指摘もある。だが、その一方で、原子力事業の最適な売却先が現れるのかどうかも不確かだ。

東芝は原子力事業にどんな決着をつけるのだろうか。

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

藤田朋宏の必殺仕分け人 第1回

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

2018.11.15

ちとせグループCEOの藤田朋宏氏による新連載

巷を賑わす”ヘンな出来事”の問題点を、独自の解釈で洗い出す!

第1回は、「日本の科学技術投資」について

バイオベンチャー企業群「ちとせグループ」のCEOを務める藤田朋宏氏による新連載。“手段と目的の違い”によって生じた「ヘンな出来事」の問題点を、独自の視点で語ります。第1回は、「日本の科学技術投資」について。日本の科学技術への投資の問題点とはいったい何なのでしょう?

才能と“伸びしろ”に投資する、日本サッカー協会

先日、クアラルンプールに出張したときのこと。宿泊先のホテルが偶然にもサッカーの日本代表と同じだった。「日本代表」と言っても、同じホテルに泊まっていたのは本田や長友ではなく、U-16アジア選手権に参加している若い選手たち。

そこで彼らを見ていて、ふと考えた。日本サッカー協会の「選手への投資」は、実は凄く効率がいいのではないか。どうしてそう思ったのか、順を追って説明したい。

ホテルに置いてあったU-16アジア選手権のバナー

チェックインを済ませ、「部屋の準備があるから、ちょっとだけそこで待っていて」と指示するホテルマンに従い、ひとりロビーに放置されている間、何となしに選手の情報を調べてみた。それから一時間半。23名の選手一人ひとりの顔だけでなく、利き足まで覚えるくらいの時間が経っても、僕はまだロビーで放っておかれたままだった。まぁ、東南アジアではよくあることなので、腹は立たなかった。

ところで、「過去のU-16日本代表がその後、何度も日本代表に選ばれる割合はどれほどだろうか」と疑問に感じ、調べてみたところ、各年20数名の代表選手のうち、現役で活躍している選手は約1人であることが分かった。確かに16歳の段階では身体の発達に差があるし、試合で活躍できるかは運の要素も絡む。コーチとの相性やケガの問題もあるだろう。

そうは言っても、16歳の時点で日本代表に選ばれるだけのポテンシャルを持つ選手のうち、その数%しか将来も活躍できる選手がいない、という事実には驚いた。実際、長谷部、本田、岡崎、長友……など、この10年で活躍している選手たちの多くは、16歳時点ではそこまで期待されていなかった選手ばかりだ。

ではなぜ、そういった選手が後に日の目を浴びられたかというと、それは彼らにも「チャンス」を与えられていたからだろう。日本サッカー協会は、16歳時点で選抜したトップ選手だけに集中投資するだけではなく、同年代の他の有望選手にもしっかりとチャンスを与え続けられるような仕組みをつくれたのだと思う。

際立って目立つ選手だけではなく、将来の伸びしろがありえる選手にも、最低限のチャンスは回ってくることで、未来のトップ選手の育成が図れる。そうやって日本サッカー協会はこれまで、世界に通用するような選手を輩出してきた。

「科学技術に投資せよ」ではなく、予算配分の再考を

前置きが長くなってしまったが、ここから本題に入りたい。

先日、京都大学特別教授の本庶佑先生がノーベル賞を受賞したというニュースが流れた。「自分がバイオテクノロジー業界で働く人間だから」というのは関係なく、本庶先生と周りのチームの方々の長年にわたる科学に対する貢献が認められたこと、その事実に接した関係者の気持ちを想像すると、とても嬉しい気持ちになった。

ノーベル賞メダル(レプリカ)

 

近年、日本人のノーベル賞受賞が続いている。彼らのような日本の科学業界の仕組みをよくわかった方々は、これまで数多くのご苦労をされてきたことだろう。しかし、1つ残念なこともある。能力はもちろん、人格的にも優れたそういった先生方が、ノーベル賞受賞のタイミングでマスコミに発表する一世一代のコメントが「日本国の科学技術投資、科学技術教育のあり方についての憂い」であることだ。

僭越ながら、先生たちのコメントを解釈すると、よくニュースで取り上げられるような「科学技術にもっとお金を使え」ということではなく、その先にある「国家予算の配分」についての指摘をしていると認識している。

誰がなんと言おうと、日本の科学技術投資の選択と集中は年々進んでしまっているのが現状だ。しかし、先生方のいうような「選択と集中が進みすぎている」という指摘に対して、「日本にはもうお金がないのだから科学技術にばかり投資できない」と答えがずれてしまっている。

これこそが、日本の科学技術投資における問題ではないだろうか。

日本にはびこる「選択と集中こそが正解だよ病」

随分前からずっと不思議なのだが、そもそも「選択と集中こそが正解である」なんて、誰がいい出したのだろう。「選択と集中」の戦略で物事をうまく切り抜けられるようなことは、本当に生きるか死ぬか、背水の陣を敷いている時くらいだと思うのだ。

今の日本の「選択と集中こそが正解だよ病」はなかなか根深く、そもそもの目的を実現することよりも「選択と集中」を行うことそのものが目的になっているんじゃないかと感じることが多い。

今の日本で行われている多くの意思決定の場面で、サッカーの例で例えると、U-16日本代表を選んだ人のメンツを潰さないということが、強い日本代表をつくることよりも優先されてしまっているように思う。

そのため、16歳の時点で選んだ選手だけに集中投資し、16歳の段階で選ばれなかった他の選手のポテンシャルに賭けることもしないというような「選択と集中が正解である」という間違えた進め方で意思決定が行われているようなことが多いように感じる。

サッカー選手の育成でも、科学技術の投資でも初期の段階で選抜してそこだけに集中投資するという戦略を繰り返せば繰り返すほど、全体としての力は落ちる一方になるのではないか。歴代のノーベル賞受賞者の先生方も、そういうことを言いたかったのではないかと思う。

手段であるはずの「選択と集中」が、目的となっている?

私は、「16歳の段階で、将来素晴らしいサッカー選手になる人物を見分けられる」なんて言葉は、伸びしろのある選手に対しておこがましいと感じる。これは科学技術の研究にも同じことが言える。「その研究が将来素晴らしい成果を残すかどうか見分けられる」なんて言葉は、科学者に対しておこがましい。

もっと言ってしまえば、どの研究が将来化けるかの判断は、16歳のサッカー選手の成長を言い当てることより遥かに難しいだろう。なぜならば、サッカーという競技のルール自体は変わらないが、科学と言う競技はルール自体を決めているので、科学研究の将来性をあらかじめ予測するのは16歳のサッカー選手の将来性を予測するより難しいためだ。

そんな中、日本サッカー協会が幅広い底上げに力を入れ、紆余曲折も有りながらも右肩上がりの成長を維持できているにも関わらず、日本の科学技術投資は過剰な「選択と集中」を強めるが故に、科学技術力の相対的な低下を招いているように感じる。

その差はいったい何か? これは1つの仮説でしかないが、日本サッカー協会の強さの秘訣は、会長の独断で物事を決められる側面が強い組織であるために「目的」がハッキリしている点にあるのではないだろうか。

その一方で、日本の科学技術投資のような“数多くの人の善意の組み合わせの上になり立っている意思決定機構”では「選択と集中を進めることが正解である」という、本来手段の一つである価値観が「目的」となってしまっているように感じる。

本来考えるべきは、「日本の科学技術をどうするべきか」ということであるにも関わらず、その手段と目的が逆転しまっているのではないだろうか、と思うのだ。

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

2018.11.14

音楽に特化した「YouTube Music」が日本でスタート

有料会員になれば、広告なし再生やオフライン再生が可能

YouTube Premiumでは、オリジナルコンテンツの配信も開始

仕事や作業をする際、周りのノイズをカットして集中するために、音楽を聴くという人は多いだろう。わかる。よくわかる。フロアが騒がしいと作業に全く集中できない。周りで仕事している人がいるということがわからないのだろうか、と疑問に思うが、まぁそれは置いておいて、パソコンで作業する場合、手軽に好きな音楽を聴けることから、YouTubeで音楽を聴くという人も多いのではないだろうか。

そんなYouTubeユーザーに朗報である。11月14日、Googleは音楽に特化したストリーミング再生サービス「YouTube Music」を日本でローンチすると発表したのだ。

好みやシーンに応じて楽曲をレコメンド

YouTube Musicは、音楽再生に特化したアプリ。YouTubeにある公式の曲やプレイリスト、歌ってみた、弾いてみたなど、さまざまな音楽動画を視聴することができる。

また、機械学習が活用されているのも特徴の1つだ。視聴履歴などからユーザーの好みを把握するだけでなく、「いつどこで何をしているのか」を類推して、シーンに合わせた楽曲をレコメンド。家でリラックスしているときにお勧めの曲や、仕事中にお勧めの曲などを、自動でピックアップしてくれるという。

さらに、あいまいなカタカナ発音で洋楽を検索したり、CMタイアップ曲などから検索したりすることも可能で、聴きたい曲をスムーズに探すことができそうだ。

サービスの発表会において、YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏は「オーディエンスに着目した結果、今出ているアプリでは満足できていない層があることがわかり、そのユーザーに音楽サービスを届けようとこのサービスをスタートしました。YouTube Musicは、ユーザーの利用シーンや好みに合わせた曲を、YouTubeにある膨大なミュージックカタログからレコメンドするユニークさを持っています」と、サービスの魅力を強調した。

YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏

無料でも利用できるが、有料のYouTube Music Premiumに登録すると、「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」などが可能になる。料金はWeb/Androidが月額980円で、iOSが月額1280円(ともに税込み)だ。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏は「日本ユーザーの方は通勤通学などで音楽を聴くことが多いと思います。オフライン再生機能では、前日の夜に自宅のWi-Fiで翌日聴くべき曲を自動で更新し、通信なしで聴けるようになります。データの通信量などを気にする必要もないので、非常に便利な機能だと思います」と、オフライン再生のメリットを訴求した。

なお、同サービスには著作権管理システムが働いており、YouTubeと同様に適切な権利コントロールが可能だという。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏

「YouTube Originals」が日本でも始動

また今回、「YouTube Premium」という新しい有料プランもスタートする。料金はWeb/Androidだと月額1180円で、iOSだと月額1550円(ともに税込み)だ。YouTube Music Premiumの機能に加えて、YouTubeでも「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」機能が使えるようになる。

さらに、YouTube Premiumの会員は、12月から日本でも配信される予定のYouTubeオリジナルコンテンツ「YouTube Originals」を視聴することも可能だ。すでに世界30カ国でコンテンツを展開しているが、このたび、日本でも制作がスタート。SEKAI NO OWARIとMARVLEがコラボしたミュージックビデオ制作の裏側に迫るドキュメンタリー「Re:IMAGINE」、YouTuberのはじめしゃちょーが主演する連続ドラマ「The Fake Show」、YouTubeで人気のクリエイターが手がけた「隙間男:Stalking Vampire」の3つだ。

「YouTube Music Premium」と「YouTube Premium」で利用可能な機能
日本で制作される「YouTube Originals」のコンテンツ

発表会には「The Fake Show」に主演する、YouTuberのはじめしゃちょーが駆けつけた。

はじめしゃちょー

「今回僕が出演するのは、今までなかったYouTuberをテーマにしたドラマ。アカウント乗っ取りや炎上など、問題に直面しながらも夢に向かって進んでいく姿が描かれているので、僕の動画を見たことない人にも見てほしいですね」と動画の紹介をするとともに、YouTube Musicについて「普段、広く浅く、さまざまな音楽を聴くので、非常に楽しみなサービスです。ぜひ使ってみたいと思います」と期待を述べた。

なお、YouTube Musicは「Google Home」「Google Home Mini」にも対応予定。そのほか、現在「Google Play Music」を利用しているユーザーは、追加料金なしで移行することができるという。