有力車が目白押し! 2017年のコンパクトカー市場は波乱の予感

有力車が目白押し! 2017年のコンパクトカー市場は波乱の予感

2017.01.05

日産自動車「ノート」が新車乗用車販売台数ランキングでトップに立ったのは記憶に新しいが、コンパクトカー市場では今後も有力車が続々と登場する予定で、トップ争いは混戦が予想される。スズキは「スイフト」のフルモデルチェンジで小型車販売を加速させる構え。トヨタ自動車と本田技研工業も人気車種に改良を加える予定だ。2017年はコンパクトカー市場から目が離せない。

発売後3週間で2万台を受注し、トヨタ「プリウス」を抑えて新車乗用車販売台数ランキングのトップに立った日産「ノート」

プリウスVSノートの戦いに割って入りそうな小型車は

2016年の新車乗用車販売台数ランキングで、1月から10月まで首位をキープしてきたトヨタ「プリウス」に代わり、11月は日産のノートがトップに躍り出たことは、以前にも記したとおりだ。11月初めのマイナーチェンジで追加された、「e-POWER」と呼ばれる新しいパワーユニットが人気を博していることも書いた。

おそらく2016年12月の販売台数ランキングも、ノートとプリウスの首位争いになるだろう。しかし2017年1月以降は分からない。この2台に割って入る、新たなコンパクトカーの出現が予想されているからだ。

コンパクトカーは今までも着実に売れていた。2016年は10月までプリウスの独り勝ちだったけれど、2015年以前は同じトヨタの「アクア」やホンダの「フィット」が首位の座にあった。

日本市場にフィットした車格

日本でコンパクトカーが注目されたのはバブル景気が弾けた頃。そんなさなかの1992年1月に発表となった2代目日産「マーチ」は、親しみやすいデザインと合理的なパッケージング、走りの性能の高さなどが相まって、日本車で初めて欧州のカー・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど高い評価を得た。

その後、このクラスにトヨタが「ヴィッツ」、ホンダがフィットを投入。ヴィッツは欧州人デザイナーによる斬新なデザイン、フィットは燃料タンクを前席下に収めた革新的なパッケージングを武器に、マーチを含めた三つ巴の戦いを繰り広げた。

プリウスがブレイクするのは2003年に発表した2代目以降であり、それまでは「コンパクトカー御三家」と呼ばれたこの3台が、当時の王者トヨタ「カローラ」に挑む構図だった。その構図が、主力がハイブリッドカー(HV)に切り替わった今も続いているわけで、この国に合った車格なのではないかと思っている。

さらに、現行プリウスがモデルチェンジする直前の2015年の年間販売台数ランキングで見ると、アクア、ノート、フィットの他に、マツダ「デミオ」も入っている。

デミオにはHVはないが、郊外の道では同等の燃費性能を誇るうえに力強い走りも味わえるクリーンディーゼル車を用意しており、「魂動(こどう)」と名付けられたデザインも魅力的だ。欧州車を好むようなユーザーの取り込みにも成功しているようだ。

では2016年末から2017年にかけて、コンパクトカーのカテゴリーに登場する新型は何か。いずれも既存車のモデルチェンジやマイナーチェンジではあるが、見逃せない車種ばかりだ。

スズキは「スイフト」を刷新して投入

まず2016年の末に、スズキのスイフトがモデルチェンジした。今回で4代目となるスイフトは、2代目で欧州市場を意識したデザインや走りを盛り込み、 世界中で評価された。スズキのブランドイメージを変えた1台と言われるほどであり、知名度も高い。そのクルマがモデルチェンジしたとなれば、注目が集まることは確実だ。

スイフトがフルモデルチェンジ

今回のモデルチェンジでは、先にソリオに搭載されたハイブリッドシステムが追加されるかどうかに注目が集まった。筆者はソリオの『ハイブリッド』に乗り、小型軽量にこだわったシステムながらバッテリーとモーターを効率的に使い、加速と燃費の双方をレベルアップした、スズキらしい技術だと評価している。 これがスイフトに搭載されれば、アクアやノート、フィットのライバルとして健闘するものと考えていた。

ソリオには力強いモーターアシストに加え、モーターのみによるEV走行も可能な『ハイブリッド』タイプと、ハイブリッドよりモーターアシストの力が低く、モーターのみによるEV走行はできない『マイルドハイブリッド』タイプの2種類が用意されている。新型スイフトに搭載されたのは後者のみだった。代わりにバレーノに初搭載された1リッターターボエンジンを搭載するなど、欧州仕込みの走りの良さをアピールしているように見える。

トヨタ「ヴィッツ」は「ヤリス」風に?

続いて2017年1月には、ヴィッツのマイナーチェンジが予定されている。 こちらもハイブリッド仕様が追加されるという話がある。ヴィッツは欧州では「ヤリス」という名前で現地生産も行われており、こちらには以前からHVがあった。これを日本に導入するとともに、デザインもヤリスに近い、欧州のテイストが取り込まれると言われる。

トヨタは来年から世界ラリー選手権(WRC)に久々に復帰することになっており、マシンはヤリスが使われる。これに合わせてヴィッツをヤリス風にイメージチェンジすることは十分考えられる。

トヨタにはこのクラスのHVとしてアクアがあるが、アクアは北米では「プリウスC」という車名になっている。こうした事情から想像すると、もしヴィッツのHVが登場したら、アクアより欧州的なイメージで、アクアよりややお求め安い価格で販売されるのではないかという気がする。

続いてフィットもマイナーチェンジすると言われている。こちらはもともとあるHVの燃費をさらに良くするなどの改良を行いつつ、「ホンダセンシング」と呼ばれる運転支援技術を追加することになりそうだ。ライバル車も同等の技術を搭載しつつあり、コンパクトカーでもユーザーの安全意識が高まりつつあるようである。

“カッコイイ”と話題の「マイクラ」、日本での展開は

気になるのは、かつてこのクラスの主役の1台だったマーチだ。2016年9月のパリモーターショーで欧州名「マイクラ」として発表された5代目は、可愛らしいイメージだった従来のマーチとは一線を画し、シャープなラインを多用。多くの専門家から“カッコイイ”という評価をもらっている。

2016年9月のパリモーターショーでお披露目となった「マイクラ」。専門家からは“カッコイイ”という評価が集まった(画像は日産自動車より)

新型マーチはそもそも欧州向けであり、生産もフランスにあるルノー工場で行われることになる。ボディサイズも、全長は4メートル以内に収まっているものの、全幅は1.7メートルを超えており、日本では3ナンバーとなる。主力エンジンはルノーの「トゥインゴ」や「ルーテシア」に積まれている0.9リッター3気筒ターボで、欧州でトレンドになっているダウンサイジングターボを採用する。

個人的には、ヴィッツ以上に欧州テイストを盛り込んだコンパクトカーとして販売すれば、3ナンバー幅はさしたる障壁にならないような気がするし、ダウンサイジングターボも欧州仕込みをアピールする材料になるだろう。ノートで支持を集めたe-POWERの搭載も不可能ではないはずだ。

新型マーチが日本でも販売されれば、ノートe-POWERに続くコンパクトカーの話題作になることは間違いない。だからこそぜひ導入を期待したい。

根付き始めた「必ず座れる」通勤、 鉄道に続いてバス業界も熱視線

根付き始めた「必ず座れる」通勤、 鉄道に続いてバス業界も熱視線

2018.11.19

座席指定の通勤電車から”通勤の高級化”の流れ?

ハイエンド通勤バスの実証実験を東急電鉄が実施

たまプラーザを舞台にした、日本初の郊外型MaaS

全席指定の通勤電車が首都圏の私鉄で運行され始めている。西武鉄道を主体に東急電鉄、東京地下鉄(東京メトロ)、横浜高速鉄道の各路線を乗り入れる「S-TRAIN」や、京王電鉄の「京王ライナー」などだ。座席指定ではなく、着席整理券による着席定員制の東武東上線の「TJライナー」もある。

帰宅時間に運行される京王ライナー

なぜ、私鉄各社がこうした通勤電車を運行し始めたのか。ラッシュを避けゆったり座ってオフィス街に移動できる利便性を提供するためだ。京王ライナーの場合、帰宅時間に下り方面に運行されるだけだが、これも「仕事で疲れているのに立って帰りたくない」という通勤需要に応えている。

S-TRAINやTJライナーの場合、休日には観光列車としての役割も果たす。S-TRAINはデートスポットとして注目される豊洲や、“食の街”として名をはせる横浜中華街を結んでいる。TJライナーは“小江戸”と呼ばれる川越や森林の多い憩いの場「森林公園」にアクセスできる。森林公園は今の時期、紅葉をライトアップするイベントが行われており、相当の集客がある。

ただ、どちらも平日はビジネスパーソンの脚となるという特徴を考えると、観光色の強い西武鉄道の「レッドアロー」や東武鉄道の「スペーシア」とは性格を異にする。

ハイグレード通勤バスでゆったりと

こうした“通勤の高級化”が、バスにも波及しそうだ。

東急電鉄は「ハイグレード通勤バス」の実証実験を2019年1~2月に行うと発表した。

ハイグレード通勤バスの外観(写真提供:東急電鉄)

ハイグレード通勤バスは客席が24席と広々としており、しかもかなり深めにリクライニング可能。Wi-Fi対応、USB、ACアダプタも装備し、パソコンなどが置けるテーブルも用意されている。そして、長距離バスのようにトイレまで備えているのだ。

座席は3列で、シート数は24席とゆったりしている(写真提供:東急電鉄)
かなり倒れるリクライニングシート(写真提供:東急電鉄)
テーブルにPCを置いて作業可能。写真左隅にACコンセントも確認できる(写真:東急電鉄)
通勤用バスながら、トイレ洗面台を完備(写真提供:東急電鉄)

 以前、両備グループの中国バスが運用する「ドリームスリーパー」という、超高級バスを拝見したことがある。しかもこちらは、さらに座席数が少ない14席で、個室タイプだ。とはいえ、ドリームスリーパーは東京~大阪や東京~広島を結ぶ長距離高速路線バス。睡眠を取ることが必須になると思うので、個室という選択肢になったのだろう。

一方、ハイグレード通勤バスは、読んで字のごとく“通勤”という言葉が入っている。つまり、長距離高速路線バスであるドリームスリーパーとは、まったく性格が異なる。

さて、今回の実証実験では、実験区間にたまプラーザから渋谷が選択された。このたまプラーザ駅がある東急田園都市線は、首都圏屈指の混雑路線だ。二子玉川や三軒茶屋からも乗客があり、朝の通勤ラッシュはすさまじいと聞く。国土交通省によると、ラッシュ時は185%の乗車率であるらしい。この田園都市線の混雑を少しでも緩和しようと、ハイグレード通勤バスの実証実験を開始する意図がみえる。

ただ、田園都市線の混雑は、東急電鉄そのものにも原因がある。というのも、東急の本拠である渋谷の再開発を急激に推し進めたからだ。セルリアンタワーや渋谷ヒカリエ、そして渋谷ストリームも開業した。どれもオフィス、商業施設、ホテルといった施設からなる複合ビル。オフィスが増えれば通勤客が増えるし、商業施設も朝の仕込みなどでラッシュ時に通う場合も十分に考えられる。そうした混雑を緩和するために、今回ハイグレード通勤バスを実験し、本サービスにつなげたいのだろう。

一方、東急電鉄はハイグレード通勤バスだけでなく、あわせてたまプラーザでオンデマンドバスやパーソナルモビリティ、マンション内カーシェアリングの実証実験も行う。オンデマンドバスはスマートフォンで乗車予約を行い、病院や公共施設への移動手段になる。パーソナルモビリティは、坂道や細い道路を移動しやすく買い物などに向く。マンション内カーシェアリングは、余っているクルマのリソースを同じマンション内で共有しようというものだ。

東急電鉄これらを日本初の「郊外型 MaaS」(Mobility as a Service:利用者の目的や嗜好に応じて最適な移動手段を提供すること)の実験だとしている。

このMaaSという考え方には、あのトヨタ自動車も積極的だ。トヨタは東京2020オリンピック・パラリンピックを舞台に「Mobility for All」を実現したい考え。パーソナルモビリティもこの施策に組み込まれる。

トヨタが実用化を進める「i-ROAD」(写真提供:トヨタ自動車)

 東急電鉄は実証実験でどのような結果を得るのか。“地獄”とも表現される通勤ラッシュの課題や少子高齢化への対応、高齢者の移動手段確保など、MaaSが貢献できる問題解決はさまざまだ。たまプラーザ~渋谷という、屈指の住宅街と屈指のオフィス街を結ぶこの取り組みが、“住みよい街づくり”にどのように関わっていくのか、楽しみだ。

文明の利器を使ったIT露出狂「AirDrop痴漢」

カレー沢薫の時流漂流 第16回

文明の利器を使ったIT露出狂「AirDrop痴漢」

2018.11.19

漫画家・コラムニスト カレー沢薫さんの社会派連載!

第16回は、Apple製品ユーザーを襲う「AirDrop痴漢」について

我々の生活はありとあらゆるものが電子化し、飛躍的に便利になった。

しかし、あらゆるものの中には当然「犯罪」も含まれ、さらに「痴漢」まで含まれるようになってしまったのだ。

皆さんはiPhone、iPad、Macなどを使っているだろうか。そして満員電車など人が密集する場所へ行く機会が多かったりするだろうか?

上記に当てはまる人、特に女性は注意が必要である。私はと言えば、スマホはアソドロイド、パソコンはウィソドウズ、人ゴミどころか人がいるところにさえ滅多にいかないので鉄壁と言える。

「IT露出狂」の出現

最近、Apple製品を使用した「AirDrop痴漢」なるものが現れているらしい。「痴漢も電子化の時代、わざわざ相手の前に立って局部を見せるような奴は時代遅れですよ」と「AirDrop痴漢」がろくろを回すポーズで語っているかは知らないが、当然褒められたことではない。

「AirDrop」とは、Apple製品間でデータをワイヤレスで送り合うことができる機能である。自分のMacからiPhoneにデータを送ったり、iPhone同士で友人と写真を共有したりできて便利なものだ。しかし、「AirDrop」は登録いらずで簡単な一方、半径9メートル以内にいる「AirDrop」をonにしている相手になら、誰にでもデータを送れてしまうのである。

これを使って画像を共有しようとすると、「Petagine's_iPhone」など、近くにあるApple製品の端末名が表示される。ペタジーニのiPhoneなら止めておこうと思うかもしれないが、ここで「Danmitsu's_iPhone」とか、明らかに女性と思われ、しかも何かエロスを感じる(※個人の感想です)名前を見つけた場合、その端末にわいせつ画像などを送り付ける、というのが「AirDrop痴漢」の概要である。

相手に直接手を触れるわけではないので、人が多い場所だと送ってきた相手の特定はかなり難しい。被害者はわいせつ画像を見せられた不快感と、周りにそういう人間がいるという恐怖感を味わうことになり、加害者はそれを見て楽しむという、いわば「IT露出狂」だ。

便利な機能が出来るたびに、それを使った犯罪が現れるのが世の中というものだが、これも「AirDrop」の機能を悪い意味で上手く使った犯罪である。その知恵を他の事に生かせなかった上に、そういった行為を「楽しい」と思うセンスに生まれて来てしまったことは二重に不幸なことだ。

被害者は女性が多いが、男性でも被害を受けることがあり、グロ画像を送られてきたという被害もある。

また、俳優の加藤諒さんは新幹線に乗っていたところ、車内で携帯をいじっている自分の後ろ姿の写真が「AirDrop」に送られてきたと言う。わいせつ画像でなくても、「お前のことを見ているぞ」というストーカー的恐怖感を相手に与えることも可能なのだ。

被害と「誤爆」を防ぐシンプルな解決法

「AirDrop痴漢」を防ぐ手立てはないのか、というと意外と簡単で、平素は「AirDrop」の設定を「受信しない」にしておき、使う時だけonにすれば良い。

そのほか、名前や性別を特定されないように、「Gorira's_iPhone」など、ユーザーネームを変更しておくのも効果的だ。

画像を共有する相手などいないという人間は、Apple製品を買ったらまず「AirDrop」機能を切るぐらいでもいいかもしれない。何故なら、この「AirDrop痴漢」は知らず知らずのうちに加害者になる可能性もあるからだ。

恋人に送るはずだった語尾が「ぞえ♪」のLINEを上司に送ってしまったり、ツイッターのアカウント切り替えを忘れて美容垢に推しカプがどれだけ尊いか語ってしまったりするような「誤爆」が「AirDrop」でも起こるのである。

しかも、LINEなら登録してある相手にしか送らないだろうし、SNSならある程度他人が読むことを想定して投稿するだろうが、「AirDrop」の場合、半径9メートル以内にいる赤の他人に、1人で楽しむためだけのお宝画像を送ってしまうという事態になりかねないのだ。受信してしまった方も不幸だが、送った方もある意味それ以上不幸である。

このように、「AirDrop」は便利だが、意図せず自分の性癖を含む個人情報を流出させてしまう恐れもあるため、使う時だけonにするのが今のところ一番良いかと思われる。

ちなみに、この「AirDrop痴漢」は犯罪にならないかというと、もちろんそんなことはない。わいせつ画像を送るのは「猥褻物頒布罪」になり得るし、わいせつでなくても相手が不快に思う画像を送り付けるのは「迷惑行為防止条例」違反になる場合がある。

実際、電車内で「AirDrop痴漢」を80件以上繰り返したという男が書類送検されたという。送信者が特定しづらいと言っても「本気を出せば特定できるしバッチリ逮捕もされる」ということはすでに実証されているので、もしイタズラ感覚でやっている人間がいるなら、逮捕されない内に今すぐやめた方がいい。

このような使い方は、Appleが想定していなかったことだろう。つまり、最初に考え着いた人間は、アイディア力にすぐれている。

その力を犯罪以外に使えなかったのは、重ね重ね残念である。