ついにUSBが変わる、「USB Type-C」普及の期待と不安

ついにUSBが変わる、「USB Type-C」普及の期待と不安

2017.01.11

デジタル機器のコネクターとして一般に普及しているUSBが、変わろうとしている。2016年に普及の兆しが見えてきた次世代規格「USB Type-C」の登場だ。2017年には広く一般に普及することで、コネクター形状の変化による混乱が予想される。果たして、慣れ親しんでいるUSBの形を変えるメリットはあるのだろうか。

大手キャリアショップでもUSB Type-C対応ケーブルが並び始めた(12月28日オープンのau SENDAIにて)

コネクター形状だけではないUSB Type-Cのメリット

USB Type-Cは、裏表のないリバーシブルなコネクターが特徴の次世代規格だ。これまでUSBメモリーなどに使われてきた標準のAタイプコネクターや、スマホの充電ケーブルとしても広く普及したMicroUSBでは、逆向きにつなごうとしてイライラした人も多いだろう。これがUSB Type-Cでは、アップル独自のLightningコネクターのように裏表を区別する必要がなくなった。

一般的なAタイプコネクター(左)とMicroUSB(中央)に対して、USB Type-C(右)は裏表がなくなった。実は中身も大きく進化している

重要なのは形状だけではない。最近ではAタイプやMicroUSBでも裏表のないコネクターは実現しているからだ。リバーシブルであることに加えてUSB Type-Cでは、ディスプレイ信号などを通す「Alternate Mode」や、急速充電規格の「USB Power Delivery」(USB PD)など「中身」も大きくアップデートされている。

具体的に得られるメリットとしては、ケーブルの本数を減らせるという点がある。一般にノートPCの側面には電源ジャックやUSB、HDMIなど多数のポートが配置されている。だがUSB Type-Cを使えば充電、USB、ディスプレイ出力などを集約できる。たった1本のケーブルですべてをまかなうことも不可能ではないのだ。

USB Type-C搭載のPCが続々と登場

この理想を端的に実装したノートPCが、アップルが2015年に発表した12型のMacBookだ。搭載するインターフェイスはUSB Type-Cが1基と、あとはイヤホンジャックのみ。ここに充電とUSB、HDMIに対応したマルチポートアダプターをつなげる、ケーブル1本の運用を提案したことは記憶に新しい。

12型MacBookではインターフェイスをUSB Type-Cに統一してしまった

といっても、さすがに1ポートでは不便なこともある。そこで本体サイズに余裕があるPCでは、USB Type-Cを複数搭載するようになっている。10月に発売された新型MacBook Proでは、USB Type-Cの上位規格「Thunderbolt 3」を4ポート搭載。Windows PCでも、HPやDELL、東芝といったメーカーがUSB Type-Cを中心に据えたモデルを投入している。

スマホの世界でもUSB Type-Cの採用は進んでいる。2016年にはソニーモバイルの「Xperia XZ」など、大手キャリアのハイエンドモデルがUSB Type-Cを採用。2017年はミドルレンジやシニア向けなど、より幅広い端末で採用が進むとみられる。

12月に登場したファーウェイのハイエンドスマホ「HUAWEI Mate 9」。SIMフリー機ではUSB Type-Cが主流になりつつある

問題は、すべてがUSB Type-Cに統一されるまでにはまだ時間がかかるという点だ。USB充電はスマホだけでなく、Bluetooth機器やモバイルバッテリーなどに広く普及しているが、そのほどんどはMicroUSBだ。次に買い換えるときはUSB Type-C対応品を選ぶとしても、当面は変換アダプターを装着して使うことになるだろう。

急速充電の「USB PD」も普及はまだこれからだ。スマホに広く採用される「Quick Charge」は、現時点ではUSB PDと互換性がない。さらに独自の超急速充電を開発するメーカーも出てきた。他社との差異化競争の上ではやむを得ないものの、同じUSB Type-Cなのに急速充電の規格が分裂しているというのは面倒だ。

このようにUSB Type-Cの普及は、ケーブル本数を減らし、バラバラだった端子の形状を統一するという意味では基本的に歓迎できる。だが移行期には変換アダプターやケーブルの持ち歩きや購入のコストなどで、ユーザーに負担がかかる。また、急速充電を巡る規格が分裂していることで、周辺機器メーカーは複数の規格への対応を迫られる可能性もある。こうした状況が2017年にはブレークされることを期待したいが、果たしてどうなるだろうか。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu