【中小企業のM&A】 買収したその後は?

【中小企業のM&A】 買収したその後は?

2017.01.12

【中小企業のM&A】 買収したその後は?

確実に引き継ぐためには

中小企業のM&Aにおいても、単に株式を売買して完了、というわけではありません。中小企業の場合、社長の信用がそのまま会社の信用に直結していることが多く、新しい社長が信用され、はじめて会社として機能します。クロージングや引継ぎにもしっかりと気を配りましょう。

最終契約時における注意点

M&Aで交わす契約書のうち、最も重要な契約が「最終契約」です。

織り込む内容は、以下のように多岐にわたります。

M&Aの手法

売買金額 (評価額)

代金決済の方法

取締役、従業員の処遇

引継ぎ期間およびその間の報酬、肩書き

借入金や個人保証、担保の取り扱い

会社名義の個人資産の取り扱い

表明保証の期間と範囲

など。

発表 (公表) のタイミング

M&Aは成約する可能性が100%ではありませんから、買い手企業との交渉が頓挫しても、以前の経営環境で引き続き業務を続けなければなりません。したがって発表のタイミングは、最終契約を締結した後が望ましいでしょう。

また、発表時には「M&Aを決断した理由」、「新社長の人柄 (あるいは新会社の文化)」などをきちん従業員へ説明することで、将来への不安を取り除く必要があります。

誠意を持った対応が、これから売り手と買い手がM&Aによる相乗効果を発揮するためにも、必要な心がけとなります。

従業員・取引先への説明

M&Aを成功させるためには、従業員や取引先がそのまま承継されることが前提となります。説明をおろそかにした結果、従業員のモチベーションを下げてしまっては、M&Aがうまくいくはずはありません。

従業員への説明

幹部クラスの従業員には基本合意後に極秘事項として説明し、最終契約後にその他の従業員へ話すのが一般的です。一堂に会して説明することもあれば、心温まる手紙をしたためる経営者もいらっしゃいます。

取引先への説明

最終契約後に、重要な取引先へは直接挨拶に出向き、その他の取引先へは挨拶状でお知らせするのが一般的です。大口取引先へは、最終契約前にM&Aの内諾を得ることが必要な場合もあります。

すべては最初が肝心です

M&Aにおける引継ぎは、売り手にとっては最後の仕事ですが、買い手にとっては最初の仕事といえます。

引継ぎ期間は、一般的に「3ヶ月~1年程度」のケースが多く、

取引先への挨拶 (訪問 or 挨拶状か)

懇親会の段取り (時期と出席者、会場など)

実務の引継ぎ (スケジュール、勤務体制の調整など)

などを、どうするか具体的に決めます。

顧問契約を結び、売り手のオーナー (旧社長) が引き続き一定期間残るケースもありますが、会社を買収した以上、基本的には買い手が自己責任で判断していかなければなりません。売り手のオーナー (旧社長) に頼りすぎた結果、命令系統が2つに分断され、従業員がどちらにつけばよいのか迷ってしまったり、派閥争いに発展するケースもあります。

また、売り手オーナーの心情としても、M&Aで会社を手放してほっとしたのも束の間、たびたび連絡が入っては、とても気が休まらないでしょう。

ただし、わからないことや判断に迷うことが起きるのも現実問題としてないとはいえません。その場合は契約内容や法律論に縛られることなく、人としての「良心」で対応することが大事です。

文:株式会社ストライク まとめ:M&A Online編集部

中小企業のM&A 売り手編のバックナンバーはこちら

【中小企業のM&A】 どうすれば売れる会社になれるのか
【中小企業のM&A】 買い手はここを見る
【中小企業のM&A】 売れる会社の条件
【中小企業のM&A】 売れる会社の条件

ソフトバンク通信障害、問題の機器を製造したエリクソンが原因を公表

ソフトバンク通信障害、問題の機器を製造したエリクソンが原因を公表

2018.12.10

ソフトバンクの通信障害、問題のエリクソンが会見

原因は機器のデジタル証明書の有効期限切れ

根本原因は調査中で、本格的な対策はこれから

12月10日、ソフトバンクで6日に発生した通信障害について、通信障害の原因となった機器を製造していたエリクソン(本社:スウェーデン)が会見を開いた。

6日午後、ソフトバンク回線が不通に

通信障害の原因とされたのは、LTE通信網のコアネットワーク内で制御信号などのやりとりを行うMME(Mobility Management Entity)内のソフトウェアで、デジタル証明書の期限が切れていたこと。これはエリクソン側のミスだという。同社は現在「根本原因の解析と今後の対策」については精査中と説明している。

LTEのコアネットワークには、さまざまな装置が必要だ。複雑なため概要は記事中の図を参照してほしいが、パケット交換を担当する装置としてEPCがあり、そこにはS/P-GWと今回のMMEが含まれている。S/P-GW側はパケット交換機能を担当しており、いわばルーターのような機能を提供する。MMEは、さらに加入者情報を管理する装置であるHLR/HSSとも接続しており、端末の位置情報も橋渡しするなど、制御系の機能を備えている。なお、今回問題となったエリクソンのMMEはバーチャルMMEだったという。

LTEのコアネットワークには、さまざまな装置が必要だ

今回の不具合では、このMMEの機能を提供するソフトウェアのライセンスを管理しているデジタル証明書の期限が誤って登録されていた。これが期限切れとなったことから、MMEの機能が使えなくなり、ユーザーの加入者情報が参照できなくなるなどの障害が発生し、通話・データ通信の全ての機能が利用できなくなるといった被害につながった。

デジタル証明書の期限が短く設定されていた理由は明らかになっていないが、今回はソフトウェアのバージョンダウンによって障害が収まった。旧バージョンでは長期間の期限が設定されていたからだ。そのため、新バージョンの証明書の期限が短くなっていた事象には人的ミスが疑われる。また、それ以外の装置では同様の問題は発生していないという。

そうした根本的な原因について、エリクソンでは現在調査中として未だ明らかにしていない。世界11カ国の事業者で同様の問題が発生したとしているが、ソフトバンクと英O2以外はキャリア自身が公表していないことを理由に、どの国のどのキャリアで問題が発生したかもエリクソンは明らかにしなかった。

今回は、ソフトバンクがLTE網の全てにエリクソンの装置を導入していたため、全国規模の障害発生につながってしまった。仮に複数のベンダーを採用してネットワークを構成していれば、被害を限定的にすることはできただろう。

エリクソンも「地域ごとにベンダー(製造元)を分けるなど、マルチベンダー化しているキャリアは(海外には)多数ある」としており、今後の障害対策のために、マルチベンダー化によって冗長化することは一つの策になる。

同社は今後も原因解析を進めるとしており、証明書の期限切れが発生した経緯なども明らかになる見通しだ。

面倒くささが先に立つ「軽減税率」のしくみ

カレー沢薫の時流漂流 第19回

面倒くささが先に立つ「軽減税率」のしくみ

2018.12.10

漫画家・コラムニスト カレー沢薫さんの社会派連載!

第19回は消費税増税に伴い実施予定の「軽減税率」について

今回のテーマは「軽減税率」である。

庶民を救う「軽減税率」のはずが…

来年10月、消費税が10%に増税される。この前8%になったばかりやんけ、と思うが、「そうしないと日本ダメです」と言われたら、これからも日本に居座り続ける予定の者としては協力せざるを得ない。

しかし、所得が上がらぬまま税だけ増えれば、当然我々の負担は増加する。特に庶民の生活は圧迫され、スーパーのレジで合計金額が出た後、一つ二つ商品を棚に戻しに行くということが3回に2回は起こるようになるだろう。

そんな庶民や、それよりも苦しい低所得者層を救うという名目で実施を予定されているのが「軽減税率」である。

「軽減税率」とは、消費税が10%となった後も、一部商品だけは8%のままにしようという政策だ。一部商品とは何かというと「肉、魚、野菜、などの生鮮食品」「清涼飲料」「老人ホーム、学校給食」「テイクアウト」「新聞」などである。

要するに、飲食物など生活必需なものを8%のままにすることにより、低所得者層を救おうという作戦だ。その中に何で新聞が入っているのか。生ごみを捨てる時に必需だからか、と思ったが、「報道を味方につけるため」という見方が強い。こんなに露骨でいいのかとハラハラする。

人間食べなきゃ死ぬわけであるから、それらの税率が据え置きというのは一見良いように見えるが、すでにさまざまな問題点が指摘されている。

まずこの軽減税率、低所得者層救済という名目だが、実際に多く恩恵を受けるのは富裕者層と言われている。何故なら、食費にかける金額は富裕層の方が当然高いからだ。

例えば食費に月10万かけている富裕層と、三食うまい棒コーンポタージュ味でやりすごしている層がいるとする。前者の裕福勢の場合、軽減税率により毎月2000円消費税が軽減され、年間2万4000円浮くことになる。

片やうまい棒勢は、うまい棒が10円か11円かで一議論あるが、10円と仮定して、毎月の食費が900円、軽減税率により軽減額は月18円、年間216円である。つまり、裕福勢の方が2万3,784円も多く軽減税率の恩恵を受けているということになってしまう。

例をうまい棒コーンポタージュ味にしてしまったせいで、まったく説明ができてない気がするが、ともかく軽減税率は食費に多く金を使える富裕層の方が、軽減額自体は大きいということである。

「金持ちは恩恵を受けるな、むしろ36%ぐらい多く払え」、というわけではないが、「低所得者層救済」という名目で導入するなら、この軽減税率は適当ではないと言われている。そこを考えてか、低所得者層や子育て世帯に2万円(購入上限額)で2万5000円分の買い物ができる「プレミアム商品券」を配るというが、最大5000円のキャッシュバックで穴埋めできるのだろうか。

バナナは軽減対象に入りますか?

また、それ以前の問題もある。「うまい棒コーンポタージュ味は軽減税率対象に入るのか」という話だ。

実際、あのスポーツドリンクは清涼飲料水なので8%だが、この栄養ドリンクは指定医薬部外品だから10%だと、その線引きは曖昧かつ細かく、多くの飲食物販売店で混乱が起きると言われている。全国で「バナナはおやつに入るのか」というような古代の議論が、大真面目にされるようになってしまうのである。

また、テイクアウトは8%だが外食やイートインは10%なので、イートインスペースがあるファーストフード店やコンビニでは特に大混乱が予想される。

「早い」「手軽」が売りで私たち庶民に密接な関係があるコンビニやファーストフード店が、この軽減税率導入によりスムーズに行かなくなったら、「消費税10%より、コンビニやファーストフード店でもたつくことがムカつく」という事態になり、客が次々とモヒカンになってしまうかもしれない。軽減税率のせいで、庶民の生活が別の意味で圧迫される可能性があるということだ。

そもそも日本は少子高齢化の労働力不足で、コンビニ店員の確保もままならず、外国人労働力に頼らざるを得ないため、外国人や高齢者でも簡単に操作できるPOSレジを導入するなどの工夫をしている。それなのに、ここでさらにコンビニ業務を複雑化してしまったら、ますます働き手を確保できず、「コンビニ20時閉店時代」の到来が早まるだけだろう。

ちなみに軽減税率を導入することにより、全部10%にする場合より1兆円ほど税収入が少なくなってしまうそうだ。その1兆円をどこでまかなうかというと、総合合算制度の見送りやたばこ税、所得税の増税でまかなう予定らしい。

総合合算制度とは医療、介護、保育の負担の合計が一定額を越えたら国が補助をするという制度である。超高齢化社会日本にとっては、医療や介護などを補助してくれる政策の方が大事な気がするが、何故かこちらを見送って、軽減税率を採用するという。

私には理解しえぬ深い理由があるのかもしれないが、私程度の人間の感想としては「もう面倒だから全部10%にしてくれ」という感じだ。

もしかしたら、国民の方から「頼むから全部10%にしてくれ」と言わせるために、この「軽減税率」は存在するのかもしれない。