【SOMPOケアメッセージ】SOMPO傘下入りも再建の道険しく M&Aなど外科手術必要

【SOMPOケアメッセージ】SOMPO傘下入りも再建の道険しく M&Aなど外科手術必要

2017.01.12

【SOMPOケアメッセージ】SOMPO傘下入りも再建の道険しく M&Aなど外科手術必要

 メッセージ(現・SOMPOケアメッセージ<2400>)というとご存知ない方も多いかもしれないが、老人ホームの「アミーユ」と聞くとお分かりになるかもしれない。2014年から2015年にかけて不祥事のあった施設で、社会問題にも発展したことで有名である。この年、この一件の影響もあって上場以来初めての減収となったメッセージは、2016年3月に損保ジャパン日本興亜ホールディングス(現・SOMPOホールディングス<8630>)のTOBによって同グループの傘下入りを果たすことになった。同グループ傘下の有名な企業としては、ワタミ<7522>の介護事業子会社であるSOMPOケアネクストがある。最終的に、TOBでM&Aをされる形になったメッセージであるが、M&Aを活用してここまで拡大を続けてきた。メッセージのM&Aを振り返りながら、今後の同社の行く末を考えたい。

【企業概要】高齢者向け住宅、介護サービスが主力

 SOMPOケアメッセージは、消化器専門の外科医である橋本俊明氏によって、1997年に老人用住宅の賃貸管理運営、介護用品の販売、食事の宅配を目的として岡山県に設立された企業である。現在では、施設ケア事業、地域包括ケア事業、給食事業、その他事業に再編されている。施設ケア事業においては、サービス付き高齢者向け住宅を始めとした「住まい」を提供する事業をおこなっており、グループのハード面を担っている。グループ全体の定員で、17,700人程度(2016年10月末時点)のキャパシティーを有している。次に、地域包括ケア事業では、訪問介護や通所介護などの介護サービスを提供しており、給食事業、その他事業と併せてグループのソフト面を担っている。

【株主構成】SOMPOホールディングスが94%超保有

現在のSOMPOホールディングスによるTOB前と直近の株主構成が下記の通りとなっている。

 TOB前は、当時代表であった橋本俊明氏とその一族の資産管理会社である有限会社東畦商事が筆頭株主で、個人所有の株式も併せて3分の1強を橋本一族が握っていた。その一方で、2015年3月から資本提携を開始した損保ジャパン日本興亜は、3.50%を所有する状態であった。当時からSOMPOグループ入りを考えていたかは定かではないが、不祥事発覚直後に資本提携なされたことから推察するに、当時から将来的なグループ入りを検討していたことが考えられる。

 TOB後は、SOMPOホールディングスが94.63%を保有する筆頭株主で、スーパーマジョリティを握る状態にある。

【M&A戦略】ジャパンケアサービスの買収で業界3位に


 このように、過去のM&Aを見てみると、ジャパンケアサービスグループのTOBが一際大型の買収であったことがわかる。

 ジャパンケアサービスは、1997年に介護事業会社として日本で初めて上場した企業で、様々な介護サービスを開拓してきた日本介護業界におけるパイオニア的な存在であり、M&Aを活用して成長を果たしてきた。そのジャパンケアサービスグループにTOBをかけた背景には、施設や高齢者住宅を主力とするメッセージが、将来的な在宅サービスへのシフトを予見していたことがある。実際に、近年は在宅サービスへのシフトが見られ、橋本氏以下、当時の経営陣の経営判断が的中したと言える。TOBの価格は前日終値の231円に対して49%ものプレミアムを乗せた345円で買収をおこなった。また、在宅介護5位であったジャパンケアサービスグループの買収によって、施設介護で2位、このTOBによって、メッセージは介護業界3位へと躍り出ることになった。

 一方で、介護事業のM&Aというと、施設や介護サービスの事業会社の買収をイメージするが、コンピュータ機器及びソフトウェアの販売並びにメンテナンスサポート等関連事業をおこなうセットアップに対して2006年から出資しており、最終的に2013年に子会社化している。介護事業へITを導入しようとする姿勢を見ても、ジャパンケアサービスグループの買収同様、先見の明があったように感じる。

 また他方で、M&Aで取得した施設の中でも、「入居一時金なし」、「年金範囲内の月額料金での運営」という自社の方針にそぐわない施設については売却をしている。トラストガーデンに売却をしたジャパンケアサービス傘下の高級老人ホームを指すが、自社の方針を貫いている点は首尾一貫しており、好印象である。

【財務分析】不祥事が打撃、過去10年間で初の減収に

 ここで、SOMPOケアメッセージの財務の変遷を辿ると、下記のようになっている。

 ジャパンケアサービスグループの買収をおこなった2012年3月期を含めて、純資産は毎年順調に積み増すことに成功している。

 一方で、自己資本比率は2009年3月期と2012年3月期に大きく落としている。2009年3月期は、設備投資に66億円を費やし、その多くを有利子負債で賄ったため、自己資本比率を20%以上落とすこととなった。2012年3月期は、ジャパンケアサービスグループの買収に26億円を要したため、自己資本比率が40%を割ることとなった。

 他方で、のれんの比率は低く抑えられており、ジャパンケアサービスグループの買収直後でも10%を切っている。この点においては、無謀な投資は避けて、地に足のついた経営をしていることが見て取れる。ただ、裏を返せばリスクを取らずに経営をしているとも言え、多角化戦略を推進するとともにM&Aを積極的に活用している業界首位のニチイ学館<9792>とは対照的である。

次に、セグメント別の売上推移を見てみる。

 地域包括ケア事業のセグメント情報を公開し始めたのが2015年3月期からであるため、2014年3月期以前は、同事業の売上高は施設ケア事業との合算表記となっている。

 また、2013年3月期からはジャパンケアサービスグループの買収効果で売上高が大きく伸長しており、M&Aの効果が高いことを物語っている。この買収効果を除いたとしても、既存事業の売上高は増加傾向にあり、順調に施設・サービスの展開が進んでいたと考えられる。

 一方で、2016年3月期には過去10年間で初めて減収に転じることとなった。これは不祥事が大きな影響を与えている。2016年3月末で入居率は約88%と、1年前に比べて10%近く入居率が下落している。介護事業は地代家賃や人件費が費用の大部分を占め、固定費比率の高いビジネスモデルであるために、入居率の下落は収益に大きな影響を与えることになる。

 また、介護市場は今後も広がりを見せることは予測されるが、現在は収益の柱が施設の運営と介護サービスの提供しかない点から見ると、非常にリスクの高い事業ポートフォリオであると言わざるを得ない。

【株価】不祥事、TOBで乱高下 上場廃止へ

 株価は2015年夏に急落した。同社が運営する介護付有料老人ホーム「アミーユ」での職員による入居者虐待の不祥事を受けて行政処分を受けたことが影響している。その後、2015年12月、損保ジャパン日本興亜ホールディングス(現SOMPOホールディングス)がメッセージへの株式公開買い付け(TOB)を発表すると株価は一時上昇に転じた。しかし2016年3月にSOMPOホールディングスの子会社になった後も株価の低迷は続き、ついに2016年12月16日、SOMPOホールディングスの完全子会社になることが決定した。これによりSOMPOケアメッセージは2017年1月16日をもって上場廃止となる予定だ。

【まとめ】ワタミ元子会社との統合も選択肢か

 SOMPOグループ入りをして再起を目指すメッセージであるが、大手グループ傘下であるがゆえに、身動きが取りづらくなってしまったように見受けられる。現在は個別のM&Aの検討は停止状態となっており、単独での再建が急務である。一旦失った信用を回復するには地道な努力が必要となるが、M&Aのような外科的治療が必要なのではないだろうか。このまま2017年3月期が赤字になるようであれば、SOMPOグループの完全子会社となった後、ワタミの元子会社であるSOMPOケアネクストとの統合も考えられる。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部

【平成最後】2018年度の「M&A」件数・金額は、過去最高に - 令和も活況続くか

【平成最後】2018年度の「M&A」件数・金額は、過去最高に - 令和も活況続くか

2019.05.21

2018年度のM&A件数は830件、取引総額は12兆7,069億円

「武田薬品のシャイアー買収」は日本企業最高金額に

日本企業が積極的に海外での地盤固めに動いた様子が見られた

平成最後の年度となる2018年度(2018年4月-2019年3月)は、日本の上場企業によるM&A(企業の合併・買収)が活発だった。

国内の高齢化が進み、中小企業の後継者不在の問題はますます深刻になっている。大手企業でも国際競争が激しくなる中で、規模を拡大したり、「選択と集中」で経営を効率化したりする動きが活発だ。こうした経済環境の中で、多くの企業はM&Aに注目し、自社の成長の手段の1つとして積極的に活用し始めている。

M&A仲介サービス大手のストライクが東京証券取引所の適時開示情報を基に構築したデータベースによると、2018年度のM&A件数は830件、金額(株式取得費用と一部アドバイザリー費用を合わせた取引総額)は計12兆7,069億円となり、いずれも2009年度以降の10年間で最高に達した。

2009年度から2018年度にかけてのM&A件数の推移。ストライクが東京証券取引所の適時開示情報を基に構築したデータベースで集計したもの。※経営権が移動するものを対象とし、グループ内再編は対象に含まない。金額などの情報はいずれも発表時点の情報
2009年度から2018年度にかけてのM&A金額の推移。 ※同上

日本企業最高金額となった「武田薬品のシャイアー買収」

2018年度に注目されたのが取引金額の拡大だ。

武田薬品工業がアイルランドの製薬会社シャイアーの買収に投じた6兆7,900億円は、日本企業が実施したM&Aとしては過去最高額となった。さらに同年は、1,000億円を超える案件がこの10年で最高であった2017年度と並ぶ18件に達するなど、国際競争が激しくなる中で、日本企業がクロスボーダー(国際間案件)のM&Aを活発化させた様子が見てとれる。

武田薬品のシャイアー買収は2018年5月8日に発表され、2019年1月8日に成立した。巨額の買収金額が経営に与える影響を懸念して、創業家一族ら一部の株主が買収に反対したことも話題になったが、臨時株主総会での武田薬品株主の賛成率は9割近くに達した。

武田薬品に次ぐ大型の案件は、ルネサスエレクトロニクスによる米半導体メーカー・インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)の買収であった。買収金額は日本の半導体メーカーとして過去最高となる7,330億円に達した。自動運転やEV(電気自動車)などの進化に伴い、車載向け半導体の需要拡大が見込まれており、ルネサスエレクトロニクスはIDTの買収によってこの分野の開発力強化や製品の相互補完を目指す考えだ。

それに次ぐ大型の案件は、日立製作所によるスイスABBの送配電事業の買収であり、その金額は7,140億円に達する。日立製作所はABBから2020年前半をめどに分社される送配電事業会社の株式の約8割を取得して子会社化したあと、4年目以降に100%を取得し、完全子会社化する予定だ。再生可能エネルギー市場の拡大や新興国での電力網の整備に伴い、送配電設備に対する需要は一層高まると予想されており、日立製作所は買収により送配電事業で世界首位を目指す。

2018年度(2018年4月1日-2019年3月31日)の取引総額上位10ケース。※金額は株式取得費用と一部アドバイザリー費用を合わせた取引総額 (ストライク調べ)

2019年度も活況続くか

先述したように、金額が1,000億円を超える大型のM&Aは18件あり、武田薬品など金額上位3社のほかに、大陽日酸、三菱UFJ信託銀行、大正製薬ホールディングス、東京海上ホールディングス、JTといった大企業が名を連ねた。

これら18件中17件はクロスボーダーであり、かつ2018年度のM&A件数中、こうしたクロスボーダーは185件(構成比22.3%)に達しており、日本企業が積極的に海外での地盤固めに動いた様子が浮かび上がった。

かつて、日本で企業の投資といえば、研究開発や設備投資が大半を占めていた。しかし、最近の状況を受けて、ストライクの荒井邦彦社長は「全体の成長率が低迷する中で、こうした投資の効果は思うように高まらず、事業戦略としてのM&Aが日本企業でも定着してきている」と分析する。

なお同氏は、2019年度のM&A市場の動向についても「日銀による金融緩和が企業の資金調達環境を改善させており、活況が続きそうだ」と予測している。

出展:M&A online データベース

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大津の園児死亡事故で炎上した「マスコミ」批判

カレー沢薫の時流漂流 第43回

大津の園児死亡事故で炎上した「マスコミ」批判

2019.05.20

漫画家・コラムニスト カレー沢薫さんの社会派連載!

第43回は、大津の痛ましい事故で炎上した「マスコミ」問題について

滋賀県・大津市で散歩中の園児の列に軽乗用車が突っ込み、園児二名死亡、多くの負傷者を出す、という事故が起った。

池袋のプリウス事故の衝撃が冷めやらぬまま、また痛ましい事故が起ってしまった。池袋の事故では「高齢者の自動車運転問題」「上級国民疑惑」が大きく注目されたが、今回の事故では全く別のものが炎上した。

マスコミ問題である。

マスコミが保育園を追求したのは視聴者のため?

事件が起こった当日夕方、被害者の園児が通っていた「レイモンド淡海保育園」が記者会見を行ったのだが、そこで質問をした記者の血が青とか紫とかほとんど寒色系じゃないかと、大きく批判された。

記者会見が、どのような内容だったかというと「危険な場所という認識はあったのか?」「保育士が道路側にいたのか?」という、何としてでも保育園側に批があったようにしたくてたまらない質問、「園児たちの様子は普段と変わらなかったのか?」という意図のわからない質問、 「散歩したのは園に庭がないからか?」という「園に庭さえあればこんなことには…」という「ニ兆円さえあれば」に匹敵する、壮大なたられば論などが挙げられ、質問を受けた園長は号泣、それを記者がバッシャバッシャ撮影するという地獄絵図だったそうだ。

記者会見を見た多くの人が「何を食ったらそんな質問ができるんだ」と思っただろうが、この記者会見は、たまたまその場にプラスチックを食って育った選りすぐりのサイコパッシャーが大集結してしまったという、悪い意味でのアベンジャーズだったワケではないと思う。

記者が何故あのような質問をしたかというと、決して趣味ではなく、おそらく「視聴者の見たい画」「聞きたい言葉」を引き出そうとした結果なのではないか。もちろん「あんなもの見たくなかった」という人が大半だと思う。

しかし、池袋プリウス事故で加害者が即逮捕されないことが大きく批判されたことからも、現在の我々視聴者に「悪が一刻も早く、俺たちの目に見える形で処されるところが見たい」という「ニーズ」が少なからずあることが分かっているのだ。

つまり「お客様に一秒でも早く悪が吊るされる様をお届けします!」というニーズに応えようとする企業努力が、「悪くもない保育園をとりあえず悪にして即斬る」という、完全に間違った「悪・即・斬」になってしまったのではないだろうか。

「マスゴミ」問題は視聴者の問題?

しかし、「被害者側への無配慮な取材はいらん」というのも、今回の件だけではなく、視聴者側が何度も言い続けている「ニーズ」である。

何故それが無視されてこのような会見が行われるかというと、被害者の声まではいらなくても、やはり我々が平素「センセーショナル」な物を求めてしまっているからではないだろうか。よって記者たちは「とにかく刺激的なものを撮ってこい」と言われ続け、感覚がマヒし、本来配慮が必要なはずの取材にすら「センセーショナルさ第一」で臨んでしまい、まるで不倫記者会見のようなノリの質問が飛ぶことになってしまったのではないだろうか。

やはり報道というのは「視聴者が何を見たがっているか」が反映されるものだ、需要がなければ供給はなくなる。このような記者会見が行われなくするためには、何度でも我々が「こういうのはいらんのや、見んし、お前らの雑誌買わんわ」と言い続けるしかないだろう。

ところで、「質問をした記者を特定して処してやろう」という動きも当然のように起こったらしい。やはり我々の「悪を処したい」「処されるのを見たい」という気持ちは根深い物があるのだ。

ちなみに、今回の事故では当初、車を運転していた52歳と62歳の2人が逮捕された。「また高齢者か」という声も上がったが、この年齢で高齢者と呼べるかは微妙なところだ。結局「車を運転する以上誰でも事故を起こす可能性がある」ということである。

車を運転しない人は「歩道を歩いていて車が突っ込んでくるなんてどうしようもない」という被害者観点から絶望したと思うが、車を運転する人は加害者観点でも恐怖したと思う。

もちろん安全運転に越したことはないが、人間には「限界」と「不測の事態」があることでおなじみである。持病もないのに運転中に突然何らかの発作が起こる可能性だってあるのだ。「どうしようもないこと」で被害者になることもあるが、加害者になることもあるのである。

つまり、車がないと生活できない土地で、私が週一ぐらいしか外出せず、引きこもり続けているのは、近隣住民の命を守る草の根活動でもあるのだ。しかし、それは無職だからできる事業なので、多くの人が、少なからずリスクを負って車を運転しなければいけない。

そのリスクを減らすには、運転者が気をつけることはもちろんだが、何せ限界がある。つまり、人間がこれ以上、進化することなく、むしろ高齢化で退化する一方だとしたら、無機物の方を整備していくしかない。

事故が起りにくい道路作り、そして車だ。

現に、車の事故防止機能はどんどん進化しており、自動運転化の開発も進んでいるという。自動運転が本当に安全なのか不安もあるが、少なくとも老が運転するよりは確実に安全になるだろう。

しかし、今のところそういった事故防止機能がついた車を買うか否かは、任意である。そして、そのような機能がついた車は高くなる。よって私の車は金銭的問題で、タイヤとハンドルがついているぐらいであり、運転手がミスったら、そのミス通り事故を起こしてくれる、素直な仕様である。

現在でも事故防止機能のある車を購入した場合、補助がもらえることもあるようだが、導入が任意な以上、つけない人はつけないだろう。これからの車には、タイヤ、ハンドル、事故防止機能を、もう屋根ぐらい忘れても良いから義務付けるべきではないだろうか。

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