堅実志向のマイクロソフト。過去3年間の買収まとめ

堅実志向のマイクロソフト。過去3年間の買収まとめ

2017.01.15

堅実志向のマイクロソフト。過去3年間の買収まとめ

買収は堅実に。

Windowsで有名なマイクロソフトは、1975年にビル・ゲイツとポール・アレンらによって設立された。
かつては、基本ソフト(OS)「Windows(ウィンドウズ)」と統合ソフト「Office(オフィス)」により企業用コンピューター市場を独占したが、その地位に甘んずることなく時代の変化とともにM&Aを通じ収益拡大を図っている。

過去にはヤフーへの買収を断念したマイクロソフトだが、技術をお金で買う手法は相変わらずだ。平均して年10件程度の買収を行っており、対象企業はビジネス向けIT企業が中心だ。比較的サイズ感を持った企業を買収する傾向にあるマイクロソフトだが、最近はLiveLoopなどの小規模スタートアップ企業も買収している。

そして時には、大胆に。

過去3年間の買収案件の中で特筆すべきなのは、リンクトイン(LikedIn)だろう。買収価格は驚愕の262億ドル(2兆9800億円)。リンクトインは、ビジネス向けのSNSであり、自分の学歴やキャリア、スキルを登録し、ビジネス上のつながりを記載する。ユーザー数は世界で4億人。登録者の4割はマネージャーや副社長等の上級職だという。

リンクトインの買収は自社の収益の拡大と同時に、オフィス環境においてフェイスブック(facebook)やグーグル(Google)などの競合に対する大きなアドバンテージを取る狙いもある。

現在ではOfficeのようなビジネスツールと人々のつながりの情報を提供できるプラットフォームを持つ企業は、マイクロソフトだけといっても過言ではないだろう。他社が消費者向けのサービスに注力して事業の拡大を目指す一方で、マイクロソフトは堅実にオフィス環境での競合優位の維持に腐心している。

2014年のマイクロソフト買収まとめ

公開日 対象企業 買収したサービス 取引額(百万米ドル) エリア
2014年1月 Parature オンラインサポートソフトウェア 100 米国
2014年5月 GreenButton SDKプロバイダ ニュージーランド
2014年5月 Capptain 分析アプリ フランス
2014年7月 SyntaxTree Sarl オンラインツールソフトウェア フランス
2014年7月 InMage Systems データバックアップ 米国
2014年7月 MppApps クラウド型テレビメディア 10 米国
2014年7月 Aorato セキュリティ携帯アプリ 200 イスラエル
2014年9月 Mojang コンピュータゲーム 2,500 スウェーデン
2014年10月 Equivio 文章分析 200 イスラエル
2014年11月 Acompli e-mailプラットフォーム 200 米国

2015年のマイクロソフト買収まとめ

公開日 対象企業 買収したサービス 取引額(百万米ドル) エリア
2015年1月 Revolution Analytics 統計分析 米国
2015年2月 Sunrise Atelier 携帯カレンダーアプリ 100 米国
2015年2月 N-Trig タッチスクリーン 200 イスラエル
2015年3月 Xamarin クロスプラットフォーム 米国
2015年3月 LiveLoop クラウド型書類共有 米国
2015年4月 Datazen Software 企業知能アプリ カナダ
2015年5月 6 Wunderkinder GmbH タイムプランニングアプリ 200 ドイツ
2015年6月 BlueStripe Software アプリサービス管理 米国
2015年7月 FieldOne Systems フィールドサービス管理 米国
2015年7月 Adallom クラウド型セキュリティ 320 米国
2015年8月 Incent Games 販売促進プラットフォーム 米国
2015年9月 VoloMetrix 企業分析 米国
2015年9月 Double Labs ロック画面 米国
2015年9月 Adxstudio 携帯アプリ カナダ
2015年10月 Telekinesys Research オンラインゲーム アイルランド
2015年10月 Secure Island Technologies 企業情報セキュリティ 150 イスラエル
2015年11月 Mobile Data Labs マイレージ追跡 米国
2015年12月 Metanautix クラウド型ビッグデータ分析 米国
2015年12月 Talko ビジネスコミュニケーション 米国

2016年のマイクロソフト買収まとめ

公開日 対象企業 買収したサービス 取引額(百万米ドル) エリア
2016年1月 Event Zero 「Skype for Business」 オーストラリア
2016年2月 TouchType iPhoneアプリ(文字予測) 250 イギリス
2016年5月 Solair Srl IoTアプリ イタリア
2016年6月 LinkedIn ネットワークサービス 26,200 米国
2016年8月 Beam Interactive ゲームインタラクティブ 米国
2016年8月 Genee 人口知能アシスタントロボット 米国

まとめ:M&A Online編集部

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「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

2019.01.21

CESで存在感を放つアマゾンとグーグル、各社の最新動向は?

レノボはGoogleアシスタント、Alexaに対応した新製品を発表

アップルは各社にプライバシー問題を警告、独自路線を貫くか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」で、別格の存在感を放っていたのがアマゾンやグーグルだ。2018年はグーグルがCESに初めて本格出展したことで話題となったが、2019年も大がかりなブースを設置して来場者の注目を浴びた。

ラスベガスのCES会場前に設置されたグーグルのブース

アマゾンやグーグルは音声アシスタントで競争しており、家電製品への組み込みを進めている。2019年のCESではどうだったのか、両社の最新動向をレポートする。

グーグル対アマゾンの音声争いが加速

グーグルは今年もCES会場に「Googleアシスタント」を目玉にした大型ブースを設置。巨大な壁面広告やモノレールのラッピング広告で存在を示し、家電メーカーのブースには白い帽子のスタッフを派遣するなど、CESを乗っ取る勢いだった。

「Googleアシスタント」に対応した家電製品が並ぶグーグルブース

一方、Alexaで先行するアマゾンも展示エリアを拡大。業界やメーカーの枠を越えた「Alexa対応製品」を一挙展示することで、エコシステムの強大さを示した。家庭向けのスマートホーム用途だけでなく、オフィスで使う事例も示すなど、応用範囲を広げている。

アマゾンは「Amazon Alexa」対応製品をブースに集めた

具体的な対応製品として、音声で操作できるスマートスピーカーやスマート電球はもちろんだが、これまでにないジャンルの製品も増えている。たとえばレノボは「目覚まし時計」と「タブレット」の2機種を発表した。

レノボの目覚まし時計「Smart Clock」(左)とタブレット「Smart Tab」(右)

Googleアシスタントに対応した「Smart Clock」は、目覚まし時計の置き換えを狙った製品だ。音声だけでなく画面のタッチ操作にも対応しており、カレンダーの予定や寝覚めのいい音楽、室内の照明と連動した目覚まし機能を提供する。

一方、Amazon Alexaに対応した「Smart Tab」は、一般的なAndroidタブレットとして使えるほか、ドックに置くと音声とタッチで操作するスマートディスプレイに早変わりする。自宅でも外出先でも1台2役で使えるお得さが特徴だ。

アップルが投げかける「プライバシー」問題

CESに両社が注力する背景には、音声アシスタント市場におけるシェア争いがある。「Amazon Echo」や「Google Home」といったスマートスピーカーの売上ではグーグルがアマゾンを猛追しており、2018年第1四半期には逆転劇を果たした(英Canalys調べ)。しかし第3四半期にはアマゾンが再び首位に立つなど、接戦が続いている。

その勢力はスマートスピーカーを越えて、家電全体に広がりつつある。家電の操作といえばスイッチやリモコン、タッチ操作が一般的だが、音声に対応する製品は増えている。これまで独自の音声アシスタント「Bixby」を展開してきたサムスンも2019年にはグーグルとアマゾンとの連携を発表した。

サムスンはスマートTVでグーグル、アマゾンと連携

このまま音声が普及していけば、世界中の人々がインターネットのサービスやコンテンツにアクセスする手段になる可能性がある。音声アシスタントのシェア争いは、スマホOSのシェア争いと同じくらい重要というわけだ。

ただ、音声操作はプライバシーに関する懸念もある。音声操作を受け付けるには、マイクが常時オンになっている必要があるからだ。マイクをオフにする機能はあるとはいえ、家庭内のプライベートな会話を常にマイクに拾われるのは心地よいものではない。

この問題に一石を投じたのがアップルだ。CES会場からよく見えるホテルの壁に意見広告を掲載。ラスベガスの有名なコピーをもじって「iPhoneで起きることはiPhoneの中にとどまる」と訴え、サードパーティと広く連携するアマゾンやグーグルを牽制した。

アップルはCESでプライバシー重視をアピール。元々の言葉は、「What happens in Vegas stays in Vegas.(ラスベガスで起きたことはラスベガスに残る)」というもの

アップルも独自の「Siri」をiPhoneに搭載し、スマートスピーカー「HomePod」も販売している。だがサードパーティとは積極的に連携していないため、音声のシェア争いでは不利な立場に追い込まれている。アップルがこのまま「プライバシー重視」路線を貫くかどうかも、音声アシスタント市場の行方を左右しそうだ。

一度は姿を消したワイヤレス充電が再びメジャーになった理由

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第30回

一度は姿を消したワイヤレス充電が再びメジャーになった理由

2019.01.21

いまや当たり前の「ワイヤレス充電」スマホ

開発も販売も、実は日本が世界初だった

過去にナゼ廃れたのか、今はナゼ流行っているのか

最近、ケーブルに接続する必要なく充電ができる、ワイヤレス充電に対応したスマートフォンが増えてきている。一時は姿を消していたワイヤレス充電が、ここにきて再び脚光を浴びるようになったのはなぜだろうか。

世界初のワイヤレス充電対応スマホは日本製

スマートフォンを充電する際、多くの人は充電用の電源ケーブルに接続して充電していることだろう。だがここ最近、スマートフォンをケーブルに接続することなく、専用の充電台に置くだけで充電ができる「ワイヤレス充電」に対応したスマートフォンが増えているのだ。

例えばアップルのiPhoneシリーズであれば、2017年発売の「iPhone 8」シリーズ以降からワイヤレス充電に対応している。他にもグーグルの「Pixel 3」やサムスン電子の「Galaxy Note 9」、そしてファーウェイの「HUAWEI Mate20 Pro」など、海外製のハイエンドスマートフォンを中心として、ワイヤレス充電に対応したスマートフォンは着実に増えている。対応スマートフォンの広まりとともに、ワイヤレス充電をするための充電器も数が増え、家電量販店などで目にする機会も増えている。

ワイヤレス充電対応機種は急増しており、「iPhone XS」など最新のiPhoneもワイヤレス充電に対応している

充電をするためにケーブルに接続するというのは手間がかかるし、何よりケーブルは絡まりやすく取り回しが面倒なもの。それだけに、スマートフォンを置くだけで充電できるワイヤレス充電は消費者にとって非常に便利だ。したがってスマートフォンに搭載するという動きも比較的古くから進められていたのだが、現在のように広く普及するまでにはかなりの時間を要している。

実は、スマートフォン単体でワイヤレス充電ができる機種が最初に投入されたのは日本で、開発したのも日本企業である。2011年にNTTドコモから発売された、シャープ製の「AQUOS PHONE f SH-13C」がそれに当たり、Wireless Power Consortium(WCP)が策定したワイヤレス給電規格の1つ「Qi」に対応。Qi対応の充電器に置くだけで、スマートフォンを充電できる仕組みを備えていたのである。

世界初のワイヤレス充電対応スマートフォン「AQUOS PHONE f SH-13C」は、2011年にNTTドコモが提供。専用の充電器も提供していた

しかも当時、NTTドコモはQi対応のワイヤレス充電ができるスマートフォンの開発に力を入れており、「おくだけ充電」という名称まで付けて積極的なアピールを進めていた。さらにシャープだけでなく、NTTドコモと関係の深い他の国内スマートフォンメーカーともQi対応のスマートフォン開発を進め、市場に多くのワイヤレス充電対応スマートフォンが存在した時期があったのだ。

規格や充電性能の問題が解決し採用機種が増加

だが2013年を境に、NTTドコモのラインアップからワイヤレス充電対応のスマートフォンが一時期姿を消し、ワイヤレス充電は急速に存在感を失うこととなる。当時ワイヤレス充電に力を入れていたパナソニックモバイルコミュニケーションズやNECカシオモバイルコミュニケーションズなどが、iPhoneなどに押されてスマートフォン市場から撤退した影響も大きいが、より本質的な要因は2つあると考えられる。

1つは、急速充電に対する消費者のニーズが高まっていたためだ。当時はバッテリーの性能が現在より低かったため、スマートフォンを使っているとあっという間にバッテリーを消費してしまい、不満の声が多かったため、何よりも素早く充電できることが強く求められていたのだ。しかしながら当時のQiは電力の出力が弱く、充電速度が遅かったことから、消費者のニーズとマッチせず姿を消してしまったのである。

そしてもう1つの理由は、ワイヤレス給電規格が複数存在し、業界全体で、どの方式を採用するか方向性が定まっていなかったため、後続するスマートフォンがなかなか出てこなかったことだ。実際、2015年に日本でも発売されたサムスン電子の「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」はQi規格だけでなく、Power Matters Alliance(PMA、現在はAirFuel Alliance)が策定したワイヤレス給電規格も採用することで、ワイヤレス充電に対応させている。

2015年発売の「Galaxy S6 edge」は、当時まだ事実上の標準規格が定まっていなかったこともあり、複数のワイヤレス給電規格に対応していた

そして最近になってワイヤレス充電が再び日の目を見ることができたのは、それらの課題が解決したことが大きく影響している。急速充電に関しては、当初Qiのモバイル機器に向けた「Volume I」という規格では、送信できる電力が5W以下とされていたため充電速度が遅かったのだが、その後10W、15Wといったより大容量の送信ができる規格の策定が進んだことで、より速く充電できるようになったのである。

また規格の統一に関しては、アップルなど影響力の大きな主要スマートフォンメーカーがQiの採用に傾いたことで、Qiがスマートフォン向けの事実上標準規格となった。そのため多くのスマートフォンメーカーがQiを採用しやすくなり、急速に数が増えたといえる。

さらにもう1つ、高いデザイン性や防水性能など、スマートフォンに求められる要素が年々増えていることも、ワイヤレス充電が復活した大きな要因として挙げられるだろう。一方で、かつて必要だったPCへの接続など、スマートフォンに何らかのケーブルを接続する必要性は年々薄くなっている。将来的にはスマートフォンのワイヤレス充電対応が当たり前となり、充電用のUSB端子やLightning端子がなくなることも十分あり得るだろう。