​【村田製作所】スマホ部品で圧倒的な技術力 M&Aで車、医療、エネルギーに展開

​【村田製作所】スマホ部品で圧倒的な技術力 M&Aで車、医療、エネルギーに展開

2017.01.17

​【村田製作所】スマホ部品で圧倒的な技術力 M&Aで車、医療、エネルギーに展開

 村田製作所がM&Aを積極的に活用し、次世代技術の覇権を狙う。1台のスマートフォン(以下、スマホ)に400~800個搭載される積層セラミックコンデンサで世界シェア約4割を持つ同社の電子部品に関する技術力は他社を圧倒している。一方、売上の大半をスマホ向けコンデンサが占めており、今後、M&Aにより自動車や医療、エネルギー分野への展開を図る。

【企業概要】売上の約8割が世界シェア1位の製品

 村田製作所はスマホから家電、自動車関連のアプリケーション、エネルギー管理システムやヘルスケア機器といった様々な製品の電子部品、多機能・高密度なモジュール等の設計・製造を行っている会社である。特に主力製品であるセラミックスコンデンサをはじめとする電子部品分野では世界的にも圧倒的なシェアを誇る。

 同社は1944年、京都府京都市で村田昭氏によって設立された。創業間もない戦後の混乱期、ラジオは唯一の娯楽であり情報源であった。それまでの超再生方式に比べて格段に高性能だったスーパーヘテロダインラジオは急速に普及し、そのラジオの温度補償用に広く使われたのが同社の円筒形の磁器コンデンサであり、同製品は飛ぶように売れた。(出所:村田製作所HP「沿革」より)

 それ以来、現在に至るまで、電子部品の小型高性能化が求められる多くの製品において、同社の製品は広く採用されている。例えば、スマホやタブレット端末等の世界的な普及は、多くの端末に採用されている同社のコンデンサの小型高性能化の貢献が大きい。このように、同社の製品は、日常生活に欠かせない電子機器の発展に大きな役割を担っていると言える。

 村田昭氏が重んじてきた「独自性」へのこだわりは、これまで多くの世界初・世界一の電子部品を世の中に送り出し社会の発展へも貢献してきた。こうした「独自性」へのこだわりにより、同社の2016年3月期売上高約1兆2千億円の約80%は世界トップシェアの製品群によって占められ、総合電子部品メーカーとして世界をリードする存在となっている。

【経営陣】一代で世界の村田製作所に

 村田製作所は村田昭氏により一代で世界の電子部品分野をリードする企業にまで育て上げられた。1991年に長男の村田泰隆氏が二代目社長に就任。当時、既に同社のセラミックコンデンサは世界を席巻していた。2006年に村田昭氏が亡くなり、翌年には現社長で三男の村田恒夫氏(65)が三代目社長に就任した。2016年現在、村田恒夫氏は社長として健在だが、村田製作所の取締役および執行役員に村田家出身者はおらず、同族経営は3代で終わる可能性が高いと思われる。

【株主構成】ノルウェー政府年金基金も投資

村田製作所の主要株主
氏名または名称 所有株式数(千株) 持ち株比率(%)
JPモルガンチェース 15,526 6.9%
日本トラスティ・サービス信託銀行 12,082 5.4%
日本生命保険 7,361 3.3%
日本マスタートラスト信託銀行 6,801 3.0%
ステートストリート信託銀行 6,710 3.0%
京都銀行 5,260 2.3%
明治安田生命保険 5,240 2.3%
滋賀銀行 3,551 1.6%
ノルウェー政府年金基金 3,350 1.5%
ステートストリートバンクウェストクライアントトリ―ティー 3,014 1.3%
68,895 30.6%
2016年3月末時点、有価証券報告書に基づき作成

 2016年3月末時点の株主構成を見ると、1位JPモルガン・チェース・バンク(6.9%)、2位日本トラスティ・サービス信託銀行(5.4%)、3位日本生命保険(3.3%)、4位日本マスタートラスト信託銀行(3.0%)、5位ステートストリートバンク&カンパニー(3.0%)と上位5位までで21.6%と分散している。特に、日本トラスティ・サービス信託銀行と、4位日本マスタートラスト信託銀行は外国人投資家からの投資分も含まれていると思われ、1位のJPモルガンや9位のノルウェー政府年金基金等、外国人投資家が多く保有していることが分かる。全体での外国人投資家の保有比率は40%強と同社がグローバル企業であり、優良企業として外国人投資家からも注目されていることが伺える。

【M&A戦略】コンデンサ・周辺部品に投資、電池に進出も

村田製作所が行った主なM&A
年月 内容
2005年6月 村田製作所とスーパーウエーブは、「双方向無線常時認証システム用マルチタスク通信モジュール」の販売促進・マーケティング、コンサルタントなどを行う合弁会社「MTC ソリューションズ」を2005年6月20日に設立。
2006年4月 米国 Murata Electronics North America, Inc. (以下、「MEA」)及びその子会社である米国 SyChip cquisition Corporation(以下、「合併準備会社」)は、米国ベンチャー企業 SyChip, Inc.(以下、SyChip社)との間で合併契約を締結し、合併準備会社と SyChip社を合併させることで、存続会社たる SyChip社をMEAの完全子会社とすることに合意。
2006年11月 ロームは、同社のチップ積層セラミックコンデンサ事業を村田製作所へ譲渡することで合意。
2007年9月 村田製作所は、米国 C&D Technologies,inc.との間でC&D社のPower Electronics 事業部を買収することで合意。
2008年12月 グループ再編に伴い、村田土地建物の国内グループ会社資産管理事業を会社分割により承継。村田土地建物に村田製作所の株式14,600株を交付。
2009年6月 昭和電工との間で、昭和電工の機能性高分子コンデンサ事業 を譲り受けることで合意。
2009年8月 パナソニック エレクトロニックデバイスのチップ積層セラミックコンデンサ事業を譲り受けることで合意。
2011年5月 水晶発振子「HCR®」に用いられる水晶製品の開発・生産を行う東京電波と資本・業務提携を行うことで合意。包括提携に伴い東京電波の株式の21.3%を追加取得。
2012年3月 ルネサス エレクトロニクスのパワーアンプ事業及び東日本セミコンダクタの長野デバイス本部の事業を譲り受けることで合意。
2012年3月 東光と資本・業務提携契約を締結。それに伴い、東光が第三者割当により発行する株式約1058万株(約20億円)ならびに転換社債型新株予約権付社債の引受けを行うことを決議。
2012年12月 ユビキタスとの資本・業務提携及び第三者割当により同社保有の自己株式2.32%を約1億円で取得することを決議。
2014年8月 Murata Electronics North America, Inc.(以下、MEA)は、Peregrine Semiconductor Corp. (NASDAQ市場上場、以下、Peregrine社)と、MEAがPeregrine社を買収することで合意。
2016年1月 村田製作所を株式交換完全親会社とし、東光を株式交換完全子会社とする株式交換契約を締結。株式交換比率は東光の株式1株に対し、村田製作所の株式0.027株を割当。
2016年9月 指月電機製作所との資本業務提携契約の締結および指月電機製作所が保有する自己株式について村田製作所を割当先とする第三者割当増資による自己株式の処分並びに合弁会社の設立を行うことを決定し、両社の間で資本業務提携契約を締結。
2016年10月 ソニーの国内100%子会社であるソニーエナジー・デバイスが営んでいる電池事業、ソニーが電池事業に関して中国およびシンガポールに有する製造拠点ならびに、ソニーグループが国内外に有する販売拠点および研究開発拠点のうち電池事業に関連する資産および人員を約175億円で譲り受けることで合意。
2016年11月 液晶ポリマー電子材料(LCP)等の高機能ポリマー製品を中心とする各種製品を開発・製造・販売しているプライマテック社を完全子会社化。

 京都には和装や工芸品など数多くの伝統産業から、最先端技術を駆使して世界に展開する企業までが集積している。地味な技術にこだわり、磨きを掛けて成長してきた企業も多く、村田製作所もその中の一社と言える。

 同社は創業者である村田昭氏の時代から、セラミック技術を核にした電子部品に経営資源を集中してきた。競合他社が半導体や完成品に多角化を進める中、研究開発費もコンデンサなどに集中させてきた。しかし近年、「総合」を旗印に掲げた多くの日本企業が不採算事業の撤退に追われている。こうした中、独自路線を貫いてきた同社は、M&Aにおいても特定の分野に絞った戦略的なM&Aを行っている。

 同社のM&Aで特徴的なのは、強みであるセラミックコンデンサを更に拡大するための買収と、その周辺分野の技術を有する会社や事業を買収していることである。

 例えば、セラミックコンデンサでは、2006年のロームの積層セラミックコンデンサ事業の買収、09年の昭和電工の機能性高分子コンデンサ事業の買収、パナソニックの積層セラミックコンデンサ事業の買収等である。

 周辺部品事業では、2006年の無線LANモジュールの米サイチップの買収、07年の米C&Dテクノロジーズの電源機器事業の買収、08年の富士フイルムから仙台工場を買収し電波受信モジュールを増産、09年の水晶製品の東京電波に資本参加、12年のルネサスエレクトロニクスの電波送信モジュール事業の買収等がそれに当たる。

 また、近年、無線通信の活躍の場はスマホから自動車やスマートグリッド(次世代送電網)などに広がると予測し、成長分野で常に先駆けるためのM&Aを行っている。

 特に、これまでの電子部品関連の買収とは異なる事業の買収が、ソニーの電池事業の買収である。村田製作所は、これまでも自動車やエネルギー分野に関連する電子部品は手掛けてきた。しかし、電子部品とは全く異なる電池という分野に踏み込んだのは、成長分野である次世代電池で覇権を取るための将来を見据えたものである。

 同社はソニーから電池事業を買収すれば生産設備や事業ノウハウを一気に取得できると判断し、採算が厳しいモバイル機器向けのリチウムイオン電池も、同社の生産技術や顧客網を活用すれば改善できると見込んだ。

 また、同社はリチウムイオン電池より性能や安全性が優れた「全固体電池」と呼ばれる次世代電池に着目し、「全固体電池」の研究が進んでいるというソニーの技術と同社の生産技術を組み合わせ、将来の市場で先行する戦略を描いている。

【財務分析】強い財務、機動的なM&A支える

 2016年3月期、村田製作所は2期連続で過去最高益を更新した。スマホ向けや自動車向けの電子部品が引き続き堅調に推移していることが主な要因である。電子部品で圧倒的な強さを誇る同社を見ると、01年3月期以降、長らく過去最高益を更新出来ていなかったということが嘘のようである。

 同社の業績推移を見ると、スマホの普及と共に右肩上がりに売上、利益共に伸びている。同社の強みであるスマホ向けコンデンサと通信モジュールは、スマホの普及に比例する形で売上の増加につながっていると思われる。財務状況も非常に健全で自己資本比率も長年に渡り高い水準を維持している。

 スマホの販売台数が増える中で、コンデンサの部品に関して、同社が他社にシェアを奪われていないのは、他社が真似出来ない独自の高い技術力を持っていることの表れと言えるだろう。同社は毎年、研究開発費に売上のおよそ6%に相当する金額を投資しており、同業他社の平均が2%~3%程度ということを考えても、同社がいかに研究開発を重視しているかが読み取れる。また、もう一つの理由として、同社が他社のコンデンサ事業や通信モジュール事業といった通信に関する事業を次々と買収しているということも影響していると考えられる。

 セグメント別の売上高を見ると、主力のコンデンサに加え、通信モジュールの伸びが非常に大きい。通信モジュールはスマホやPCのWi‐Fi、Bluetoothといった通信機能であるが、これらの機能に関する電子部品の売上の伸びについても、スマホの普及に伴うものであると考えられる。同社は米アップルの「iPhone」向けに電子部品を多く供給しており、今でこそ落ち着いてきたものの、一時期は国内の約半数のスマホの販売が「iPhone」と言われていたように、同製品のヒットも売上に大きく貢献していると思われる。

 通信機能が高度化・高速化する中で、世界の携帯電話市場は台数ベースで2%程度しか伸びておらず、先進国ではスマホの販売も鈍化してきている。しかし、LTEに関しては中国をはじめ、まだまだ世界的には普及率が低く、今後数年間は拡大し電子部品の需要も安定した拡大が見込まれている。

 今のところ同社は、圧倒的技術力に磨きを掛けつつ、堅実なM&Aにより新たな技術との融合を進めてきた。同社の財務内容を見ても、高い自己資本比率や潤沢なネットキャッシュを見ても非常に健全で、内部留保をM&Aに上手く活用していると言える。

 同社は今後も経営戦略の一つとして、自社で保有していない技術の取得や市場を獲得するためにM&Aを活用すると掲げており、いずれは鈍化するスマホ市場から新たな分野でも継続的に業績を伸ばせるかどうかは、M&Aが一つの鍵になると思われる。

 村田製作所は業績の伸び、健全な財務内容、圧倒的な市場シェア、これまでのM&Aの成功等を考慮すると死角は見当たらないように思われる。唯一考えられるとすれば、通信向けの部品に売上が偏っているということである。現在の通信関連部品の売上に占める割合は5割強を占めている。

 しかし、スマホ向けの電子部品の需要がいつまでも続かないということを同社は認識しており、それは直近のM&Aにも表れている。例えば、ソニーの電池事業の買収である。異なる成長市場を開拓することが必要で、あくまでも堅実な経営方針と、あくなき技術の追求は、創業者である村田昭氏の遺伝子を引継いでいるといえるのかも知れない。

【株価】スマホの成長鈍化、円高が重荷に

 株価は2015年7月に2万円を超える高値を付けた後、下落基調が続いた。2016年7月には一時11000円を割り込む水準まで下がった。スマホ市場の成長鈍化を背景に電子部品の販売が伸び悩みつつあること、特に米アップルのiPhoneの販売失速が指摘し始められた2015年末ごろから株価の下げが加速した。

 2017年3月期の連結純利益は1560億円と5期ぶりの減益となる見通し。上記の理由に加えて為替の円高傾向も重荷となっている。しかし2016年11月の米大統領選以降、為替が円安方向に転じ、株価は持ち直している。

【まとめ】強みの新規分野への活用 課題に

 中核技術を大切に育ててきたのが村田製作所の強みであるが、今後は成長が見込まれる医療分野や、家庭、ビル向けのエネルギー管理システム(EMS)等、新規分野において同社の電子部品で何ができるのかを創造していく必要がある。更に、医療やエネルギー分野は国によって規制や需要が異なり、各市場で顧客のニーズに応じた製品やサービスが求められる。そうした環境の中で各国の拠点から製品や事業を生み出す真のグローバル企業になるためには、M&Aも含めより全社的な取り組みが必要になると考えられる。

 これまでの、部品を供給すれば顧客が使い方を考えてくれた従来モデルから発想を変え、同社の強みを活かしつつ、スマホ普及が一巡するまでに自動車、医療向けなどM&Aを含め新たな用途の開拓を行えるかどうかが今後の成長を占う鍵となりそうだ。


この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

2019.03.22

ネットの学校「N高」の卒業式に潜入

開校時に入学したN高1期生が卒業した

世間の注目を浴び続けた生徒は、何を想う?

3月、角川ドワンゴ学園「N高等学校」の卒業式が東京・お台場にて開催された。

「ネットの高校」として、3年前に設立したN高。この日、2016年の開校時に入学した第1期生と、途中転入・編入した生徒をあわせ、計1593名が卒業した。3年前、『VR入学式』で世間を賑わせたこの学校を巣立つ卒業生たちは、N高での日々をどう捉え、今後はどのようなキャリアを描いていくのだろうか。

卒業式は2019年3月20日、お台場にて行われた

卒業式を彩る最新テクノロジー

N高は、ドワンゴとKADOKAWAの経営統合で誕生したカドカワが設立母体となり、2016年4月に開校された通信制高校だ。同校は開校後、2年次編入なども受け入れてきたため、これまでも卒業生を排出してきてはいたが、「1年生~3年生をN高で過ごした生徒」が卒業するのは、初めてのことだ。

卒業式には多くの報道陣も参加した。生徒にとって、「卒業式に記者がいる」「自分たちが卒業する様子がテレビやWebで取り上げられる」というのは不思議な感覚だろう。とはいえ、もう「VR入学式」に「ニコニコ超会議」へのブース出展(N高ではそれを「文化祭」と表現)などの経験を経て、メディアへの露出には慣れてしまっているのかもしれない。

そして、今回の卒業式も例によって独特だった。

卒業式は任意参加で、会場には袴や制服に身を包んだ生徒が集まる一方、その様子をライブ配信することで、会場に来られない生徒生徒も参加できる仕組みになっていた。会場のスクリーン上にはニコニコ生放送さながら、リアルタイムでコメントが表示されており、こうした演出は「N高らしい」といった印象を受けた。

卒業式の様子。オンライン参加者のコメントがスクリーンを流れる

中でも印象深かったのは、当日来られなかった生徒を代表して、米シリコンバレーに留学中の佐々木雅斗さんが「ロボット」に自分の顔を映して卒業証書を受け取ったシーンだ。

使用したのは、ANAが“未来の移動手段”として開発する、視覚・聴覚・触覚などを備えた、ユーザーの分身となるロボット「ANA AVATAR」。同校ではこのロボットを試験的に授業にも導入しているそうで、こういった最新のテクノロジーを使うあたりもN高らしい。

遠隔操作ロボット「ANA AVATAR(Beam Pro)」を用いて卒業証書を受け取った佐々木さん

と、テクノロジーにばかり目が行きがちではあるが、そもそも「高校生がシリコンバレーに留学している」という事実も驚くべき点だ。高校に通いながらも、シリコンバレーでビジネスを学ぶ――、というキャリアを選べるのは、学校という場所の制約を受けない、ネットの高校のメリットと言えるだろう。

卒業式にはほかにも「異色のキャリア」を持つ生徒たちが集まり、特に活躍した卒業生に対する特別表彰も行われた。

表彰を受けたのは、東京から鹿児島県に移住し、農業や水産業を手伝い地域活性化に貢献する白鳥優季さん、第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン「ウイニングイレブン 2018」eスポーツ 金メダリストの相原翼さん、N高のプログラムを最大限に活用し、スタンフォード大学やオックスフォード大学のサマープログラムに参加した冨樫真凜さんなど。その活躍の幅は広い。

さまざまな分野で活躍したN高生に対しては、特別表彰が行われ、記念品としてクリスタルトロフィーが贈呈された

メディア露出が多いがゆえに高まる期待値

N高を卒業した個性豊かな面々は、今後は大学進学、就職とさまざまなキャリアを歩む。

日本初で唯一N高にのみ実在するという「起業部」に所属し、かつ起業第一号として「Easy Go」という会社を創業している、鈴木颯人さんと山田陽大さんから「N高で過ごした時間」についてコメントをもらった。

「元々は地元の進学校に通っていたのですが、『自分が好きなことをしたい』『起業したい』という想いがあり、N高に入学しました。年齢や場所に縛られず、多くの人とコミュニケーションを取れ、充実した3年を過ごせました」(鈴木さん)

「以前通っていた学校が自分と合わず、ネットで見つけたN高で『ここだったら新しいことができるかも』と入学を決意しました。今振り返ってみて、やはり『この学校に来てよかった』と思います」(山田さん)

Easy Go代表取締役の鈴木颯人さん(左)と取締役の山田陽大さん(右)

2人に限らず、卒業生のコメントを聞いていくと「この場所で挑戦してみたい」という想いの元、N高を選んでいる生徒が多い印象だ。

普通の高校とは違い、メディアに露出する機会の多いN高での生活は、良くも悪くも、世間からの注目を浴びる。まだ高校生の彼らにとっては、その視線が時に辛く感じることもあっただろう。ただ、その一方で鈴木さんは「初めて会う方とお話しする際、『N高出身です』と言うだけで、会話が広がることがよくあります」とその知名度を好意的に捉えている。

若くして、覚悟を持ってN高という環境に飛び込んだ生徒たちは、周囲の視線を浴びつつ、たくましく成長してきたことだろう。「N高出身」というキャリアは、彼らにとって1つの大きな武器になりそうだ。

カドカワは新たに2019年4月から、「N中等部」も開校する予定だ。「ネットの学校」という、世間の注目が集まる新しいコンセプトの学校だからこそ、在校生・卒業生の動向は、今後もしばらくは注目され続けそうだ。

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2019.03.22

中国スマホメーカーのOPPOが独自のカメラ技術を説明

開発競争が続くスマホカメラ、トレンドは「望遠」へ

高倍率ズームスマホの登場で、デジカメの優位性に危機?

中国のスマホメーカーとしてシェアを急拡大するOPPOが独自に新開発したカメラ技術、「10倍ハイブリッドズーム」が面白い。実際に2019年の新機種からスマホへの搭載を進め、日本市場へも製品を投入するという。

OPPOが「10倍ハイブリッドズーム」技術を紹介

メーカー間の開発競争が続くスマホカメラだが、「望遠」が次のトレンドになりつつある。デジタルカメラに匹敵する10倍もの高倍率ズームを、OPPOはどのように実現したのだろうか。

1年で7機種を投入、気付いた「日本市場の難しさ」

OPPOは世界のスマホ市場で熾烈な4位争いを繰り広げている。サムスン、アップル、ファーウェイのトップ3社に続く集団の中で、2018年は中国Xiaomiに僅差で迫る5位になった(IDC調べ)。

OPPOは2018年、日本市場で7機種のスマホを発売した。OPPO日本法人の鄧宇辰社長は、これまでに国内販売チャネルを12に拡大し、あわせて認定修理店を全国に展開したことを挙げ、「日本のSIMフリー市場でいち早く成長するブランドになった」と振り返る。

オッポジャパン 代表取締役社長の鄧宇辰氏
2018年の1年間にスマホを7機種投入

2019年は国内展開をさらに加速する。日本の消費者に向けたコミットメントとして、件の「10倍ハイブリッドズーム」機能を備えたスマホや、FeliCa・防水対応のスマホ、新たに立ち上げたブランド「Reno」シリーズの市場投入を約束する。

また、話題の「5Gスマホ」の市場投入も急ぐ。日本では5Gの周波数がまだキャリアに割り当てられていないものの、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを含む世界の事業者と標準化に向けて連携しており、準備を整えていることを強調する。

MWC19のQualcommブースではOPPOが5Gスマホを実演

一方で鄧社長は、日本市場の難しさについて、「1年の経験を通して、日本市場は他の国と違うことに気付いた。消費の習慣や求めるレベルも高い。グローバルのやり方を日本に持ってきても通用しない」とも述べている。日本市場における品質やサービスの要求水準の高さは、多くのメーカーが直面してきた課題だが、OPPOも同じ壁にぶつかったといえそうだ。

スマホカメラ、次のトレンドは「望遠」に

そのOPPOが市場攻略にあたり、特に注力をしはじめたのが「カメラ」だ。その中でも、業界では次の進化ポイントとして「望遠」技術に注目が集まっている。

そもそもスマホはデジカメと違い本体が薄いため、搭載できるレンズに物理的な制約がある。このレンズの制約から、スマホのカメラはどうしても焦点距離の狭さが弱点になってしまっていた。そこで最近はスマホに複数のカメラを内蔵し、それぞれで広角や望遠を使い分けることで、この弱点を克服しようと進化している。

OPPOの「10倍ハイブリッドズーム」技術は、この弱点に対し異なるアプローチで挑む。プリズムを使って光を屈曲させるペリスコープ(屈曲光学)構造をカメラモジュールに採用することで、レンズを従来の垂直方向ではなく水平に配置できるようにした。これにより、薄型のスマホであっても、光学レンズでは従来不可能だった高倍率ズームが搭載できる。

光を曲げるペリスコープ構造を採用

ただ、35mm換算での焦点距離は16~160mmの10倍となっており、一般的なコンデジの感覚では5倍ズーム程度の性能だ。8.1倍以上はデジタル処理を組み合わせた「ハイブリッドズーム」としているなど、いくつか注意点はある。とは言え、これまでにない望遠レンズをスマホで扱えるのは面白い。

10倍ハイブリッドズームによる画角の違い

OPPOは既に報道陣に向けて、この10倍ハイブリッドズーム技術を搭載するスマホの開発デモ機を公開している。2019年の第2四半期には製品化する計画で、日本市場へも2019年中に投入する見込みだ。

10倍ハイブリッドズームのデモ機。5Gにも対応できるという

特にカジュアルなカメラ需要の受け皿としてスマホに押されがちなデジタルカメラだが、高倍率ズームはスマホには無い、デジカメに残された得意分野のひとつだった。だが望遠もスマホで十分撮れるとなれば、いよいよその優位性も危うくなる。今回のズーム技術は、デジカメ市場をもう一段縮小させてしまう可能性を秘めているのだ。

最大のライバルであるファーウェイも「HUAWEI P30」シリーズで望遠カメラを搭載するとみられており、今後は各メーカーが高倍率ズームで競い合うことは間違いなさそうだ。

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