アイリスオーヤマのお米家電がますます拡大できるワケ                                   

アイリスオーヤマのお米家電がますます拡大できるワケ                                   

2017.01.19

炊飯器なんて炊ければどれも同じ――。一昔前はそんな風に思っていた人もいるだろう。だが、今は変わってきている。従来のマイコン式、IHといった熱の加え方のバリエーションから、釜の材質や厚さなど、よりコメがおいしく炊ける高付加価値の炊飯器が各種登場している。炊き上がりの好みも家庭によって分かれるところだから、炊飯器を見れば、その家庭の「食」への考え方が見えてくるといえるかもしれない。そんな炊飯器で、アイリスオーヤマが、快進撃を続けている。

「値ごろ感」の追求

プラスチック製衣装ケースなどの生活雑貨でおなじみのアイリスオーヤマは、5.5合まで炊くことができるIH炊飯器「銘柄炊き IH ジャー炊飯器5.5合」を発表した。家電量販店などを中心に初年度10万台の出荷を目指すという。

IH炊飯器「銘柄炊き IH ジャー炊飯器5.5合」

今回参入する5.5合IH炊飯器は炊飯器の中でも市場規模が大きいカテゴリー。だから当然、ライバルも多い市場だ。同社が今まで出してきた炊飯器はいずれもコメの銘柄に合わせて、コメ本来の味を引き出す最適な炊き方ができることをうたったものだが、ここでも、“炊き分け”で勝負する。

31の銘柄を、特徴の似た6通りに分類し、6パターンの炊き方ができる。この機能がついて、参考価格1万9800円(税抜)だ。同社としては、ただ安いのではなく、コメの特徴を最大限に生かした味にこだわりつつ、価格を抑えた「値ごろ感」で勝負したいそうだ。

コメへの知見で競合にアドバンテージ

値段が高いと思うか、安いと思うか、すべては炊きあがったごはんに答えがある。

炊飯器を開発するためには、コメに均一に熱を伝える、温度を制御するなどといった技術が必要だが、それ以前に、コメそのものへの知見も必要になってくる。同社の本社は、コメどころ宮城県。東日本大震災からの復興を地元の企業として応援する意味などから、実は、2013年に精米事業に参入し、販売しているコメの評判は高いという。

2合分に小分けされているので、味が落ちにくいし、使いやすい

炊飯器などの「お米家電事業」に参入したのは、2015年からだから、その段階では、すでにコメの知見がある状態だった。大学など研究機関との共同研究なども進めていて、いかに本格的にコメの研究に取り組んでいるかがうかがえる。

コメへの知見には自信があるのだ

このコメへの知見が、銘柄ごとの味や、硬さなどの特性を踏まえた炊飯器の開発に、大きなアドバンテージをもたらしている。開発のスピードも、追求できる味の深みもだ。だから“銘柄別炊き分け”で勝負できるのだ。

精米事業と家電事業、両方を持つ企業の強みがここに

2016年売上高10億円の達成

その結果、2016年の計画目標10億円を達成した。2017年は3倍の30億円、2018年には、60億円を計画している。今までに発売している炊飯器の中には、欠品状態になっているものもあり、好調さがうかがえる。

この計画どうやって実現できるのか……

2017年には、先に取り上げた5.5合のIH炊飯器など6アイテムを投入予定で、バリエーションが増えることによる売り上げの増加もあるが、別の理由もある。

販路拡大のインパクト

同社が本格的に家電事業に参入したのは、2009年。大手メーカー並みの品質でありながら、機能を絞り、目の付け所のいい商品を、「値ごろ感」のいい価格で、一貫して世に出してきた。それが消費者から支持され、今では同社の主力事業に成長した。

元々生活雑貨などを中心としていた同社の商品は、主にホームセンターが消費者との接触ポイントだった。しかし、家電に参入してから、家電量販店からの声がかかるようになり、家電の取り扱い店舗が量販店にまで拡大していった。当然、購入場所は、家電量販店の比率が、年々高くなっている。商品が売れ、いい評価が広まれば、販路が拡大していく。それを繰り返している状況だ。今後もまだまだ拡大していく可能性があるだろう。

家電量販店、ネットともに売り上げの比率が伸びているのが顕著

さらには、インターネット通販でも、低価格なマイコン式3合炊きなどを中心に、同社の家電が売れている。今まで同社が主戦場としていたホームセンターの顧客層は、年齢が高い傾向があった。しかし、通販という消費者との接触ポイントが増えたことで、より若い世代にも認知され、支持されてきている、そんな数字なのではないだろうか。

商品との接触ポイントの広がりが、売り上げの増加につながっている。今後も新しいお米家電の発売は続くが、アイデアと品質の良さを兼ね備えた「値ごろ感」のあるどんな商品が生まれるか。そして、どこまで販路を拡大できるか。注目していきたい。

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

2019.01.22

低温加熱式のJTがライバルと直接競合する高温加熱式に参入

専用リフィルも異なる3種類の製品で広範に網を張るプルーム・テック

海外市場でも兆し見えた加熱式たばこ、日本での成功がより重要に

日本たばこ産業(JT)が加熱式たばこの新製品、「プルーム・テック・プラス (Ploom TECH+)」「プルーム・エス (Ploom S)」の2製品を発表した。シェアトップのiQOSを追撃したいJTだが、ライバルに先行を許している今、どのような戦略を描いているのか。

JTが発表した加熱式たばこの新製品、プルーム・テック・プラス(左)とプルーム・エス

新たに高温加熱式に参入、ライバルと直接競合へ

新製品は、従来のプルーム・テックを改良したプルーム・テック・プラスと、シェアを争う「iQOS」(フィリップ・モリス)や「glo」(BAT)と同様の加熱方式を採用したプルーム・エスの2つ。iQOSとgloが高温加熱式であるのに対し、もともとプルーム・テックは低温加熱式と呼ばれる方式をとっていた。30度という低温で発生させた蒸気をたばこカプセルを通して吸うため、においが少ない一方、吸いごたえに乏しいともいわれていた。

低温加熱式で吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスと、高温加熱式のシェア奪取を狙ったプルーム・エスを投入

そこで、たばこ葉を増やすなどして吸いごたえを高めたのがプルーム・テック・プラスだ。その結果、本体が太く大きくなり、加熱温度も40度と少しだけ高くなったが、においの少なさはそのままに、吸いごたえをアップさせたことをアピールする。

プルーム・エスは高温加熱式を採用し、iQOSやgloと同様の吸いごたえを目指した。こうした高温加熱式は、たばこ葉を高温で蒸すことで蒸気を発生させるため、従来のたばことも異なる独特のにおいを発生させる。

JT副社長・たばこ事業本部長の岩井睦雄氏は、この独特の「におい」のせいでたばこの味わいに違和感を覚える喫煙者が多かったと話す。そのため、「満足度を高めるのは味わい」として、このにおいの低減に取り組んだという。

プルーム・エスでは、たばこ葉を熱する温度を200度に抑えた。これはiQOSの300度、gloの240度に比べて低く、これによって特有のにおいを抑えたという。

吸いごたえや加熱方式が異なる3製品をそろえる意味

JTは新製品投入後も既存製品の取り扱いを継続する。つまり、プルーム・テックのラインアップは3種類となる。iQOSも複数の製品があるが、こちらは機能の違いによって3種類に分けられており、プルーム・テックはそれに対して、吸いごたえや加熱方式によって異なる製品を用意したかっこうだ。

3つの製品を投入することで、選択肢を提供する

岩井副社長は「温度で選ぶ時代」と表現し、低温のプルーム・テック/プルーム・テック・プラスと、高温のプルーム・エスという選択肢によって「好みや生活環境、ライフステージの変化に合わせて、いつでも最適な選択ができる」ことを狙ったとしている。

たばこ事業本部長の岩井睦雄副社長

たばこ部分に互換性がないという問題はありそうだが、現在でも、においの少なさを重視して自宅ではプルーム・テックを吸いつつ、味わいを求めて喫煙所では高温加熱式の加熱式たばこ、と双方を使い分けている人が少なくない。そうしたユーザーに対して、「それぞれで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化に繋がる」(岩井副社長)と判断し、製品開発に取り組んだ。

加熱式たばこ最大市場の日本から、海外市場を見据える

岩井副社長は新製品でiQOSからシェアを奪取し、「中長期的にはRRPカテゴリでもシェアナンバーワンを目指す」と意気込みを語る。

「RRP」とは「リスク低減製品」のこと。「喫煙にともなう健康へのリスクを低減させる可能性がある」と位置づけられる製品だ。

日本では法律上、液体にニコチンを含ませて販売することはできない。電子たばこは、このニコチンを含む液体を蒸気化させるため日本で販売できず、結果、加熱式たばこが普及したという背景もある。加熱式たばこの市場規模では日本が世界最大だが、iQOSが韓国や欧州の一部で販売を強化しており、グローバルでの市場拡大を狙っている。

JTは海外ではlogicブランドで電子たばこを販売している。海外での電子たばこ事業はありつつも、まずは製品の国内ラインナップを拡大して加熱式たばこのシェア拡大を図るとともに、紙巻きたばこを含むすべての製品の価値を向上させることで、市場の拡大に繋げたい考えだ。「日本での成功がグローバルでの成功につながる」と岩井副社長は強調する。

紙巻きたばことRRP製品の双方を拡充する
日本では加熱式、海外では電子たばこを提供中

紙巻きからの移行、数年以内に大きな山場

2018年は加熱式たばこが踊り場を迎えたと言われた。日本ではここ数年で急激に加熱式たばこの普及が進んだが、市場シェアが20%を越えたところでユーザー需要は一巡したとみられる。

ただ、プルーム・テックの全国販売の開始や、他社では直近のiQOSの新モデル投入などを経て、その動向から、需要の伸びは「足踏みしていたが、止まったわけではない」(岩井副社長)との認識にあるという。加えて、紙巻きたばこによる健康懸念の高まりや、オリンピックによる喫煙場所の規制といった外的要因もあり、「必ずシガレット(紙巻きたばこ)からRRPに移ってくる」(同)という見通しだ。

課題は、紙巻きたばことは異なり、デバイスを購入しなければならないというハードルの高さだ。一度購入した後、他社のデバイスへ移行しづらいという難題につながる。

他社の後追いとなった高温加熱式では、「差別化のポイントをしっかりと伝えていく」ことで買い替えを促進する。JTが主導する低温加熱式では、「若干下方修正したが、手応えも感じている」と岩井副社長は説明する。今後は製品の良さをアピールするために、喫煙者に直接説明をする営業スタイルを重視していく方針をとるそうだ。

JTは日本市場で紙巻き、加熱式のいずれでもシェアトップを目指す

JTは1社で複数の選択肢の製品を用意することで、消費者のニーズの受け皿を最大化しようと目論んでいる。この先にグローバルで展開する上で、ユーザーからどのような示唆が得られるのかを検証していき、海外での加熱式たばこの市場拡大にも乗り出していきたいと考えているようだ。

加熱式たばこは間もなく、国内市場シェアだけでなく、海外市場の争奪戦の行方も左右する正念場を迎える。

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

2019.01.22

セブン、ローソンに続きファミマも成人誌を販売中止

インバウンドの増加、オリンピックの開催も影響か

コンビニ最大手のセブン-イレブンと業界3位のローソンが成人向け雑誌の販売中止を発表したのに続き、業界2位のファミリーマートも同様の方針を打ち出した。大手3社の足並みがそろい、日本国内のほとんどのコンビニ店頭から成人誌が消える。

国内のセブン-イレブン店舗数は2万店を超え、ローソンとファミマが1万5,000店前後でこれに続く。それぞれ今年の8月末までに取り扱いを原則中止するという。これまで一部店舗で成人誌の販売を中止していた例はあったが、今回は各社全店舗で取り扱いを中止する。業界では昨年1月から、ミニストップが他社に先駆けて全店で取り扱いを中止していた。

もともと諸外国にくらべ、女性や子どもの目につきやすいコンビニ店頭などに成人誌が置かれている日本のゾーニングの現状は特殊であるとの批判があった。また、インバウンドで訪日外国人が増え、この論調に拍車がかかっていたほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、イメージ低下を防ぐ要請が強まっていたという背景がある。

コンビニでの成人誌の購買層は近年、高齢男性に偏るとともに売り上げの減少も顕著であったといい、ゾーニングの問題が取り扱い中止の大義名分になったという見方もある。ある出版関係者は、「一部では電子版などネット展開を強化している流れはあるが、今でもコンビニは重要な販路なので、相当な混乱があるだろう」と話す。どちらにせよ、日本の成人誌は岐路に立たされることになる。