【総合メディカル】調剤薬局、M&Aで急成長 在宅医療も強化

【総合メディカル】調剤薬局、M&Aで急成長 在宅医療も強化

2017.01.24

【総合メディカル】調剤薬局、M&Aで急成長 在宅医療も強化

 総合メディカル<4775>はコンサルティングを中心に医療機関の経営を総合的にサポートしている。医師の紹介や医業継承、医療連携を通じて地域医療の活性化を支援するほか、全国に670店舗以上の調剤薬局を展開している。M&Aによって調剤薬局の店舗数を急激に成長させており、業界大手のなかでも高い成長率を誇る。総合メディカルのM&A戦略を診断する。

【企業概要】医師の開業支援、調剤薬局も展開

 総合メディカルは、1978年に前身である総合メディカル・リースが創立。福岡県福岡市に本社を置く。不動産仲介業、医業承継事業を開始。1988年に調剤薬局のそうごう薬局1号店を設立。その後、調剤薬局数は500店舗を超える全国規模で展開。上場調剤大手として、アインホールディングス、日本調剤、クオール、総合メディカルと並ぶ。薬局事業の2016年3月期の売上高は前期比約20%増と大手4社の中で成長率が高い。

 現在は、医業支援、薬局事業、その他の事業(医療施設の企画・設計・施工、医療・健康情報サービス、住宅型有料老人ホームの運営、介護付有料老人ホームの運営)がある。

 2006年3月期では、医師の開業支援は304件、転職・開業を支援される勤務医DtoD(Doctor to Doctor)登録数は、当期末で62,429名(前期末比5,924名増)となった。薬局部門では、47店舗出店し、うち25店舗はM&Aによるものであり、残り22店舗のうち12店舗は開業支援先への新規出店である。総じて、2016年3月期末では576店舗となった。地域別の内訳は、東日本17店舗、西日本24店舗、九州6店舗である。

【経営陣】坂本社長、昨年4月に就任

 坂本賢治社長は創業5年目の1983年に総合メディカル入社。東日本支社長や管理部門統括などを経て2016年4月に社長に就任した。58歳。

【株主構成】三井物産が筆頭株主

総合メディカルの主要株主
株主名 持株数  (千株) 持ち株比率(%)
三井物産 3,819 25.5
GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL 944 6.3
東京センチュリーリース 722 4.8
福岡銀行 615 4.1
日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) 454 3
小山田 浩定 453 3
北九州銀行 404 2.7
THE CHASE MANHATTAN BANK, N.A. LONDON SPECIAL OMNIBUS SECS LENDING ACCOUNT 300 2
総合メディカル従業員持株会 231 1.6
CBNY-GOVERNMENT OF NORWAY 215 1.4
8,157 54
2016年9月末時点、同社ホームページより作成

 主な株主構成としては、2007年から業務提携している三井物産が25.5%、ゴールドマンサックスが6.3%、東京センチュリーリースが4.8%である。3%を保有する小山田浩定氏は総合メディカルの創立時から専務取締役を務め、1990年から社長、2004年から2012年まで会長を務めた人物である。

【M&A戦略】調剤薬局買収、在宅医療のノウハウ取得

総合メディカルの主なM&A
年月      内容
2007年8月 三井物産と業務提携
2007年9月 三井物産を割当先とする第三者割当増資を実施、32億円を資金調達。うち、7億円は調剤薬局
2007年10月 調剤薬局250店舗へ。
2009年9月 調剤薬局のとりせんファーマシーの全株式を取得。
調剤薬局8店舗、ドラッグストア2店舗、介護事業所1か所経営。群馬県・栃木県での店舗展開につなげる。取引価格は非公表。
総合メディカル・ファーマシー関東に商号変更
2010年6月 調剤薬局300店舗へ。
調剤薬局のあおば調剤薬局の全株式を取得。
2010年10月 100%出資会社:総合SMOと、メディクオールを吸収合併
2011年1月 100%出資のエス・エム・イーを設立
2011年10月 調剤350店舗
調剤薬局の前田産業の全株を取得
2011年11月 100%出資の総合ケアネットワークを設立
2012年1月 新鵠薬局の全株を取得
2012年3月 有限会社ひばり薬局の全株を取得
2012年6月 サンヴィラの株式を取得
2012年10月 100%出資の新鵠薬局と有限会社ひばり薬局を吸収合併
2012年11月 ヤタヤ薬局の全株式を取得
2012年12月 調剤薬局400店舗
有限会社すみれ堂薬局の全株を取得
2013年4月 100%総合メディカル・ファーマシー関東を吸収合併
2013年8月 タイコー堂薬局本店と、株式会社ティ・エム薬局の全株を取得。大阪、和歌山での店舗展開へ。取引価額は非公表。
2013年12月 有限会社ケアメディカルの全株を取得
2014年3月 ビューティドラッグサイトウと、有限会社中野薬局の全株を取得
2014年4月 調剤薬局500店舗
100%出資の総合ヘルスケアサービスを吸収合併
2014年8月 松村と有限会社暁調剤薬局の全株を取得
2014年9月 100%出資の有限会社すみれ堂薬局を吸収合併。さいたま市内での出店強化へ。
2014年10月 100%出資の株式タイコー堂薬局が、100%出資のティ・エム薬局を吸収合併
2015年3月 医療・健康情報サービスの保健同人社の株式を61.6%取得。
調剤薬局との連携により、各種健康サービス事業の提供を図る。取引価額は非公表。
2015年5月 有限会社ファーマシステムズの全株式を取得
2015年6月 祥漢堂の全株取得。大阪府6店舗・兵庫県15店舗のうち1店舗は第三者へ事業譲渡。
本取引により、大阪・兵庫エリアでの出店強化を図る。取引価額は非公表。
2015年7月 有限会社ドラドックの全株を取得
2015年8月 総合メディアサプライの全株を譲渡
2015年10月 100%出資の松村と有限会社暁調剤薬局を吸収合併
2016年1月 100%出資の有限会社ケアメディカルを吸収合併
2016年2月 医療施設内装工事のジィ・エムの株式75%取得
2016年8月 100%出資の有限会社ドラドックを吸収合併
2016年11月 みよの台薬局グループを子会社化。一都六県、三重、大阪での91店舗展開へ。みよの台グループの在宅調剤ノウハウを獲得。取引価額約80億円。

 総合メディカルは、2014年4月から2017年3月までの3か年中期経営計画を立てて、既存事業である医業支援事業と薬局事業の強化を図ってきた。

 医業支援事業では、開業支援の強化や会員サービスの向上とストックビジネスの拡大、DtoDをベースに医業支援を行っている。

 主力である薬局事業では、M&Aも含めて規模拡大に注力している。平成28年4月の調剤報酬改定を受け、「在宅支援の強化」「専門性の向上」「患者サービスの向上」を軸に、店舗展開と既存事業の深堀りを目標としている。2016年11月に行ったM&Aでは、在宅医療にノウハウを持つ「みよの台薬局」のグループ10社すべての株式を約80億円で取得した。総合メディカルが展開する全ての調剤薬局で在宅調剤に対応できるよう、薬剤師の専門性向上を目指す。2016年11月現在で、総合メディカルが展開する調剤薬局は約670店になる。

【財務分析】医療モールの進化で業績伸ばす

 2017年3月期で、中期経営計画の最終年度となり引き続き新規事業への挑戦と、既存事業の深化に取り組む。次期では、薬局部門の調剤報酬改定のマイナスの影響を医業支援の増収でまかなうことを目指す。

 総合メディカルは、3つの経営方針を軸に売り上げを伸ばしている。①医療モールの進化と深化②地域包括ケアシステムの構築支援としての「病院の経営支援」③価値ある薬局の創造、を掲げている。

 年々順調に売上高を伸ばしており、業種別だと経営方針である「①医療モールの進化と深化」では、様々な診療科のクリニックや薬局を集約している医療モールを積極出店している。17年3月期までに計13件の開設を目指す。

 医業支援として「①医療モールの進化と深化」「②地域包括ケアシステムの構築支援としての「病院の経営支援」」を掲げており、こういった医療機関向けのコンサルティング事業は好調であり、診療報酬改定による収入減を補っている。

 地域別だと、医療モール開設案件や病院の経営支援など東日本地域を中心に医業支援が好調であり、薬局既存店の処方箋単価減少による売上減で売上高は微増にとどまっている。首都圏に攻勢をかけており、医療モールを開設すると薬局収入の拡大につなげる。


 16年3月期末時点で、全国で医療モールを65件展開しており、17年3月期に13件新設し、18年3月期には計100件を計画する。新設する医療モールは、ほとんどを首都圏に集中させる計画である。首都圏に集中させる意図として、少子高齢化がすすみ、特に首都圏では医療需要が高まっている。17年3月期では1625億円の売上高の拡大を目指す。

 また、顧客獲得にも多角化を図っている。新しい試みとして、福岡市天神の調剤薬局店舗に「バーチャルショップ」を開設した。バーチャルショップは、スマホアプリを利用して、ポスターやパネルに掲載された商品のQRコードを読み込み、購入ボタンを押すだけで決済・発送の手配がされるものである。総合メディカルブランドの健康食品など、医師の処方箋を必要としない商品を扱ったり、休業日・営業時間外にも利用してもらったりすることで、新しい顧客を開拓する狙いがある。また、薬の処方以外にも薬局に足を運んでもらうための取り組みとして、都内店舗にて認知症テストを実施する。正答率により、かかりつけ医の相談を勧めたりと結果は医療機関に伝え、薬剤師が食事改善などを助言する。

【株価】薬局グループ買収を好感、高値圏に

 株価は2014年初めから2015年にかけて大幅に上昇している。薬局事業の収益が順調に伸びていることが背景にある。2016年以降は上値が重くなっていたが、11月24日にみよの台薬局グループの買収を発表して以降は再び上昇している。同グループは調剤薬局を91店舗運営しており、M&Aによって一気に店舗数を拡大できることが好感されている。

【まとめ】薬局が順調なら利益上振れも

 既述したように、東日本を中心とした医業支援は好調である。また、薬局事業は、M&Aにより、調剤薬局の店舗数を増やしてきている。しかし、処方箋単価減少により売上高は微増にとどまる。かかりつけ薬剤師の影響で、人件費など販管費を吸収しきれず、営業、経常で減益の可能性があるが、損失計上が減り、最終増益は確保している。薬局が順調なら利益上振れもある。今後、在宅調剤に対応できるよう薬剤師の専門性向上、人件費の増加はあるものの、医業支援事業での増収を達成していくことにより増収効果で販管費率を吸収していく。


この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu