なぜ、ワイモバイルは「Andoroid One」に肩入れするのか

なぜ、ワイモバイルは「Andoroid One」に肩入れするのか

2017.01.26

ワイモバイルが開催した新製品・新サービス発表会の「Y!mobile 2017 Spring」で、ある大きな変化があった。それは新商品として披露されたスマホ2機種がAndroid Oneで統一されていたことだ。Android Oneのみとなった理由を探ると同社の戦略が鮮明になる。

新スマートフォンとして発表されたのはAndroid Oneの2機種のみ。理由を探るとワイモバイルの戦略が見えてくる

Android Oneとは

Android Oneはグーグルが端末メーカーと協力してスマートフォンを開発するプログラムのこと。もともと、インド、インドネシア、フィリピンなど低廉な価格の端末が普及しやすい新興国に向けたプログラムである。低廉な端末では、ソフトウェアアップデートが提供されないといった問題があり、それを解消するためにグーグルが2014年に始めたものだ。ただし、ソフトウェアアップデートを巡っては、日本も大差ないこともある。過去には、一度もメジャーアップデートを実施することなくサポートが終了してしまう端末もあった。

そうした中でAndorid Oneが日本に導入されたのが2016年だった。Nexusシリーズでグーグルとの結びつきを深めたワイモバイルが昨年7月にシャープ製のAndoroid One端末「507SH」を発売した。507SHでは少なくとも1回のメジャーアップデート、発売後最低2年間のセキュリティアップデートが保証される。期間はあるものの、ソフトウェアアップデートをの保証があるのがAndroid Oneのひとつの特徴であり、そこで涙をのんできたAndroidユーザーには、待望の端末といえるかもしれない。

日本初のAndroid One端末はシャープ製の「507SH」

Android Oneにおいて、もうひとつ特徴的なのは、余計なアプリケーションが少ないことである。S1でワイモバイル色を感じるのは、ヤフートップページへのアイコンくらいであり、ソフトウェアアップデートと端末のシンプルさが評価されて、Android One端末は好調なセールスを記録したようだ。端末スペックも、ハイエンドとは言えないまでも、防水・防塵ほか、ワンセグにも対応しており、日本向けの仕様を追加、ハードウェア的な側面からは特徴を出すこともできる。

そして、今回、ワイモバイルが発表したのは「S1」(シャープ製)、「S2」(京セラ製)の2機種のAndroid One端末のみ。将来的な端末ラインアップのあり方についても、「Android Oneに揃えていくことも、いろいろな意味でいいのではないか」(ソフトバンク Y!mobile事業推進本部執行役員本部長 寺尾洋幸氏)という。

防水・防塵ほか耐衝撃性能も備えた「S2」

もちろん"iPhoneを除いて"というのが実のところだろうが、寺尾氏が言う"Android Oneに揃えていくこともあり"という言葉には、ワイモバイルの戦略上の事情がありそうだ。

シンプルな商品とシンプルな説明

ワイモバイルの戦略はどのようなものか。それはシンプルな商品とシンプルな説明である。シンプルによって生み出される"わかりやすさ"を重視するのがワイモバイルの戦略だ。これまでもシンプルな料金プランで事業を展開してきたが、わかりやすい接客も求められているという。そこに合致したのがAndroid Oneというわけだ。

寺尾氏は「スマホ初心者、スマホデビューのお客さんにわかりやすい料金、わかりやすいサービス、わかりやすい端末を提供しないといけない。わかりやすく作るのが非常に重要」と"わかりやすさ"という言葉を何度も強調している。

その言葉の背景には、まだ説明のしづらさというものがあるわけで、販売の現場でも、いかにわかりやすく説明するかに腐心しているようだ。今回の新商品がAndroid Oneブランドとして統一され、なおかつ新製品を2端末としたのも、商品説明を行う上での"わかりやすさ"を最優先させたからにほかならない。

サービス・商品のわかりづらさは、接客時間の長時間化につながり、接客人員の増加など、人件費負担としても跳ね返ってくる。販売面の現状について寺尾氏は「ガラケーからの移行を望むお客さんが多く、そうした人にどうやってサービスや端末の魅力を伝えられるかに苦労している」と話す。

ワイモバイルが重視するグーグルのプログラム

「Android Ambassador」が着用するバッジイメージ(画像:ソフトバンクプレスリリースより)

そこで、ワイモバイルが新たに導入したのが、「Android Ambassador」プログラムだ。同プログラムは、AndroidやAndroid端末、グーグルのサービスに精通したスタッフを「Android Ambassador」として認定する取り組みだ。認定を受けたスタッフが、きめ細やかな接客を行えるようにする。

消費者にとっては直接的なメリットが見えない取り組みだが、これはワイモバイルにとっては重要な意味をもちそうだ。ワイモバイル自体も接客マニュアルのようなものは用意しているが、寺尾氏は「Andoridについてベーシックなところで理解している人は少ない」「(プログラムの活用により)使い方を理解することで、詳細に伝えることができる」などとコメントしており、接客を強化したい考えのようだ。

大手キャリアと対極を行くワイモバイル

Android One端末とAndroid Ambassadorプログラムでワイモバイルが目指すのは、料金プランのみならず、端末・サービスでもわかりやすさを追求していこうという姿勢だ。依然として、入り組んだ料金体系やキャンペーンを展開する傾向にある大手キャリアに対し、シンプルさとわかりやすさで攻めるワイモバイルは対極的な位置にいる。そうした価値観が広く受け入れられれば、「携帯電話のサービス=わかりづらい」という流れを変える存在になりえるかもしれない。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

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○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
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○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
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○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
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○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu