【夢真ホールディングス】敵対的TOBの先駆者、夢破れてM&Aは堅実型に

【夢真ホールディングス】敵対的TOBの先駆者、夢破れてM&Aは堅実型に

2016.12.01

【夢真ホールディングス】敵対的TOBの先駆者、夢破れてM&Aは堅実型に

 2005年、買収防衛策導入企業への初の敵対的TOB(株式公開買い付け)で世間を騒がした会社がある。建設技術者派遣事業を主力とする夢真ホールディングス<2362>だ。自社で証券会社をつくるほどM&Aに力を注いだが、TOBはあえなく失敗。経営不振の建設会社買収で財務内容も傷つき、一転して事業の整理を迫られることになる。その後、夢真はM&A戦略を堅実路線に修正し、業績回復を果たす。成功と挫折が混在する夢真ホールディングスのM&Aの軌跡を追う。

【企業概要】海外設計事務所に施工図を発注

 夢真ホールディングスは建設技術者派遣事業を主力とするジャスダック上場企業である。2015年9月期の売上高は211億円。1980年に有限会社佐藤建築設計事務所として施工図の作図を目的として設立され、1980年代から海外設計事務所に施工図の発注を行っていた。1990年に株式会社化し、商号も株式会社夢真に変更。現在の本業である建築技術者派遣事業を開始したのは翌1991年だ。2003年に大阪証券取引所ヘラクレス市場(現ジャスダック)に上場し、2005年に持株会社体制に移行した。

 夢真ホールディングスの主業は前述通り建築技術者の派遣であるが、グループでは現在この他にエンジニア派遣、人材紹介事業と計三つのセグメントを擁する。これらは夢真ホールディングスが得意分野且つ高付加価値のビジネスとして掲げる事業であるが、このポートフォリオに辿り着いたのはつい最近のことである。過去には真逆の方針で買収によって事業の多角化を行い、その後事業の選択と集中を重ねて今に至る。

【経営陣】創業者は会長の佐藤真吾氏、長男の大央氏が昨年社長に

 創業者の佐藤真吾氏は1980年、夢真の前身となる有限会社佐藤建築設計事務所を設立して以来、社長を務めてきた。2005年4月に夢真ホールディングスに社名変更したのを機に同年8月から会長兼社長に就任した。長男の佐藤大央氏は野村不動産を経て2010年に夢真ホールディングスに入社。2015年12月に社長に昇格した。これに伴い、真吾氏は代表権を伴う会長職に専念することになった。年齢は真吾氏が74歳、大央氏が33歳。

【株主構成】創業オーナー、42%超を保有

 筆頭株主はホールディングス化の前後を合わせて、創業以来一貫して創業オーナーの佐藤真吾氏である。上場直後の2003年時点で佐藤氏が59.75%、徐々に割合を減らして2015年は30.01%に至るが、親族及び親族所有の会社等を合わせると42.83%を保有しており、オーナー企業であると言うことが出来る。

【M&A戦略】朝令暮改もいとわぬ迅速な軌道修正

 買収と譲渡を重ねた同社のM&A遍歴を見て行こう。

 上場後、夢真ホールディングスは顧客のニーズの多様化に対応すること、グループ内での健全な競争を行うことを目的として持株会社体制に移行する。同時に掲げたのが周辺事業への積極的な進出であり、その一環として手始めに環境プラントの維持管理等を行う朝日エンジニアリングを買収した。

 その次に大胆にも白羽の矢を立てたのは建設コンサルティングを行う日本技術開発である。当時を知る人には、上場間もない夢真ホールディングスを一躍有名にしたTOBとして印象深い一件だ。

 民間事業中心の夢真ホールディングスに対し、日本技術開発は公共事業が中心であり、事業領域の補完として申し分ないというのがTOBの目的である。しかし、多額の現預金を持ちながらも株価に割安感があり、かねてより買収を警戒していた日本技術開発は事前警告型の買収防衛策を導入。これは事前に経営計画を提出しない企業からのTOBに対しては最大で5倍までの株式分割を行うことが可能というものであり、当時の松下電器産業等も同様の防衛策を導入していたことや、初の買収防衛策導入企業への敵対的TOBの事例であること等から世間の注目が高まった。

 夢真ホールディングスは買収防衛策を踏まえた上でTOBを公表。日本技術開発の株式分割実施後、夢真側は東京地裁に差し止め請求を行うも却下され、さらにはホワイトナイトとして現れたエイトコンサルタントの友好的TOBに妨げられてTOBは失敗に終わる。当時の夢真ホールディングスの社長が引責辞任をする始末となった。

 一連のTOB合戦は最終的には翌年6月、エイトコンサルタントのTOBに夢真ホールディングスが応募する形で幕を引くのだが、この間にも夢真ホールディングスは丸紅設備及び東亜建設技術の2社を買収。東亜建設技術は公共工事を主体としていたが、市町村合併等による公共事業の縮小に対応し切れず、経営難の状態にあった。その後日本技術開発の買収は頓挫したものの、建設業の最上流である建設コンサルタント領域に進出するという悲願を果たす。

経営難の総合建設会社を買収

 この時期、夢真ホールディングスは『ストック&フロー型M&A企業』を標榜し、M&Aを行う為に自社で証券会社まで設立している。

 続いての買収は2006年7月の勝村建設だ。勝村建設は元東証1部上場の総合建設業であり、直近の売上高は41,063百万円。しかしながら東京都が発注した水道工事の入札を巡って同社社員が逮捕・起訴され、地方自治体の指名停止処分によって経営難に陥っていた。2005年9月に民事再生手続きの申立を行った直後から夢真ホールディングスは再生支援を表明しており、このほど新設分割により設立された、いわば新・勝村建設を譲受する形だ。

 これにより夢真ホールディングスは施工部門をも傘下に収め、ワンストップで建設業界に携わることができるわけだが、その対価は当初の予定で71億円。最終契約時点で減額の余地を持たせるも、譲渡側からは満額での債務存在確認請求の訴訟を起こされ、和解を経て65億円に落ち着くが、それでも安くはない金額だ。

 直後に、共に不動産販売のスピリット及びデントハウスの買収を行い、建設業の更に先へと事業の展開を試みる。結果から言うと、スピリットに関しては一度は契約を解除、紆余曲折して社名も変えて買収にこぎつけるが、デントハウスに関しては買収後に財務内容の悪さが明るみに出て追加の第三者割当増資は断念、売主に買い戻させるというてん末となる。

 ただし、円満に買収が成立していたとしても、この後グループ企業として共に歩んだかどうかは怪しい。これまでの買収がウソのように、この直後から夢真ホールディングスは矢継ぎ早な子会社の売却に転じる為だ。

拡大路線一転、矢継ぎ早に売却

 まず手始めに2006年9月に売却したのは、2005年12月に買収し再生を進めていた東亜建設技術である。保有期間は一年に満たず、従業員の立場を思うといたたまれないが売却先が事業ノウハウのある同業者であることが救いだろうか。次いで2007年2月には旧丸紅設備等が合併した夢真総合設備。事務所の統合や人員整理等により今期は10億円近い利益が出ると見込まれていたが、夢真ホールディングスは売却を断行した。譲渡先はファンドであり、譲渡金額は非公開ながらも25億から30億の売却益が出たとみられる。この時期夢真ホールディングスの会長は売上高よりも売却による利益を優先すると語る。

 その後も勝村建設、夢真証券、夢真キャピタル等と売却が続く。とりわけ夢真キャピタルに関しては、売却額はさほどではなく、多額の利益は見込めないものの、折しも新会社法の施行により連結基準の変更があった。一度売却がご破算になっても更に二度目の相手を探し売却を急いだ背景には、子会社の定義が形式基準から実質基準に変わったことで、業績の振るわない投資先が連結対象に含まれかねないこともあったとされる。

買収額は小粒化、本業強化型に

 手痛い失敗を踏まえてか、2009年以降の夢真ホールディングスのM&Aは憑き物が落ちたかのように堅実だ。2009年のアイゼックス・アルファの事業譲受やアークウィズの第三者割当増資引き受け、2011年1月のユニテックソフトの子会社化共に買収価額はこれまでに比べて桁が一つか二つ少ない。2011年5月には技術者派遣を行うフルキャストテクノロジーの株式の83.56%を1,707百万円で取得しているが、この頃夢真ホールディングスは従前通りの技術者派遣と、新たに設立した我喜大笑での保育園運営事業を主業とうたう。ノウハウもある本業を強化する形の買収であるとすれば、高すぎる買い物ではないだろう。

 そうかと思えば2014年7月に建築工事請負業を手掛ける岩本組を買収、翌2015年6月には売却を済ませる。単に投機的な売買かと思いきや、事業の柱と掲げたはずの保育事業の我喜大笑も共に売却しているのだが、譲渡先が代表取締役社長の佐藤大央氏が代表を兼務する佐藤総合企画である点に留意が必要だ。当該事業を成長分野として見ているものの、公私を分ける形で、あくまで夢真ホールディングスとしては手を引くといった印象だ。

 2016年に入って夢真ホールディングスはシステム開発系を2社、教育関連事業を一つ買収している。2016年10月現在の夢真ホールディングスの事業ポートフォリオは冒頭の通り、建築技術者派遣とエンジニア派遣、人材紹介事業の三つである。取得比率は低いながらも直近の日本サードパーティーへのTOBもエンジニア派遣に付帯する事業の強化の一環である。

 いずれにしても、オーナー企業ならではと言うべきか、企業集団として事業の取捨選択の決定が迅速である。人により朝令暮改と見るか、機動力があると見るかは分かれるところかもしれないが、過去にM&Aでの失敗をM&Aで補うことが出来たのはオーナー主導のこの敏しょうさゆえであるのは間違いない。

 前述のポートフォリオ自体が今後変容を遂げる可能性もある。自社や業界の状況を鑑みて柔軟に経営方針を変更することはM&Aにも肝要だ。M&Aで業績の伸長を目指す場合、とかく買う・買わないの判断にとらわれがちだが、売るという選択肢を視野に入れる場合、M&Aでの失敗のリスクは大きく低減できると言える。

【財務分析】脱ジェットコースター経営、自己資本比率60%超に上昇

 M&Aの成果を振り返りたい。2005年から2006年にかけての売上高の伸びは目覚ましい。2005年9月期の売上が6,499百万円であるのに対し、2006年9月期は41,554百万円と約6倍だ。もっとも、新設分割設立会社とはいえ民事再生前には41,000百万円を超える売上を誇った勝村建設を譲り受けているのだから、売上の伸長は至極当たり前のことである。

 一方で、営業利益は伸び悩み、2005年9月期から2006年9月期はわずか500百万円足らず増加したに過ぎない。増加と言えば聞こえは良いが、これを売上高営業利益率にしてみると実に5.4%から2.0%へと半減しており、楽観は出来ない状況がよくわかる。ちなみに売上高経常利益率で見るならば、11%から3%へと下げ幅は尚深刻だ。


 さらに、毀損したのは収益性のみではない。夢真ホールディングスはブレイントラスト以外全ての買収を現金対価で行っており、これには約200億円を要したとされる。この資金調達は他人資本に依存しており、長短共に借入金が増加。ここに社債も加えてネットデットの推移を見てみたグラフは次の通りだ。当然ながら過少資本を招き、2006年9月期の自己資本比率はわずか3%にまで低下している。こうなるともはや買収した企業を再生する為に必要な資金の調達さえも難しくなり、自社の財務の立て直しが喫緊の課題となる。ここから売却に舵を切ることとなる。

 海外子会社の清算や子会社の吸収合併等、再編を進めて迎えた2009年9月期、夢真ホールディングスの決算書には連結財務諸表がない。関連会社を整理して夢真ホールディングス単体となったこの期の売上高は5,482百万円。M&Aを行う以前に近い水準に減少したが、自己資本比率が44.1%にまで持ち直したこと、営業利益率が13.8%と上場後最高値を記録したこは見過ごせない。買収での失敗を売却によりきれいに清算したと言える。

 その後、2010年9月期を底に業績は回復基調に転じている。2016年9月期の売上高は前期比10%増の232億円。売上高営業利益率は10.5%とフタ桁を回復。自己資本比率は65.7%に上昇した。事業の選択と集中が進み、身の丈にあった買収戦略に切り替えたことが奏功している。

 なお、事業の取捨選択が激しくセグメント情報がよく入れ替わるため、推移を見るのにあまり適さず、今回はセグメント毎の損益は取り上げない。参考として、象徴的な時期のセグメント別売上高の構成を一部掲載する。


【株価】じりじりと値を戻す展開に

 株価は2013年末から2014年にかけて1000円を上回る場面もあったが、その後、600~800円前後のボックス圏の動きとなっている。しかし、足元の株価はじりじりと値を切り上げている。今年に入り、バーチャルリアリティ(VR)関連のゲームやミドルウエアを開発するダズル、仮想通貨ビットコインの決済プラットフォームを運営するBTCボックスと相次ぎ資本業務提携を結んだ。投資家の注目度の高い成長分野への足がかりを築きつつあることが株価の押し上げ要因になっているとみられる。

【まとめ】売る選択肢で失敗リスク低減

 これまで見てきたように夢真ホールディングスは、M&Aの失敗をM&Aで補ってきた歴史と言える。創業オーナーの高い持ち株比率を背景に、迅速な意思決定と事業を大胆に取捨選択する姿勢には他社も参考にすべき点も多い。とりわけ、買収の失敗で一時的に財務が毀損しても、その後の迅速な売却とよって、経営の立て直しにつなげていることは注目に値する。売るという選択肢を視野に入れる場合、M&Aでの失敗のリスクは大きく低減できる。紆余曲折を経て、手堅さを増す夢真ホールディングスが今後どんな買収を仕掛けてくるか、後継ぎの佐藤大央社長の手腕にも注目したい。


この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部

「eBASEBALL」の初代覇者が決定! 定番プロリーグとして定着なるか

「eBASEBALL」の初代覇者が決定! 定番プロリーグとして定着なるか

2019.01.17

「eBASEBALL」で初代王者を決めるe日本シリーズが開催された

頂点を争ったのは、埼玉西武ライオンズと横浜DeNAベイスターズ

はたして“もう1つのプロ野球”で頂点に輝いたのは?

1月12日、東京ビッグサイトTFT HALL 500にて、「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ2018」のe日本シリーズが開催された。頂点を争ったのは、埼玉西武ライオンズと横浜DeNAベイスターズ。はたして初代王者に輝いたのは、どちらのチームか。

3カ月間の戦いの末、頂点を争う切符を勝ち取った2チーム

「eBASEBALL」とは、野球ゲーム『実況パワフルプロ野球 2018(パワプロ)』を使用した、日本野球機構(NPB)とコナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)が共同で開催するプロリーグだ。

2018年7月より行われたオンライン予選、西日本、東日本選考会を経て、9月末に実際のプロ野球球団による「eドラフト会議」を実施。ドラフトで指名された選手は、プロゲーマーとして各球団に所属する形になった。

11月からは実際のプロ野球のペナントレースのように、セ・リーグ、パ・リーグに分かれて「eペナントレース」がスタート。そして12月に行われた、eペナントレース上位チームによる「eリーグ代表決定戦」によって、パ・リーグの埼玉西武ライオンズと、セ・リーグの横浜DeNAベイスターズが、e日本シリーズへの切符を手にした。

パ・リーグ代表の埼玉西武ライオンズは、eペナントレースを13勝2敗の圧倒的な強さで勝ち抜き、eリーグ代表決定戦でも危なげなく、代表権を獲得。対するセ・リーグ代表の横浜DeNAベイスターズは、キャプテンであるじゃむ~選手のデータを活かした戦術と強力打線、そして巧みな投球術でeリーグ代表権をもぎ取った。

埼玉西武ライオンズのなたでここ選手(写真左)、BOW川選手(写真中)、ミリオン選手(写真右)
横浜DeNAベイスターズのヒデナガトモ選手(写真左)、じゃむ~選手(写真中)、AO選手(写真右)
会場は超満員。立ち見席も出るほどの人気ぶりで、まさに日本一を決定するのに相応しい舞台となった

一発勝負の決勝戦! 最後に笑うのは……?

e日本シリーズでは、各チーム3名による3イニング交代制の試合を1戦だけ行う。そこで勝利したチームがeBASEBALL パワプロ・プロリーグの初代チャンピオンになるわけだ。

『パワプロ』でお馴染みの選手の調子発表

選手の調子を見ると、埼玉西武ライオンズは、主力に不調の選手がおらず実力を存分に発揮できそうなラインアップ。横浜DeNAベイスターズは主砲筒香の好調が嬉しいものの、桑原、ソトの不調が厳しい。どちらかというと調子具合は埼玉西武ライオンズが優位に見られた。

さぁ、いよいよプレイボール。まず1人目、埼玉西武ライオンズはミリオン選手、横浜DeNAベイスターズはヒデナガトモ選手がコントローラーを握る。奇しくも、ペナントレースで最多奪三振のタイトルを獲得した2人の対戦となった。

そのため、激しい投手戦が繰り広げられたが、3回裏に均衡が破られる。豪打を誇る埼玉西武ライオンズとしては珍しいスクイズで1点を先制すると、そこから怒濤の連打で計5点をもぎ取り、序盤にして埼玉西武ライオンズが大量リードを得た。

スクイズ、スチールと小技も冴え、一気に5点を奪うミリオン選手
センターフライの捕球ミスやスクイズの打者をアウトにできなかったなど、ミスが出てしまったヒデナガトモ選手

2人目は埼玉西武ライオンズがBOW川選手、横浜DeNAベイスターズがじゃむ~選手と、キャプテン対決。じゃむ~選手が2点を返すも、BOW川選手が1点を追加し、スコア「西武 6-2 DeNA」で最終プレイヤーにバトンが渡された。

埼玉西武ライオンズのキャプテンを務めるBOW川選手
横浜DeNAベイスターズの軍師ことじゃむ~選手

最後は、ペナントレースで急成長した埼玉西武ライオンズのなたでここ選手と、横浜DeNAベイスターズ無敗のエースAO選手の対戦となった。

最優秀防御率のタイトルを獲得し、eペナントレースでの失点はわずか3点と脅威の安定感を持つAO選手は、e日本シリーズでもその実力を発揮。打撃3冠を獲得したなたでここ選手をみごとに完封した。しかしながら、3イニングでは1点を返すのがやっとで、最終スコアは「6対3」。埼玉西武ライオンズが優勝し、e日本シリーズを制した。

今回の大会で急成長したなたでここ選手
横浜DeNAベイスターズのエースとしてチームを牽引したAO選手
ペナントレースから実況を担当した清水久嗣アナはe日本シリーズの実況も担当
解説を務めた元ヤクルトスワローズ監督の真中満氏
同じく解説を務めた元中日ドラゴンズ監督の谷繁元信氏
ゲーム解説を務めるぶんた氏
パワプロ・プロリーグ初代チャンピオンの埼玉西武ライオンズ

埼玉西武ライオンズも横浜DeNAベイスターズも、打撃、特に本塁打に期待できる選手が揃っており、その打撃力で勝ち進んでいたなかで、e日本シリーズではホームランが「ゼロ」という、頂上決戦に相応しい緊迫感のある試合だったといえよう。

e日本シリーズでは博多激獅会も応援に駆けつけ、プロ野球さながらの応援が飛び交った

試合終了後は、優勝の表彰とともに、各個人タイトルの表彰も行われたので、その様子も紹介しよう。パ・リーグでは、首位打者、本塁打王、打点王、最優秀防御率の4冠を埼玉西武ライオンズのなたでここ選手が獲得。最多奪三振は埼玉西武ライオンズのミリオン選手が獲得した。

また、セ・リーグでは、首位打者と本塁打王の2冠を広島東洋カープのカイ選手、打点王と最優秀防御率の2冠を横浜DeNAベイスターズのAO選手、最多奪三振を横浜DeNAベイスターズのヒデナガトモ選手が獲得。そして、MVPには、4冠獲得のなたでここ選手が選出された。

パ・リーグの最多奪三振を獲得したミリオン選手
セ・リーグの首位打者と本塁打王を獲得したカイ選手
セ・リーグの打点王と最優秀防御率の2冠を獲得したAO選手
セ・リーグの最多奪三振を獲得したヒデナガトモ選手
パ・リーグの首位打者、打点王、本塁打王、最優秀防御率の4冠、そしてMVPを獲得したなたでここ選手
e日本シリーズでは12球団のマスコットがそろい踏み。スポンサーであるSMBCのキャラクター「ミドすけ」も登場した

eBASEBALLは試合を重ねるごとに盛り上がりを見せ、決勝の舞台でもあるe日本シリーズでは立ち見が出るほど多くのファンが駆けつけた。プロ野球ファンにとって、オフシーズン時期の楽しみの1つとして、eBASEBALLが定着しそうな気配も感じる。

最後にNPB(日本プロ野球機構)コミッショナーの斎藤惇氏による締めの挨拶にて、「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ 2019」の開催も発表された。来シーズン、さらなる飛躍と盛り上がりに期待したい。

SUVでは満足できない人へ…「パサート」試乗で再考したクロスオーバーワゴンという選択肢

SUVでは満足できない人へ…「パサート」試乗で再考したクロスオーバーワゴンという選択肢

2019.01.17

フォルクスワーゲンの「パサート オールトラック」に試乗

これは意外? クルマ好きも納得のスポーティーなクルマ

ステーションワゴンとSUVの“いいとこ取り”

昨今のSUVブームはとどまることを知らない。コンパクトからラグジュアリーまで多様性もみられ、さらに「RAV4」の日本復活など、いくつかの新型車投入のニュースも届いている。しかし、SUVが必ずしも全てのユーザーにとってベストな選択肢とはいえないはずだ。

日常の使い勝手などを考慮すると、セダンとSUVの架け橋である「クロスオーバーワゴン」こそ、真の“いいとこ取り”なのではないかと思うところもある。今回は、フォルクスワーゲンから登場した「パサート オールトラック」に試乗し、この車種の魅力について再考してみた。

フォルクスワーゲンのクロスオーバーワゴン「パサート オールトラック」に試乗した

スバルが普及させたクロスオーバーワゴンという車種

フォルクスワーゲンがミッドサイズモデル「パサート」に新グレード「パサート オールトラック」を追加した。このモデルは、パサートのステーションワゴン「パサート ヴァリアント」をベースとし、SUVのエッセンスを取り入れた「クロスオーバーワゴン」と呼ばれるジャンルのクルマだ。つまり、ステーションワゴンとSUVの中間的な存在である。特徴としては4WD、専用サスペンションで高めた最低地上高、SUVを彷彿させるラギッドなスタイルなどが挙げられる。これらにより、ステーションワゴンよりも走破性が高まっている。

「パサート オールトラック」は最低地上高の高さやSUVを髣髴させるスタイルなどを特徴とする。価格はグレード別に「Passat Alltrack TDI 4MOTION」が509万9,000円から、「Passat Alltrack TDI 4MOTION Advance」が569万9,000円からだ

少しだけクロスオーバーワゴンの歴史を振り返りたい。意外かもしれないが、こういったクルマを普及させたのは日本メーカーなのだ。

SUVのニーズが高まっていた1990年代の北米で、SUVを持たないスバルは大苦戦していた。その打開策として、2代目「レガシィ」をベースとするクロスオーバーモデル「アウトバック」(日本名:レガシィ グランドワゴン)を開発。これが大ヒットとなり、北米市場での巻き返しに成功する。

スバルが2代目レガシィをベースに開発した「アウトバック」。意外にも、歴代モデルの中にはセダン仕様が用意されていたこともある。日本では「レガシィ グランドワゴン」の名で登場。その後、「レガシィ ランカスター」と名称を変更した。先々代モデルからは日本でも輸出名を取り入れ、現在同様の「レガシィ アウトバック」となった

アウトバックがヒットした背景には、ステーションワゴンの高性能化が進み、実用車というイメージが変化して、アクティブなカーライフやスポーティな走りが楽しめる多用途なクルマとして認知されだしたことがあった。セダン譲りの使い勝手と走行性能、そこにラフロードにも対応できる走破性を組み合わせた欲張りな存在として人気を集めたのだ。事実、アウトバックの後にはボルボ「XC70」(後のV70 クロスカントリー)や「アウディ オールロード」といったクロスオーバーワゴンの名車が続々と誕生している。

今やクロスオーバーワゴンは、ステーションワゴンの定番となった。そのパサート版が「パサート オールトラック」だ。

パサート版クロスオーバーワゴンはどんなクルマなのか。試乗で確かめた

「パサート オールトラック」は日本でも使いやすい?

ラギッドなイメージを高めたエクステリアは、パサート本来の上品なデザインの中に、アグレッシブさを感じさせる。主な変更点としては、アンダーガード付きの前後バンパー、ホイールアーチのブラックモール、シルバー仕上げのサイドシルモールなどが挙げられる。サスペンションは標準車+30mmアップとし、最低地上高は160mmを確保した。

ボディサイズは全長4,780mm、全幅1,855mm、全高1,535mm。コンパクトとはいえないが、日本の道路や駐車場には適応しやすいサイズといえる。最大のポイントは、ルーフレールを装備しながらも薄型とすることで、全高を1,550mm以下としているところ。これなら、多くの立体駐車場に入れられるはずだ。

「パサート オールトラック」は日本でも使いやすいサイズ感だ

基本的にインテリアはパサートと共通だが、グレーのパネル加飾を取り入れるなど、スポーティーな装いにしてある。装備は上級モデルらしく充実していて、全車速追従機能付きのACCや車線内中央維持支援機能「レーンアシスト」、渋滞時追従支援機能「トラフィックアシスト」などの先進安全運転支援機能をはじめとし、スマートキー機能の「キーレスアクセス」やSSDナビ付きインフォテインメントシステム「ディスカバープロ」、シート&ステアリングヒーター、パワーテールゲートなど快適装備も満載だ。

車内は広々としており、前後席共に快適なスペースが確保してある。ラゲッジスペースは標準で639Lと大容量。後席を折りたためば最大1,769Lまで拡大可能だ。

インテリアはスポーティーな装い。機能はパサート ヴァリアントの上級グレードに近いもので、充実している
後席は3分割の可倒式。折りたためば最大で1,769Lまで積める

これがベストパサート? スポーティーな乗り味を体感

次にメカニズムを見ていく。エンジンは「AdBlue」(アドブルー、尿素SCRシステムの触媒として用いる尿素水のこと)を使用したクリーンディーゼルの2.0TDIエンジンを搭載。最高出力は190ps/3,500~4,000rpmで、最大トルクは400Nm/1,900~3,300rpmを発揮する。トランスミッションにはDCTタイプの6速DSGを組み合わせる。

最大のポイントは、現行型パサートで初めて4WDを採用していること。さらに、アクセルやパワステ制御などを変更できる走行モードには「オフロードモード」が追加となっている。オフロードモードでは、急な下り坂で車速を一定に保つブレーキ制御「ヒルディセントアシスト」などが作動する。

クリーンディーゼルの2.0TDIエンジンを搭載する「パサート オールトラック」

試乗したのはパサート オールトラックの最上級グレードである「アドバンス」だ。一言でいえば、かなりスポーティーなキャラクターに仕立てられている。低回転で最大トルクを発揮するディーゼルエンジンの魅力が存分に味わえて、峠道の上り坂も力強く駆け上っていく。元気さはパサートTDIを上回っている印象だ。出力は同等だが、アクセルなどのセッティングが異なるのだろう。

そこに前後のトルク配分が可変となる4WDの「4MOTION」と電子制御ディファレンシャルロック「XDS」が加わることで、コーナリングもグイグイ曲がっていく。それでいて乗り心地も良いのだ。ラフロードに適応すべく、足回りのしなやかさを重視していることが良好な乗り心地につながっているのだろう。

「パサート オールトラック」の上級グレード「アドバンス」で御殿場周辺の峠道を走った

同じパサートのスポーティグレード「2.0Rライン」は、もっとハードなセッティングで乗り心地もやや硬めとなる。一方で、パサート オールトラックのアドバンスはバランス重視のセッティングなのだが、クルマ好きをも納得させるスポーティーさを持ち合わせている。これがベストパサートだとさえ思ったほどだ。

ただ、アドバンスはオールトラックの標準車が装着する225/55R17タイヤに対し、245/45R18タイヤにサイズアップしている。さらにはXDSやアダクティブシャシーコントロール「DCC」なども追加となっているので、標準車のオールトラックと異なる部分があることは加味しなければならない。

ただ、オールトラックがスポーティなワゴンに仕立ててあることは間違いない。ファミリーカーだけどドライブを楽しみたいというユーザーには、パサートの中で最もオススメできるクルマだ。

ファミリーカーでも走りを楽しみたいという人には「パサート オールトラック」をオススメしたい。確かに509万円からという価格は安くないが、「パサート ヴァリアント TDI」のエントリーモデルのナビ付きが約470万円であることを考慮すれば、納得のプライスといえよう

走りの良さを持ち合わせたSUVも増えてはいるが…

ステーションワゴンがブームとなったきっかけは、実用性の高さに加え、ワンボックスカーやSUVなどでは得られない走りの良さを獲得できたところにあった。しかし、走りの良さを身につけた昨今のSUVは、そのニーズを奪い、ステーションワゴンの領域を食ってしまったといえる。あれほど盛況であった日本のステーションワゴンも激減し、今やスバルの一強となっている。

ただ、輸入車を見ると、ステーションワゴンの顔ぶれはなかなか充実しており、一定の販売台数を確保している。その中には、いくつかのクロスオーバーワゴンが存在する。

クロスオーバーワゴンはステーションワゴンに価値が加わったクルマなので、ベース車と比べれば、やはり値段は少々高くなる。それでも、中身に見どころはあるし、コスパで考えても納得できるものが多いと思う。日常での使い勝手を重視したい人、ワイルドさやスポーティーさを強調するSUVに子供っぽさを感じてしまう人などは、改めてクロスオーバーワゴンに注目してみてはいかがだろうか。