【M&Aの基礎知識】M&Aに関する課税ルール 組織再編税制とは

【M&Aの基礎知識】M&Aに関する課税ルール 組織再編税制とは

2016.12.01

【M&Aの基礎知識】M&Aに関する課税ルール 組織再編税制とは

M&Aに関する税制

M&Aに関する課税ルールが一本化されました。これを「組織再編税制」といいます。

平成13年度の税制改正以来、何回かの改正を経て、「合併・会社分割・現物出資・事後設立・株式交換・株式移転」という組織再編行為が行われた場合の課税が見直しされ、これまでM&Aの手法によりばらばらであった税制が一本化されました。

M&Aを実行する際において、非常に大切な税務知識となりますので、なるべくわかりやすく説明したいと思います。なお、課税の取扱いはケースバイケースで非常に複雑なため、実際は専門家にご相談下さい。

組織再編税制の基本的な考え方

基本のきほん

ある企業が企業活動の中で1年間 (1事業年度) で得た所得に対しては「法人税」が課税されます。

法人税の課税対象となる企業の所得は、実現した取引に対して客観的な金額で認識されなければいけません。また、企業の取引活動の中でも、株主を相手とする株式やお金のやり取りは「資本取引」といわれ、原則として法人税の課税対象とはなりませんので、他の一般の営業活動とは区別されます。

ところがある企業が「合併・会社分割・現物出資・事後設立・株式交換・株式移転」のいずれかのM&A (以後、組織再編といいます) を行った場合、企業が株主から受取るお金の性質は、資金の調達であり (売上ではない)、株主が企業から受取るお金の性質は、利益の分配である配当金 (商売上の経費ではない) となります。

このような組織再編を行う場合、対価が株式であるなど金額の評価において問題が発生したり、株主相手に現金や株式を交付することがよくあるため、それらの行為と資本取引を区別する必要が生じます。

こうした背景から、法人税の対象となる課税所得を計算する上で、「企業組織再編税制」という規定が設けられたのです。

どう違うのか?

法人税法上においては、法人が有する資産を移転した場合、「時価による譲渡」があったとみなして譲渡損益を認識するのが原則です。

ただし、資産を移転する相手が株主であった場合、原則配当とみなされます。配当を受取った株主が法人である場合、法人税法上では、受取配当金は「益金不算入」となりますが、個人の株主については、配当金に所得税が適用されるため、実効税率で最高50%の累進課税が課せられ、税負担が大きく違ってしまいます。

また、同じグループ内で企業再編をする際においては、個々の会社単位で法人税を課税すると、グループ全体での実体経済がないにも関わらず、多額の税金が課税されてしまうという不合理が生じてしまいます。

以上の問題に対して、組織再編により資産を移転する前後で実体経済に特に変更がないと認められる場合等には、従前の課税関係を継続させることが適当とみなされ、組織再編の一定要件 (これを「適格要件」といいます) を満たす場合に限り、資産移転の譲渡損益を繰り延べることが出来ることになりました。

課税繰り延べが認められる組織再編成を「適格組織再編」といい、繰り延べが認めらないものを「非適格組織再編」といいます。これが組織再編税制の基本的な考え方です。

つまり、組織再編を行う場合、税務上の適格要件を満たすかどうか? という該当の可否が非常にポイントとなります。

文:株式会社ストライク まとめ:M&A Online編集部

関連リンク
【中小企業のM&A】M&Aのタックスプランニング
【法人税】組織再編税制のおはなし(1)継続保有見込要件とは?
【法人税】 ご質問 欠損金が引き継げる適格合併に該当するか?(1)

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu