​【ファーマライズホールディングス】調剤薬局×コンビニ、M&Aで新業態に進出

​【ファーマライズホールディングス】調剤薬局×コンビニ、M&Aで新業態に進出

2016.12.08

​【ファーマライズホールディングス】M&Aで「地域医療」「非調剤」を拡大

 ファーマライズホールディングス<2796>は東証1部に上場する調剤薬局チェーンだ。グループ全体で、売上高は480億円、341店舗の調剤薬局を展開している(2016年5月末時点)。調剤薬局業界は、業界再編・集約化が行われやすいといわれる小売業の中でも今まさに業界再編の真最中。同社もその例に漏れず、1997年の愛知県のみなみ薬局の買収を皮切りにM&Aにより事業拡大を行ってきた。同社のM&A戦略と今後の課題を探った。

【企業概要】病院に隣接した出店が中心

 ファーマライズホールディングスは大きく3つの事業を運営している。主力の調剤薬局事業は、健康保険法に基づく保険薬局として、医療機関の発行する処方せんに基づき、一般患者に医薬品の調剤を行う調剤薬局を経営する。持株会社体制のもとで北海道から沖縄までの地域を、各事業子会社がきめ細かく運営している点に特徴がある。病院に隣接した出店を中心に、多くの処方せんを受け取る医療機関と密接な連携体制を築いている。

 2つ目が物販事業。子会社を通じて、ドラッグストア、コンビニエンスストアの運営や化粧品の販売を手がけている。3つ目が医学資料保管・管理事業。医療機関が患者を診察した際に記録するカルテやレントゲンフィルムなどの医学資料を、医療機関に代わり倉庫で保管・管理する。

 ①地域医療への貢献 ②患者への良質な医療サービス ③医薬情報の共有化を基本方針に掲げている。また経営目標として2018年5月期の連結売上高525億円以上、自己資本利益率(ROE)は5%以上の維持、将来的に10%をめざしている。

【経営陣】創業者の大野会長、三菱銀行出身の岩崎社長

 代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)は大野利美知氏。大野氏は1984年、東京都豊島区に株式会社東京物産(現ファーマライズホールディングス)を設立して社長に就任。2016年8月から会長に就任した。66歳。

 社長兼最高執行責任者(COO)は岩﨑哲雄氏。三菱銀行(現東京三菱UFJ銀行)出身で、2008年にファーマライズに入社。2016年8月に社長に昇格した。62歳。

【株主構成】大野会長、持ち株比率35%

 筆頭株主は創業者の大野会長。持ち株比率は35%とダントツで、そのほかの株主は5%以下にとどまっている。大野会長がオーナー兼CEOとして所有と経営を一致させて意思決定のスピードを速めている。

【M&A戦略】地場の調剤薬局買収にプレミアム

 これまで、ファーマライズホールディングスのM&Aは2つの特徴がある。

 1つ目は「地域医療」というキーワードだ。ファーマライズホールディングスは、2009年6月にホールディングス化して以降「地域医療」をグループ形成においての理念としている。M&Aにおいては、地場の信頼の厚い企業への買収に積極的に取り組んできた。ドミナント化戦略を進める中で、在宅医療、施設調剤等や、後発医薬品の推奨品目選定に関するノウハウ、予防医療の提案能力など当社グループ独自の強みにバリューアップを目指す。特徴的な事例が下記の3つの企業買収である。

 2007年9月に苫小牧市内において調剤薬局を14店舗構え、顧客の信認を得てきた創業 70 年の老舗企業のふじい薬局を完全子会社化した。北海道においての新規事業基盤の確保とし、牧市内において知名度の高い「ふじい薬局」にファーマライズのノウハウとスケールメリットを活かす。ふじい薬局売上高が14億円、営業利益が1千万円、純資産が3千万円に対し、株式取得価格2億円とありおよそ16~17年分ののれん代が付いたことになる。

 2009年9月に北海道の道南地区を中心に20店舗を展開し、地域の信頼が厚いハイレンメディカルを子会社化した。すでに北海道苫小牧市を中心に出店しているふじい薬局を基盤とし、北海道の主要都市にも薬局展開の推進を目的としていた。ハイレンメディカルの売上高は28億円、営業利益は3千万円、純資産は1億円に対し、株式取得価格は14億円とあり相当のプレミアムがついた。

 2012年9月に兵庫県内で調剤薬局を15店舗展開する新世薬品の株式を議決権割合にして33.3%から100%に引き上げることで完全子会社化した。新世薬局は地域密着企業で特に 10 店舗を展開する淡路島では抜群の存在感がある。新世薬品の人的ネットワークと、ファーマライズの地域医療や後発医薬品等に関するノウハウを融合させることでシナジー効果を期待する。新世薬局は売上高が15億円、純資産が1億円、営業利益が1億5千万円に対し、株式66.7%の取得価格は12億円であった。

 ファーマライズホールディングスのM&Aは、医療診療所から処方箋を集めるマンツーマン薬局、門前薬局を中心に地域密着型のドミナント形成を行ってきた。中でも分業率が低い地域に主眼を置いてきた。そのため、地場の調剤薬局の買収に相当のプレミアムを付けてきた。

ドラッグストア拡大、ヤマダ電機とも提携

 ファーマライズのM&Aの2つ目のキーワードは「非調剤店舗の拡大」である。同社は調剤薬局事業のみに頼らず、非調剤のドラッグストア、コンビニエンスストアの拡大も強めている。2015年5月期の店舗数が259店舗から2016年5月期では341店舗に増加した。その中でも非調剤店舗は、2店舗から61店舗に大幅に増加した。

(決算説明会資料を元に作成)

 2015年10月に大阪でドラッグストアチェーンの運営を行うヒグチ産業とコンビニエンスストアチェーンの運営を行う東京のファミリーマートと出資した合弁会社「薬ヒグチ&ファーマライズ」を子会社化した。同社は、東京と大阪を中心に調剤薬局10店舗、ドラッグストア65店舗を運営する。コンビニエンスストアの持つ利便性と、調剤薬局、ドラッグストアの持つ専門性を兼ね備えた新たな業態の店舗開発及び薬剤師・登録販売者を始めとする人材交流、並びにそれぞれの事業における各社のノウハウや情報を融合していくこと等で3社が緊密に連携し、合弁会社の収益の拡大及び企業価値の最大化を目指した。

 出資比率は、ファーマライズホールディングス55.1%、ヒグチ産業が30%、ファミリーマートが14.9%である。

 また、2012年10月に日本における家電業界のリーディングカンパニーとしてヤマダ電機と業務提携をしている。ヤマダ電機は「LABI1 日本総本店 池袋」内において調剤薬局の運営も行っており、ファーマライズは同店舗の調剤薬局業務を請け負うとともに、多店舗の調剤薬局事業の支援を行う。ヤマダ電機との業務提携により、当社の強みである質の高い調剤サービスの提供と、ヤマダ電機の集客力に期待し、新たな店舗展開および事業規模の拡大を狙う。

【財務分析】コンビニ、ドラッグストアの採算改善道半ば

 直近10ヶ年のファーマライズホールディングスののれんの推移は大きく分けて2つのポイントがある。

 まずは、2010年5月期である。のれんが前年度から13億円増の18億円、のれんに対する総資産の割合にして8ポイントアップの13%であった。2009年9月に三和調剤(東京都3店舗)とハイレンメディカル(北海道20店舗、秋田県2店舗)、2010年1月に北町薬局(東京都 3店舗)がグループ入りし、持分法適用関連会社として2010年3月にエム・シー(宮城県3店舗)、2010年4月に新世薬品(兵庫県14店舗)がグループ入りしたことが要因である。

 次に、2013年5月期である。のれんが前年度から43億円増の70億円、のれんに対する総資産の割合にして15ポイントアップの30%であった。新世薬品の16店舗、たかはしの3店舗、連結子会社のみなみ薬局がM&Aにより取得した6店舗(東京都4店舗、神奈川県2店舗)が要因である。

 2018年5月期を最終年度とする「中期経営計画 Challenge 2017 ~セルフメディケーション・ サポートへの進出と選ばれる会社を目指して」の基本方針にて、「ドミナント展開の推進」と「非調剤事業の拡大」に重点を置かれており、今後ともその動きは強まると推察される。

 しかし、2016年10月に発表した2016年6~8月期の連結決算は、売上高は、前年同期比22.0%増の126億7300万円となったものの、2900万円の営業赤字となった。調剤報酬・薬価改定の影響や物販事業の不振、新卒採用や研修などの本部費用が増加したことなどが影響したとされる。

 主力の調剤薬局事業の業績は、売上高が3.8%増の101億9500万円と増収だった一方、セグメント利益は77.7%減の6000万円と大幅な減益となった。非調剤事業は、売上高が1165.8%増の20億7000万円、セグメント損失は6700万円だった。コンビニエンスストアとドラッグストアの運営事業が採算改善の途上にあることが損失の主な要因という。

 自己資本比率は約25%であり、ここ数年経常利益も年々減少していることから経営は盤石であるとは言い難く、コンビニエンスストアとドラッグの経営を軌道に乗せることが今後のカギを握るだろう。

【株価】下落基調も割安感乏しく

 株価は低迷している。前述のように店舗数の増加で売上高は拡大する一方で、利益が伸び悩んでいることが背景にある。今期の予想PER(株価収益率)は約48倍。調剤薬局のアインホールディングス<9627>の約28倍、クオール<3034>の約14倍を大幅に上回っており、株価は割安感に乏しい。

【まとめ】買収店舗のてこ入れ課題

 ファーマライズホールディングスは「地域医療」と「非調剤店舗の拡大」をキーワードに地場の企業を積極的に買収してきた。しかし、ドラックストアやコンビニエンスストアは採算改善の途上にあり、収益は伸び悩んでいる。自己資本比率も25%を下回っており、財務も磐石とは言えない。今後は新規の買収だけでなく、買収した店舗のテコ入れによる収益力の強化が課題になるだろう。


この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部

あらゆる面で様変わり!  新型「デリカ D:5」試乗で感じた格段の進歩

あらゆる面で様変わり! 新型「デリカ D:5」試乗で感じた格段の進歩

2019.03.26

三菱自動車の新型「デリカD:5」に試乗

顔つきの変化に目を奪われがちだが中身もすごかった

本質を追求する三菱自動車の着実な技術開発が奏功

三菱自動車工業が2019年2月に発売した新型「デリカD:5」は、印象をガラッと変えたフロントマスク(顔)に注目が集まりがちだが、注目すべきはその中身だ。三菱自動車らしく本質を追求した改良により、クルマの性能は先代に比べ格段に進歩している。その出来栄えを試乗で確かめてきた。

三菱自動車の新型「デリカD:5」

12回目の改良で大幅に進化した「デリカD:5」

三菱自動車工業の「デリカ」が誕生したのは1968年のこと。その車名は「デリバリーカー」に由来しており、目的地まで人や物を運ぶクルマとして当初は商用を主体としていたが、翌1969年には9人乗りの「デリカコーチ」という乗用の車種が登場した。そして一昨年、デリカは誕生から50周年を迎えた。

左が初代「デリカ」、右は改良前の「デリカD:5」

現在の「デリカD:5」はデリカの5代目ということで、この名が付いた。50年を超える歴史の中では、1982年の2代目で早くも4輪駆動車を設定し、ディーゼルエンジンを搭載した。この2つは、今日もD:5を特徴づける要素となっている。

3代目までは「キャブオーバー」といって、エンジンを運転席下に搭載するワンボックス車の形態だったが、4代目からは客室の前にエンジンを搭載するミニバンとなった。そしてデリカD:5は、2007年のモデルチェンジによって登場し、すでに12年の歳月を経ようとしている。この間、三菱自動車は11回も一部改良を実施していて、今回が12回目となる。歴代デリカは1つの車型を長く継承する傾向にあったが、ことに今回の改良では、大きな進化を遂げたと感じる。

2019年2月に発売となった最新のデリカD:5は、外観の輪郭は従来のままだが、ことに顔つきが大きく変わり、押し出しの強い造形となった。その効果は、例えば今回の試乗で、大型トラックがやや無理な車線変更をしようとした際、ミラーに映るデリカD:5の顔を認識し、一瞬、動きを躊躇した様子にも見てとれた。この造形は、三菱が2015年の「アウトランダー」以降、フロントの共通性として各車で採用している「ダイナミックシールド」の概念に基づいた変更である。

改良を経て大幅に変わった「デリカD:5」の顔つき

またフロントの造形は、主に市街地などでの利用が多い顧客向けに新しく車種設定した「アーバンギア」と、標準仕様といえる「D:5」とで異なる意匠を採用している。

こちらが「デリカD:5 URBAN GEAR(アーバンギア)」。「D:5」には4つ、「アーバンギア」には2つのグレードがあり、価格は384万2,640円~421万6,320円となっている

いずれにしても、この大胆な顔つきの変更が注目されがちだが、それ以上に今回の改良は、走行性能や上質さといった面での進化が大きく、格段の進歩と驚かされるほどであった。なかでも、ディーゼルターボエンジンの改良と、変速段数を6速から8速へと増やしたオートマチックトランスミッション(8速AT)の効果は絶大だ。

SUV顔負けの悪路走破性に上質な乗り心地をプラス

エンジンの基本は変わらないが、新たに「尿素SCR」と呼ばれる排ガス浄化装置が取り付けられ、その精度が高まった。走行のための燃料である軽油のほかに、排ガス浄化用の尿素水溶液を補給する手間は増えるが、いまやディーゼルの排ガス浄化は尿素SCRなしでは語れない時代となっている。

その上で、エンジン内部の摩擦損失を減らしたり、燃焼室の改良や新型燃料噴射装置を採用したりするなどの改良により、最大トルクを増大し、アイドリングストップ後の再始動性を改善している。

2.2Lコモンレール式DI-D(ダイレクト・インジェクション・ディーゼル)クリーンディーゼルターボエンジンを搭載

8速ATは発進で使う1速のギア比を大きくして力強さを上げ、それ以後のギア比は従来の6速に比べ小さくすることで、滑らかかつ燃費に効果的な変速を可能にしている。

車体は、もともとデリカD:5の特徴であった「リブボーンフレーム」と呼ばれる骨格構造に加え、車体前部の剛性を上げる改良が施された。4輪駆動による悪路走破で、SUVの「アウトランダー」や「パジェロ」などに引けを取らない性能を発揮するデリカD:5は、強靭な骨格構造により、大きな凹凸のこぶ路面で、前後のタイヤが対角線上で持ち上げられ、車体にねじれが加わった状態でも、後ろのスライドドアを開閉できる車体剛性を持つ。それが他では真似できない特徴の1つだった。そこに車体前部の剛性の強化が加わり、舗装路での走りの上質さが改善されたのである。

試乗をしてみると、それらの改善が、D:5の走りを格段に進歩させていた。

新型「デリカD:5」および「アーバンギア」のボディサイズは、全長4,800mm、全幅1,795mm、全高1,875mm、ホイールベース2,850mm、最低地上高185mm。車両重量はグレードによって違うが1,930キロ~1,960キロだ

試乗で実感、性能は「様変わり」

ディーゼルターボエンジンは、始動後にディーゼルらしい音を発生させるが、軽やかに聞こえるので嫌な気分にならない。1,900キロを超える重い車体であるにもかかわらず、4輪駆動車であることから、発進時の動き出しは軽やかだ。その際もエンジンはうなることなく、ほぼアイドリング回転に近いところで走り出した。

エンジン内部の摩擦損失が軽減されたこと、同時にトルクが増大されたこと、さらには8速ATの1速ギア比が大きくなり、ギア比の力でエンジンを助ける効果などにより、このスムーズな発進が実現できたのであろう。

また今回、パワーステアリングが電動化されたので、発進してすぐに曲がる場面でも、クルマは軽やかに進路を変えた。

パワーステアリングは油圧式から電動に変わった

この走り出しの時点で、すでにデリカD:5の大きな進化を実感した。さらに、アクセルペダルを踏み込んで加速させていくと、わずかなペダルの踏み込みで速度を増していく。しかも、速度が上がるに従って、ディーゼル音は気にならなくなるほど静かになり、快適だった。8速ATの効果でエンジン回転を上げ過ぎないこともあるし、防音や吸音を増した車体の効果も静粛性に効いている。

高速道路に入っても、エンジンやトランスミッションの効果、また快適な室内の様子は変わらない。時速100キロで走行中のエンジン回転数は、アイドリングから少し上の毎分1,500回転ほどでしかない。従来のディーゼルエンジン車では、この速度で巡行するには騒音が大きく、音に疲れる印象があったが、様変わりである。

走り出しでも高速道路でも改良の効果が感じられた新型「デリカD:5」

乗り心地も、車体前部が強化されたことにより、路面の凹凸を乗り越えた際の衝撃が緩和され、改善されたことを実感した。走行感覚も乗り心地も、明らかに上質なミニバンとなった。この快適性であれば、D:5でもっと遠出をしたい気持ちにさせられるはずだ。

「様変わりした」というのが、まさしく適切な評価だろう。そこには、モデルチェンジによらず、実績を踏まえて一歩ずつ改良を加えていく三菱自動車のよさが現れている。

先進的だが着実、三菱自動車の技術開発

三菱自動車は2000年のリコール問題や2016年の燃費不正などを経験し、今日に至る。社内の隠蔽や規律違反などを抱えながら、一方で、技術開発においては先進的な取り組みを続けてきた側面がある。

1996年の直噴ガソリンエンジンの量産化や、同年の電子制御を活用した4輪駆動力制御などで、三菱自動車は先駆的な技術開発力を発揮してきた。同時に、1970年代からのラリー競技への出場や、1980年代からの「ダカールラリー」(パリダカ)出場などにより、悪路走破性のみならず、舗装路での俊足の走りを追求してきた歴史がある。

今日、三菱自動車は電動化とSUVに的を絞った商品展開で、存在感を発揮しようとしている。その両方の技術を合わせた象徴的な商品が「アウトランダーPHEV」だ。同車は世界で最も売れているプラグインハイブリッド車である。

電動化とSUVにフォーカスする三菱自動車の象徴的な商品が「アウトランダーPHEV」だ

三菱自動車が力を注いできた4輪駆動についてはデリカの歴史の中で触れたが、電動化に関しても同社は、1966年に電気自動車(EV)の開発を開始し、2009年には世界初の量産EV「i-MiEV」の市販にこぎつけるなど、先駆的な歩みを進めてきた。

いずれの技術も世界の主要自動車メーカーが開発に取り組んでいるものだが、それを量産化し、一般へ市販して世に問うことを、三菱自動車は長年にわたり粘り強く続けている。さらに、その技術を一時的な流行で終わらせることなく、磨き続けるのが同社の特徴にもなっている。それを可能としているのは、そもそも同社が、本質的な原理原則を追求した技術開発にこだわってきたからなのであろう。

世界初の量産EVとなった「i-MiEV」の現行モデル

デリカD:5においても、例えば「車体剛性」のような、一見しただけでは消費者には分かりづらい部分において、「リブボーンフレーム」という本質的な剛性構造を採用することで、ミニバンとしては悪路走破性で抜きん出た性能に仕上げている。そこが土台となり、乗り心地が格段に改善しているのだ。

技術革新といっても、目新しさをやみくもに追うのではなく、本質的な課題解決の道を探ることが、長年にわたり技術を進化させ、磨き続けることを可能にする。今度のデリカD:5においても、まさにそうした三菱自動車の開発姿勢が発揮されたと実感した。すでにD:5を所有している人でも、今回の改善には驚き、食指が動くことだろう。

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iPadのビジネス利用が広がる? アップルの地味な新製品への期待

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2019.03.25

iPad、iMac、AirPods…アップルが3日連続で新製品

一見地味な製品アップデートだが、その狙いは?

メインストリーム需要の受け皿としては充実

3月18日からの3日間は、アップルの新製品ラッシュとなった。「iPad Air」と「iPad mini」の新型を皮切りに、19日には「iMac」、20日には「AirPods」を立て続けに発表し、世界的に話題を巻き起こした。

iPad製品群に「iPad Air」と「iPad mini」の新モデルを追加

個々の製品はいずれも既存モデルのアップデートにとどまっており、見た目の変化も少なく地味な印象だ。果たしてアップルの狙いはどこにあるのだろうか。

目立ったわりにアップデートは地味

今回アップルが発表した製品に共通しているのが、見た目に大きな変化はなく、中身のアップデートにとどまっている点だ。

新しいiPad AirとiPad miniは、いずれも既存モデルとサイズや画面の大きさがほとんど同じだ。最新世代のiPad Proはデザインを一新したのに対し、2つの新製品は既存モデルの金型や部品を流用しやすい構造となっている。

新型「iPad Air」の見た目はiPad Pro 10.5とほとんど同じだ

専用ペンの「Apple Pencil」も第1世代の対応にとどまっている。第2世代のペンは無線充電方式になっており、これに対応させるとなればiPadのフルモデルチェンジは避けられなかっただろう。

プロセッサーはiPhone XSやXR世代の「A12 Bionic」を搭載した。この点についても、スマホ需要が伸び悩む中、販売不振が指摘されるiPhone XRのプロセッサーを流用したのではないかと邪推したくなるところだ。

新しいiMacは最新の第9世代Coreプロセッサーを搭載したものの、基本デザインは従来モデルから変わっていない。AirPodsの再生時間は最大5時間のままだが、新チップの搭載で接続性が高まり、ワイヤレス充電のケースが加わった。

ディスプレイ一体型「iMac」の新モデル

 

新しい「AirPods」はワイヤレス充電対応モデルも

いずれも既存モデルの順当なアップデートだが、3日連続という異例の発表スタイルを採ることで、発表会の中に埋もれることなく注目を浴びることに成功したと言えるだろう。

新生活には朗報、ビジネス利用もお手軽に

新しいiPad AirとiPad miniに期待されるのが、ペン入力への対応や低価格化によるビジネス利用の拡大だ。

小型タブレットのiPad miniは、主にコンテンツの再生用途に使われてきた。だがスマホが大画面化する中で、再生用途だけでは買い換え需要が伸び悩んでおり、2015年のiPad mini 4を最後に製品投入が途絶えていた。

これに対して、第5世代となる新モデルは専用ペンの「Apple Pencil」に対応したことで、ビジネス利用の可能性が広がっている。メモ用途に最適なサイズとして、iPad miniの対応を待っていた人も多いのではないだろうか。

 

第5世代のiPad miniはペン入力に対応した

新iPad Airは、専用キーボードの「Smart Keyboard」に対応した最も安価なモデルになる。ペンとキーボードを合わせて購入しても10万円に収まるようになり、ビジネスパーソンや学生に訴求する価格帯に降りてきたといえる。

iPadのビジネス利用にあたっては、iOSの機能やアプリ対応の面で課題が多い。だが、低価格帯のiPadが登場したことは、春からの新生活に合わせてiPadの購入を検討していた人には朗報だろう。

2018年に登場した最新のiPad Proは、プロのクリエイター用途などハイエンド寄りになっていた。その中で登場した新しいiPad AirとiPad miniは、ビジネス用途をカバーするメインストリームの製品として売れ行きに注目したい。

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