【アステラス製薬】M&Aでグローバル製薬企業へ がん、移植など3領域に照準

【アステラス製薬】M&Aでグローバル製薬企業へ がん、移植など3領域に照準

2016.12.13

【アステラス製薬】M&Aでグローバル製薬企業へ がん、移植など3領域に照準

 山之内製薬と藤沢製薬の合併により2005年に誕生したアステラス製薬<4503>。積極的なM&Aを通じて、がんや移植など成長領域の医薬品開発を加速している。米国のバイオベンチャーなどを相次ぎ買収し研究開発を強化、海外市場で売り上げを伸ばす一方、シナジーが見込めない非中核事業は他社への譲渡を進め、資金効率を高める。「研究開発型グローバル製薬企業」を標榜するアステラス製薬のM&A戦略を点検する。

【企業概要】山之内製薬と藤沢製薬の合併で発足

 アステラス製薬は、2005年4月に山之内製薬と藤沢製薬の両社合併により発足した。医薬品の研究、開発、生産、販売を行っている。国内の医薬品メーカーとして武田薬品工業に続いて業界2位の売上規模を誇る。

 臓器移植における拒絶反応の抑制などに使われる免疫抑制剤「プログラフ」が主力商品。約100の国と地域で販売し、プログラフだけで2000億円を売り上げる。

 アステラス製薬の主要領域はがん・過活動膀胱(OAB)・移植の3領域である。特に、前立腺癌治療剤「イクスタンジ」、OAB製品が売り上げをけん引しており、今後も安定的なイノベーション創出のために積極的な研究開発投資を継続的に行っている。

 また、買収、提携、導入などから外部から事業機会の探索及び獲得を掲げており、Ocata社を眼科・再生医療分野の強化のため買収、クリノ社と遺伝子治療薬に関する提携、田辺三菱製薬と化合物ライブラリー相互利用の提携を結んだ。

【経営陣】藤沢製薬出身の畑中社長、就任5年

 現在、代表取締役社長を務めている畑中好彦氏は、1980年に一橋大学卒業後、藤沢製薬に入社。医療情報担当者、経営企画長、アステラファーマUS社長等を経て2011年に代表取締役社長に就任。59歳。

【株主構成】外国法人の所有が過半数

 アステラスの上位株主は信託銀行の信託口が並んでいる。信託口とは信託銀行が国内外の機関投資家からお金を預かって運用している口座を示す。組織別にみると、外国法人等が全体の51.6%(2016年9月末時点)、金融機関が32.0%となっており、特定の個人や企業の影響を受けにくい所有構造と言える。

【M&A戦略】がん・OAB・移植領域の強化を軸

 アステラス製薬は、主要領域であるがん・OAB・移植領域の強化を軸にM&Aを行ってきた。3領域にシナジーが見込めるものに対してM&Aを行ってきた一方、シナジーが見込めないものに関しては積極的に株式譲渡を行っている。

 アステラス製薬のM&Aは、譲渡価額が非公開になっているものも多いが、公開されている譲渡価額はどれも大規模である。主要3領域を補完していくM&Aが顕著にみられるが、例えば、癌領域ではAgensys,Incの買収(2007年11月)、OSI Pharamaceuticals社(2010年6月)の買収、合弁会社アステラス・アムジェン・バイオファーマ社設立では癌領域の3薬剤を補完していることなど、M&Aにより新規開発の強化を図っている。こういった経営戦略により、強化された癌領域の売上はアステラス製薬の成長に寄与している。

 一方、オペレーションの効率化を理由に製造工場や3領域に遠い事業を順次譲渡している。譲渡によって得た資金を、主要領域を発展させる事業に投資するサイクルが特徴的だといえる。

【財務分析】がん、OAB治療剤の売り上げ拡大


 2016年3月期の連結売上高は1兆3,727億円(前年比0.1%増)となった。前立腺癌治療剤「イクスタンジ」、「ベシケア」と「ベタニス」「ミラべトリック」「ベットミガ」を合わせた過活動膀胱(OAB)治療剤の売り上げが拡大し、そのほか免疫抑制剤「プログラフ」等の売り上げが順調に伸びている。

 売上高増加と売上原価率の低下により、売上総利益は前年比13.5%増加した1兆371億円となった。売上原価率は前年比2.3ポイント低下した24.4%となった。販売費および一般管理費は「イクスタンジ」の共同販売費用の増加と為替の影響により5,004億円(前年比10.6%増)となった。研究開発費は、開発プロジェクト費用の増加、為替の影響により2,257億円(前年比9.2%増)となった。無形資産償却費は424億円(前年比9.6%増)だった。

 コア営業利益(営業利益から減損損失などの非経常的な項目を調整項目として除外したもの)は2,675億円(前年比23.5%増)となり、コア当期純利益は1,988億円(前年比29.7%増)、基本的1株当たり当期純利益は92.12円(前年比32.8%増)となった。

 販売市場は日本だけではなく、米州・欧州・中東・アフリカ・アジアなど世界規模で販売している。

 日本の売上高は、4,972億円となり、このうち日本市場での売り上げは4,830億円となった。「イクスタンジ」、「ベシケア」と「ベタニス」を合わせたOAB治療剤のほか、「プログラフ」、消炎鎮痛剤「セレコックス」、成人気管支喘息治療剤「シムビコート」、2型糖尿病治療剤「スーグラ」、高血圧症治療剤「ミカルディス」等の売上が伸びた一方、高コレステロール血症治療剤「リピトール」や、消火性潰瘍・胃炎治療剤「ガスター」等の売上は、後発医薬品の影響等により減少した。

 米州の売上高は4,551億円(前年比26.1%増)となり、現地通貨ベースでは3,788百万ドル(15.4%増)となった。「イクスタンジ」のほか、「ベシケア」と「ミラべトリック」を合わせたOSB治療剤の売上が増えた。そのほか、心機能検査補助剤「レキスキャン」等の売上、新製品のアゾール系抗真菌剤「クレセンバ」が増収に寄与した。

 欧州、中東、アフリカでの売上高は3,293億円(前年比5.1%増)、現地通貨ベースでは2,484ユーロ(前年比10.0%増)となった。「イクスタンジ」、「ベシケア」と「ベットミガ」を合わせたOAB治療剤のほか、「プログラフ」等の売上が伸びた。

 アジア・オセアニアの売上高は911億円(前年比22.8%増)となり、「プログラフ」「ハルナール」、「イクスタンジ」、「ベシケア」と「ベットミガ」を合わせたOAB治療剤が増収に寄与した。

 総じて、エリア別の売上では海外比率は日本国内以上の割合を占める。

 積極的なM&Aに伴い、のれんは右肩上がりに増加している。同社は国際会計基準(IFRS)を採用しているため、のれんを定期償却しないため、増加しやすくなっている。純資産に占めるのれんの比率は2016年3月末時点で12%。自己資本比率は70%と財務は健全である。

【株価】成長鈍化で上値重く

 株価は2015年に一時2000円前後まで上昇したが、その後は上値が重くなっている。2017年3月期の業績見通しは、売上高は前期比5.3%減は1兆3000億円、コア営業利益は2.4%増の2740億円とほぼ横ばいで、業績に踊り場感が出ていることが重荷となっている。

 今期の年間配当は前期比2円増の34円を計画する。同社は機動的な自社株買いを実施する構えで、配当と自社株取得額を年間純利益で割った「総還元性向」は前期で97%となっている。株価の上昇には、自社株買いの実施など株主還元の強化が求められそうだ。

【まとめ】新薬創出と新疾患進出へM&A続く

 アステラス製薬は、M&Aにより癌領域を強化し、海外市場で売り上げを順調に伸ばしている。経営計画に掲げている通り、今後も新薬創出と新疾患領域への進出を図るためにM&Aをはじめとした投資活動は続くだろう。ただ足元では業績の成長率が鈍化している。M&Aによる成長投資と株主還元をどのようにバランスさせ、投資家の期待に応えていくかに注目したい。


この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部

CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

2019.01.18

中国メーカーが自在に折り曲げられるスマホを実現

「大画面×コンパクト」を両立する夢のデバイス、実用性は?

端末の魅力を引き出すアプリ登場が普及のカギか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」では、2019年のトレンドを先取りする新ガジェットが一堂に会した。その中でも一際大きな注目を浴びたのが「折り曲げられるスマホ」だ。商品化にこぎ着けたのは世界初という。

折り曲げられるスマホ「FlexPai」

スマホの画面サイズが大型化を続ける中、iPhone SEのような小型スマホを求める声は依然として多い。そこで登場した折り曲げられるスマホは、「大画面」と「コンパクト」を両立する夢のデバイスに見える。果たして普及の可能性はあるだろうか。

自在に折り曲げられるスマホ、中国メーカーが実現

折りたためる2画面のスマホというアイデア自体は、実はそれほど目新しいものではない。NTTドコモとZTEが共同開発した「M Z-01K」などは、現行モデルとして国内で販売中だ。

だが、従来の2画面スマホはヒンジを用いて2つの画面をつなげたものに過ぎなかった。その後、液晶とは異なる特性を持つ有機ELが登場したことで、ディスプレイを紙のように自在に折り曲げられることも夢ではなくなった。

有機ELの「曲げに強い」という特性は、多くのスマホに活用されている。サムスン電子のGalaxyシリーズが画面端を曲面にしたスマホを発売後、ソニーモバイルシャープもこの形状を採用している。

これを推し進め、開くとタブレットのような大画面、2つに折り曲げるとスマホサイズという端末の可能性が見えてきた。そして2018年10月、中国のRoyoleが、世界で初めての折り曲げられるスマホ「FlexPai」を商品化したのだ。

中国Royoleのブース。フレキシブルディスプレイを使った様々な製品が並んだ

CES 2019では韓国のLG電子が巻き取り式のテレビを発表するなど、「曲がるディスプレイ」が会場全体で話題になっていた。そうした下地もあって、Royoleの出展ブースには来場者の行列が絶えず、展示機がバッテリー切れを起こすほどの盛況となっていた。

実用性はさておき、スマホの進化の可能性を示した

FlexPaiの特徴は、開いた状態ではタブレットに近い形状になり、そこから自由に折り曲げできる点にある。従来の2画面スマホとは異なり、広げた状態でも画面の境目がないため、タブレットと同じ感覚で利用できる。

広げた状態ではタブレットのように使える

メーカーが挙げるメリットは、複数のニーズごとの端末を1台に集約できることだ。大画面が欲しい人の中には、スマホとタブレットを両方持ち歩いている人もいるだろう。だがFlexPaiなら持ち歩くのは1台で済むというわけだ。

折り曲げた状態では一般的なスマホと同じように使える

折り曲げというギミックから、耐久性に不安を覚えるものの、20万回程度の折り曲げに耐えられるという。ただ、折り曲げると厚みが出るため、スマホのようにコンパクトに持ち歩くことはまだ難しい。

アプリの対応も課題だ。FlexPaiを折り曲げた状態では「表面」と「裏面」に加え、折れ曲がった「エッジ」の3画面を利用できる。FlexPaiの魅力を引き出すには、これら3画面を活用するようなアプリの登場が待ち望まれる。

そこでRoyoleは、FlexPaiをアプリ開発者向けに1,318ドルの価格で先行販売している。まずは開発者にデバイスを手に取ってもらい、どのような活用方法が考えられるか、アイデアを募っていく段階といえる。

会場で実機を試した印象だが、現段階での折り曲げスマホは実用的とまではいえないと思えた。しかしRoyoleという会社の名前を世界に知らしめ、フレキシブルディスプレイの技術を示したという意味では、この発表は大成功を収めたといえるのだろう。

また、サムスン電子など大手スマホメーカーも折りたたみや折り曲げ端末の開発を進めており、グーグルはAndroid OSとして公式サポートを表明している。スマホの次なる進化の可能性を真っ先に示したFlexPaiを、この場の実用性で語るのはお門違いなのかもしれない。

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

森口将之のカーデザイン解体新書 第12回

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

2019.01.18

国内主要メーカーの内装デザイナーが集まり展示会を開催

テーマは“1kgの価値”をどこまで高められるか

実車に応用できる? 独創的な作品の数々

国内主要自動車メーカー8社のインテリア・カラーデザイナーが参加する団体「JAID」が初の作品展を開催中だ。“1kg”という重さにこだわり、最新の3Dプリンターを駆使して各社のデザイナーが生み出した作品は独創的で、会場の「GOOD DESIGN Marunouchi」(東京・丸の内)は小さな現代美術館のような雰囲気になっている。

ダイハツ工業のデザイナーが出品した「受け継がれる樹脂」という作品

雑誌の対談が契機となり生まれた「JAID」

「JAID」という名前を初めて目にした人も多いだろう。「ジャパン・オートモーティブ・インテリア・デザイナーズ」の略で、「ジャイド」と読むそうだ。

創立のきっかけとなったのが、自動車雑誌「NAVI CARS」(ナビカーズ)での対談だったと聞いて、「あの号だ!」と即座に思い浮かんだ。クルマのインテリアを特集したナビカーズの2015年7月号で、筆者も別の対談に参加させていただいていたのだ。その号に国内メーカーのインテリアデザイナーが語り合うページがあったことは記憶の片隅に残っていた。

雑誌の売れ行きが落ちているといわれて久しい。それだけに、1つの雑誌の企画からJAIDのようなコミュニティが生まれたことは、モータージャーナリズムに身を置く者として嬉しい気持ちになる。

日産自動車のデザイナーが出品した「∞ Fluff」

価値ある1kgの創造に挑んだデザイナーたち

そのJAIDが企画したのが「1kg展」だ。なぜ“1kg”にこだわるかといえば、クルマの開発に携わる人たちにとって切実な「kg単価」という指標に理由がある。

「kg単価」とは、クルマの開発で使われる値段の単位だ。インテリアデザイナーとしてはkg単価が高い、いわゆる良い素材を使いたいという気持ちは大きいだろう。快適性や安全性の追求、さらには電動化への対応、重量の削減といった視点も持ちながら素材を選んでいるはずだ。

しかし、贅を尽くしてばかりでは車両価格の上昇を招くので、妥協が必要になる。おそらくインテリアデザイナーは、このような状況で悩みながら、新しい素材や仕立て、色などを取り入れるべく、奮闘の毎日を過ごしているのだろうと想像している。

では、そういった制約がなくなったとき、デザイナーたちはこのkg単価をどこまで価値あるものに仕上げられるのだろうか。これが、今回の展示会のテーマだ。最新の3Dプリンターを駆使し、時間や空間、物質としての限界などを飛び越えた作品を独自の着眼点で製作すると同時に、広くカーインテリアデザインの魅力を伝えたい。そんなメッセージのこもった展示会なのである。

ホンダのデザイナーが出品した「風速1kg」

素材と色のコーディネートが味わえる「ハンバーガー」

会場のGOOD DESIGN Marunouchiは、2013年度から通算5回、今年度も含めてグッドデザイン賞の審査員を担当している筆者にとってはなじみ深い場所だ。ところが、「1kg展」の内覧会を訪問した時には、状況がまるで違っていた。いつもは展示物をゆったりと眺めることができる空間なのに、この日はラッシュ時の駅のようにごった返していたのだ。それだけ、インテリアデザイナーの斬新な発想に期待する人が多かったということだろう。

日産のデザイナーが出品した「4D flower」。「1kg展」に作品を持ち寄ったのは、国内大手自動車メーカー7社(ダイハツ工業、ホンダ、三菱自動車、日産自動車、スバル、スズキ、トヨタ自動車)だ

作品の中には、クルマのインテリアデザインとは関係なく、最新の3Dプリンターならではの表現能力の高さをアピールするような作品も見られた。それらを業界の枠を飛び越えた独創的な作品と捉える人もいたようだが、クルマが好きで今の仕事に携わっている(はず)の方々だからこそ、もっとインテリアにこだわって欲しかった。

ただ、クルマのインテリアとの関連性が高い作品が大半を占めていることは確かで、中には独創的な発想や興味深いアイデアも見られた。本稿では独断と偏見で、そのうちの3つを紹介していこう。

まずは、会場の入り口近くに置かれていた「CMFバーガー」だ。「CMF」とはカラー、マテリアル、フィニッシュの頭文字で、ナビカーズでの対談が行われた頃から、自動車に限らずデザイン分野でひんぱんに使われるようになってきた言葉だ。造形だけでなく色や素材、仕立てにも気を配ることで、より完成度の高いデザインが生まれるというような意味が含まれている。

「CMFバーガー」はトヨタのデザイナーが出品

この作品は、CMFのコーディネートを1kgのハンバーガーに見立てて表現したもの。レザーのバンズ、クリアレンズのトマト、加飾素材のチーズやパティ、シート素材のレタスがさまざまな色で用意してあり、好みのバーガーを作り出せる。

3つの作例では、CMFの違いでかなり雰囲気の異なるバーガーを作れることが分かった。バンズを肉抜きタイプにすると総重量が1kgを切るなど、計量化を実感できる仕掛けも盛り込んである。ディーラーが車種別にCMFハンバーガーを用意すれば、顧客は楽しみながらカラーコーディネートを試すことができるかもしれない。

ディーラーに「CMFバーガー」が置いてあったら面白いかも

インテリアをボールにした斬新な作品も

続いて紹介するのは「トランスフォームステアリング」。自動運転が実用化された未来を想定した変形機構を持つステアリングで、手動モードでは伸びて操舵できる状態となり、自動モードでは縮めて格納しておける。全てがマットブラック仕上げだが、グリップ部分、変形部分、外枠部分を別のメーカーのプリンターで製作することで、素材の違いを表現している。

トヨタのデザイナーが出品した「トランスフォームステアリング」

製作したデザイナーはステアリング機能だけを想定していたようだが、左右のグリップをねじることでアクセルやブレーキの操作ができれば、この部分だけで基本的な運転操作ができる合理性の高いインターフェイスになると思った。ペダルがなくなれば、室内レイアウトの自由度も高まりそうだ。

伸ばせば手動運転に使えるし、自動運転中は縮んだ状態で格納しておける

最後は「インテリアボール」だ。写真を見てお分かりのとおり、クルマのインテリアを構成するパーツをボール状のアートとして表現したもので、多くのパーツをまとめ上げ、世の中というフィールドにデザインを“投げ”かけているインテリアデザイナーの仕事をボールの形に込めたのだという。

「インテリアボール」はホンダのデザイナーが手掛けた

展示してあるのは1個だけだが、スポーツの世界では競技によってサイズの違うボールを使うことにも製作者は着目している。使用する材料や加工方法を変えることで、同じ1kgでもサイズや見え方の違った表現ができるそうだ。

しかしながら筆者には、これがボールではなく卵に見えた。卵から生まれる前のクルマ、そのインテリアデザインは、こうなっているのではないかと想像したのだ。同じクルマのエクステリアデザインを卵の殻で表現することで、多くの車種を球形にできれば、一風変わったミニチュアになるのではないだろうか。

JAIDが企画した1kg展の作品群は、それ自体が柔軟かつ斬新な発想から生まれているだけでなく、見ているこちらも創造力が掻き立てられるものだった。この展示会を訪れて、日本の自動車メーカーにインテリアデザインの実力者が多いことに感心するとともに、メーカーには、この実力を引き出して製品に結び付ける能力が求められていることを教えられた。

1kg展の会期は1月25日まで。入場は無料だ。時間に余裕のある方は、一度訪れてみてはいかがだろうか。