キャンプブームが再燃! 今回の流行に火をつけたのは意外なあの機器

キャンプブームが再燃! 今回の流行に火をつけたのは意外なあの機器

2016.12.16

20数年前、空前のアウトドアブームが到来した。ルアーフィッシングやフライフィッシングといったゲームフィッシングが人気を博し、ゲレンデではなくより一層自然を感じ取れるクロスカントリースキーの愛好家も増えた。ダッジオーブンで本格料理に挑戦したり、お酒愛好家はたき火を囲んでバーボンに舌鼓を打ったりした。こうしたレジャーの拠点とするべく、テントを立てキャンプを楽しんだ方も多かっただろう。

かくいう筆者も、学生時代は渓流でのフライフィッシングに没頭し、就職して出版社に入社した際にはアウトドア用品を紹介・レビューする雑誌に配属された。もっとも、筆者は渓流釣りに行った際は、テントを立てるのが面倒で、車中泊がほとんどだったが……(笑)。

アウトドアレジャーへの消費がインドア機器に

だが、隆盛を極めたアウトドアブームは、1990年代半ばになるとかなり下火になる。その一因となったといわれるのが携帯電話の普及だ。携帯電話がレンタル制から買い取り制になったこと、阪神淡路大震災のとき、携帯電話の利便性が注目されたことで、一気に普及が進んだと記憶している。

さらに、インターネットの浸透によりパソコンの需要も高まってきたし、若者のあいだではプレイステーションが大人気となった。つまり、アウトドアに向かっていた消費が、通信機器やインドア向け機器へと転向していったのが、アウトドアブーム凋落の一因といえるのだ。私が所属していたアウトドア雑誌も休刊となった。

だが、2016年、キャンプを楽しむユーザーが増えているというニュースに接した。

メガスポーツ 白石勝大氏

全国で最大級フロアのスポーツショップ「スポーツオーソリティ」を運営する、メガスポーツ 商品本部 アウトドア推進部 担当部長 白石勝大氏は、「キャンプ人口が増えているのがマスコミ等に注目され始めたのは今年ですが、ブームの兆しは2~3年前からありました」と話す。

事実、スポーツオーソリティのここ数年の売り上げは、毎年2ケタ%増で伸びているという。 さらに白石氏はこうも続ける。「ファミリーでキャンプを楽しむ方が増えています。以前のアウトドアブームの際、ファミリーで楽しむ方もいらっしゃいましたが、男性一人で質素に、いわば“チープ”にキャンプする例も多かったです」。

スポーツオーソリティ 港北センター南店 アウトドアスタイル

そして白石氏は、「現在、キャンプを楽しんでいる層は、いわゆる“アウトドアビギナー”と呼ばれている方々が多いです。女性が楽しんでいる場合も目立ちます」と付け加えた。 その話を聞いて、アウトドア雑誌に在籍していた頃の記憶が甦ってきた。当然、雑誌の性質上、キャンプ場での取材もあった。手際よくテントを立て、スピーディーにたき火を起こし、ランタンのポンピング(ガソリン式ランタンの作業)に手慣れていた人をよく見かけた。もちろん、たき火がいつまでもつかない、キャンプ場のトイレに入れず(当時、不衛生なトイレが多かった)、クルマで商業施設まで行くというビギナーもいなくはなかったが……。

それを思うと、初心者や女性がキャンプを楽しめるのかどうか、頭をよぎった。

店頭はブランドごとに分けられ、ビギナーでもお目当ての製品を探しやすい

「現在のキャンプ場は、トイレが衛生的になっておりますし、お風呂があるところも珍しくありません。初心者でも扱いやすい用具は数多くありますし、ビギナーがキャンプを楽しめる環境が整っているのです」(白石氏)。

白石氏は「これはキャンプとまったく異なりますが」と前置きした上で、「今年は“グランピング”が注目されました。冷暖房完備のテントなどの宿泊施設がすでに設置され、食事も業者が用意します。自然のなかに泊まる“ホテル”ともいえ、利用料も高額です。ただ、10万円かけてキャンプ用品をそろえても、年に1回しかキャンプをしないのならば、そうした施設を利用するのもありかもしれませんね」と苦笑いを浮かべた。

話をキャンプに目覚めたアウトドアビギナーに戻そう。多くの初心者がこれほどキャンプに惹かれている理由はなんだろうか。白石氏は「ズバリ、スマートフォンです」と話す。

キャンプに行く源泉はスマホ?

スマートフォンと聞いて意外に思った。携帯電話がアウトドアブーム衰退の一因と前述したが、その“進化形”ともいえるスマートフォンがなぜキャンプの人気を推進するのだろうか。

「スマートフォンというよりかはSNSです。フェイスブックやインスタグラムにアップする写真を撮るために、非日常であるキャンプに行くのです。より豪華な写真を撮りたいという理由で、先ほど話したグランピングに泊まる方もおります」(白石氏)。

そして白石氏はこうも付け加えた。「テントの組み立て方法やガスコンロの着火方法が分からなくなっても、“YouTube”で簡単に確認できますから」と笑みをこぼす。

なるほど、目から鱗だ。つまり、スマートフォンとキャンプはとても相性がよいといえるだろう。

スポーツオーソリティが推進する2ルームテント。主室とタープが一体化している

もう一点、キャンプの人気が高まった理由がある。それは「グループキャンプ」、いわゆる「グルキャン」だ。同じ幼稚園や学校に通う子どもの親同士が仲良くなり、複数の家族でキャンプに出かける例が増えているという。

白石氏によると、一家族でキャンプに行くと、テント設営、料理づくり、そして子どもの世話と、親にかかる負担が多くなる。だが、複数の家族で行けばそうした負担を分担でき、子どもにとっても友人がいるので楽しく遊べる。アウトドアビギナーにとってグループキャンプはメリットが多いのだ。

増加傾向に転じたキャンプ人口

白石氏から一連の話を聞いてキャンプの人気が高まっている理由に納得した。「オートキャンプ白書2016」によると、2015年は「オートキャンプ参加人口」が12年ぶりに前年を上回ったそうだ。また、白石氏は「キャンプは潜在需要が高いレジャー、今後はもっとキャンプ人口が増えていくと予測しています」と、見通しを語った。

さて、筆者は所属するアウトドア雑誌が休刊したあと、パソコン雑誌に移籍した。こちらは結構長く続いたが、やはり休刊となった。スマートフォンが普及し、パソコンの必要性が薄れたことが一因と踏んでいる。キャンプとスマホは相性がよいが、筆者の仕事と通信機器はそうではないらしい(笑)。

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2019.06.17

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu