メガネスーパーがメガネ型デバイスを披露、普及への課題は?

メガネスーパーがメガネ型デバイスを披露、普及への課題は?

2016.12.22

メガネスーパーがメガネ型デバイスを発表

ディスプレイは着脱式で、外せばメガネとしても使える

現在は実証実験段階。2018年春に納品を予定している

4年ほど前だろうか。グーグルが開発したメガネ型ウェアラブルデバイスのグーグルグラスが話題になった。近未来を予感させるフォルムに心を躍らせた人もいたはずだ。しかし、評判は決して良いものではなかった。グラス着用者の入店を拒否する店舗が出るなど、プライバシーへの配慮といった問題を残しつつ、プロジェクトは解体。グーグルグラスは日本に上陸することなく消えた。以降、メガネ型デバイスの話題性は小さくなった印象が強いが、それでも開発を続けている企業はある。そのひとつがメガネスーパーだ。

メガネスーパーが開発するメガネ型ウェアラブルの「b.g」

メガネ型デバイス開発の経緯

メガネスーパーがメガネ型ウェアラブルの開発に取り組み始めたのは、およそ2年前。スマートフォンでは充足できないニーズの存在、AR/VRの進展、メガネ販売店としてのノウハウの活用を考慮したときに浮かんだのがメガネ型デバイスだった。

スマホで満たせないニーズ。それは、農作業、工場での作業、台所での料理などスマホに手を伸ばせないような状況でも情報を得たいといったものだ。メガネ型デバイスであれば、ディスプレイを通じて、ハンズフリーの状態で装着者に情報を提供できる。

たとえば、何かの組み立て作業をしているとする。デバイスを装着した利用者に映し出されるのは目の前の現実世界。そこでひとつの作業を終えると、二つ目の作業工程がディスプレイに表示される。ディスプレイには現実世界を映し出しつつ、次の作業工程も同時に提示する。デバイスの装着者は、初心者であっても、指示に従えば、その物体の組み立てが可能になるといったものだ。

こうした拡張現実と呼ばれるARをはじめ、仮想現実VRの活用はこれからが本番であり、ウェアラブルデバイスの出番もある、と踏んだわけだ。

b.gのデモ。青い部品の上のマーカーを読み取ることで、部品の取り付け操作を確認することが可能

そうした中で、デバイスの開発にメガネ屋のノウハウを注ぎ込もうというのがメガネスーパーである。実用性、利便性、かけ心地に配慮した製品開発に取り組み、開発版「b.g」を作り上げた。開発版は今年1月開催のウェアラブルEXPOに参考出展された。

製品リリースまでのロードマップ

その後、改良を重ね、実証実験前段階までこぎつけたのが現在である。このほどお披露目された開発版では、左右に2つのディスプレイを搭載し、ノンシースルー型のディスプレイを採用することが発表された。着脱式のディスプレイとし、外せばメガネとしても使えるとのことだ。

b.gリリースまでのスケジュール

製品リリースまでのスケジュールも公表された。現在は本格リリース前の実証実験前段にあり、2017年の秋から量産化を目指し、2018年春に納品を開始予定だ。向け先は、コンシューマー、法人の両方での製品リリースを予定しているが、今回の発表ではキーワードを生産性の向上に置き、まずは法人向けの製品販売を目指す。

想定用途は、製造、倉庫・物流、医療、農業、畜産、介護、インバウンド、スポーツ、エンタテインメント、教育と幅広い。価格は1台10万円を切るラインを目安とし、保守的な数値としつつ、売上10億円を目指していくという。

b.gの想定用途は製造、倉庫・物流、医療など幅広い

現在の引き合いの状況から、b.gは法人向けでは相応の需要を確保できそうだが、真価は今後の実証実験で試されそうだ。用途に応じたアプリケーションの作り込みや、各実験において、コストとリターンのバランスも試される。そもそもメガネ型デバイスの市場はまだ形成されておらず、b.gの広がりには注目したい。

コンシューマー向けは仕様用途が肝に

課題があるとすれば、コンシューマー向けの展開だろう。まずはデザインの再考が必要になる。メガネスーパーも現時点のb.gはあくまで法人向け製品とし、コンシューマー向けではいちから作り直すとしている。

そのデザインを決定づけるのは、仕様用途であろう。ガーミンの「VARIA VISION」のようにスポーツなど特定用途であれば、ある程度のデバイス感を残すことも可能だ。しかし、日常使いを想定するならば、ジェイアイエヌの「JINS MEME」など、デバイス感を限りなく排除したデザインとする必要が出てくるだろう。

日常使いにこだわったJINS MEMEはデバイス感を感じさせないデザインだ

仕様用途に応じて、そのデザイン自体も大きく変わってしまう。まずは、どこに向けたデバイスなのかを決めなければ、デザインにも大きく影響する。そして、同時に想定した利用対象者に対して、メガネ型ならではの機能をつけなければ、普及も難しい。スマートウォッチがそうであったように、機能そのものがスマホでほぼ満たせるようなものであれば、大きな普及は見込みにくい。

法人向けにリリースしやすいのは、このデザインや利用用途がコンシューマーよりも鮮明化しやすいからであり、コンシューマー向けではハードルがいくつもあがってしまう。コンシューマー向けにどんな対象者に向け、どんなニーズを満たそうと考えるのか。今後のメガネスーパーの取り組みに注目したい。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

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○森口将之のカーデザイン解体新書
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○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
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○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
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https://news.mynavi.jp/series/food_science

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○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
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○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
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○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
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○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu