国内唯一の「渋滞予報士」が予測する年末年始の道路状況は?

国内唯一の「渋滞予報士」が予測する年末年始の道路状況は?

2016.12.22

予報士といえば、ほぼ例外なく、気象予報士を思い浮かべるだろう。だが、高速道路の渋滞を予測する「渋滞予報士」も存在している。NEXCO東日本 関東支社 交通技術課に所属する外山敬祐氏がその人だ。しかも渋滞予報士と名乗ることができるのは、外山氏ただ1人だ。

NEXCO東日本 関東支社 外山敬祐氏

そもそも、この渋滞予報士は、NEXCO東日本 関東支社で渋滞予測に携わっている担当者の愛称で、平成19年7月から、こう呼ばれ始めた。外山氏で現在5代目だという。また、気象予報士と異なり資格制ではないが、渋滞について多角的に分析するスペシャリストとして存在感を示している。

高速道路ごとに異なる渋滞の定義

その渋滞予報士の最大の使命が渋滞を減らすこと。そのために「いつ」「どこで」「どれくらい」の渋滞が起こるのかを予測したり、渋滞対策の立案・効果検証を行ったりしている。さらに、渋滞対策に関してのPR活動も行う“広告塔”としての役割も持ち合わせている。

そんな外山氏に渋滞について話をうかがったのだが、まず気づかされたのが各高速道路によって渋滞の定義が異なること。NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本の3社が管理する高速道路では、一部例外となる路線はあるものの、基本的には「時速40km以下の低速走行状態」が渋滞となる。そのほかの高速道路でもそれぞれ異なるが、長くなるので割愛しよう。

「各路線によって交通流の性格が異なるので渋滞の定義も変わってきます」と外山氏は話す。

また、外山氏はこうも付け加えた。「多くの方が渋滞は事故や工事が引き起こすものと思っておられるかもしれませんが、平成27年の1年間に関東支社管内で発生した渋滞の約8割が交通集中によるもの、いわゆる自然渋滞です。ちなみに、事故渋滞は約15%、工事渋滞は約2%でした。このデータが示すことは、ドライバーの意識次第で渋滞を大きく減らせるチャンスがあるということです」と話す。

速度低下が自然渋滞を引き起こす

さらに、自然渋滞の6割以上が「サグ」「上り坂」が原因だとした。はて、上り坂は文字どおりなのでわかる。だが「サグ」とは一体何なのだろうか。外山氏によると「下り坂から上り坂にさしかかる場所、いわゆる“凹状”の坂道」のことだという。

「坂を下って上り坂にさしかかると、それに気づかないドライバーが多いのです。ドライバーによっては速度低下を起こしてしまい、後続車との車間距離が縮まります。そして後続車は車間を保つためにブレーキをかけ、さらにその後続車がブレーキをかけます……この連鎖が自然渋滞を引き起こすのです」(外山氏)。

NEXCO東日本管内では、高坂SAが「サグ」で渋滞しやすい

NEXCO東日本の高速道路では、約95%が関東支社管内で発生しているが、「サグ」による渋滞で有名なのが高坂サービスエリア付近だそうだ。「サービスエリアからの合流など、『サグ』だけではなく複合的な要因」(外山氏)としながらも、渋滞のもっとも起きやすい箇所のひとつとして高坂SA付近を挙げた。ちなみにNEXCO中日本管轄だと、小仏トンネルの「サグ」が有名だが、確かにこの両エリアは頻繁に渋滞になっているイメージがある。

こうした渋滞を少しでも緩和するために渋滞予報士が存在しているわけだ。ただ、同じ予報士だが、気象予報士とはかなり性格が異なるらしい。気象予報士の場合、「今日は傘が必要」「コートを用意しましょう」と促し、それを聞いた人が実際に傘をもって出かけたりコートを着たりしても予報した天気に影響を与えることはない。

だが、渋滞予報士の場合は、「いつ」「どこで」「どれくらいの」渋滞が起こるのか予測することで、ドライバーの行動が変化するため、実際の渋滞の起こり方に影響が出てくるのだ。

「渋滞予測は、天気予報とは異なり100%の的中を目指すものではありません。渋滞予測により渋滞が減れば、結果的に予測は外れたことになりますが、当初の目的は達成されたことになります。とはいえ、あまり当たらないと信用してもらえなくなることが悩ましいところです。そこがこの仕事のジレンマといえるでしょう」と外山氏は苦笑いをこぼす。

さて、年末年始の渋滞予測について気になっていることだろう。

幅17mのディスプレイ。まさに道路管制の心臓部だ

だが、その前に外山氏が勤めるNEXCO東日本 関東支社 道路管制センターのことについてザッと紹介しよう。この施設は埼玉県にあるが、入館して管制センターの前に行くと、まず目につくのが大型のディスプレイ。このディスプレイは幅17m、高さ5.5mあり、まさに壮観。

首都圏の高速道路にはアスファルトの下に500mから2kmぐらいの間隔で「トラフィックカウンター」と呼ばれるクルマの速度を検知するセンサーが埋め込まれ、そのセンサーがクルマの速度を検知する。その情報がこのディスプレイに送られ、リアルタイムで渋滞情報をモニタリングできるというわけだ。さらに168面のモニター画面が、要所要所のカメラ映像を映し出し、道路の状況を確認できる。

渋滞が起こりにくい地方の場合、「トラフィックカウンター」は各インターチェンジのあいだに1カ所ぐらいしかないらしいが、季節的な要因などで渋滞が起こった場合、普段は落下物や道路の破損状況をチェックする交通管理隊が目視でチェックして報告するそうだ。交通管理隊は、黄色のお馴染みのクルマといえば、わかるだろう。

渋滞分析のスペシャリストが年末年始を見立て

いよいよ、年末年始の渋滞予測について外山氏の“見立て”を披露する。まず、年末だが、帰省の“行き”については、日にちが分散する傾向にあるようだ。これは毎年のことで、今年も例年どおりとなり、特に大きな渋滞は生じないらしい。

問題は帰省から首都圏に帰るUターンラッシュで、今年は2017年1月2日に集中すると、外山氏は予測する。「2日にUターンする場合、早朝や夜間の活用も考えてください」と、外山氏はアドバイスする。場合によっては、3日に渋滞が残ることもあるとみている。

これは、よい情報を聞いた……。あっ、筆者はクルマに乗っていないのだった(笑)。

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2019.06.17

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
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