AIはQ&Aサイトの質を高めるか、オウケイウェイヴの取り組み

AIはQ&Aサイトの質を高めるか、オウケイウェイヴの取り組み

2016.12.27

国内最大級のQ&Aサイト「OKWAVE」を運営するオウケイウェイヴは、同社が開発したAIエージェント「あい」を用いて、美容と健康に関する質問についての利用者からの質問に回答を表示するサービスを提供している。各社からAIを使ったQ&A対応のサービスが登場しているが、同社ならではの強みはどのようなところにあるのだろうか。

3500万件超のデータをベースに機械学習

OKWAVEの「あい」は、同社の「AIラボ」が開発した独自AI「KONAN」をベースにしたサービスだ。OKWAVEには過去に投稿された大量の質問とその回答が蓄積されているが、「あい」ではその中から美容と健康ジャンルについて、ユーザーが入力した質問をもとに、その質問がどんな意図を持つかを捉え、適切な回答を返してくれるサービスになる。

OKWAVEのトップページ左上の「OKWAVE AI Knowledge」をクリックすると「あい」の利用画面に。画面上側でジャンルを選択し、画面下側にある入力スペースに自然な文章で質問を入力して「送信」を押せばいい(画像:OKWAVE AI Knowledgeより)

「あい」のベースとなるデータは、OKWAVEにこれまで投稿されてきた約3500万件以上(データにして1TB以上)のQ&Aで、これを機械学習して分析したものが「あい」のバックボーンとなっている。このデータを自動的に質問と回答に分ける技術(ちなみに同社は日米で特許を取得している)を使って分類し、ユーザーがつけた重み付けデータなどを加味して学習させている。

なお、最近流行のディープラーニングではなく、統計的機械学習による学習で、意味解析による対応はこちらのほうが最適であると判断しているという。

検索エンジンと「あい」の違い

単に巨大なデータベースから目的に沿った回答を探してくるだけであれば検索エンジンも同じことができるが、検索エンジンがキーワードにマッチしたデータをすべて探してくるのに対し、「あい」では質問や回答を概念化して格納しており、階層化された知識を辿って最適なひとつの回答を見つけることができるという。

概念化の例としては「映画」のほかに「シネマ」や「ムービー」を同一のものとして捉えられるほか、「漫画」や「音楽」なども映画に近い概念であると識別できる。「あい」には上記のような「概念知識エンジン」に加え、エージェントとしてユーザーと応対を行う「感性エンジン」と「応答エンジン」の2つのAI技術から構成され、ユーザーの感情を読み取りながら最善の回答が行えるようになっているという。

「あい」ならではの特徴は?

ユーザーが投稿した実際のQ&Aから機械学習したAIが回答を作り出すシステムとしては、NTTレゾナントやU-NEXTなどのシステムがすでにあるが、「あい」ではQ&Aデータを概念化して重み付けしてあるため、よりユーザーの意図や気分、言葉が持つ二重・三重の意味などを概念に落とし込んで検索対象とすることができ、ピンポイントな回答を出せるという点が異なっている。

同じ人工知能を使ったシステムでも、学習ソースだけでなく、概念化や重み付けという味付けを用いることで差別化が図れるというわけだ。実際に「あい」に質問してみたが、回答は概ね自然な日本語でしっかり返ってくる。もし該当する回答が見つからない場合はユーザーに追加の質問をすることで、データ解析の精度を高めようとしてくれる。こうしたわかりやすいインターフェースに落とし込めているところも「あい」のユニークな点だと言えるだろう。

パソコンを使っていると疲れ目で目が霞みやすいという質問に対し、ドライアイに関する回答をピンポイントで返してきてくれた(老眼だと指摘しないのは温情か?)。ジャンル違いの質問には見当違いの回答を返して来るので、画面上側できちんとジャンルを合わせておこう(画像:OKWAVE AI Knowledgeより)

ひとつ課題を挙げるとすれば、AIを使ったQ&Aやコミュニケーションでは、ユーザーからの回答が常に正しいというわけではないことだ。OKWAVEに限った話ではないが、法的・科学的に正しくないことであっても、人工知能は正誤まで判断することなく回答してしまう恐れがある。AIの導入に際しては機械が判別できない誤情報や意図的な操作を防ぐための仕組みづくりも重要になってくるだろう。

収益構造にAIは貢献するのか

「あい」はオウケイウェイヴにとっても、重要な存在になりそうだ。同社のビジネスモデルは、OKWAVEおよびそのシステムを活用したサービス中心の「ソーシャルメディア事業」、企業向けQ&Aシステム「OKBIZ」の提供からなる「エンタープライズソリューション事業」、それに「多言語CRM事業」の3本柱からなる。

オウケイウェイヴは将来的に、「あい」と同様のAIを同社の企業向けQ&Aサービス「OKBIZ」にも展開していきたいとしている。

「あい」が加わることで、ソーシャルメディア事業では実際の回答者がいなくても新たな回答が生成されることになり、回答者待ちの時間が削減されることで効率化が見込める。やがてはエンタープライズソリューション事業にも適用されれば、こちらでも同様の効率化効果が現れることが期待される。

また、エンタープライズ事業においては、「あい」のエンジンを使ってQ&AサイトだけでなくAIエージェントと会話AIを使ったコミュニケーションにも応用できるという。ひとつのエンジンで複数の需要をこなせるというのは大きな強みになりそうだ。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu