企業を脅かす「炎上」のリスク - 2017年に有効な対策とは?

企業を脅かす「炎上」のリスク - 2017年に有効な対策とは?

2016.12.28

SNSやスマートフォンが普及し、誰もが世界中に発信できる時代。その反面、新たな問題も生じ、2011年ごろからインターネット上の「炎上」件数は増加の一途をたどっている。今回は、2016年に起きた炎上を振り返るとともに、企業が気を付けるべき対策などを、炎上リスクの対策コンサルティングを提供するエルテスのソーシャルリスクエバンジェリスト 宮宗唯氏に伺った。

受け取り方次第で炎上する「女性蔑視」

家事代行会社役員のブログや、ふるさと納税のPR動画などが、「女性蔑視である」「性差別だ」「セクハラを想起させる」と批判されて炎上するケースが多発した。もちろん、発言者に悪意が無い場合がほとんどであり、他者との差別化により、より目立つために、際どい話題を探っていった結果だった。では、炎上を防ぐ判断基準はどこにあるのだろうか?

宮宗氏によれば、すでに炎上している話題を把握し、意識的に避けることが重要だという。例えば、「女性蔑視」が話題になっている時期には、それを連想させるコンテンツをできる限り省き、不要なリスクを回避すること。また、社内確認だけに留めず、社外コンサルタントや俯瞰的に見てくれるユーザーに意見を求めることも有効だ。

同氏はまた、2017年においても、このような広告における表現方法が炎上するケースの増加を見込んでいる。一度炎上すると、広告が取りやめになり、予算と時間をかけて制作したものがそのまま損失となるなど、企業に与える影響も大きい。同じコンテンツでも、時期や発信者の立場によって炎上の有無が変わってくるもの。発表タイミングと炎上トレンドを読むチカラが必要だ。

社員・従業員のコンプライアンス

アルバイトや店舗勤務の社員が、「芸能人の○○が店にきた」「芸能人の○○にこういうサービスを提供した」などと、軽い気持ちでSNSに投稿した内容が拡散し、勤務している企業が批判されるケースも多くあった。

投稿者は、嬉しさも相まって、ちょっとした自慢感覚で投稿したわけだが、「顧客情報の漏えいではないか」「教育が行き届いていない」「セキュリティ体制がちゃんとできていない」など企業批判に発展し、経営に響くケースも少なくない。

この場合、企業はどのように従業員教育を実施すれば良いのだろうか。これに対し、宮宗氏は、投稿者の危機意識に働きかけることが重要だと話す。多くの場合、炎上の危険性を「自分事」として捉えられていないことが要因だ。実際に炎上したら、投稿者の個人情報がネット上に晒され、その後の生活にも大きな支障が生じる。このような内容を定期的に啓蒙することで、従業員の意識を高く保つことができる。

また、花見の場所取りで市のルールを無視して場所を独占したなど、一部の社員の非常識な言動が、告発のような形でSNS上に拡散され、会社に対して批判が殺到する例もあった。

もちろん、一般常識・ルールから逸脱した行動が炎上の原因だが、企業は「不義は絶対に隠せない」ということを念頭に置いて欲しい。誰もがSNSで投稿できる時代のリスクを考えるべきである。

「おでんツンツン男」に対処する

では、年末話題になった「おでんツンツン男」や、大学生が営業中のスーパーで大声で踊って騒ぐ様子をSNS上に投稿して炎上するなど、来店客による不適切行動で炎上するケースの対処法についてはどうすればよいだろうか。

これらの事案を事前に防ぐのは難しいだろう。対処は起きてからとなるわけだが、重要なことは、顧客側の気持ちに寄り添うこと。つまり、問い合わせ対応を迅速に行い、顧客の心配点が払拭されれば、必要以上の炎上はないという。 悪質な来店客がきっかけで、衛生管理や管理責任を問われないように、万が一の出来事にも、迅速な対応が行えるように準備しておくことが必要だ。

ネット炎上のトレンドを捉える

炎上を防ぐには、炎上のトレンドに関係するキーワードを把握し、意識的に回避することはもちろんだが、事前に対策を行ったところで、炎上の可能性は発信するまで分からない。発信後もネット上の動向を注意深く観察し、危険だと思ったら、即時に対策する姿勢が重要だ。

一度炎上すると、個人であれば氏名・住所・勤務先などの個人情報がインターネット上で晒されて私生活が崩壊したり、企業であれば株価や時価総額にまで悪影響を与えるなど大きなダメージを受けてしまう。企業は、炎上に巻き込まれないように充分な対策をしてほしい。

取材協力

デジタルリスク総研による「2016年の炎上キーワードTOP3と2017年の炎上トレンド予測」
メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

2019.03.22

ネットの学校「N高」の卒業式に潜入

開校時に入学したN高1期生が卒業した

世間の注目を浴び続けた生徒は、何を想う?

3月、角川ドワンゴ学園「N高等学校」の卒業式が東京・お台場にて開催された。

「ネットの高校」として、3年前に設立したN高。この日、2016年の開校時に入学した第1期生と、途中転入・編入した生徒をあわせ、計1593名が卒業した。3年前、『VR入学式』で世間を賑わせたこの学校を巣立つ卒業生たちは、N高での日々をどう捉え、今後はどのようなキャリアを描いていくのだろうか。

卒業式は2019年3月20日、お台場にて行われた

卒業式を彩る最新テクノロジー

N高は、ドワンゴとKADOKAWAの経営統合で誕生したカドカワが設立母体となり、2016年4月に開校された通信制高校だ。同校は開校後、2年次編入なども受け入れてきたため、これまでも卒業生を排出してきてはいたが、「1年生~3年生をN高で過ごした生徒」が卒業するのは、初めてのことだ。

卒業式には多くの報道陣も参加した。生徒にとって、「卒業式に記者がいる」「自分たちが卒業する様子がテレビやWebで取り上げられる」というのは不思議な感覚だろう。とはいえ、もう「VR入学式」に「ニコニコ超会議」へのブース出展(N高ではそれを「文化祭」と表現)などの経験を経て、メディアへの露出には慣れてしまっているのかもしれない。

そして、今回の卒業式も例によって独特だった。

卒業式は任意参加で、会場には袴や制服に身を包んだ生徒が集まる一方、その様子をライブ配信することで、会場に来られない生徒生徒も参加できる仕組みになっていた。会場のスクリーン上にはニコニコ生放送さながら、リアルタイムでコメントが表示されており、こうした演出は「N高らしい」といった印象を受けた。

卒業式の様子。オンライン参加者のコメントがスクリーンを流れる

中でも印象深かったのは、当日来られなかった生徒を代表して、米シリコンバレーに留学中の佐々木雅斗さんが「ロボット」に自分の顔を映して卒業証書を受け取ったシーンだ。

使用したのは、ANAが“未来の移動手段”として開発する、視覚・聴覚・触覚などを備えた、ユーザーの分身となるロボット「ANA AVATAR」。同校ではこのロボットを試験的に授業にも導入しているそうで、こういった最新のテクノロジーを使うあたりもN高らしい。

遠隔操作ロボット「ANA AVATAR(Beam Pro)」を用いて卒業証書を受け取った佐々木さん

と、テクノロジーにばかり目が行きがちではあるが、そもそも「高校生がシリコンバレーに留学している」という事実も驚くべき点だ。高校に通いながらも、シリコンバレーでビジネスを学ぶ――、というキャリアを選べるのは、学校という場所の制約を受けない、ネットの高校のメリットと言えるだろう。

卒業式にはほかにも「異色のキャリア」を持つ生徒たちが集まり、特に活躍した卒業生に対する特別表彰も行われた。

表彰を受けたのは、東京から鹿児島県に移住し、農業や水産業を手伝い地域活性化に貢献する白鳥優季さん、第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン「ウイニングイレブン 2018」eスポーツ 金メダリストの相原翼さん、N高のプログラムを最大限に活用し、スタンフォード大学やオックスフォード大学のサマープログラムに参加した冨樫真凜さんなど。その活躍の幅は広い。

さまざまな分野で活躍したN高生に対しては、特別表彰が行われ、記念品としてクリスタルトロフィーが贈呈された

メディア露出が多いがゆえに高まる期待値

N高を卒業した個性豊かな面々は、今後は大学進学、就職とさまざまなキャリアを歩む。

日本初で唯一N高にのみ実在するという「起業部」に所属し、かつ起業第一号として「Easy Go」という会社を創業している、鈴木颯人さんと山田陽大さんから「N高で過ごした時間」についてコメントをもらった。

「元々は地元の進学校に通っていたのですが、『自分が好きなことをしたい』『起業したい』という想いがあり、N高に入学しました。年齢や場所に縛られず、多くの人とコミュニケーションを取れ、充実した3年を過ごせました」(鈴木さん)

「以前通っていた学校が自分と合わず、ネットで見つけたN高で『ここだったら新しいことができるかも』と入学を決意しました。今振り返ってみて、やはり『この学校に来てよかった』と思います」(山田さん)

Easy Go代表取締役の鈴木颯人さん(左)と取締役の山田陽大さん(右)

2人に限らず、卒業生のコメントを聞いていくと「この場所で挑戦してみたい」という想いの元、N高を選んでいる生徒が多い印象だ。

普通の高校とは違い、メディアに露出する機会の多いN高での生活は、良くも悪くも、世間からの注目を浴びる。まだ高校生の彼らにとっては、その視線が時に辛く感じることもあっただろう。ただ、その一方で鈴木さんは「初めて会う方とお話しする際、『N高出身です』と言うだけで、会話が広がることがよくあります」とその知名度を好意的に捉えている。

若くして、覚悟を持ってN高という環境に飛び込んだ生徒たちは、周囲の視線を浴びつつ、たくましく成長してきたことだろう。「N高出身」というキャリアは、彼らにとって1つの大きな武器になりそうだ。

カドカワは新たに2019年4月から、「N中等部」も開校する予定だ。「ネットの学校」という、世間の注目が集まる新しいコンセプトの学校だからこそ、在校生・卒業生の動向は、今後もしばらくは注目され続けそうだ。

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スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

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2019.03.22

中国スマホメーカーのOPPOが独自のカメラ技術を説明

開発競争が続くスマホカメラ、トレンドは「望遠」へ

高倍率ズームスマホの登場で、デジカメの優位性に危機?

中国のスマホメーカーとしてシェアを急拡大するOPPOが独自に新開発したカメラ技術、「10倍ハイブリッドズーム」が面白い。実際に2019年の新機種からスマホへの搭載を進め、日本市場へも製品を投入するという。

OPPOが「10倍ハイブリッドズーム」技術を紹介

メーカー間の開発競争が続くスマホカメラだが、「望遠」が次のトレンドになりつつある。デジタルカメラに匹敵する10倍もの高倍率ズームを、OPPOはどのように実現したのだろうか。

1年で7機種を投入、気付いた「日本市場の難しさ」

OPPOは世界のスマホ市場で熾烈な4位争いを繰り広げている。サムスン、アップル、ファーウェイのトップ3社に続く集団の中で、2018年は中国Xiaomiに僅差で迫る5位になった(IDC調べ)。

OPPOは2018年、日本市場で7機種のスマホを発売した。OPPO日本法人の鄧宇辰社長は、これまでに国内販売チャネルを12に拡大し、あわせて認定修理店を全国に展開したことを挙げ、「日本のSIMフリー市場でいち早く成長するブランドになった」と振り返る。

オッポジャパン 代表取締役社長の鄧宇辰氏
2018年の1年間にスマホを7機種投入

2019年は国内展開をさらに加速する。日本の消費者に向けたコミットメントとして、件の「10倍ハイブリッドズーム」機能を備えたスマホや、FeliCa・防水対応のスマホ、新たに立ち上げたブランド「Reno」シリーズの市場投入を約束する。

また、話題の「5Gスマホ」の市場投入も急ぐ。日本では5Gの周波数がまだキャリアに割り当てられていないものの、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを含む世界の事業者と標準化に向けて連携しており、準備を整えていることを強調する。

MWC19のQualcommブースではOPPOが5Gスマホを実演

一方で鄧社長は、日本市場の難しさについて、「1年の経験を通して、日本市場は他の国と違うことに気付いた。消費の習慣や求めるレベルも高い。グローバルのやり方を日本に持ってきても通用しない」とも述べている。日本市場における品質やサービスの要求水準の高さは、多くのメーカーが直面してきた課題だが、OPPOも同じ壁にぶつかったといえそうだ。

スマホカメラ、次のトレンドは「望遠」に

そのOPPOが市場攻略にあたり、特に注力をしはじめたのが「カメラ」だ。その中でも、業界では次の進化ポイントとして「望遠」技術に注目が集まっている。

そもそもスマホはデジカメと違い本体が薄いため、搭載できるレンズに物理的な制約がある。このレンズの制約から、スマホのカメラはどうしても焦点距離の狭さが弱点になってしまっていた。そこで最近はスマホに複数のカメラを内蔵し、それぞれで広角や望遠を使い分けることで、この弱点を克服しようと進化している。

OPPOの「10倍ハイブリッドズーム」技術は、この弱点に対し異なるアプローチで挑む。プリズムを使って光を屈曲させるペリスコープ(屈曲光学)構造をカメラモジュールに採用することで、レンズを従来の垂直方向ではなく水平に配置できるようにした。これにより、薄型のスマホであっても、光学レンズでは従来不可能だった高倍率ズームが搭載できる。

光を曲げるペリスコープ構造を採用

ただ、35mm換算での焦点距離は16~160mmの10倍となっており、一般的なコンデジの感覚では5倍ズーム程度の性能だ。8.1倍以上はデジタル処理を組み合わせた「ハイブリッドズーム」としているなど、いくつか注意点はある。とは言え、これまでにない望遠レンズをスマホで扱えるのは面白い。

10倍ハイブリッドズームによる画角の違い

OPPOは既に報道陣に向けて、この10倍ハイブリッドズーム技術を搭載するスマホの開発デモ機を公開している。2019年の第2四半期には製品化する計画で、日本市場へも2019年中に投入する見込みだ。

10倍ハイブリッドズームのデモ機。5Gにも対応できるという

特にカジュアルなカメラ需要の受け皿としてスマホに押されがちなデジタルカメラだが、高倍率ズームはスマホには無い、デジカメに残された得意分野のひとつだった。だが望遠もスマホで十分撮れるとなれば、いよいよその優位性も危うくなる。今回のズーム技術は、デジカメ市場をもう一段縮小させてしまう可能性を秘めているのだ。

最大のライバルであるファーウェイも「HUAWEI P30」シリーズで望遠カメラを搭載するとみられており、今後は各メーカーが高倍率ズームで競い合うことは間違いなさそうだ。

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