店内“オペレーション”を確実にする“魔法の立方体”とは?

店内“オペレーション”を確実にする“魔法の立方体”とは?

2016.12.28

ものづくり体験ができるカフェ「FabCafe」

国道246号。渋谷から三軒茶屋方面に坂道を上がったV字交差点のところに、「FabCafe Tokyo」というカフェ店が存在する。足を踏み入れると、コンクリート打ちっ放しの無機質な空間が広がるが、店内でカフェを楽しむお客からは熱気を感じる。それもそのはず、このカフェ店は単にカフェを楽しむだけでなく、“ものづくり体験”ができる場として有名だからだ。

具体的には「3Dプリンター」や「レーザーカッター」といった工作機器を店内に導入している。そうした機器を使い、お客は自身のクリエイティビティを満たせるというワケだ。“Fab”は製造・組み立てを意味する“fabrication”の略で、その名からもこのカフェ店のコンセプトがうかがい知れよう。

余談だが、筆者は以前パソコン雑誌に在籍していた。CPUなどの半導体を製造する工場を、「ファブ」などと呼んでいたのが思い出される。

さて、話をFabCafe Tokyoに戻そう。前述したとおり、コンクリート打ちっ放しの店内に、カウンターや10数卓のテーブルが並べられており、お客はそれぞれのスタイルでカフェを楽しめる。ここまでは、街でよくみかけるオシャレなカフェ店とあまり変わらない。

見慣れないのは、卓上にある長方形のブロック。その近くにはアクリル製の説明カードが置いてある。実はこれ、お客と店員のコミュニケーションをサポートするツール「noodoe」(ヌードー)と呼ばれるソリューションである。

お客とスタッフのコミュニケーションツール「noodoe」

スタッフのリストバンドで呼び出し

どういうことかというと、このブロックには「お水」「呼び出し」「次の料理」「会計」といった面が書かれ、その面を上にすることで店員が腕につけているリストバンドにその情報がバイブレーションとともに届く。

これだけでは、何のことやら分からないかもしれないが、お客は卓上のブロックを倒すことで店員に各種オーダーを行うことができる。通常、お水をもらいたい場合、「すみません。お冷やください」と店員を呼び止めるのだが、ブロックを倒すというワンアクションで済むというわけだ。

店員側も、「すみません」とお客から声をかけられただけでは、お水なのか会計なのか、はたまた追加注文なのかわからない。だが、このブロックからの情報により、リストバンドにお客が何を求めているのか表示される。

取材に応じてくださったFabCafeのCOO、川井敏昌さん

これが、何を意味するのか。通常、声だけのコミュニケーションの場合、お客の「すみません」の声に対応した店のスタッフは、その卓に要望を聞きに行く。この時点では、なぜ客に呼ばれたかは判然としない。卓の側に行き、お客の要望を聞いてからアクションを起こす。たとえば、お冷やがほしいという客だった場合、「すみません」と呼ばれてから卓に行き、その要望を聞いてからお冷やを用意して卓に持っていく。

つまりスタッフは、最低でも2度、卓に行くことになる。これは、労力としては無駄になる。だが、ヌードーならば、お客の要望がすぐにスタッフに伝わる。効率を向上させるのに有効といえるだろう。

このソリューションを提供しているのがエスキュービズムという企業だ。ハードウェアとソフトウェアの双方を開発し、ECパッケージやタブレットPOS販売を起点にして成長してきた企業だ。まだ、ベンチャーという段階だが、ある意味、ショップや飲食店の運営ソリューションに精通しているともいえる。だが、このヌードーは、ベンチャーならではのアイデアといえるのではないだろうか。

卓上で数種類のオーダーができるブロック、そしてそれを無線通信(ブルートゥース)により店員のリストバンドに送る。みせられれば単純ではあるが、発想にいたるにはなかなか難しいかもしれない……。

前述のFabCafeで働くスタッフは、必要以上にお客の動向に目を光らせなくてもよくなったと、このソリューションの利便性を筆者に語ってくれた。

さて、お客にとっても店員スタッフにとっても、便利であるこのソリューションだが、必要以上にスタッフとコミュニケーションしたい目的の人には、少し厄介かもしれない(笑)。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu