好調プリウスに伏兵? 2017年は混戦模様の国内自動車市場

好調プリウスに伏兵? 2017年は混戦模様の国内自動車市場

2016.12.29

2015年12月に発売となり、2016年はベストセラーカーの座にあり続けてきたトヨタ自動車のハイブリッド車(HV)「プリウス」。このあとプラグインハイブリッド車(PHV)も登場することだし、プリウスの独走はまだまだ続くと思っていた人もいたのではないだろうか。ところがここへきて伏兵が現れた。

日産が約30年ぶりの快挙

その名は日産自動車の「ノート」。2016年11月はじめのマイナーチェンジと同時に、「e-POWER」と呼ばれる新しいパワーユニットを投入した。これが受け、同月のベストセラーの座をプリウスから奪回したのだ。日産としては1980年代に、当時の「サニー」がベストセラーとなって以来、約30年ぶりの快挙だった。

独特のパワーユニットでも話題を呼んだ日産「ノート」

一方のプリウスは、当初PHVの発売を2016年秋としていたが、軽量化と成形の自由度を狙ってリアゲートに採用した炭素繊維強化樹脂(CFRP)の品質向上に苦労したために、発売が年明けに遅れることになったと言われている。

ただしノートは、プリウスの直接のライバルではない。トヨタで言えばひとまわり小さな「アクア」や「ヴィッツ」、本田技研工業の「フィット」などが直接の競合車になる。プリウスの直接のライバルとなる日産車は、電気自動車(EV)の「リーフ」だ。

世界累計販売20万台達成を記念し、日産が2016年10月に発売を発表したリーフの特別仕様車「thanks edition」(画像は日産自動車より)

その中でノートe-POWERは、日産では「電気自動車の新しいカタチ」とアナウンスしている。日本ではシリーズ式ハイブリッド、海外ではハイブリッドエレクトリック方式と呼ばれるシステムだ。

一般的なHVは、エンジンとモーターを必要に応じて使い分けながら走行するが、e-POWERではエンジンは発電に徹し、その電気だけを使って走る点が異なる。HVとも言えるし、EVの一種とも言える。

実際の性能が勝敗を分けた

ノートは全長約4メートル、幅は5ナンバー枠内に収まり、プリウスよりも確実にひとまわりコンパクトである。しかし室内の広さは同等だ。空力を重視したプリウスのスタイリングに対し、ノートは使い勝手を重視して一般的な2ボックススタイルを取っていることが大きい。デザインもノートのほうが万人受けするだろう。

カタログ燃費はプリウスが最高で1リッターあたり40.2キロメートル、ノートe-POWERが同37.2キロメートルとプリウスが上回るが、ノートe-POWERは中心車種でもっとも売れているXグレードでも200万円を切り、プリウスはベースグレードEでも240万円を超える。こうした実際の性能を比べてノートe-POWERを選んだ人が多いかもしれない。

2016年は販売台数で独走状態だった現行プリウス(左)。ノートに奪われた首位の座をプリウスPHV(右)は奪還できるか

ベストセラー常連組に日産ノートが仲間入り

こうした状況は従来からあった。日本自動車販売協会連合会のデータによれば、2011年末にアクアが登場すると、翌年以降プリウスに代わってベストセラーの座に就くことが多くなり、2013年9月にフィットが現行型にモデルチェンジしたあとは、フィットが王座となった。その後もプリウスが現行型に切り替わる昨年12月までは、両車が首位を分け合ってきた。

つまりプリウス、アクア、フィットがモデルチェンジのたびに入れ替わるようにトップになるという状況が、この5年間続いてきた。そこに2016年11月、ノートが新たに仲間入りしたのである。

では2017年、プリウスにPHVが追加されると、プリウスがベストセラーの座を奪回するだろうか。これまで見てきたように、日本の自動車市場は新車効果が確実に効く。PHV導入直後は、再び頂点の座に返り咲くかもしれない。でもその新車効果が長続きしないのも、熱しやすく冷めやすい日本の特徴だ。

プリウスPHVにリーフ同様の悩み?

プリウスの直接のライバルはEVのリーフだと前に書いた。しかし販売実績には大差が付いている。ランニングコストはガソリンより電気のほうが大幅に割安なのに、充電しなければ走れない、充電に時間が掛かる、充電しても長距離を走れないという欠点が、心配性の日本人には必要以上にネガに作用してしまったようだ。

プリウスPHVはリーフとは違ってエンジンも積んでいるので、充電せずに走ることはできる。バッテリーに頼らない、いわゆるハイブリッドモードでのカタログ燃費は1リッターあたり37キロメートルと発表されており、ノートe-POWERとほぼ同じだ。ただしPHVの本領を発揮しようと思えば充電が不可欠。となるとリーフが直面した悩みが今度はプリウスにも降りかかってくる。

しかもプリウスPHVはノートe-POWERよりはるかに大きなバッテリーを積むので、価格は通常のHVより高くなる。事前の予想ではHVのプリウスより50万円以上高くなるのではないかという噂がある。

プリウスならノートやアクア、フィットを買おうと考える人が比較対象に挙げるかもしれないが、プリウスPHVぐらいの価格になると、別のクラスのエコカーとして考えるのではないだろうか。現時点で唯一の国産PHVとして孤軍奮闘している三菱自動車工業の「アウトランダーPHEV」や、最近急増している輸入PHVがライバルになりそうだ。

「アウトランダーPHEV」(画像)はプリウスPHVのライバルとなりそうだ(画像は三菱自動車工業より)

C-HRも参戦、エコカー充実でクルマ選びに幅

また欧米に比べて住宅事情が恵まれていない日本は、自宅に充電施設を設置することが難しい。公共充電スポットは多いと報じられているが、実際は他メーカーのユーザーには使いにくい自動車販売店、土日や夜間は使えない市役所なども多く、真の意味での公共充電施設はそれほど多くない。

一方、普通のHVでいいという人は、プリウスと同じプラットフォームやパワートレインを用いて今月発売されたスタイリッシュなSUV「C-HR」が気になっているだろう。価格はやや高めだが、あのデザインに惹かれて買う人は多そうだ。現に予約殺到で納車は来年の春とも言われている。プリウスの敵は身内にもいるというわけだ。

同じトヨタ車だが、プリウスの牙城を脅かしかねない「C-HR」

ノートe-POWERにC-HRと、プリウスの牙城を脅かすクルマが次々に登場した2016年終盤。2017年はプリウス独走とはいかない感じがするけれど、裏を返せばデザインや走りで楽しめるエコカーが次々にデビューしているわけで、好ましい状況になりつつあるのもまた事実だ。

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

2019.01.22

低温加熱式のJTがライバルと直接競合する高温加熱式に参入

専用リフィルも異なる3種類の製品で広範に網を張るプルーム・テック

海外市場でも兆し見えた加熱式たばこ、日本での成功がより重要に

日本たばこ産業(JT)が加熱式たばこの新製品、「プルーム・テック・プラス (Ploom TECH+)」「プルーム・エス (Ploom S)」の2製品を発表した。シェアトップのiQOSを追撃したいJTだが、ライバルに先行を許している今、どのような戦略を描いているのか。

JTが発表した加熱式たばこの新製品、プルーム・テック・プラス(左)とプルーム・エス

新たに高温加熱式に参入、ライバルと直接競合へ

新製品は、従来のプルーム・テックを改良したプルーム・テック・プラスと、シェアを争う「iQOS」(フィリップ・モリス)や「glo」(BAT)と同様の加熱方式を採用したプルーム・エスの2つ。iQOSとgloが高温加熱式であるのに対し、もともとプルーム・テックは低温加熱式と呼ばれる方式をとっていた。30度という低温で発生させた蒸気をたばこカプセルを通して吸うため、においが少ない一方、吸いごたえに乏しいともいわれていた。

低温加熱式で吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスと、高温加熱式のシェア奪取を狙ったプルーム・エスを投入

そこで、たばこ葉を増やすなどして吸いごたえを高めたのがプルーム・テック・プラスだ。その結果、本体が太く大きくなり、加熱温度も40度と少しだけ高くなったが、においの少なさはそのままに、吸いごたえをアップさせたことをアピールする。

プルーム・エスは高温加熱式を採用し、iQOSやgloと同様の吸いごたえを目指した。こうした高温加熱式は、たばこ葉を高温で蒸すことで蒸気を発生させるため、従来のたばことも異なる独特のにおいを発生させる。

JT副社長・たばこ事業本部長の岩井睦雄氏は、この独特の「におい」のせいでたばこの味わいに違和感を覚える喫煙者が多かったと話す。そのため、「満足度を高めるのは味わい」として、このにおいの低減に取り組んだという。

プルーム・エスでは、たばこ葉を熱する温度を200度に抑えた。これはiQOSの300度、gloの240度に比べて低く、これによって特有のにおいを抑えたという。

吸いごたえや加熱方式が異なる3製品をそろえる意味

JTは新製品投入後も既存製品の取り扱いを継続する。つまり、プルーム・テックのラインアップは3種類となる。iQOSも複数の製品があるが、こちらは機能の違いによって3種類に分けられており、プルーム・テックはそれに対して、吸いごたえや加熱方式によって異なる製品を用意したかっこうだ。

3つの製品を投入することで、選択肢を提供する

岩井副社長は「温度で選ぶ時代」と表現し、低温のプルーム・テック/プルーム・テック・プラスと、高温のプルーム・エスという選択肢によって「好みや生活環境、ライフステージの変化に合わせて、いつでも最適な選択ができる」ことを狙ったとしている。

たばこ事業本部長の岩井睦雄副社長

たばこ部分に互換性がないという問題はありそうだが、現在でも、においの少なさを重視して自宅ではプルーム・テックを吸いつつ、味わいを求めて喫煙所では高温加熱式の加熱式たばこ、と双方を使い分けている人が少なくない。そうしたユーザーに対して、「それぞれで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化に繋がる」(岩井副社長)と判断し、製品開発に取り組んだ。

加熱式たばこ最大市場の日本から、海外市場を見据える

岩井副社長は新製品でiQOSからシェアを奪取し、「中長期的にはRRPカテゴリでもシェアナンバーワンを目指す」と意気込みを語る。

「RRP」とは「リスク低減製品」のこと。「喫煙にともなう健康へのリスクを低減させる可能性がある」と位置づけられる製品だ。

日本では法律上、液体にニコチンを含ませて販売することはできない。電子たばこは、このニコチンを含む液体を蒸気化させるため日本で販売できず、結果、加熱式たばこが普及したという背景もある。加熱式たばこの市場規模では日本が世界最大だが、iQOSが韓国や欧州の一部で販売を強化しており、グローバルでの市場拡大を狙っている。

JTは海外ではlogicブランドで電子たばこを販売している。海外での電子たばこ事業はありつつも、まずは製品の国内ラインナップを拡大して加熱式たばこのシェア拡大を図るとともに、紙巻きたばこを含むすべての製品の価値を向上させることで、市場の拡大に繋げたい考えだ。「日本での成功がグローバルでの成功につながる」と岩井副社長は強調する。

紙巻きたばことRRP製品の双方を拡充する
日本では加熱式、海外では電子たばこを提供中

紙巻きからの移行、数年以内に大きな山場

2018年は加熱式たばこが踊り場を迎えたと言われた。日本ではここ数年で急激に加熱式たばこの普及が進んだが、市場シェアが20%を越えたところでユーザー需要は一巡したとみられる。

ただ、プルーム・テックの全国販売の開始や、他社では直近のiQOSの新モデル投入などを経て、その動向から、需要の伸びは「足踏みしていたが、止まったわけではない」(岩井副社長)との認識にあるという。加えて、紙巻きたばこによる健康懸念の高まりや、オリンピックによる喫煙場所の規制といった外的要因もあり、「必ずシガレット(紙巻きたばこ)からRRPに移ってくる」(同)という見通しだ。

課題は、紙巻きたばことは異なり、デバイスを購入しなければならないというハードルの高さだ。一度購入した後、他社のデバイスへ移行しづらいという難題につながる。

他社の後追いとなった高温加熱式では、「差別化のポイントをしっかりと伝えていく」ことで買い替えを促進する。JTが主導する低温加熱式では、「若干下方修正したが、手応えも感じている」と岩井副社長は説明する。今後は製品の良さをアピールするために、喫煙者に直接説明をする営業スタイルを重視していく方針をとるそうだ。

JTは日本市場で紙巻き、加熱式のいずれでもシェアトップを目指す

JTは1社で複数の選択肢の製品を用意することで、消費者のニーズの受け皿を最大化しようと目論んでいる。この先にグローバルで展開する上で、ユーザーからどのような示唆が得られるのかを検証していき、海外での加熱式たばこの市場拡大にも乗り出していきたいと考えているようだ。

加熱式たばこは間もなく、国内市場シェアだけでなく、海外市場の争奪戦の行方も左右する正念場を迎える。

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

2019.01.22

セブン、ローソンに続きファミマも成人誌を販売中止

インバウンドの増加、オリンピックの開催も影響か

コンビニ最大手のセブン-イレブンと業界3位のローソンが成人向け雑誌の販売中止を発表したのに続き、業界2位のファミリーマートも同様の方針を打ち出した。大手3社の足並みがそろい、日本国内のほとんどのコンビニ店頭から成人誌が消える。

国内のセブン-イレブン店舗数は2万店を超え、ローソンとファミマが1万5,000店前後でこれに続く。それぞれ今年の8月末までに取り扱いを原則中止するという。これまで一部店舗で成人誌の販売を中止していた例はあったが、今回は各社全店舗で取り扱いを中止する。業界では昨年1月から、ミニストップが他社に先駆けて全店で取り扱いを中止していた。

もともと諸外国にくらべ、女性や子どもの目につきやすいコンビニ店頭などに成人誌が置かれている日本のゾーニングの現状は特殊であるとの批判があった。また、インバウンドで訪日外国人が増え、この論調に拍車がかかっていたほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、イメージ低下を防ぐ要請が強まっていたという背景がある。

コンビニでの成人誌の購買層は近年、高齢男性に偏るとともに売り上げの減少も顕著であったといい、ゾーニングの問題が取り扱い中止の大義名分になったという見方もある。ある出版関係者は、「一部では電子版などネット展開を強化している流れはあるが、今でもコンビニは重要な販路なので、相当な混乱があるだろう」と話す。どちらにせよ、日本の成人誌は岐路に立たされることになる。