なぜ、ドコモは「ワイモバイル」のようなサブブランドを展開しないか

なぜ、ドコモは「ワイモバイル」のようなサブブランドを展開しないか

2016.11.02

ソフトバンクがワイモバイルブランドで、KDDIがグループ企業のUQコミュニケーションズが展開する「UQ mobile」で、低価格を求めるユーザーの獲得を積極化している。一方NTTドコモ、はグループ企業を活用したり、自社でサブブランドを展開したりするなどして、低価格ユーザーを獲得するという動きが見られない。なぜNTTドコモは、低価格サービスを提供する企業やブランドにあまり関与しようとしないのだろうか。

急拡大するワイモバイルやUQ mobile

近頃、スマートフォンを低価格で利用できるサービスを提供する企業やブランドによる競争が、非常に激しくなっている。実際10月にも、多くのMVNOが新サービスや新端末などを発表している。

中でも大規模な発表会イベントを開いて注目されたのは、KDDIグループのUQコミュニケーションズである。同社は昨年10月、KDDI子会社のKDDIバリューイネーブラーと合併したことで、「UQ mobile」ブランドでKDDI(au)の回線を用いたMVNOによるスマートフォン向け通信サービスを提供しているが、今年に入ってから月額2,980円で、1GB分の高速通信容量と、1,200円分の音声の無料通話が利用できる「ぴったりプラン」を提供したり、iPhone 5sの販売を手掛けたりするなど、積極的な攻めの姿勢を見せている。

10月24日に実施されたUQコミュニケーションズの発表会でも、そうした攻めの姿勢は目立っている。UQ mobileはau回線を用いていることから、対応するSIMフリー端末の数が非常に少なく、スマートフォンの選択肢がとても狭いことに大きな課題があった。だがUQ側の働きかけなどによって、au回線のVoLTEに対応したSIMフリー端末新機種が急増。UQ mobileが提供する端末も、8メーカー・12機種にまで一気に拡大してきている。

au回線を用いた「UQ mobile」の最大の弱みは対応端末数だったが、10月24日の発表会では8メーカー・12機種にまで拡大し、選択肢が大幅に拡大した

さらにショップ展開に関しても、UQコミュニケーション独自のショップ「UQスポット」を全都道府県に展開するほか、携帯電話ショップなどでの販売も拡大することにより、全国でのタッチポイントを2000箇所に増やすことを発表。これだけの規模で販売拠点を設けることは、ほとんどのMVNOには真似のできない、大手キャリア傘下の企業ゆえだといえる。

「UQスポット」は、今後全都道府県に拡大するとのこと。大半のMVNOには真似できない規模のショップ展開を進める点からも力の入れ具合が分かる

UQ mobileとはスタイルは異なるものの、大手キャリアが低価格を求めるユーザー層に力を入れる動きは、もう1つある。ソフトバンクのワイモバイルブランドがそれだ。

ワイモバイルはソフトバンクが買収した通信会社をベースに生まれたブランドだが、月額2,980円の料金で、1GBの高速通信容量と10分間の通話し放題を利用できる安価な通信サービスと、大手キャリアが提供している安心感を武器としてユーザーを急拡大。中でもUQ mobileに先駆けて、今年3月にiPhone 5sを正規に取り扱いを開始したことは大きな話題となった。

ワイモバイルはUQ mobileに先駆けて、今年3月にiPhone 5sを投入したことから大きな注目を集めた

ワイモバイルはソフトバンクのサブブランドとして、ソフトバンク自身が直接運営することを強みとして低価格なサービスを実現している。またUQ mobileは、厳密にいえばサブブランドではないものの、最近ではauとの販売連携を強化するなど、KDDIの傘下企業であることを強みとして攻めの姿勢を強めている。

NTTドコモのサブブランドの可能性は?

このように、大手キャリアのうち2社がサブブランドや傘下企業を活用し、低価格を求めるユーザーの開拓を積極化している。だが最大手キャリアであるNTTドコモに関しては、自社もしくはグループ企業を活用し、低価格のサービスを提供するという動きは見られない。実際、NTTドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏も、10月28日の決算説明会において、サブブランドに関する質問に関して「考えていない」と答えており、サブブランド展開を実施する考えがないことを明確にしている。

NTTグループとして見れば、現在NTTコミュニケーションズがNTTドコモのMVNOとなり、「OCNモバイル」としてサービスを提供してはいる。だが電気通信事業法でNTTドコモに課せられている禁止行為規制の影響などもあってか、他の2社のように密接な連携をしているわけではなく、両社はあくまで個別のサービスとして展開しているようだ。

MVNO最大手のNTTコミュニケーションズは、ゲオなどと協力して販売拡大を進めるなど、NTTドコモとは一線を画す取り組みを進めている

もっともワイモバイルのように、NTTドコモ自身が低価格のサブブランドを作って展開すること自体は、電気通信事業法上の規制に抵触するわけではない。それでもなお、NTTドコモはサブブランドを展開しない理由がどこにあるのかと考えると、MVNOの存在にあるといえそうだ。

NTTドコモがサブブランド展開しない理由はMVNOにあり

一般的に低価格なサービスを提供するMVNOが増えることは、大手キャリアにとってはユーザーがMVNOに流出することから、デメリットであると捉えられているが、実は必ずしもそうとは限らない。というのも、キャリアはMVNOに回線を貸し出す際、MVNO側から毎月「接続料」が支払われるので、MVNOが増えれば接続料収入が増え、メリットにもなってくるのだ。

また、キャリアから直接回線を借りてサービスを提供する「一次MVNO」の大半は、NTTドコモから回線を借りているので、MVNOの増加はNTTドコモにとっても売り上げを増やす要素になっているのである。

確かにキャリアからMVNOにユーザーが移れば、ユーザー1人あたりの売り上げは下がってしまう。だがそれでもNTTドコモの回線を用いたサービスにとどまっている限り、何らかの形で収入を得ることができることから、他キャリアの回線を用いたサービスにユーザーが流れ、ライバルの売り上げを増やすよりはメリットなのだ。しかも、大半のMVNOがNTTドコモの回線を利用している現状、仮にNTTドコモ自身がサブブランド展開を進めてしまった場合、MVNO側からの反発は免れないだろう。

そうしたことから、NTTドコモとしては自社で直接低価格のブランドを展開するよりも、多数存在するMVNOを拡大することで、ワイモバイルやUQ mobileに対抗して低価格を求めるユーザー層を獲得していきたい狙いがあるものと見られる。実際NTTドコモはいくつかのMVNOと、「dTV」「dマガジン」など、「dマーケット」のサービス販売で協力しており、MVNOを敵としてではなく、味方として活用しようという様子がうかがえる。

NTTドコモはインターネットイニシアティブ(IIJ)やビッグローブなどと、dマーケットのコンテンツ販売で連携も実施している

それでも「MONO」を展開した理由とは?

しかしながら一方で、NTTドコモは冬・春商戦に向けて、低価格のスマートフォンシリーズ「MONO」を展開しているほか、LTE対応フィーチャーフォン向けに、月額1,800円から利用できる料金プランを提供するなど、低価格指向のユーザーに向けた施策も打ち出している。これは低価格を求める層をMVNOに移行させまいとする動きにも見える。

NTTドコモは冬商戦に向けて、オリジナルの低価格スマートフォンブランド「MONO」を展開することを発表した

だが実際のところ、MONOなど今回NTTドコモが打ち出した一連の施策は、ワイモバイルやUQ mobileへの対抗と考えられそうだ。MVNOは確かに価格は安いが、規模が小さい企業が大半を占めるため、ブランド力や信頼、安心感という面では劣る部分がある。実際ワイモバイルやUQ mobileのように全国くまなく実店舗展開できている、あるいはしようとしているMVNOは極めてごく少数にとどまり、大半のMVNOは買いやすさやサポートなどの面で、今なお多くの課題を抱えている。

もちろん、インターネットイニシアティブ(IIJ)のように日本郵政とタッグを組み、郵便局のカタログ販売を活用するなどして販路を拡大するMVNOや、楽天の「楽天モバイル」のように、企業体力があることを活用し、テレビCM展開や独自の端末調達などでブランド力を高めているMVNOなどは出てきている。だがそれでもまだ、大手キャリアの後ろ盾がある2つのブランドと比べると力不足という印象は否めない。

楽天の「楽天モバイル」のように、企業体力の大きな会社がMVNOの事業を大規模展開する事例も増えているが、ワイモバイルなどと比べるとまだ規模は小さくブランドも弱い

それだけにNTTドコモとしては、現在MVNOに欠けている安心・信頼・ブランド力という部分をカバーし、ワイモバイルやUQ mobileに流出しようとしてるユーザーを阻止するためにも、低価格の端末やサービスを提供するに至ったといえそうだ。特にワイモバイルやUQ mobileは、価格の高騰を嫌ってスマートフォンへ移行しようとしない、NTTドコモのフィーチャーフォンユーザーを主要ターゲットの1つとしていると見られることから、NTTドコモとしてはMVNOが成長する前に、フィーチャーフォンユーザーがNTTドコモ以外の回線に流出しないよう、対処をする必要があったといえるだろう。

自社やグループ会社の活用に舵を切った2社とは異なり、多数のMVNOに回線を貸すことによって、低価格ユーザー獲得を託したNTTドコモ。その戦略が吉と出るかは、ある意味ワイモバイルやUQ mobileに匹敵する規模にまでMVNOが成長し、NTTドコモが直接介在する必要なく、三つ巴の戦いを繰り広げてくれるかどうかにかかっているといえるかもしれない。

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。