ソニーとシャープは耐えどきか、激変する携帯電話シェアとこれから

ソニーとシャープは耐えどきか、激変する携帯電話シェアとこれから

2016.11.11

国内の携帯電話市場に大きな変化が起きている。MM総研の調査では、2016年度上期の携帯電話出荷台数が半期として過去最低に落ち込んだ。落ち込み自体はある程度予測されたことだが、メーカー別の出荷台数を見ると、激変とも呼べる状況になっているのだ。

ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia X Performance」。Androidスマートフォンのなかでは善戦したというが……

ガイドラインがもろに影響

MM総研が10日に発表した2016年度上期国内携帯電話出荷台数は、前年同期比10.9%減の約1518.8万台と2000年度の調査開始以来、半期として過去最低となった。フィーチャーフォンの需要が漸減、近年スマートフォンの性能が上がり買い控えが進む傾向にあるなかで、最も影響を及ぼしたのが、総務省により4月に適用された「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」である。

このガイドラインにより、大手携帯電話各社は実質ゼロ円でのスマートフォンの販売が禁じ手となった。その結果、スマートフォンの実勢販売価格が上がり、買い控えが生じた結果、今回の過去最低の出荷台数につながったわけだ。

ここまではある程度予測されたことであるが、注目したいのはフィーチャーフォン、スマートフォンの総計となるメーカー別の出荷台数だ。結果は驚くべきものになっている。

メーカーシェアに異変

シェア1位はアップル。不動の1位と呼べる状況だが、前年同期比3.1%減の617.9万台。今年から一部端末をワイモバイル、UQ mobileで販売して販路を拡大、ガイドライン適用の影響を少なくしたと見ることができる。

問題は次位以降だ。下落幅とランキング変動が凄まじい。前年まで2位だったシャープは同46.4%減の128.5万台となり、5位に転落した。また、前年まで3位だったソニーモバイルコミュニケーションズ(以下、ソニー)はシャープが沈んだことで、2位に浮上。しかし、同28.5%減の171万台と振るわない。

代わりにシェアランキングを上げたのは3位の京セラ。155万台で同4.9%増と、唯一前年同期を上回った大手メーカーとなる。4位は富士通で149.2万台で同3.2%減だった。

シャープが前年2位から5位に転落(MM総研ニュースリリースより)

ソニー、シャープが大きく出荷台数を落としたのはなぜか。MM総研の横田氏は次のように分析する。ソニーについてはXperiaの最新機種が高スペック端末とならず、ヒット商品になりきれなかったことを挙げる。国内で販売されたサムスンの「Galaxy S7 edge」は、高スペックがウケて世界的に売れた端末である。ソニーの最新機種には、その要素が欠けていたということになるだろう。

シャープについては、業績不振の影響を受け、プロモーションへ注力できなかったのではないかと横田氏は見ている。フィーチャーフォン需要が薄れてきていることも影響しているだろう。一方、3位にアップした京セラは、ワイモバイル向け「DIGNO E」が寄与し、出荷台数が伸びたようだ。

MVNOとサブブランド向けに旨み?

ガイドラインの影響を受け、全般的に落ち込んだ携帯電話の出荷台数。そこに各社個別の事情が絡んだことになるが、もうひとつ注目しておきたいのは「MVNO」「サブブランド」である。京セラがワイモバイル向けで出荷台数を増やしたように、携帯電話市場は今、「MVNO」「サブブランド」に契約者が流れる構図になっている。

しかし、MVNOは携帯電話市場全体の1割程度に過ぎない。その1割の市場を数百社が分け合う状況にあり、1社あたりの契約者数は大手通信会社の比べものにならないくらい少ない。そうした状況において、投資効率を考慮すると、ソニーやシャープといった大手携帯メーカーにとってMVNO向けの端末出荷は割に合わないという側面もあるようだ。

その結果として、端末の性能自体が大手携帯電話会社向けとは異なるほか、一部の大手MVNOしか取扱いがない状況となっている。大手メーカーはMVNO向けの出荷を増やせばいいというものでもない状況にありそうだ。

富士通、京セラは早くからMVNO向け端末に着手してきた経緯があり、SIMフリー市場においてシェアをそれなりにとっているが、ソニー、シャープは上位にいない。商流が変化していることを知りつつも、なかなか手を出せない。MVNO向けは採算がとれるような契約者数になれば、状況も変わっていくだろうが、それはまだ先のことになりそうだ。

しかも、ソニー、シャープには、今後も厳しい状況が続く。総務省では、10月からガイドライン適用後のフォローアップ会合を行っており、その結果として、スマートフォンの実質負担額がさらにあがる可能性が高い。大手携帯電話会社のスマートフォン販売量に悪影響が出そうな情勢である。

モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合

MM総研も2016年度の通期見通しについて、前年度比2.7%減の3560万台と予測しており、携帯メーカー、とりわけ、ソニーとシャープの2社にとって出荷数量の面では苦難が続きそうだ。大手携帯電話会社向けもMVNO向けもどちらも"しょっぱい"――。両社にとって、今は耐えどきなのかもしれない。

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大津の園児死亡事故で炎上した「マスコミ」批判

カレー沢薫の時流漂流 第43回

大津の園児死亡事故で炎上した「マスコミ」批判

2019.05.20

漫画家・コラムニスト カレー沢薫さんの社会派連載!

第43回は、大津の痛ましい事故で炎上した「マスコミ」問題について

滋賀県・大津市で散歩中の園児の列に軽乗用車が突っ込み、園児二名死亡、多くの負傷者を出す、という事故が起った。

池袋のプリウス事故の衝撃が冷めやらぬまま、また痛ましい事故が起ってしまった。池袋の事故では「高齢者の自動車運転問題」「上級国民疑惑」が大きく注目されたが、今回の事故では全く別のものが炎上した。

マスコミ問題である。

マスコミが保育園を追求したのは視聴者のため?

事件が起こった当日夕方、被害者の園児が通っていた「レイモンド淡海保育園」が記者会見を行ったのだが、そこで質問をした記者の血が青とか紫とかほとんど寒色系じゃないかと、大きく批判された。

記者会見が、どのような内容だったかというと「危険な場所という認識はあったのか?」「保育士が道路側にいたのか?」という、何としてでも保育園側に批があったようにしたくてたまらない質問、「園児たちの様子は普段と変わらなかったのか?」という意図のわからない質問、 「散歩したのは園に庭がないからか?」という「園に庭さえあればこんなことには…」という「ニ兆円さえあれば」に匹敵する、壮大なたられば論などが挙げられ、質問を受けた園長は号泣、それを記者がバッシャバッシャ撮影するという地獄絵図だったそうだ。

記者会見を見た多くの人が「何を食ったらそんな質問ができるんだ」と思っただろうが、この記者会見は、たまたまその場にプラスチックを食って育った選りすぐりのサイコパッシャーが大集結してしまったという、悪い意味でのアベンジャーズだったワケではないと思う。

記者が何故あのような質問をしたかというと、決して趣味ではなく、おそらく「視聴者の見たい画」「聞きたい言葉」を引き出そうとした結果なのではないか。もちろん「あんなもの見たくなかった」という人が大半だと思う。

しかし、池袋プリウス事故で加害者が即逮捕されないことが大きく批判されたことからも、現在の我々視聴者に「悪が一刻も早く、俺たちの目に見える形で処されるところが見たい」という「ニーズ」が少なからずあることが分かっているのだ。

つまり「お客様に一秒でも早く悪が吊るされる様をお届けします!」というニーズに応えようとする企業努力が、「悪くもない保育園をとりあえず悪にして即斬る」という、完全に間違った「悪・即・斬」になってしまったのではないだろうか。

「マスゴミ」問題は視聴者の問題?

しかし、「被害者側への無配慮な取材はいらん」というのも、今回の件だけではなく、視聴者側が何度も言い続けている「ニーズ」である。

何故それが無視されてこのような会見が行われるかというと、被害者の声まではいらなくても、やはり我々が平素「センセーショナル」な物を求めてしまっているからではないだろうか。よって記者たちは「とにかく刺激的なものを撮ってこい」と言われ続け、感覚がマヒし、本来配慮が必要なはずの取材にすら「センセーショナルさ第一」で臨んでしまい、まるで不倫記者会見のようなノリの質問が飛ぶことになってしまったのではないだろうか。

やはり報道というのは「視聴者が何を見たがっているか」が反映されるものだ、需要がなければ供給はなくなる。このような記者会見が行われなくするためには、何度でも我々が「こういうのはいらんのや、見んし、お前らの雑誌買わんわ」と言い続けるしかないだろう。

ところで、「質問をした記者を特定して処してやろう」という動きも当然のように起こったらしい。やはり我々の「悪を処したい」「処されるのを見たい」という気持ちは根深い物があるのだ。

ちなみに、今回の事故では当初、車を運転していた52歳と62歳の2人が逮捕された。「また高齢者か」という声も上がったが、この年齢で高齢者と呼べるかは微妙なところだ。結局「車を運転する以上誰でも事故を起こす可能性がある」ということである。

車を運転しない人は「歩道を歩いていて車が突っ込んでくるなんてどうしようもない」という被害者観点から絶望したと思うが、車を運転する人は加害者観点でも恐怖したと思う。

もちろん安全運転に越したことはないが、人間には「限界」と「不測の事態」があることでおなじみである。持病もないのに運転中に突然何らかの発作が起こる可能性だってあるのだ。「どうしようもないこと」で被害者になることもあるが、加害者になることもあるのである。

つまり、車がないと生活できない土地で、私が週一ぐらいしか外出せず、引きこもり続けているのは、近隣住民の命を守る草の根活動でもあるのだ。しかし、それは無職だからできる事業なので、多くの人が、少なからずリスクを負って車を運転しなければいけない。

そのリスクを減らすには、運転者が気をつけることはもちろんだが、何せ限界がある。つまり、人間がこれ以上、進化することなく、むしろ高齢化で退化する一方だとしたら、無機物の方を整備していくしかない。

事故が起りにくい道路作り、そして車だ。

現に、車の事故防止機能はどんどん進化しており、自動運転化の開発も進んでいるという。自動運転が本当に安全なのか不安もあるが、少なくとも老が運転するよりは確実に安全になるだろう。

しかし、今のところそういった事故防止機能がついた車を買うか否かは、任意である。そして、そのような機能がついた車は高くなる。よって私の車は金銭的問題で、タイヤとハンドルがついているぐらいであり、運転手がミスったら、そのミス通り事故を起こしてくれる、素直な仕様である。

現在でも事故防止機能のある車を購入した場合、補助がもらえることもあるようだが、導入が任意な以上、つけない人はつけないだろう。これからの車には、タイヤ、ハンドル、事故防止機能を、もう屋根ぐらい忘れても良いから義務付けるべきではないだろうか。

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スープラは最高の合作? トヨタ副社長に聞く新型スポーツカーの存在意義

スープラは最高の合作? トヨタ副社長に聞く新型スポーツカーの存在意義

2019.05.20

トヨタが5世代目となる新型「スープラ」を発売

直列6気筒のFRで伝統を踏襲、最上級グレードに予約集中

BMWとの共同開発について気になる点を友山副社長に聞く

トヨタ自動車は新型「スープラ」(GR Supra)を発売した。先代スープラの生産終了から17年ぶりの復活だ。価格は3リッターの直列6気筒(直6)ターボエンジンを搭載する「RZ」が690万円、2リッターの直列4気筒ターボエンジンを積む「SZ-R」が590万円、同「SZ」が490万円。直6+FR(フロントエンジン・リアドライブ)という歴代モデルの伝統を踏襲した5世代目は、トヨタとBMWの共同開発で誕生した。

新型「スープラ」。ボディサイズは「RZ」で全長4,380mm、全幅1,865mm、全高1,290mm。こだわったのは「短いホイールベース(前輪と後輪の間の幅、2,470mm)」「幅広いトレッド(左右のタイヤの幅、RZでフロント1,595mm、リヤ1,590mm)」「低い重心高」の3つの基本要素だという

儲からなければ儲かるまで“カイゼン”

新型スープラはBMW「Z4」のプラットフォームとエンジンを使っている。企画とデザインはトヨタが、設計はBMWが担当した。

トヨタでは月間220台の販売台数を想定していたが、2019年3月に予約注文の受付を開始すると、新型スープラには予想を超える数のオーダーが殺到した。事前受注は約1,400台に達したという。予約注文のうち、約7割が最上級グレードのRZに集中したことも予想外だったようで、トヨタは一時的に、同グレードの予約受付をストップしていた。

増産やグレード変更などの生産調整により、現在、RZの受注は再開している。とはいえ、今からRZを注文しても、納車は2020年1月ごろになるそうだ。

「マットストームグレーメタリック」をまとった新型「スープラ」(画像)は限定車。2019年度分の24台については、6月14日までWeb限定で商談の申し込みを受け付ける。商談順は抽選となるそうだ

「モビリティカンパニー」になると宣言したトヨタが、スポーツカーのスープラを復活させる理由については、最近、テレビやラジオのコマーシャルでもしばしば耳にする「馬がクルマに置き換わっても、競走馬は残った」という言葉の通りだ。つまり、電動化や自動化でクルマの在り方が変わっていっても、単なる移動手段ではなく、所有したり乗ったりすることで、喜びを感じられる存在として残るクルマもあるので、そういった製品を作り続けたいというのがトヨタの思いである。

新型「スープラ」はトヨタとBMWが2013年に包括提携を結んでから初の商品となる。生産はマグナ・シュタイヤーに外部委託し、オーストリアのグラーツ工場で行う

とはいえ、スポーツカーは年間何万台も売れるクルマではないし、採算が取れないおそれもある。その点については、新型スープラ発表会に登壇したトヨタの友山茂樹副社長も「スポーツカーは儲からない、売れないという冷ややかな見方があることは事実」と認めるところだ。しかし同氏は、「儲からなければ儲かるようになるまで、売れなければ買ってもらえるようになるまで、歯を食いしばってでもカイゼンを続ける」ことがトヨタ本来の姿であるとし、「クルマは五感で感じるものだというDNAを次の世代に継承しなければならない」との考えを示した。

新型「スープラ」は歴代モデルと違って2シーターだ

「BMW製では?」の声に友山副社長の回答は

気になるのは、スープラがBMWとの共同開発であり、エンジンとプラットフォームというクルマの中心部分がBMW製であるという点だ。「トヨタの思いは分かるけど、結局、BMWのクルマなのでは……」という見方があるのは、おそらく間違いないだろう。

こちらがBMW「Z4」。大きな違いはスープラがクーペでZ4がオープンカーであるところだ。「Z4」の価格を見ると、3L直6エンジンを積む「M40i」が835万円、2L直4エンジンを積むエントリーモデル「sDrive20i」が566万円となっている

そのあたりについて、友山副社長が語ったところをまとめると、まず、「スポーツカーは数(販売台数)が限られる割に、開発には莫大なコストがかかるので、単独で作るのは難しい」とのこと。今回のスープラは企画とデザインがトヨタ、設計がBMWと説明しているが、クルマの開発は「そんなに簡単なものではないし、(明確に役割を)区切れるものでも」なく、企画の段階で、トヨタとしてどんなクルマを作りたいか、どんな味を出したいかといった点については徹底的に詰めたという。それに、これは多少、冗談めかした発言ではあったものの、「BMWが作ったクルマだから」という理由でスープラを購入する顧客もいるそうだ。

トヨタの友山副社長。自身は先代「スープラ」を改造して乗っていて、トヨタの役員駐車場で警備員に止められたこともあるという

スープラを「BMW製」だと見る人たちに対して友山副社長は、「どこ製ということではなく、これは『スープラ』なんです。両社のいいところを組み合わせた最高の合作、それがスープラです。乗ると分かりますが、Z4とは全然違います」とのメッセージを伝えたいそうだ。

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