世界覇権に再挑戦? 三菱自を手にした日産ゴーン社長の野望

世界覇権に再挑戦? 三菱自を手にした日産ゴーン社長の野望

2016.11.17

日産自動車に乗り込み、2兆円を超える有利子負債を抱えた同社の復活を成し遂げたカルロス・ゴーン氏。聖域なきリストラなど、ゴーン氏が遂行した「日産リバイバルプラン」は日産のV字回復として結実した。次に取り掛かるのは三菱自動車工業だが、そもそもゴーン氏はなぜ、同社の再建という難題にチャレンジするのだろうか。同氏を突き動かす“野望”とは。

世界覇権への野望、再び

燃費不正問題で三菱自の経営が2000年代前半に次いで再び揺らぎ、その救済を電光石火で決めたのが日産のゴーン社長だった。今年の5月12日に日産による三菱自への資本参加(34%出資)を発表した。

日産による三菱自への出資(三菱自株の急落底値時の2,340億円)は10月20日に完了。それとともに、ゴーン社長自ら三菱自会長として乗り込むことになった。12月14日の三菱自臨時株主総会で決定する。これで名実ともに日産が三菱自を傘下に置き、三菱商事など三菱グループとも連携するルノー・日産グループが始動するわけである。

なぜ日産は、「リコール隠し」に続く「燃費不正」で信用が失墜した三菱自の救済に動いたのか。一言で言えば、「ゴーン、世界覇権への野望再び」ということだろう。

ゴーン氏は世界覇権へ向け再び動き出した

ゴーン氏は1999年、日産の事実上のトップとして仏ルノーから乗り込み、17年にわたり君臨し続けている。この間に日産をV字回復させた一方、親会社ルノーのトップも兼ねている同氏だが、いささか「ゴーン流経営」に停滞感が出ていたことも、同氏を三菱自の救済に突き動かした動機になっているかもしれない。

日産コミットメント経営に陰り?

日産はこの2016年度を最終年度とする中期経営計画「パワー88」を進めている。それは、グローバル販売での市場シェア8%と、売上高営業利益率8%の達成を目標とするものだ。

だが、中間決算(2016年4~9月)発表でもグローバル販売シェアは5.8%(前年同期6.1%)、営業利益率は6.4%(同6.7%)とポイントダウンしている。営業利益率については急激な円高での為替差損が大きく、「円高なかりせば」との見方もあるが、それにしてもゴーン流のコミットメント(目標必達)経営に陰りが出ていることは否めない。

電気自動車(EV)の盟主を目指し、日産はパワー88期間中にルノーとの合計で150万台の販売目標を打ち出していたが、主力のリーフは20万台強にとどまる。最近ではEVの主役の座をベンチャーの米テスラモーターズに奪われた感がある。

その意味では、ルノー・日産連合には停滞感があり、「現状に満足していない」(ゴーン社長)状況にある。だからこそ、三菱自を傘下に収めることは、グループとしてのグローバル販売の1,000万台規模入り、三菱自が強いアセアンなど新興国の強化、プラグインハイブリッド車(PHEV)で先行する三菱自の活用など、次の飛躍の足がかりになると判断したわけである。

しがらみ無視のリバイバルプラン

日産は1990年代後半に業績が悪化し、2兆円に上る借金(有利子負債)を抱えて海外提携を模索し始めた。最終的にはルノーとの資本提携を決め、1999年3月に提携調印を発表した。筆者はこの経過を著書「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)に著している。ルノーから日産の救世主として送り込まれてきたのがカルロス・ゴーン社長である。

「日産リバイバルプラン(NRP)」。ゴーン流経営による日産復活を目指した中期経営計画の第一歩は、旧来の日産のしがらみを断ち切った聖域なきリストラとコミットメント経営だった。社内はクロスファンクショナルチーム(CFT、部門間の壁をなくす全社横断チーム)、V-upプログラム(部門横断的なラインマネジメントの問題解決)を推進し、外国人、女性社員の登用で日産の企業文化を大きく変貌させた。

ゴーン社長が日産で最初に手掛けた中計NRPは、当期利益の黒字化、営業利益率4.5%以上の達成、有利子負債7,000億円以下の3つのコミットメントだった。2000年4月~2002年3月の3カ年NRPを1年前倒しで達成した同氏の手腕は、ゴーン流V字回復として脚光を浴びた。続く「日産180(2002年4月~2005年3月)」では、さらに営業利益率8%、有利子負債ゼロ、グローバル販売100万台増加の3つのコミットメントを掲げた。

日産とルノーのトップに君臨して10年余のゴーン社長

当時、筆者はゴーン社長にインタビューしたが、社内改革とルノーとのシナジー(車台、エンジン、部品の共通化、購買調達の共同化など)効果を出せば、日産は復活できるとの明快な答えが返ってきたのを思い出す。ゴーン社長は、この日産V字回復という経営成果により、2005年5月からルノーの会長兼CEO(最高経営責任者)に就いてルノー・日産連合のトップに君臨し、現在に至っている。

ルノー・日産アライアンスのトップに君臨するゴーン氏

ゴーン社長がルノーから日産のトップに送り込まれて17年、ルノーのトップも兼任するようになってからは10年余が経過する。オーナーならいざしらず、いわゆる雇われ社長としては異例の長期政権だ。

ゴーン社長の代名詞ともなったコミットメント経営だが、ここへきてほころびも見えてきている。具体的には、今期を最終年度とする「パワー88」の目標が、急激な円高環境下とはいえ「必達」が難しくなってきていること、得意のEVが思うように市場に浸透しないこと、新興国向け戦略ブランド「ダットサン」を立ち上げたものの、成果が遅れていること、母国市場の日本での販売が低迷しており、シェアが1桁に落ちていることなどが不安材料だ。

一方でルノーは、43.4%出資の日産を持ち分子会社としており、その連結決算では、日産からの上納で何とか黒字を確保している現状にある。ルノーの株主である仏政府には、ルノーを通じて日産への経営関与を強めようとするなど微妙な動きもある。ゴーン社長の高額報酬は日本でも話題になるが、ルノーの株主総会では高額反対となり、報酬減額に追い込まれる状況さえでてきた。

つまり、ゴーン社長にとって停滞感というか閉塞感も漂う中で、三菱自動車の実質的買収は、その打開へ向けた乾坤一擲の決断だったのではないだろうか。

一方の三菱自。今期中間決算発表は、まず燃費不正問題のお詫びから入った。2000年代初頭の「リコール隠し」から立ち直った矢先の今回の問題。同社は信用失墜という「信用負債」を抱えて再生へと歩き出すことになるが、復活への道筋が全く見えないわけでもない。

中間決算で損失を一括計上、復活の準備に入る三菱自

三菱自の中間決算は、営業利益316億円の赤字。当期純利益では燃費試験関連損失1,662億円の特別損失を計上し、2,196億円の大幅赤字となった。今期の通期業績見通しでは、営業利益276億円の赤字、当期純利益2,396億円の赤字となる予想だ。

中間決算説明会に登壇した三菱自副社長執行役員の池谷光司氏は、「日産が2000年頃からやってきた改革の手法は(三菱自でも)全社的に活用できる」と話していた

つまり、三菱自は日産の出資完了を前に、将来発生しそうな損失を中間決算で一括計上し、業績の大幅下方修正に踏み切ったのだ。奇しくも三菱自の当期利益赤字幅は、日産の出資額2,370億円とほぼ同額である。

益子体制では一定の成果

三菱自動車といえば、1970年に米クライスラーとの合弁提携とともに、三菱重工業の自動車事業部門が独立した会社だ。当時は軽自動車から大型トラックまでを取り扱う、世界でも類を見ない総合自動車メーカーだった。1990年代半ば頃までは、トヨタ、日産に次ぐ日本車メーカー第三勢力の旗頭の位置づけを強めていた。一時はメインバンクが同じ三菱銀行であることから、「三菱自、ホンダを買収か」と言われたり、あるいは「日産の背中が見えた」と三菱自トップの発言で話題になったこともある。

だが、1996年に米国工場でのセクハラ問題、翌年に総会屋への利益供与事件、2000年にはリコール隠しと不祥事が続出する。2000年にはダイムラークライスラー(当時)の出資を受けてダイムラー傘下となったものの、2004年にリコール隠しが再燃したことで、ダイムラーは「三菱ふそう」のトラック部門を子会社化し、三菱自からは手を引くことになる。その後は三菱グループの主力企業である三菱重工、三菱商事、三菱銀行が再建支援に入り、2005年には三菱商事の自動車事業本部長だった益子修氏が三菱自社長に就任したという経緯がある。

益子体制となった三菱自は、タイを中心とするアジア戦略を強化するとともに、車種を軽自動車とSUV(スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)に絞り、合理化経営を徹底した。その結果、2014年3月期には三菱主力3社の優先株を解消するとともに、復配にこぎつけた。益子体制9年間の再建策は終わり、昨年には三菱自プロパーの相川哲郎氏が社長に就任。益子会長・相川社長体制に切り替わった矢先に「軽自動車燃費不正問題」が露呈したのだ。

ゴーン流改革の遂行に向けた人材配置

三菱自の燃費不正は軽自動車にとどまらず、ほぼ全車種に及んでいたことからブランドは地に墜ちた。さすがの三菱グループ支援もこの期に及んではままならず、相川社長の引責辞任により、会長兼社長となった益子氏は日産に助けを求めた。軽自動車の合弁生産で2010年から提携していた日産サイドは、ゴーン社長の即断で手を差し伸べた。

三菱自の企業体質は、おっとり型で「たこつぼ文化」と言われてきた。とくに開発部門でのそうした体質がリコール隠し、燃費不正につながったと言われる。一方で、戦闘機の流れを汲む技術力には定評があり、軽自動車で先駆けたEVと、これをベースとしたSUVのPHEVの商品力は評価が高い。加えて、三菱商事と連携し、タイを中心とするアセアン市場を開拓した三菱車は、三菱自の収益力に大きく寄与している。

日産は、資本提携発表とともに、いち早く三菱自のテコ入れに動いた。長らくゴーン体制で開発部門のトップだった山下光彦氏を三菱自の開発担当副社長として送り込んだのだ。まずは、問題の開発部門をゴーン流に改革するという意思がはっきりと読み取れる。

ゴーン氏は今後、渉外担当の川口均氏、経理担当の軽部博氏を取締役として、チーフ・パフォーマンス・オフィサー(CPO)のトレバー・マン氏を最高執行責任者(COO)として三菱自に送り込む。いずれもゴーンチルドレンの面々で、一気にゴーン流改革を進める構えだ。

三菱自は“信用の負債”を返済できるか

三菱自は日産と提携し、①共同購買コストの削減②車両プラットフォームの共有③技術の共有(PHEV、パワートレーン、自動運転)④発展途上市場および新興市場でのアライアンスチームのプレゼンス拡大⑤三菱自ユーザーに日産販売金融を活用⑥生産設備の共用といったシナジーを創出することで、まず2017年度で270億円、2018年度で約400億円のシナジー効果を上げ、1株当たり収益を2017年度で12円、2018年度で20円増加させる計画だ。営業利益率では2017年度で約1%、2018年度で約2%、2019年度で2%以上を目指す方針。シナジー効果を早期に取り込み、V字回復を図るプランだ。

まさに、ゴーン流の日産早期復活劇を三菱自に移した感があるが、日産の場合は多額の有利子負債を抱えていたのに対し、三菱自は大きな信用負債を抱えている違いがある。この信用負債の払拭には時間が掛かると見るのは筆者だけではないだろう。

手腕を振るう舞台が整ったゴーン氏

ともあれ、ルノー・日産連合に三菱自が加わることで、1,000万台クラブ参入ということになるが、ゴーン氏は「規模拡大が第一ではなく、グループ間シナジーを最大限生かすこと」が重要とする。また、三菱自のバックにある主力3企業も、日産に対し、3社と日産で51%以上の三菱自株式を向こう10年間保有することで合意し、安定株主化を進めた。

中間決算説明会に登壇した日産共同最高経営責任者の西川廣人氏は、共同購買、工場の共用、プラットフォームの共通化、技術の共有などで三菱自とのシナジー効果を創出したいと語った

自ら三菱自会長を兼任することになるゴーン社長の野望は、「世界トップの自動車メーカーとして君臨すること」だという。かつて日産の復活を果たした時点で、米GMとルノー・日産連合との提携を模索し、GMも巻き込んだトップを狙ったいきさつもある。

あえて信用負債という難題を抱える三菱自の実質的買収に踏み切ったゴーン社長には、三菱自再建の難しさ以上に、三菱グループ(特に三菱商事)との協力関係による飛躍の方が魅力的に映ったのだろう。これをどう生かすか、久しぶりにゴーン氏自らが張り切っている姿が見える。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

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2019.06.17

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu