【コシダカホールディングス】女性を招くフィットネス 買収後に飛躍的成長

【コシダカホールディングス】女性を招くフィットネス 買収後に飛躍的成長

2016.11.24

【コシダカホールディングス】女性を招くフィットネス 買収後に飛躍的成長

 日本で最も多くの店舗を誇る女性だけのフィットネスクラブ「カーブス」。同業態を運営するのが、ジャスダック上場のコシダカホールディングス<2157>だ。予約不要、30分のフィットネスで気軽に参加できることもあり、40代以上の女性から圧倒的な支持を得ている。2005年に日本に持ち込まれて以降、、店舗数は2016年8月期で1722店舗、会員数は77.2万人と急成長している。成長の秘訣とM&A戦略を分析する。

【企業概要】2008年、カーブスジャパンを取得

 カーブスはもともとは米国で創業されたフィットネスチェーンであるが、2005年にベンチャーリンクが米国カーブスインターナショナルから、日本での事業展開権利を取得したことから始まる。ベンチャーリンクは同事業を拡大させるも2008年10月にカーブスジャパンをコシダカホールディングスに譲渡。バトンを受け取ったコシダカホールディングスは当時21.6万人であった会員数を、8年間で77.2万人と3.5倍増やし、同社の営業利益の88%をカーブスが占めるまで成長させてきた。

 コシダカホールディングスといえば、カーブス以外にも「カラオケまねきねこ」は有名である。一般的に多くのカラオケ店が駅前などに店舗を構えるが、同社は郊外を主戦場とし、カラオケ店を展開してきた。物件は中小で行き詰ったカラオケ店の居抜きを中心とし、「まねきねこ」のノウハウを投入、業態変化させることで着実にシェアを伸ばしてきた。現在は都市部にも力を入れており、一人カラオケの「ワンカラ」で攻勢をかけている。

出所:有価証券報告書

 コシダカホールディングスは、今まである既存の業態に、同社独自の戦略を取り入れることで「既存業種新業態」を作り出すことを実践している。それがまさにヒットして同社は右肩上がりの成長を遂げている。その戦略の源泉を遡ってみる。

【経営陣】二代目の腰髙博氏、1995年から社長

 コシダカのルーツは1964年、腰髙善治氏が群馬県前橋市で創業した中華料理店「新盛軒」である。1967年に法人化し、最盛期は6店舗を運営した。現社長で善治氏の息子の腰髙博氏は1986年に新盛軒(現コシダカホールディングス)に入社。1995年に代表取締役社長に就任した。56歳。

【株主構成】創業家の持ち株比率50%超

 筆頭株主のヨウザンは腰髙博社長とその親族である腰髙美和子氏が議決権の過半数を所有する資産管理会社である。2位は腰高博社長。3位のアイエムオーは専務取締役の腰髙修氏が全額出資し代表取締役を務める資産管理会社。腰高修氏本人の持ち株(55万4000株)も合わせると、創業家で50%超を保有しており、高い持ち株比率となっている。

【M&A戦略】国内外でカラオケ買収、ボーリングは撤退

 コシダカホールディングスの始まりは、1954年まで遡る。屋台の中華そば屋として創業した同社は、数店舗のチェーン展開をしていた。現在社長の腰高氏もラーメン店の手伝いをしていたが、その中で新規事業としてカラオケに目をつけ、居抜き方式(前のオーナーが原状回復することなく、次のオーナーに内装や設備をつけたままの状態で引き渡す方式)にて店舗の展開を行ってきた。同社のカラオケ店の多くが駅前などではなく、ロードサイドにある。これはターゲットを住宅街の主婦層に当て展開をしてきたためであり、この戦略がヒットした。

 下図はカラオケ業界の推移となるが、カラオケルーム数・参加人口は95年以降で減少傾向にあった。ここ数年で徐々に回復基調にあるものの、最盛期までは戻っていない。同社はこのような逆境の中、着実に店舗および売り上げを伸ばしてきた。10年には韓国コシダカを設立、14年にはシンガポールでカラオケ店を運営するK BOXを買収。15年には神奈川県を中心にカラオケ店を20店舗運営するムーンを買収。業界大手の出店が滞っている中、まねきねこではM&Aは勿論、全室禁煙や自社独自のカラオケ機種「すきっと」といった他社にない独自戦略で攻勢をかける。

出所:カラオケ白書2016 HP: http://www.karaoke.or.jp/05hakusyo/p1.php

 右肩上がりの売上をみせる同社は、まねきねこ、カーブスのほか温浴事業も手掛けている。温浴事業は同社がカラオケ店の出店の際に用いた「居抜き出店」の手法を展開。2010年から始め、現在5店舗を展開している。15年までは全く利益の取れない事業であったが、「小学生以下は無料」や各種イベントを開催することで地域に根差した営業を既存設備の効率化や新コンテンツの導入をもくろむ。

 一方で温浴事業と同時に、ボーリング事業にも同社は手を出していた。三井物産より買収したスポルトがそれだ。同社のテーマとする「安・近・短」の業態であるものの、買収した2年後に本事業の売却に舵をきった。同社として黒字化の目途は立っていたと言うが、グループ内でのシナジー効果が薄いとの事で早々に撤退を図った。

【財務分析】カーブスで利益の9割稼ぐ

出所:有価証券報告書、決算説明会資料

 売上こそ右肩上がりの同社であるが、事業の営業利益を見ると課題がわかる。

 同社の利益の源泉は、カーブスが全体の88%を占める。

 今、カーブスは全国で1722拠点。主要な場所にはある程度出店を終えていることが考えられる。今後は新規出店の際、既存店舗と客の取り合いにならないように出店をする必要がある。直営店は全国で4か所のみであり、ほぼすべてがFC店という事を考えると難しいハンドリングが必要となろう。出店が緩やかになると今までのような成長が叶わなくなる。今後はカーブスだけに頼らない、まねきねこの利益率の上昇、温浴施設の早期安定収益化が必須となろう。

【株価】下落基調、出店ペース鈍化が重荷

 株価は2015年に3000円台まで上昇したが、その後、じりじりと下落している。これに対して業績は好調で、2016年8月期までの9期連続の増収増益、増配を達成したが、株価の反転には至っていない。2017年8月期は主力のカーブス事業で90店の新規出店を計画、122店舗を出店した2016月期に比べて出店ペースは鈍化する。足元の業績は好調だが、カーブス事業については国内での出店余地が年々小さくなっていることを市場は懸念しているようだ。

【まとめ】新たな成長業態の発掘課題に

 中華料理店が祖業だったコシダカホールディングスは、女性向けフィットネス「カーブス」の買収によって大きな飛躍を遂げた。もう1つの柱であるカラオケ事業も業界大手の出店が滞る中でも、国内やシンガポールの企業を買収、「既存業種新業態」の独自戦略で攻勢をかけている。しかし、成長の源だったカーブス事業の新規出店余地が年々小さくなっているのも事実。今後はM&Aを活用した新たな成長業態の発掘やカラオケ事業の海外展開加速などが課題となりそう。「まねきねこ」の次の一手に注目したい。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

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掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

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○森口将之のカーデザイン解体新書
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○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
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○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
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○「食べる」をつくる科学と心理
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○阿久津良和のITビジネス超前線
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○山下洋一のfilm@11
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○モノのデザイン
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○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
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○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
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○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
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○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu